とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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遅くなりました!みなさんお待たせしました!!普段に比べ、少しばかり短いですがmそれでは久しぶりにレッツゴー!!!!!


第四十二話 言伝

ー深夜23時 スバル宅ー

 

火災が起きた日の夜中、全体的な収集をつかし、帰路についていた。スバルは 一人だからか、普段他人に見せないような暗い表情をしている。いつもの明るいスバルはそこにはなかった。何度も脳裏に蘇る、被害者の死ぬ直前の声。断末魔。助けられなかった、救えなかった思いが彼女を落ち込ませていた。

 

そんなスバルの後ろから近づいてくるバイクが一台。バイクはスバルの横に止まる。

 

「よう」

 

ヘルメットをしているが、肩にかけている刀からアキラだということにはすぐに気づいた。

 

「アキラさん………?」

 

「ああ。乗れよ。家に帰るんだろ?」

 

「どうしたの?今は仕事中じゃないの?」

 

アキラは少しため息をつくと、事情を説明した。

 

「少し休めって言われてな……お前が見えたから声かけたんだ」

 

「ギン姉は?ほっといていいの?いつも絶対は離れないのに……」

 

「今はティアナと捜査進めてる。俺は捜査するのは不向きだからな」

 

「そんなことないよ。いつも頭はキレるし、判断は速いし、優秀だと思うよ」

 

「そうか?まぁ乗れよ。俺もお前の家に行こうとしてたんだ」

 

「私の?どうして?」

 

「色々個人的に、話があってな」

 

「…………」

 

スバルはアキラのバイクに乗り込んだ。アキラは横に掛けてある普段はギンガが使っているヘルメットを渡した。会話の流れ的に、何となくスバルがアキラと一緒に行くのを拒んでいるのは分かった。だが、アキラにはどうしても伝えたいことがあったのだ。

 

 

 

ースバル宅ー

 

 

スバルが家に入ると、居間の方からエリオが駆けてきた。今日、エリオはキャロとミッドに遊びに来ていて、スバルの部屋に泊まらせてもらうことになっていたからだ。

 

「スバルさん、お帰りなさい」

 

「お帰りなさい!」

 

「エリオ!キャロ!まだ起きてたんだ」

 

エリオはスバルの後ろに誰かがいることに気づき、よくみるとアキラだったことに驚く。

 

「ア、アキラさん!」

 

「ええっ!?」

「よう」

 

アキラはくる途中にスバルからエリオたちが泊まっていることを聞いていたので、アキラの方はあまり驚いてはいない。背が伸びていることに気づいたが、普通の成長を考えると特に驚くことではなかったのでなにも言わなかった。

 

「あ、あはは。珍しい組み合わせですね。ギンガさんは?」

 

「ギンガは仕事中だ俺は休憩中」

 

「ささ、上がって。エリオ、キャロ、なにか夜食でも食べる?」

 

「そうですね」

 

「あ、私は遠慮しておきます……」

 

 

ー居間ー

 

 

 

「さっ、座ってて。いまなにか持ってくるから」

 

「ああ」

 

「はい」

 

スバルは台所へ行き、アキラとエリオの二人だけになった。アキラのどこか落ち込んでるような表情を、エリオは目で見て察していた。

 

「大丈夫……ですか?体調が良くないように見えますが………」

 

アキラは何も答えない。少しして口を開いたかが、それはエリオの質問の返答ではなかった。

 

「お前らがくるまでに、事件を解決出来なくてすまなかった。おかげで、辛い思いさせちまったな」

 

「いえっ!そんな………今回の事件も結構大きな事件になりそうですし、仕方ありませんよ」

 

エリオはだいぶ責任を感じているように見えたアキラを気づかった訳ではないが、そう答えた。実際それが本音であるし、今はアキラを責める訳にも行かないと思ったからだ。

 

「相手が相手だ。なるべく早くかたしたいが……色々捜査があるからそうもいかなそうだ。ただぶっ飛ばすだけなら……簡単なんだがな」

 

「またまた物騒な……」

 

