とあるギンガのPartiality   作:瑠和

59 / 118
いやー久しぶりの7000文字越え!今までアキラ君に起きた不可解なことの真相が明らかにされます!そしてリアクト・バースト時に使う腕輪や装備される黒い鎧の出どころも!そして次回はなんと……!?お楽しみに!次回は2月7日です!そういえば7月22日になのはの映画第三作目が公開されますね!5年は長かった!公開日に見に行く予定なので、その日の内にできたら映画を見た感想的なのをこの小説のメンバーによるラジオ的な感じにして投稿したいですね。まぁ、予定ですが。前置きが長くなりました!それでは本編をどうぞ!


第五十話 理由

「そうか…………そうだったな。悪い、長い間眠ってて忘れてた。おはようイクス」

 

「良かった………思い出してくれて」

 

アキラの態度が急変したことにスバルは驚く。何か理由があると思い、イクスには聞こえない様に念話でアキラに現状を聞いた。

 

(アキラさん、どうなっているんですか?)

 

(話すと長くなる。とりあえずこのイクスって娘の前では俺はアガリアレプトってやつになりきる。話を合わせてくれ)

 

(この娘は?)

 

(イクス・ヴェリア……本物の………古代ベルカを生きた冥王で、アガリアレプトってのはその代理で俺のベースになった人間だ。アガリアレプトの方がずっと長く冥王をやってたから書物とかにはその名が刻まれてる)

 

スバルは小さく頷いた。それを確認するとアキラは辺りを伺う。マリアージュをかなりの数倒したが、未だにリーダー格のマリアージュを発見できてない。まだイクスが狙われる可能性はある。

 

「イクス、ワリィな。まだみんなが笑って青空の広がる世界とはほど遠い状況だが、大丈夫。すぐに見せてやる」

 

「アガリアレプト、マリアージュが私を探して動き回ってる……どうにか命令できない?というより、目覚めてなかった時もずっとあなたに呼びかけたのにどうして返事がなかったの?アガリアレプトも目覚めてたならマリアージュを止められたんじゃ……」

 

急にそんなことを言われて焦ったが、アキラは冷静に返す。

 

「俺は……肉体は完全にマリアージュではないからお前の声が届かなかったのかもしれない。お前とマリアージュの声は聞こえたが、少しだけだった。マリアージュももうおれの命令は聞いてくれない。おそらく眠った時に今までの命令が全部リセットされたんだろ」

 

何とか納得してくれそうな言い訳を瞬時に考え、イクスも一応納得してくれたようでなんとかその場は乗り切った。これ以上ややこしい質問をされる前に、アキラはイクスそ避難させようと考えた。

 

「イクス、それより今はここからでねぇといけねぇ。スバル、行けるか?」

 

「うん、なんとか」

 

スバルは痛めた部分の確認をして頷いた。

 

「アガリアレプト、この人は知り合い?」

 

「え、あ…ああ。こいつは…」

 

「スバル・ナカジマ防災士長です!冥王さま、よろしく」

 

「うん………じゃあ、私はもう逃げるから。アガリアレプト、防災士長、さようなら」

 

イクスは立ち上がり、その場から離れようとしたが急に服の後ろ側を摘ままれ、持ち上げられてしまった。体の自由が失われた状態で後ろをみると、アキラがつまんでいた。

 

「ア、アガリアレプト!なにするの!?」

 

「わりーがお前を一人では逃がさせない。お前みたいな身元不明の少女をを保護して、ちゃーんと施設に届けるのが俺ら管理局の仕事なんでな」

 

「でももう私はあなたを巻き込みたくない………せっかく目覚めて自由になったなら…もうあなたが私に関わる必要は…」

 

アキラはつまんだイクスを少し回し、顔の前まで持ってくるとイクスの額にデコピンを食らわせた。

 

「ぴっ!」

 

「目覚めて自由になったってのはお互い様だろ?ん?いいから俺らと避難しろ。いいな?」

 

「でも………冥王なんて業を背負わせてこれ以上あなたから自由は……」

 

申し訳なさそうにするイクスに向かって、アキラは笑顔で言った。

 

