とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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お久です〜。ここの所月一程度でしか出せずに申し訳ない………( T_T)
disk1からdisk2に移行するまでの間、少しこの先へ向けての伏線の回を挟んで行きます。SSXが終わり次第、別枠でForceでも書こうかななんて思ってますw。今後ともギンガとアキラをよろしくお願いします。m(_ _)m


第四十三話 襲撃

火災事件のあった夜。アキラは突然正気を失い、仲間であるティアナに襲いかかった。その時、助けに来たのはギンガだった。彼女が見たのは、まるでゾンビ映画に出てくるゾンビのような動きで立ち上がるアキラであった。

 

「アキラ君………………?」

 

「グゥゥゥゥ…………」

 

獣のような唸り声をあげながらアキラは二人を睨む。ギンガは状況をうまく飲み込めずにいた。なぜ最愛の人間がこんな状態で、仲間を襲っているのか全くもってわからなかった。

 

「どうしたの………?なんでティアナを……」

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

7mは離れているであろう距離を、アキラは助走無しでギンガに向かって飛んだ。片手に持ったリアクト状態のディバイダーを大きく振り上げて。状況がよくわからず、呆然としているギンガの前にティアナが飛び出し、クロスミラージュの銃口をアキラに向ける。

 

「ごめんなさい…………スタンバレット!!!!!」

 

一撃当たれば、一日はまともに動けなくなるティアナ独自の改良弾「スタンバレット」。ティアナは状況を考え、これが今出来る最善策であると自分に言い聞かせ、アキラに撃った。

 

避ける素振りすら見せずに、アキラはスタンバレットを喰らってふっ飛ばされる。ティアナは銃口を降ろし、「ふぅっ」と軽くひと息ついたのもつかの間、アキラが立ち上がった。

 

「そんな!?あれを受けたら、普通立ち上がるなんて……」

 

「はぁぁぁぁ………」

 

アキラは若干体が痺れてるような動きをさせながらフラフラと歩き始める。

 

「ティアナさん!ギンガさん!!」

 

その時、フリードに乗ったキャロがティアナ達のいる現場に飛んできた。アキラの視線が自身とギンガから、キャロに移ったのをティアナは見逃さなかった。

 

「キャロ!引き返して!」

 

「え?」

 

ティアナが叫ぶと同時にアキラはフリードが飛んでいる場所まで一気に跳ねる。そして、キャロが状況を理解する前に彼女はアキラによってフリードから引きずり降ろされる。

 

「ア、アキラさん!?」

 

アキラはキャロの頭を掴んで一気に地面へ降下して行く。だが、途中でアキラはウィングロードで飛んできたギンガに蹴り飛ばされる。

 

「がっ!」

 

「ひゃあ!」

 

キャロは地面に激突する寸前でティアナにキャッチされる。

 

「セーフ……」

 

「あ、ありがとうございます………あ、お久しぶりです………あのどういう状況ですか?」

 

「わからない……でも…………ギンガさんが、任せてって」

 

一方、ギンガに蹴り飛ばされたアキラは先程いた場所の壁一つ隔てた場所に落ちた。ギンガも同じ場所に降り立つ。アキラは頭から血を流しながらも立ち上がる。

 

 

『説得を試みますか?』

 

「出来ればそうしたいけど、あの様子じゃ無理っぽいかな」

 

「ぐあぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ディバイダーを投げ捨てアキラは素手で突進して行く。リアクトで出現した腕の鎧の爪で肉を抉るようにギンガに攻撃を仕掛けるが、まるで当たらない。

 

(明らかに急所を狙いに来てる………でもだからこそ動きが読める…)

 

ギンガはあらかた攻撃を交わすと、攻撃が当たらずイラついたのか、アキラが大ぶりな技を放とうとギンガに急接近する。ギンガは冷静にアキラの攻撃をかわし、足を掛けた。予想通りアキラは思いっきり転んだが、身体が地面につく直前に腕を地面に叩きつけ、腕力のみで大勢を立て直そうとしたが顔を上げた瞬間にギンガの強烈な左ストレートが顔面に決まった。

 

「がっ……」

 

地面をローリングしながらアキラはふっ飛ばされる。しかし、そのままふっ飛ばされた勢いを利用して態勢を直した。

 

「………ねぇ…どうしちゃったの?今は私たちが争ってる場合じゃ……」

 

「クイ………タイ……………」

 

「え?」

 

「クイタイ…………」

 

(やっぱり正気じゃない………か)

 

「ごめんね」

 

「うがぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

アキラが飛びかかった瞬間、ギンガは懐からジーンリンカーコアを出した。アキラ(クローン)から預かっていたものだ。それをアキラの胸に押し付けると、アキラの体内のジーンリンカーコアと激しい反応を起こし、彼は気を失った。

 

意識を失い、リアクトとバリアジャケットが解けたアキラをギンガは優しく支える。

 

「………クローンの言ったとおりになっちゃった……………。このままじゃ…」

 