エリオが苦笑いしたと同時に、スバルが夜食を持って運んできた。

 

「おまたせ〜。アキラさんも食べる?」

 

「いや、俺はしばらくしたら戻んなきゃいけねぇから……」

 

「そっか…………それで、話って何かな、できればもう今日は……寝たいんだけど……」

 

「なら食うなって話だ。まぁ、お前らはもともと食う量が半端ねぇからしょうがねぇとは思うがな……」

 

アキラは座椅子に座り直す。

 

「まぁ、なんだ。スバル、今日のことはすまなかった」

 

アキラは頭を下げる。

 

「そんな、アキラさんが謝ることなんてなにも………」

 

「俺があの時、犯人を追いかけることに執着してさっさとあの男を動けなくしようと……腕を切ろうだなんて言うべきじゃなかったんだ」

 

「……………」

 

「スバル、お前まだ、目の前であの男が死んだこと引きずってるだろ?」

 

アキラの聞き方は少し気に入らないところがあったが、スバルは頷いた。ずっと引きずっている。その通りだった。目の前で死なれ、助けられなかった命があるのが一番響いていた。

 

「はっきり言って、俺はあの男が死んだことに対してなに一つとして、悲しみも、後悔も感じていない。死に………慣れちまってんだ。俺自身死にかけたことはあるし…殺したこともある。よっぽど大切な人が死なないかぎり………なにも思わないんだろうな。エリオ、キャロ、スバル……………お前らは、俺のようになるな。絶対に」

 

「それが、伝えたかったこと?」

 

スバルが聞くと、アキラは頷く。

 

「お前は仕事柄、これからもたくさんの死に立ち会ったりするだろうが……死には慣れるな。お前はその性格、根性を貫いて行ってくれ」

 

「……うん、わかった。確かに私らしくないよね。暗いのも、人の死を気にしてないのも」

 

少し引きつってはいるが、スバルは笑顔になった。それを確認すると、アキラはすこし安心したような顔になる。そして、今度はエリオとキャロの方を見た。

 

「あと……キャロ、エリオ」

 

「あ、はい」

 

「何でしょう?」

 

まさか自分に話が向けられるとは思ってなかった二人が少し戸惑いながら返事をした。

 

「お前たちにも話しておきたいことがある。特にエリオ」

 

「はい」

 

「お前たちは今後も戦うことが多いだろう。だからこそ覚えておけ。まず戦いの基本は見ることだ。これは……高町教導官殿に教わったか?まぁいいや。それから………迷った時は大切な人の顔を思い出せ。生きるか死ぬかの判断に迫られた時、大切な人を思い出して…どっちを取るかを考えろ。簡単な足し引き算、天秤さ」

 

アキラはそう言うと立ち上がってその場を去ろうとしたが、エリオの言葉がアキラを引き止めた。

 

「それでも!………僕たちにとって、アキラさんも大切な人です…」

 

立ち止まっていたアキラは少しため息をつくと、エリオを見る。

 

「そう言ってくれるのは嬉しいが………そんで自分が死んじまっててもいいのか?言ったろ?簡単な足し引き算、天秤だって。自分と自分が最も大切な存在、それらを脅かす脅威が、自分の大切なもの以上に価値があるかどうか考えろ」

 

そう言ってアキラは出て行った。何か言われたような気もしたが、気にせずそのままスバルの家を出る。バイクにまたがり、そのまま108の隊舎に向かった。

 

アキラがなぜこんなことを言ったのか…………それには理由があった。

 

 

ー同日 火災発生から約1時間経過ー

 

 

「…………イクス、いま……マリアージュが参ります」

 

炎上するホテルから、放火の犯人…マリアージュが出てきた。ついさっき、アキラたちの前で死んだ男から渡されたある情報を手にして。一目につく前に逃げようとしたが、彼女の身体が突然バインドで縛られる。

 

「これは……捕縛魔法」

 

「無駄よ。そのロックは力で解けない」

 