「大丈夫だ。俺はもう充分過ぎる位に幸せと、自由をもらってる。俺がこれから歩む道の中であんたを拾っても拾わなくても、そんな影響の大差はねぇよ」

 

イクスを脇に抱え、アキラは走り出した。スバルもそれに並走する。スバルは自分達のいる地点の地図を開き、脱出経路を探した。すぐ近くの道から上に上がれることを確認し、そこへ向かった。

 

「ここを曲がれば………あっ」

 

「ダメか…………」

 

瓦礫で道が塞がり、それ以上先にはいけなくなっていた。

 

「魔法とかで吹っ飛ばせないか?」

 

「だめ、その衝撃でさらに崩壊が進む可能性がある」

 

「じゃあ別ルートだ」

 

二人は再び出口を探した。地図を頼りに右往左往していたが、もう上に上がれそうな道はほとんど倒壊していた。考えた結果、中央にある円形の大広間。そこだけはどの階も同じ構造なのでそこを一直線に砕いて上に上がることにした。面積が広いので破壊しても倒壊しづらいからだ。三人は少し大きい広場で作戦をたてた。

 

「うしっ…じゃあ行くか」

 

「アキラ君!後ろ!」

 

出発しようとしたアキラの背後にマリアージュの刃が迫った。アキラは瞬時に反応し、ディバイダーを出現させてマリアージュを打った。

 

「アガリアレプト!大丈夫!?」

 

「あっ………」

 

(今はアガリアレプトだった………でも気づいてないみたいでよかった………)

 

「………問題ない………問題ないが………」

 

黒い何かはアキラの手からすぐに溶けるように消滅した。二人になにも見られてないことを確認すると、アキラは刀を抜いた。辺りを見ると、マリアージュが広場の計三つの出口を塞いでいる。

 

「どうやら、簡単には通してくれそうにないな……………」

 

「冥王様、下がっててください」

 

スバルはイクスに防御結界を張って立ち上がった。アキラとスバルは背中合わせに立ち、マリアージュを迎え撃つ準備をする。

 

「待って!防災士長!アガリアレプト!こんなにマリアージュがいるのに勝てる筈無い!私をおいて逃げて!あなた達が私の為に命をかける必要なんて……」

 

「おんなじことばっか言ってんじゃねぇよ。俺らはお前を保護する義務があるしそれが仕事だ。それに、今ここでマリアージュを止めなきゃこの先ギンガを巻き込む戦になるかもしれねぇ。今のうちに止められるんなら止める。だから戦う」

 

「大丈夫です!信じてください!」

 

「でも…」

 

「それにまだ、お前に青空を見せてないからな」

 

そう言った刹那、マリアージュが二人に切りかかってきた。アキラとスバルは応戦する。マリアージュの数は訳30体。二人は一体一体を長く相手をせず、蹴り飛ばしたり大きく回避することで順調に相手にダメージを蓄積させて行った。

 

「おぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「…………すごい、あれだけの数のマリアージュを一度に………それもたった二人で…」

 

アキラは剣術、体術を駆使して戦っていた。リアクトすればもっと楽に戦えるのであろうがさっきの戦いで魔力を使いすぎたのと、エクリプスウィルスの発作がおきそうだった為にリアクトには頼れなかった。

 

迫る刃をいなし、刀で薙ぎ払い、撃たれる砲撃をギリギリで躱し、別の攻撃を紙一重で躱しつつ蹴り飛ばして次の相手をする。それの繰り返しだが、少しずつ隙を見つけマリアージュを倒して行った。アキラはマリアージュの刃を飛び上がって避け、天井からぶら下がった電気のコードを掴み近くのマリアージュ二体に巻きつけ、二体同時に首を叩き切った。

 

こうして戦っている時のアキラの目は本気だ。一切の表情の変化を見せない。剣の攻撃を躱しきれず、腕に突き刺さった時も顔色一つ変えずに反撃に移り、目に見えない速さで連続で三撃ほど斬りつける。スバルにくらべ、相手をしている数が多い上に先の戦闘で魔力と体力を大分消費したからか割と捨て身の戦闘になっている。

 

スバルはアキラとは違い、攻撃を食らっていなかった。メガトン級の拳でマリアージュを一発でノックアウトさせ、早め早めに片付けて行く。

 

