ミッドチルダで相次ぐ、爆発、放火殺人事件。犯人は古代ベルカの増殖兵器、マリアージュであることが判明。ルーテシア達の発言により、事件をマリアージュに起こさせた容疑者、トレディアの情報をジェイル・スカリエッティが持っているとの情報を得たアキラとギンガはスカリエッティへの直接面会による取り調べに踏み切る………。
「トレディア・グラーぜという人物、マリアージュという兵器、そしてその二つに関わるアガリアレプトについて……あなた方が知っていることを……」
「仲間らしいが、変に隠さない方g、もがっ!」
アキラの言葉をギンガが物理的に押さえる。相手の機嫌を損ねることは許されないからだ。
「トレディア?ああ、サンドウシュウの」
「マリアージュってあれでしょ?なんか中途半端で出来損ないのポンコツ兵器」
興味なさげにそれぞれが思い出したことを口々にだす。
「クアットロ、同志トレディアのデータを、簡単に」
「はぁ~い。トレディア・グラーゼ、オルセア解放戦線の活動家、新暦59年、最初のマリアージュを発見、63年、ドクターと遭遇、支援を受けてマリアージュの量産計画を始める」
「やっぱり……」
「そこまでは私も覚えている」
チンクもある程度知っていたらしかった。
「彼はねぇ…革命を夢見ていたんだよ。私の起こそうとしたあの祭りに参加を表明してくれた。そう、古代ベルカの最強と呼ばれたあの男、アーベルのように」
「革命?」
ギンガは少し恐れの態度を見せながら、スカリエッティに尋ねた。するとスカリエッティはニヤリと笑った。
「痛みを知って欲しい、知るべきだよくそういっていた。まぁ彼の人間性に興味はなかったから、適当に合わせていただけだがね」
「マリアージュはどこで何体造られて……トレディアは今どこに!」
「もぉ、サーティーンったら、t」
話を聞く限り、相当ヤバそうなものだと知ったギンガは、スカリエッティに早く必要な情報を聞き出そうとした。だが、その内容があまりにも調査不足と感じたクアットロがバカにするように口を開いた瞬間、アキラがギンガに対して口を開く。そして、クアットロの投影機も忘れず破壊する。
「ギンガ。マリアージュは人の死体を使う増殖兵器だ。何体作られたかは確認しづらい」
「あらん?フィフティーンはよく知ってるじゃない」
また別の投影機でクアットロが映し出される。
「ウルセェ、ギンガはギンガだし、俺は橘アキラだ」
「はいはい。ところで、マリアージュは人語を解する癖に作戦行動能力は昆虫並み、変な兵器よ」
「トレディア氏はマリアージュを使い、いくつかの首都襲撃を企てた。ま、頓挫したがね5年ばかり前のことだよ」
「現在のトレディアの居場所とアガリアレプトについては?」
「ストップだフィフティーン。ここからの情報提供は、交渉材料だ」
トーレがアキラの質問を止めさせた。ギンガが疑問を抱き、尋ねた。
「交渉?」
「大したことじゃないわ事件のことであなたたちと交渉する意思はないのだし、サーティーンちゃんでも、即決できるレベルよ」
アキラはクアットロの投影機に銃口を向けたが、それ以上の投影機がなかったために銃を下ろす。ギンガは自分たちに対して交渉なんて妙なことをする上に焦らすので少しイラつきを見せながら再度尋ねた。
「何?」
「出どころの確かな……出来ればそれなりのベルカワインの赤を一瓶ほど、それだけさ」
「ワイン?何でそんなモン、テメェ等がほしがんだよ……」
アキラが呆れるように言うと、スカリエッティは少し清らかな顔で理由を話した。
「私の最高傑作の内の一体、彼女の命日が近いだろう」
「あぁ……」
「ドゥーエの喪失くらい、ひたませてもらっても罰は当たらなかろう」
「いかが?」
「…………ま、戦闘機人であれ、何であれ命は命だかんな………………俺が差し入れてやる。そんでいいか」
少し、事情を察したアキラが珍しく同感し、交渉を受け入れた。
「構わないよ、フィフティーン」
「感謝はしないわよこれは交渉の結果だから」
「いいから、さっさと知ってること吐けってんだ」
少しイラついた態度でアキラが催促すると、クアットロは少しつまらなそうなため息を出してからアガリアレプトの情報を話し始める。
「アガリアレプトはマリアージュのコントロールコア母体、マリアージュと違って生命体、人型をしているわ」
「姿形はわからんがね、まぁ、十中八九、とし若い男性の姿だ」
「適切なエネルギーを受ければ体内でコントロールコアを無限に精製できる」
「トレディアとアガリアレプト、現在の居場所も把握しているよ」
情報を聞いていると、チンクとセッテの通信機に同時に連絡が入る。「失礼」と一言言ったあとに二人が通信回線を開くと、連絡者はディエチとノーヴェだった。何やら焦っている様子だ。
[チンク姉聞こえる?今どこ?]