柱の影から、ティアナが現れる。マリアージュは焦る様子もなく、冷静に状況を分析するようにティアナに応えた。

 

「……どうやら、その様ですね」

 

ティアナはクロスミラージュの銃口をマリアージュに向け、大人しく捕まるように促す。

 

「マリアージュ、連続放火殺人の容疑で…あなたを逮捕する。動けないとは思うけど抵抗するなら撃ちます」

 

「なるほど、これでは私に、脱出の手段はありませんね」

 

「懸命な判断よ。大人しくしてれば、あなたにも弁明の機会が…」

 

「ですが、マリアージュが良心の辱めを受けることはありません」

 

そう言ったかと思うと、マリアージュは突然腕から液状になり始める。火事で視界が悪いため、ティアナは腕が破裂し、出血したのかと思ったがすぐにそうではないことを悟る。だが、違うとわかったとはいえ、どうなっているのかまではわかっていなかった。

 

「身体が……液状化………?」

 

液状化しながら、イクスはティアナではなく誰かに伝えるような独り言を呟き始めた。

 

「トレディアの居場所と、イクスへ向かう手掛かりを突き止めました。私がここで朽ちても、容器達が探し当てます」

 

「この色……この臭い………まさか…燃焼液!!」

 

気づいた時にはもう遅い。マリアージュは完全に液体へと変わりそして、その場で大爆発を起こした。ティアナはすぐに回避行動をとったが、爆発の炎のう方が一体を焼き尽くすのが速かった。

 

「う……あ………れ?」

 

ティアナは完全に爆発に巻き込まれたと思った。しかし、彼女の視界には黒髪がたなびいているだけだ。ティアナは視界を別の方向に向けると、髪が黒くなり、黒い甲冑を身に纏ったアキラが視界に映った。

 

「無事か?」

 

「あ、アキラさん!」

 

マリアージュが自爆した瞬間、アキラが丁度追いつき、現場を見た瞬間ほとんどのことを察したアキラはリアクトバーストを発動した。そして超高速移動でティアナを助けたのだ。

 

「あ…ありがとうございます。アキラさんがいなかったら、死んでたかもしれません」

 

お姫様抱っこ状態だったティアナはアキラの腕から降り、礼を言う。

 

「気ぃつけろよ全く………前にも言ったが、臨機応変さが……」

 

アキラは急に言葉を止めた。

 

「あ……が………」

 

「あ、アキラさん?どうしたんですか?大丈夫ですか?」

 

アキラは急に胸を押さえて苦しみ始める。尋常でない様子にティアナは心配して寄り添うが、アキラはティアナを離そうとする。

 

「がっ…ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

急にアキラが叫んだかと思うと、アキラのリアクトバーストは解除され、通常のバリアジャケットのリアクト状態に戻る。そして、それと同時にアキラは突然ティアナを襲った。

 

「!!」

 

ティアナは急なことでアキラの行動に対応できずそのまま押し倒される。ティアナを押し倒すと、アキラは彼女の肩に噛み付いた。

 

「いっ!!!!アッアキラさん⁉何を……」

 

「…………」

 

アキラはなにも答えない。なにも答えぬまま噛む力をどんどん強くして行く。ティアナの肩から出血し、このままいくと食い千切られそうになった時、アキラの横から強力な一撃が彼の脇腹に命中した。アキラはそのまま横の吹っ飛び、瓦礫に突っ込んだ。ティアナが攻撃が飛んできた方を見ると、そこには「ブリッツギャリバーA(アサルト)」を身に纏ったギンガが立っていた。

 

「ギンガさん!」

 

「ティアナ、大丈夫?」

 

「噛まれて出血はありますが、問題ないです」

 

「今のがマリアージュ?服を盗んだ疑いがあるって聞いてたけど……」

 

「違います、あれは……」

 

ティアナがギンガに伝えようとした瞬間、瓦礫を吹っ飛ばし、アキラが吠えた。

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」

 

立ち上がったアキラは全身のエクリプスの模様が赤く光り、瞳も赤くなっていた。

 

 

 

続く

 


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