そんな中、イクスを護る二人にばかり集中するマリアージュだったが、遅れてきた一体は二人を見向きもせず、イクスめがけてひとっ飛びで飛んできた。

 

「!!」

 

「マリアージュ………あなたは軍団長ね…」

 

「イクス…我らをお導きください」

 

「行かせない!」

 

手元のマリアージュを全て倒したスバルがイクスと軍団長の間に飛び込んだ。

 

「イクスを渡してください」

 

「渡さない!」

 

スバルが断るとマリアージュは腕を銃に変形させ、スバルに向けた。避けようとするが、自分が避ければイクスに当たる。防御結界で護っているとは言え強力な砲撃に耐えられる確率は低い。そう考え、スバルは撃たれる前に反撃に出ようとするが、通常の個体よりも砲撃のチャージが短かった。スバルはガードを張ろうとした。

 

(速い!?ガードを………)

 

ガードは間に合わず、スバルは悲鳴も無くふっ飛ばされ、そこには欠片も残らなかった。マリアージュの砲撃の中で最も攻撃力が高く、範囲が広いものだ。その上実弾兵器の為殺傷能力は極めて高い。

 

「スバル!!!」

 

スバルの危機に反応した一瞬の隙を突かれアキラは残りのマリアージュ四体の内、三体に同時に貫かれる。

 

「がっ…………」

 

反撃しようとしたが、別のマリアージュがアキラの腕を突き刺し、動きを封じた。

 

「戦車をも一撃で破壊するものです人の身で耐えられるものではありません」

 

スバルを消し、アキラを封じた軍団長はイクスの前に跪いく。マリアージュのしたことに怒りを持ったイクスは両手を握りしめ、口を開いた。

 

「なんて…ことを………」

 

「あなたをずっと探していました。あなたがいなくては、我らの進軍は成り立ちません」

 

「進軍なんて…………しなくていい!」

 

「導いてください我らを新たな戦場へ」

 

「もういいの私たちはもう、戦場に出ちゃいけないの!」

 

「イクス………」

 

イクスの説得を試みようとするマリアージュの頭に何かが放り投げられ、当たる。アキラが懐にあった通信機を投げたのだ。

 

「さっさと失せやがれ………死体野郎。もうテメェ等見たいのはいらねぇ時代なんだ!寧ろ害悪なんだよ!昔は戦を終わらせる為の兵器だったかもしれねぇが!今は違う!イクスも!普通に生きられる時代なんだ!」

 

「………」

 

マリアージュはそっと立ち上がり、アキラに砲頭を向けた。

 

「あなたは我々の邪魔になります。消えてください」

 

「くっ………」

 

(首を跳ねようとしてくれれば……近寄った時にハッキングハンドでどうにかできたんだけどな………まぁいい。だったら一か八かだ!)

 

アキラは体に刺さった刃を素手で叩き折り、腕を刺している刃は腕を無理矢理動かすことで肉を切らせ、拘束から脱出した。そのまま一気に軍団長との間合いを詰め、軍団長が腕を変形させた銃口に左腕を突っ込んだ。

 

スバルに撃ったのと同じ実弾兵器を撃ったが、マリアージュの腕の砲身の中で炸裂し、大爆発する。軍団長が吹っ飛ばされるのと同時にアキラもよろけるが、アキラの腕は内部の金属がむき出しになっただけで大したダメージはなかった。

 

「さすが特殊合金……戦車よりも硬かったぜ、マリーさん」

 

「排除」

 

後ろから残った四体のマリアージュが襲いかかる。先ほどの無理な行動のせいで出血が多過ぎたアキラは反応が遅れ、再び串刺しになるところだったが、刹那、マリアージュの横に何かが飛びかかる。

 

「チェストォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!」

 

怒号と共にマリアージュ四体を纏めて殴り飛ばしたのは怪我だらけで飛んできた戦闘機人モードのスバルだった。スバルは直後、倒れそうになったアキラを支える。

 

「大丈夫!?」

 

「おう…ちょっと血ぃ出しすぎた…。残ってんのはあの軍団長だけだ。頼めるか?無理だとしたら時間稼ぎだけでもいい。すぐに回復させる」

 