[セッテ聞こえてるか、お前今どこにいる!?]
「ディエチ!機動拘置所だ。ギンガとアキラ、セッテもいる」
「何か!?」
[そっか、じゃああとは私が説明するからノーヴェは先に行って!ミッドチルダ海上で、大型火災が発生した映像見られる?]
セッテの方の通信が切れ、セッテはチンクの回線映像を覗き見た。そこには、ミッドチルダ海上にあるマリンガーデンという施設と、海そのものが大きな火で包まれていた。全員の顔に緊張が走る。
「これは…………」
「海が…………燃えてる?」
[あら〜きれい]
ふざけたことをいったクアットロの画面にアキラは銃を投げつけた…が、すり抜けただけだ。
[陸士隊も救助隊も総出の騒ぎになってる!場所は公安地区海上のマリンガーデン。営業時間は終わってて人はあまり居ないけどかなりやばいことになってる!お父さんの支持であたしらにも災害特例の人緊急召集がかかったから戻ってきて!]
「父上が…………わかったすぐに戻る。しばし待て」
「急ぎ用事だね?手早く済まそう」
「アガリアレプトは今ディエチから報告が合った地点、海底遺蹟の内部」
「それとトレディアは死んだよ四年前にマリアージュに食われてね」
その真実に、ギンガは驚き少し硬直したが、アキラは何となく予想していたような態度でいつも通り振舞う。
「ミイラ取りがミイラにってか………まぁ、悪行するやつの末路なんてそんなもんだろうな。さ、ギンガ行こうぜ。アガリアレプト探しによ」
「う、うん………」
そう言って四人が部屋を出ようとした時、スカリエッティが直前に何かに気づき口を開いた。
「おや………急にそんなもの出してどうしたんだい?」
「あん?」
スカリエッティの視線の先は、アキラの左手。自身で確認するとアキラの左手には何時の間にかゲンヤに預けたはずのディバイダーが握られ、銀の腕輪が光輝いていた。
「……………なんで」
「ゲンヤさんに渡したはずなのに………」
(アガリアレプト!)
「!!」
アキラの脳内に再び声が響いたが、今回は痛くも何ともなかった。そして、光輝く腕輪を少し眺めると、何かに気づいたような顔になった後、三人を引き連れて面会室を出た。
「多分、使えってことなんだろうな…………こいつ見てると、そんな気がしてくる……」
「何かまずいことになってない?」
「きっと大丈夫だ……それに呼んでるんだ…イクスが」
そう言った瞬間、腕輪の輝きが大きくなりアキラの意思とは関係なくリアクトバースト時にのみ出現する鎧がアキラを包む。髪の色も黒くなった。
「わっ!ちょっとこんなところで!」
「お前ら、俺に掴まれ」
掴まれと言っておきながらアキラは一方的に三人を掴み、自分の方へ引き寄せる。
「行くぞ!」
「え!?」
「なっ!!」
アキラは烈風のトリガーを引いて亜高速移動に入る。そして何もない天井に飛んだ。ぶつかると思い目を瞑ったチンク達だったが、天井にはぶつからず何だかふわふわした感覚にとらえられる。
「……?」
目を開けると、そこには虹色の空間が広がっている。全員の見たことのある光景、そう、次元の狭間である。ここは次元と次元を繋ぐ道であり、いくつもの次元とつながっている階段の踊り場のようなところだ。普段は次元船の中からしか見ない景色を実際肌で触れいるというのは何とも不思議な気分だった。
「ここは次元間!?次元船もなしにどうやって……」
「こいつの力だ。俺を離すなよ、どっかの次元に吸い込まれっから。それから、今からミッドのマリンガーデンに突入すんぞ」
「どうしてですか?私たちはともかく、アキラさん達は良いのでは……」
「俺らも陸士隊の上官だ。救助活動にも参加するさ。それに……さっきからこの腕輪がそこに行けってうるせぇんだ」
