とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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日付変更線ギリギリの投稿申し訳ないです!イクス、vivid strikeで起きちゃったからvivid strikeの話までいくべきなのかなぁ……………。感想、ご意見 評価、随時募集中です!次回更新は月末です!



第四十九話 代替

これは、アキラの見たイクスに関する記憶である。かつて、冥王と呼ばれた男が冥王となるまでの経緯とその後の話だ。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

古代ベルカ戦争では現代では禁術と呼ばれる魔法や技術が発達していた時代だ。その中である国が禁術を使ったある計画を立てた。名前はA計画。「アガリアレプト」と呼ばれる人造魔導士を作る計画で、能力は主に情報収集や最前線で敵を蹴散らす程の戦闘力を持ち合わせることだった。この情報収集能力はアキラのIS、「ハッキングハンド」によく似たものだ。

 

だが、計画は失敗に終わる。肉体は完成したがそれを動かすほどのエネルギーコアがなかったのだ。当時はまだジーンリンカーコアは開発中で存在しなかったため。「アガリアレプト」は廃棄されることになる。しかしほどなくしてA計画を立てた国はマリアージュによって滅ぼされることになる。

 

マリアージュは侵略中に見つけたアガリアレプトの肉体を死体と思い、エネルギーコアを与えた。エネルギーコアと一緒に与えられたマリアージュの思考回路と自爆用、戦闘用の肉体変化のデータをアガリアレプトは自身の力でそれを逆に支配し、自分を動かすエネルギーコアを手に入れた。

 

 

 

 

 

エネルギーコアを与えられた肉体は、自分の入れられている生体ポッドを素手で破壊し、ゆっくりと生体ポッドから出てくる。ようやく動くようになった身体をほぐすように身体を動かしながら辺りを見回した。

 

「……………ずいぶんと………長い誕生だったな。俺を目覚めさせたやつは…………いないか。俺にエネルギーコアだけ与えて先に行ったか…」

 

アガリアレプトは近くにあった自身の設計データをあさり、自分が何者なのかを理解した。

 

「とりあえず…俺を目覚めさせた根の人間に会いに行くか…」

 

全裸だったアガリアレプトは近くにあった布を全身を覆うように纏い、落ちていた剣を拾ってマリアージュを生み出す中枢である冥王を探しにでた。

 

(イクスとか呼ばれるやつの位置はだいたいわかる………だが遠いな)

 

「おい!」

 

「?」

 

声をかけられたので振り向くと、何処かの国の兵士がいた。

 

「貴様、どこの兵士だ!」

 

「…………ちょうどいい、俺自身の性能を試してやる」

 

ドンッという音と共にアガリアレプトは敵に向かって一直線に跳ねた。彼のいた地面は一つの足跡を中心に波を打つように砕けていた。持っていた剣を陽動に投げ、敵が避けるために一瞬アガリアレプトから視線を逸らした隙を狙って敵の頭を鷲掴み、地面に叩きつけた。

 

「ぐあ!」

 

「おい、お前。ここらで冥王と呼ばれてるやつの場所は知っているか?」

 

「冥王?イクス・ヴェリアのことか!?それを知ってどうする!」

 

「俺を起動させたやつを、一目見たくてな」

 

 

 

ー冥王 イクスヴェリアの城ー

 

 

 

男から半ば強制的に情報を貰い、その後男を殺害して着るものを得たアガリアレプトは冥王のいる城までやってきた。なんでも冥王は城の最上階に閉じこもったままで一切顔を出さないそうだ。

 

冥王が納めている街でも、顔を知っているものはいない。城の周りは常にマリアージュが見張っている。だがアガリアレプトは普通に城に入った。それもそのはず、彼のエネルギーコアはマリアージュと同じ。つまり彼も分類的にはマリアージュの一人なのだ。

 

そして、難なく城の最上階についた。城の奥にいた少女が、扉の前の気配に気づいた。

 

「…………だれ?」

 

「イクス、マリアージュの一人です。ご心配なく」

 

少女の近くにいるマリアージュのリーダーがイクスに言う。しかし、イクスはただのマリアージュとは違うことを読み取っていた。

 

「確かにマリアージュのエネルギーコアは持っているけど、少し違う。行動の仕方がいつもと………普通のマリアージュと違う。こっちを伺う様に、扉の前に潜むようにしてる」

 

イクスの話を聞き、マリアージュは腕を銃に変形させ、扉のに向けた。

 

「私たちと同じエネルギーコアを持っている理由は知りませんが、何者ですか?すぐに出てきてください。でなければ扉ごと吹き飛ばします」

 

返事を少し待ったがなにも言わないし扉も開かない。マリアージュは砲撃を扉に向けて放った。爆発が起こり、粉塵が上がる中粉塵の横から一つの影が飛び出した。飛び出した影は剣を持ってイクスに向かって走り抜ける。

 

マリアージュはすぐに腕を剣に変形させ、人影の前に飛び出した。マリアージュと交戦するかと思われたが、人影はイクスの座してる玉座の前で止まった。

 

「あんたがイクスか」

 

男を見たとき、イクスは感じ取れる魔力から、確かにマリアージュであると確信し、マリアージュからエネルギーコアを植え付けられた死体、正しくは肉体であるとわかった。

 

「あなたは、何?どうしてマリアージュにならないの?」

 

