とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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月末の日付変更ギリですね次回はいつになることやら。でも、絶対二週間以内にだしますので!お楽しみに!


第八話 開戦

スバルが拐われた事件の起きた翌日の昼下がり。ミッドのショッピングモールの展望台には一匹、いや、一機の機械龍と少女が立っていた。

 

「じゃあ、そろそろ始めようか。いくよ、ジーク」

 

「グゥゥ……」

 

機械龍は本物の竜のような唸り声で返事をし、少女を背に乗せて飛び立つ。そして、飛び立つとほぼ同時に口に巨大な火炎球を作り、上空に向けて飛ばした。

 

火炎球は上空で爆散し、花火のように弾ける。弾けた火炎の欠片は街中へ降り注ぎ、辺りから黒い煙が上がり始めたと同時に人々の悲鳴が聞こえた。

 

「さぁ!パーティー第一弾の始まりだ!」

 

 

 

ーミッドチルダ 南部ー

 

 

 

とあるビルの上ではサードが立っていた。その屋上からは先ほどの少女が起こした火災が見えていた。

 

「ナインスの行動を確認。こちらも動きます」

 

サードはビルから飛び降りた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー108部隊ー

 

 

『緊急事態発生!ミッドチルダ南部、ショッピングモールにて大規模火災が発生!謎の龍のようなものに乗っている少女が引き起こした模様!メグ隊長及び、戦闘部隊は出撃準備!』

 

108部隊にはけたたましくサイレンが鳴り響いていた。出動命令を聞いたシノブは隊長室に飛び込んでくる。

 

「メグ隊長代理!出撃命令が………」

 

「聞こえてるわよ!ああめんどくさい!あと代理っていうな!」

 

メグは怠けていたのか、慌てて服装を整えていた。服装をさっさと整えたメグはシノブと共に地下駐車場にいった。地下駐車場には108の戦闘部隊が既に出撃用の車の前に並んでいた。

 

「おーっし、こないだはアキラに助けられたから今度こそあたしたちの手柄にするわよ!」

 

意気込んで叫ぶと共に再びサイレンが鳴り響く。

 

『ミッドチルダ南部に新たな災害発生!合計……四箇所です!』

 

「はぁ!?」

 

『いずれも何物かが引き起こした人為的災害の模様!現在、別の部隊にも協力を要請!108戦闘部隊は部隊を二つに分割し、各災害場所に向かってください!迅速な犯人逮捕をよろしくお願いします!』

 

「簡単に言ってくれるわね全く………はぁ。てことだから今から部隊を二つに分けるわ。私の部隊、それからシノブの部隊。適当に人数合わせたらさっさといくわよ!」

 

「「「「「了解!」」」」」」

 

 

ーナカジマ家ー

 

 

 

「……………わかった。苦戦が強いられるなら、俺も行く」

 

アキラはメグからの通信を受けた。もしも108シノブの率いる隊が苦戦するのならアキラが補助に当たるという申し入れだった。ちなみに二人はまだ寝起きだった。

 

「………アンノウンだ。また出撃するかもしれない」

 

「わかった…………気をつけてね………」

 

「…………ノーリ!」

 

アキラは二階にいるノーリを呼んだ。ノーリは呼ばれてからすぐに居間まで駆けつける。

 

「どうした?」

 

「もしかしたらまた出撃するかもしれん。留守の間はギンガとアリスを頼む」

 

「…………本気か?」

 

「あ?」

 

いつもだったら「任せろ」と言いそうな彼だが、今回は違った。アキラの行動に疑問を抱いているようだ。

 

「敵が何者なのか、何が目的なのかは不明なのはまだ良いだろう。だが、目的がギンガ達タイプゼロだとわかったなら、離れずにいるのは当然だろ!それでも護衛から恋人、旦那になった男の判断か!?」

 

「ノ、ノーリ…」

 

ノーリはアキラに向けて怒鳴った。かつてないほど感情的になった彼に、ギンガは驚いていた。

 

「確かにお前のいうことはもっともだ。だが、俺が出ることで犯人逮捕できれば、これ以上ギンガが傷つく前にすべて終わらせられる」

 

「橘アキラ………お前は……」

 

ノーリはアキラに対し、攻撃的な態度になる。今にも喧嘩が始まりそうだったので、ノーリを落ち着かせた。

 

「落ち着いて、ノーリ。アキラ君のいうことは一理あるから………」

 

「…………すまん、ノーリ、ギンガ。だが、必ずこの事件はさっさと終わらせる。まぁ、あくまで俺が出ればの話だが…」

 

(はやく………不安要素をなくしてくれよ………小此木…!)