アキラは銀の腕輪を見ていう。
「まぁ、次元船では遅いしね。時間短縮って形で見ておくけど今回限りだからね」
「ああ」
ギンガは少し恐れた表情でアキラの腕輪を見た。この腕輪にはゲンヤが許可しなければ能力を使えないという制約をかけて置いた筈なのに、それがまるで効果をなしていない。それを知っているのは現状ギンガだけだった。魔力による枷を簡単に外すこの腕輪はなんなのか………それだけが気がかりだった。
「もうすぐミッドに着くぞ!恐らく着地点はマリンガーデン内部だ!高熱になってるから気をつけろ!俺が降り立った瞬間凍結魔法で辺りの温度を下げる。それからは各々自分で身を守れ!……それから」
アキラは胸元からクリアピンクのダイヤ型のデバイスを取り出した。マッハギャリバーやブリッツギャリバーと同じ形だ。
「本当はもっと別のタイミングに渡したかったが……………セッテ、お前のデバイスだ」
「あ……ありがとうございます」
セッテは手渡されたデバイスを大切に握りしめた。
「名前は決めてねぇが……まぁ、好きに呼んでやれ」
「はい!」
「そろそろ着くぞ、全員衝撃に備えろ!」
そう警告したのと同時にアキラは両手を自分の前に構え、氷結魔法を集束させて構える。全員の準備が整ったタイミングを見計らったように次元間の先が急に途切れ、出口と思わしきその隙間から熱風が流れ込んできた。
「今だ!フロスト・エクステンド!!!!!!」
アキラは先に現場に着くと、氷結魔法を放って到着した部屋を全体的に凍結させた。
「ふぅ!」
「よっと」
「ここが………マリンガーデン?」
セッテが到着した部屋の壁に掲示されていた地図をみると、「マリンガーデン内地図」と書かれていた。
「さて、早く本部に連絡を………」
「アキラ!」
アキラが通信機を取り出すと、何かに気づいたチンクがアキラを引き止める。チンクが見ている先を見ると、奥の部屋からマリアージュが出現している。それも結構な数だ。
アキラは通信機を下げると肩にかけている刀に手をかけた。
「たくっ……ついてねぇ………ギンガ、セッテ、チンク、俺が先陣を……」
戦おうとした瞬間、アキラの背後で倒れる音がした。まさかと思い、振り返るとアキラの悪い予想は当たってしまった。ギンガが倒れていたのだ。アキラは急いでギンガに駆け寄る。
「どうした!おい!ギンガ!!」
「うぅ………」
ギンガは悶え苦しみながら腹部と口もとを押さえている。アキラが急いで容体をみるが、まるでわからなかった。
(いままでこんなことはなかった……生理でもなきゃ単なる腹痛って訳でもねぇ………吐き気もある………)
アキラはすこし考え、刀を抜いて立ち上がる。
「セッテ、チンクとギンガ連れて急いで地上まで行け。ここは………俺が引き受ける」
「そんな!危険です!」
「今ここでギンガの症状を見過ごす訳にはいかねぇが、簡単に逃がしてもくれなさそうだ…………頼む」
アキラは急に振り返ったかと思うと、マリアージュの放った弾丸を弾き飛ばした。マリアージュはもうだいぶ近くまで迫っていた。セッテは意を決してギンガを抱きかかえ、別の出口に走る。チンクもあとに続いた。
「ここは凍らしたが別の場所は相当高温だ気をつけろ!」
「はい!」
セッテを追いかけようとマリアージュが動き出したが、その前にアキラが立ちはだかる。
「悪いが通しゃしねぇよ。お前らの相手は俺だ」
(………リアクトバーストで次元跳躍したのがまずかったか……バーストするエネルギーはねぇしそもそもリアクトも次元跳躍でリミットが来てる………どこまでやれるかはわからんが………やるしかねぇ!)
刀を構え、アキラはマリアージュに突撃した。
続く