ギンガは軽く涙ぐみながらアキラを抱きしめた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

(これまでが、俺がギンガに聞かされたことだ。ギンガのことだ、俺に気を使わせないために身体の傷を隠しているかもしれない…もしかしたら、俺がもっとひどいことをしているかもしれない………。だがそれは、聞いたって話してくれないだろう………。)

 

アキラはバイクにまたがりスバルの家を後にした。元々泊まりで仕事をする自分とギンガの着替えを取りに帰っていただけだ、早く帰らなければギンガが心配する。

 

(もうリアクトはできない…………そうなると、結構キツイな………)

 

そう思いながら、バイクで隊舎に向かっているとアキラの後ろから二台のバイクが追い越してきた。

 

「ん?」

 

すると二台のうち一台のバイクの運転手が左腕をアキラに向けたかと思うと、その腕に突然刃のついたショットガンが出現した。

 

「!?」

 

次の瞬間、アキラは反射的に横の道にずれた。それと同時にアキラの走っていた道の後方が爆発した。幸い後ろを走っていた車はいなかったがこれから戦闘を行動で行う訳にはいかない。アキラは廃市街地に向かって走り出した。襲ってきたバイク二台もついてくる。

 

(何なんだあいつら………いや、あの刃のついた銃…………まさか!)

 

「ブラックレイランサー」

 

『yes』

 

「最大防御でバイクと融合!廃市街地まで何とかもってくれ!やれるか!?」

 

『任せて下さい』

 

 

ー廃市街地ー

 

 

廃市街地にある橋の上で突如爆発が起こった。その爆発で橋は崩れ、その上を走っていたバイクがそのまま地面に叩きつけられた。

 

「ごわ!!」

 

バイクから投げ出され、アキラは瓦礫に激突する。しかし、痛みに耐えながらなんとか立ち上がりブラックレイランサーを装備したバイクに駆け寄った。

 

「くそっ、結構やられたな………」

 

橋の上からはバイクの走行音が聞こえる。アキラは急いでバイクからアタッシュケースを取り出し、廃ビルへ逃げ込んだ。

 

(リアクトすれば暴走の可能性がある…………廃市街地に入ったっつってもまだ街に近い……これ以上ギンガにも迷惑かけられねぇ…ここは俺一人で……)

 

アキラはすぐにアタッシュケースから緊急時用の罠を取り出した。少量だが、あえて逃げ場のない行き止まりにアキラがいれば確実に致命傷は負わせられる筈だ。

 

 

 

 

ー廃ビル入口ー

 

 

ビルの入り口に繋がる道に点々と血の後が続いている。それを追ってきていた2人組がビルの入り口に辿りつく。

 

「ここに逃げ込んだらしいな…………」

 

「さっさと捕獲してスポンサーに届けよう。こんな面倒な仕事、請け負いたくなかったんだからさ」

 

バイクから降りた二人の男女が何か話しながらビルの中に入ってくるのを、アキラは設置して置いた小型のドローンで見ていた。

 

(あの二人の持っている銃……剣の部分に番号が入っているのをみるとやっぱりエクリプス感染者か………まいったな……男の方は拳銃で、女はショットガンか……今はいいがリアクトされるとまずいな)

 

アキラはビルの四階にいた。

 

「とりあえず………こいつで」

 

サイレンサーとスコープ付きのスナイプガンで四階に来れる唯一の道である階段を物陰から狙った。一階一階よく見ているのか、中々くる気配はない。

 

「………………」

 

銃を握る手にじんわりと汗が滲んできた。だが、一瞬でも気を緩めれば命取りになる。そう、考えていた瞬間、階段から二人組が現れた。アキラは反射的に引き金を引いた。銃口から射出された弾丸は空気を切って2人組の男の顔に当たった。

 

「っ!」

 

「!!!」

 

弾丸が飛んできたのは二人のいる隣のビルからだった。女がそれに気づき、銃を隣のビルに向ける。一瞬だがアキラが見えたのだ。

 

「逃げた!」

 

「ヤロォ!!!」

 

顔面に弾丸を食らったというのに、男はピンピンしている。それどころか、かすり傷を負っただけですぐにビルからビルへと飛び移った。

 

だが、アキラのいるビルに飛び込んだ瞬間、何かに引っかかったことに気づいた。それと同時に、その階が大爆発を起こす。アキラの仕掛けた爆弾だ。

 

「………火薬料は違反しちゃいねぇがな、火薬の種類を組み合わせることで爆発の大きさを変えられる…少なくとも瓦礫でしばらくは動けねぇだろ…」

 

アキラは事前に別の階に移動していた。今度はもう一人の女を狙うために階段を銃を構えながら一歩一歩下って行く。

 

「ジョー!!」

 

まだ隣のビルにいる女の方がさけんだ。どうやら男はジョーと言う名前らしい。アキラはジョーに気を取られていた女に容赦なく弾丸を撃ち込んだ。

 

「!!」

 