「……………マリアージュ?こいつらのことか。何だかよく分からんが、俺の名前はアガリアレプト。プロジェクトAと言う実験で生み出された、ただの肉体だ…………いや、だった……か」

 

アガリアレプトは自身の出生を話した。研究所で見た自身のデータについてだ。アガリアレプト

 

「そう、じゃああなたもきっと、マリアージュやゆりかご同じ目的で作られたのかもしれない……」

 

「俺は失敗作で、命が吹き込めずに廃棄された筈だが……お前らのことだけは知っていた。だからここにきた」

 

「私が……ううん、マリアージュが蘇らせた……ところで、命なき肉体だったはずなのに、マリアージュにならないのはなぜ?」

 

「確か……………それは………………わからねぇ。まぁいいや。ところでよ、蘇ったところで俺が戦い、護るための国はあんたらが崩しちまった。だから俺にゃ住むところもやることもねぇ。だから冥王様よ、俺を雇ってくれねぇか?」

 

「………じゃあアガリアレプト、お願いがあるの」

 

「なんだ?」

 

「私はもう………眠りたい…。暗雲に覆われた空、流れて行く血、戦で死ぬ民や戦士…………それと同じ位に増えるマリアージュ達………………私はもう見たくない!」

 

叫ぶと同時にイクスの瞳から涙が零れた。イクスの言葉に、大して深く考えないアガリアレプトは無神経に答える。

 

「じゃあ、眠ればいいんじゃねえか?」

 

「だけど私が眠るということは、この国の民を見捨てるということになる………マリアージュを支持するものがいなくなればこの国もすぐに滅ぶ………」

 

「で?」

 

「だから………あなたにこの国の王………冥王になって欲しいの」

 

アガリアレプトは一瞬困惑の表情を浮かべたがすぐに頷いた。

 

「いいぜ。やってやる」

 

「いいの?」

 

アガリアレプトはイクスに近づき、イクスの頭を撫でた。急にそんなことをされたイクスは驚いたが、何となく癒しを感じた。ずっと冷たい

 

「こんなちっちぇえ娘がやる仕事にしては荷が重いわな。イクス、マリアージュに今後俺の指示に従うことを命令してくれ」

 

「ほ、本当にいいの!?」

 

あっさり自分のお願いを聞き入れたアガリアレプトに対してイクスは頼んだ側なのにアガリアレプトを引き止めた。ぶっちゃけ断られると思ってたからだ。

 

「お前が頼んだんだろ?」

 

「さっき説明したでしょ?辛いんだよ?人が死んでいくばかりで………先の……出口のないトンネルのような………」

 

「だから、俺が変わってこの戦を終わらせてやる。お前が眠って再び目覚める頃には、みんなが笑って、青空が広がる世界にしてやる。俺はそのために作られたらしいし」

 

「…………………ありがとう…」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「はっ!」

 

アキラが目を醒ますとそこは、見慣れぬ風景だった。水の上に立っている状態だ。辺りを見回してもなにもなかった。ただ水平線の広がるだけの異世界。

 

「ここは………」

 

「ここはお前と俺の記憶の狭間だ」

 

「………お前は」

 

アキラの前に現れたのは、どこか、さっき見ていたアガリアレプトという男の面影を残した白髪の老人だった。

 

「お前は今見せられた記憶のにいた……アガリアレプトか?」

 

「その通り」

 

「なんで俺の記憶に、お前の記憶がある」

 

「お前は複数の優秀な魔導師のDNAから造られた人造魔導師だろう?その第一ベースが俺ってことだ」

 

「要するに、俺の顔とか身体の形はあんたからもらったってことか」

 

「まぁだいたいそういうこった。俺以外にも、意識を持ってる連中はお前の心の深層にいるが」

 

アガリアレプトの周りに、うっすらと人影が出現する。女性、男性、様々なのが三人ほどだ。アキラはその人影に一応軽いお辞儀だけはしておく。

 

「そいつらはお前に話しかけるほどの気力を持ってないし、話しかける必要もないから出てこないがな」

 

「今回お前が出てきたのは、イクスが目覚めたからか?」

 

「ああ。お前に頼みがあって、俺の目覚めたばかりの頃の記憶を見せた」

 

「頼み?」

 

「イクスの前では、俺、アガリアレプトとして接してやってくれないか?イクスはお前を見て俺があのあとイクス同じ様に眠りにつき、前と変わらぬ姿で目覚めたものかと思っている」

 

「なんでそんな面倒な………」

 

アキラは少し呆れた様子で返した。

 

「あの娘にとって、俺はあの娘の不安の大きな支えとなった。目覚めて、俺がいないと分かればイクスの心を孤独にさせてしまう………」

 

「だが、目覚めた以上、ずっと隠し通すことは難しいぞ?」

 

「大丈夫だ。イクスは正しいエネルギーを供給されて目覚めたわけでは無い。一時的に目覚めてはいるが、きっとまたすぐに眠りにつく」

 

「……………」

 

これ以上断っても引き下がってくれなさそうな雰囲気だったので、アキラは諦めてアガリアレプトの依頼を請け負った。

 

「しゃーねー。そこまで言うんだったら引き受けてやるよ」

 

「………ありがとう」

 

アガリアレプトの感謝の言葉がアキラの耳に届くと同時にアキラの目の前は少しずつ暗くなっていく。そしてしばらくすると火が燃え盛る音と地鳴りがアキラの耳に響いてきた。意識が現実世界に戻ったのだ。

 

 

続く

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