「任せて、もう終わらせるから」

 

「んじゃ、任せるわ」

 

アキラをイクスの側に寝かせると、スバルは軍団長の前に立つ。軍団長は腕を修復させかけている。

 

「私の弾を凌ぐとは………あなた方のその腕………まさか……」

 

「いくよ相棒!」

 

『OK!!』

 

「振動けぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」

 

 

スバルのIS振動拳を使い、軍団長を殴り飛ばした。軍団長は避けようとはせず真っ正面からスバルの拳を受け、壁を貫いて吹っ飛ばされ、動かなくなった直後に液体になり自爆した。

 

「はぁ、はぁ………」

 

「防災士長……」

 

スバルの肉が一部抉れ、内部の機械骨格と人口筋肉が見えていた。大変な怪我なのにスバルはアキラに任せっきりにせず立ち上がったのだ。

 

「ごめん、マリアージュも、無力化程度で確保したかったんだけど」

 

「あの子達は、動作できなくなると自爆します。あなたのせいじゃありません……………それより、その腕………あなたも、兵器ですか?」

 

イクスにそう言われ、スバルは一瞬表情を曇らせかけた。

 

「そう、だね。鋼の骨格に強化筋肉。戦闘機人の身体は、兵器の身体。だけど、今は人間だよ。じゃあ、脱出しますよ。アキ……アガリアレプトさんも大丈夫?」

 

「ああ、もう傷も再生した」

 

アキラが傷の治ったことを確認して立ち上がる。合金の左腕の周りにも新たな皮膚が生成されていた。アキラの再生能力にはイクスは特に驚かなかった。だが、スバルの傷は心配する。

 

「防災士長………ひどいお怪我を…」

 

「ヘーキです♪っていうか私なんでイクスに対して敬語になっちゃうんだろ?」

 

ふと思った疑問をスバルが口にするとイクスはボソッと返答した。

 

「王……ですから」

 

「あー、じゃあ陛下ってよんだ方がいいですかね。聖王陛下はそう呼ばれると嫌がるけど」

 

スバルはヴィヴィオの話を急に持ち出した。当然聖王のクローンのヴィヴィオが現代を生きていることなんて知らないイクスは困惑する。

 

「聖王?まさか、ベルカ聖王家の王ですか?」

 

「何代目かは忘れましたけどね、友達なんですよ、私」

 

いくらなんでもあり得ない話だったのでイクスはキッパリと言い放つ。

 

「嘘です」

 

「嘘じゃないですよぉ!メル友ですし、会えばお茶だってしちゃいます」

 

「嘘です。前に目覚めた時は、聖王家どころか古きベルカもなくなって……」

 

「あー、まぁそれは本当ですが」

 

話の筋をイマイチ読み込めず余計にイクスは困惑するが、これはスバルの説明不足が祟っている。アキラがそんなスバルの足りない説明を補った。

 

「こいつの言ってることは本当だ。正確には聖王のクローンだがな」

 

「クローン?………聖王のクローンなんてどうして…」

 

「ある馬鹿が、聖王のクローンを作って、ゆりかごを動かそうとしたんだ。今回、マリアージュが目覚めたのもそういう奴の同種のせいだ」

 

「…………………………………結局…いつの時代も…人は争っているのですね」

 

イクスは悲しそうな顔で呟いた。

 

「千年以上前から人は戦い続けて…私やマリアージュ、聖王家のゆりかごも、戦争を止めるための兵器として生み出されました。求められたのは戦を自らの勝利で終えるための力。だけど、生み出されるのは死と混沌と、新たな戦いだけ私の、イクスの失敗、融合機の失敗、聖王家の失敗」

 

「失敗って………」

 

「みんな、失敗作です今の時代に生きていてはいけない…だから私は消えなければならないのに、私は死ねないから…」

 

イクスは、小さな身体に随分と大きな悩みを抱えさせている。そう見えたスバルは少し考えイクスの額にデコピンした。

 

「うーん、とりゃ!」

 

「痛っ!」

 

アキラならともかく、スバルにデコピンを食らったイクスは驚く。スバルは少し、使用人が小さな主を叱るような態度でイクスにやったことを説明する。

 