肩に弾が当たったが、大したダメージを食らった訳ではなさそうだった。アキラはその一発のみでまた階段を駆け上がる。女はジョーの失敗を繰り返さない為に、一気に五階に飛んだ。

 

だが、着地と同時にアキラが襲いかかる。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「ちぃ!」

 

女はショットガンを構えて散弾を放った。アキラはそれをギリギリ躱し、ディバイダーで斬りかかる。女のディバイダーは刃が小さかったがなんとか受け止めた。

 

「くっ!」

 

「テメェ等何者だ!なんの目的でこんなことを!!!」

 

「あんたを捕獲する為よ!橘アキラ!」

 

「俺を!?何のために!」

 

「私らはただの下請けよ!あんたを捕獲してどうするかなんてスポンサー次第よ!」

 

「そのスポンサーってのは誰だ!」

 

 

ディバイダー同士の競り合いの中、アキラが叫ぶと突然アキラの背後の床が砕け、下の階から巨大な斧を持ったジョーが現れた。

 

「そいつは俺らの口からは言えねぇな」

 

「!!」

 

ジョーは飛び出した時に振りかぶった斧をアキラに向けて振り下ろしたが、アキラは何とか避ける。ある程度距離を取ったアキラはディバイダーを向けて威嚇する。

 

「無事か?リサ?」

 

「ええ、でもリアクトするのが早過ぎない?」

 

「チャッチャッと片付けようぜ。さっきの爆発で腹立ったぜ」

 

アキラは汗を拭いながらも二人に尋ねる。

 

「お前ら、それをどこで手に入れた?エクリプスウィルスを………」

 

尋ねると、二人は顔を見合わせると少し笑った。そしてジョーの方が笑いながら答えた。

 

「それは言えねぇがな、お前には感謝してるぜ?お前が実験成功第一号になってくれたお陰で、俺らは感染者としてオイシイ思いできてんだからなぁ」

 

「……………」

 

それを聞くとアキラは少し顔を下げたかと思うと、急に目付きを変えて顔を上げる。そして、最近使わなかった冷たい声で二人に言い放った。

 

「オメェ等は俺がここでケリ付けなきゃいけねぇ………。オメェ等をこの誰も知らない場所で葬り去るのが俺のケジメであり、お前らへの救済だ」

 

「……………何言ってるか知らねぇが………やれるもんならやってみなぁ!!!!!」

 

三人は交戦を開始した。

 

 

 

 

ー陸士108部隊ー

 

 

 

 

ギンガは資料を整理しながら、泊まり込み用の着替えを取りにいったアキラを待っていた。だが、あまりに帰りが遅いことに疑問に思っている。

 

「遅いな………何かあったのかな……?あ、そうだ。ブリッツギャリバー」

 

『yes』

 

「アキラくんの通信機とブラックレイランサーの位置、ギャクタンできる?」

 

『No problem』

 

「お願い」

 

ブリッツギャリバーの表示した場所を見て、ギンガは早速疑問を抱いた。

 

「ここって………廃市街地?どうしてそんな場所に?それに、ブラックレイランサーともかなり離れてる…これってブラックレイランサーがバイクに装備されてるってこと?」

 

ギンガは嫌な予感がしたのを感じ取る。資料を放り出して部屋を出ようとした。ちょうどその時、夕飯と仮眠を済ませた執務官組にばったり出会う。

 

「あ、ギンガさん。どうかしました?」

 

「ごめんティアナ、資料をお願い」

 

「え?」

 

「本当にごめん!私ちょっと出てくるから!明日までに帰らなかったらメグに捜索隊をここに出すように伝えて!」

 

ギンガはさっき検索したデータをティアナに託し、駐車場まで走った。

 

「ちょ、ちょっとギンガさん!?」

 

 

 

ー駐車場ー

 

 

 

ギンガは車の鍵を開け乗り込もうとした時、近くのコンビニで買い物をしてきた帰りの十六夜を見つける。武装隊は当番制で深夜の緊急事態に備えて隊舎に泊まることがあるのだ。今日は十六夜とその他数名だったらしいが、腹ごしらえに十六夜は買い物に行ってきたらしい。

 

「ねぇ!シノブちゃん!」

 

「あ、ギンガ副隊長。どうも、お疲れ様です」

 

「シノブちゃん、今空いてる?」

 

「まぁ、空いてなくはないですが……何か?」

 

「ちょっと一緒に来て欲しいんだけど…………戦闘になるかもしれないから、腕の立つシノブの力が欲しいの」

 

「それは全く持って構いませんが、一体何事で?」

 

「それは説明できなくて………ごめんね?」

 

ギンガが謝ると、シノブは目だけ動かして辺りを伺う。そして、ギンガに尋ねる。

 

「アキラ隊長関係ですか?」

 

「え、あ……うん」

 

「わかりました。では、行きましょう」

 

「え?」

 

さっきまでの態度が急変。シノブは乗る気になった。ギンガは色々疑問を抱きながら車に乗り込み、反応のある地点までトップギアで走って行った。

 

(無事でいて………アキラ君)

 


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