「失礼、今野はデコピンと言うもので、お馬鹿な子を懲らしめるときに使うお作法です」

 

「お、お馬鹿?」

 

自分よりもずっと年下な上に王に向かって「馬鹿」という度胸にはアキラも少し感心する。スバルにとって、冥王であろうと一般人であろうと子どもは皆等しく子どもなのだろう。それに、ヴィヴィオの一件もあったからかこういう子供の正しい生き方を見てきたスバルは、イクスに「死ぬべき」なんて言って欲しくなかったのだ。

 

「消えるの死ぬのなんて不穏なこと、子供が言うもんじゃないです!」

 

「何歳だと思ってますか?あなたよりずっと年上です」

 

「見た目子供だし、そんなこという子は大人じゃありませんよ」

 

引き下がらないスバルに対し、イクスはアキラに助けの眼差しを送った。

 

「…………アガリアレプト」

 

「…ま、俺はスバルに同意見だな。俺はお前に死んでほしくないし、消えて欲しくもない。まぁ、マリアージュも消えたんだ。もうお前は……」

 

その刹那、アキラの視界が歪む。そして急激に「人を食べたい」という欲求に駆られる。突然エクリプスウィルスの発作が起きたのだ。

 

「がっ!!うぁ!!!」

 

「アガリアレプト!?」

 

「アガリアレプトさん!」

 

「スバル!イクスを連れて早く脱出しろ!俺から一秒でも早く離れろ!!!」

 

スバルはギンガから伝えられたアキラの暴走症状だと判断しイクスの手を取って逃げようとしたが、イクスはその手を振り払いアキラの元へ走った。

 

「冥王様!」

 

「アガリアレプト!」

 

イクスはアキラの身体に触り、アキラが苦しんでいる原因を調べた。イクスには自身を守るための術、攻撃能力はなかったがかわりに医療や回復魔法を得意としている。その力でアキラを苦しめる原因、エクリプスウィルスを発見した。

 

「これね……」

 

「何を………」

 

イクスはアキラの銀の腕輪に触れる。すると銀の腕輪が輝くと同時に、アキラのエクリプスウィルスの入れ墨のような模様が全て銀の腕輪に吸収されて行った。

 

「………なっ…何が起きているんだ?」

 

突然のことに驚くばかりのアキラだったが、気づけば発作は治まっている。イクスは腕輪触れて腕輪の説明をした。

 

「これは、力を封じる為の道具であり、力を開放するための道具でもある……私のために作られた腕輪。私が眠っている間、私の力を奪われないように私自身の力を封じ込めていた。そして、これには私が将来再び戦場にでた時に私が戦場に出てマリアージュと共に戦うための鎧も入っている」

 

「ああ、あの鎧か」

 

アキラのリアクトバーストの時に出現する鎧のことだ。イクスによるとその鎧は使用者の持っている能力を極限まで高める能力を持っているらしい。そして、イクスは力を封じる力を逆手にとり、アキラの力であり呪縛であるエクリプスウィルスを封じたのだ。しかしなぜ、ウィード事件の時に現れた少年達はこの腕輪を持っていてアキラに託したのか、なぜイクスに会った時に以前から使っていた腕輪は壊れたのか。謎は残るが今はそれを追求している暇はない。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

その後、現場に駆けつけたティアナのスターライトブレイカーの協力の元、脱出に成功。火災もだいぶ収まり、事態は収拾されかけていた。アキラはウェンディにライディングボードに乗せてもらい、ギンガのいる救護テントの向かっていた。

 

「ギンガ!」

 

「おっ」

 

「あっ!アキラ隊長!」

 

「あらアキラ君」

 

テントに飛び込むとセッテとメグ、そしてシャマルとマリエルがカーテンで遮られたベッドの横に集まっていた。アキラの血塗れの服を見てシャマルが心配するが、既にアキラの傷は全治している。

 

「アキラ君大丈夫!?その怪我……」

 

「もう治ってる!問題ない!それよりもギンガは!?大丈夫なのか!?さっきは何の症状なのかわからないし敵はいるしでちゃんと見てやれなかったから…」

 

「あ、うーんまぁ、元気よ?元気だけど…」

 

「?」

 

 

 

 

 

続く


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。