 

 

 

ーショッピングモール付近ー

 

 

 

ショッピングモール付近に偶然いたフェイトは結界に閉じ込められ、脱出方を探っていた。

 

(なんでこんなところに結界が張られたかはわからない……けど、私だけが結界にいるってことは……私が目的の可能性が高)

 

フェイトは思考を一瞬で停止させ、背後から飛んできた火炎球を避け、バリアジャケットを装着する。すぐに火炎球が飛んできた方向を向き、一気に警戒態勢に入る。

 

「誰かいるんですか!!」

 

「初めまして…………フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官」

 

声がした方向からは機械龍に乗った少女が自分を見下ろしていた。

 

「管理局執務官のフェイト・T・ハラオウンです………この結界を作ったのは、あなたですか?」

 

「まぁ、正確には私じゃないけど、だいたいあってるわ」

 

「今すぐ、この結界を解除してください。出なければ、あなたを公務執行妨害で…」

 

「あーそういうのは別にいいから、名乗りが必要なら教えるわ、私はナインス。さ、とっととやりましょ?そっちだって、こっちがやる気なのは、わかってるでしょ!?」

 

ナインスが叫ぶとそれに呼応したように機械龍が再び火炎球を飛ばした。フェイトは跳ねて攻撃を避けると共に、迎撃に出る。

 

バルディッシュを振り上げ、機械龍の上に乗る少女を狙うが、機械龍が邪魔をするように動き回る。そして、火炎球で権勢し、腹部や羽に内蔵されていたミサイルを発射した。

 

「あの機械龍…………妙にキャロのフリードに似てる気が……っと!」

 

フェイトは得意の高起動飛行で追尾型のミサイルを避けながら壁などギリギリの部分を飛行し、急な方向転換をする。ミサイル急な回避に追いつけず、壁にぶつかって爆発した。

 

「こっちの様子伺ってるみたいだね!もっとかかってきなよ!」

 

「…………ねぇ!どうしてこんなことを!?その竜は一体………」

 

フェイトは依然手を出さずに相手を観察していた。そして、ナインスに質問を投げかける。

 

「んー?私のこと気になっちゃってる?そんなの、どーでもいいじゃない!私は、」

 

刹那、ナインスの姿が竜の上から消えた。

 

「あなたの身体に用事があるの!」

 

気づいた時にはナインスはフェイトの上をとっている。すぐにフェイトはガードの姿勢をとったが、ナインスのかかと落としで地面に叩きつけられる。

 

「ぐぅ……」

 

「戦う気ないのー?そっちがその気ならこっちも考えあるよ?」

 

(今は………戦うしか……ない!)

 

フェイトは覚悟を決めた。話を聞くのが最優先だが、今は仕方ない。フェイトはまず、隙だらけのナインスにバインドをかけた。

 

「ん?バインド?」

 

「プラズマ…」

 

「お?」

 

「ランサー!」

 

フェイトはバインドを解除しようとしないナインスに向けて、プラズマランサーを放った。プラズマランサーはナインスに命中。爆煙を上げた。

 

「…………」

 

「うん、まぁまぁかな………でも、ようやく本気になったみたいだし……私も本気になっちゃおうかな」

 

ナインスは健在…というかほぼ無傷だ。そして、簡単にバインドを砕いたナインスは短剣を取り出した。それを前に構えると、ナインスの身体から黒い魔力がにじみ出てくる。

 

「…ルーラーアーマー………開ほ」

 

「何をしている、ナインス」

 

「!!」

 

ナインスの後ろから声がした。ナインスが振り向くと同時にフェイトが声の主を見ると、驚愕する。

 

「ク、クラウド!?」

 

クラウドがナインスの背後に立っている。クラウドはフェイトを見向きもせずにナインスに話しかけた。

 

「私がいつ鎧を出す許可をした。遊んでないでさっさと命令通り言われたことをやれ」

 

「いーじゃないちょっとくらい」

 

「戦闘を楽しむのは勝手だがな、鎧は使うな。わかったな」

 

「はいはい、わかりましたよー」

 

何やらナインスに注意を促すと、クラウドはその場を去ろうとした。

 

「待ちなさい!あなたにはいろいろ聞きたいことが…!」

 

それをフェイトが追撃しようとするが、その前にナインスが立ちはだかる。フェイトは邪魔だと思い、切り掛かるがフェイトの攻撃を阻害しようと機械龍がフェイトの周りを飛び回った。

 

「さて、始めようか」

 

「あなたは何!?クラウドとどういう関係!?」

 

「さぁね。戦ってくれたら話してあげてもいーよ!」

 

フェイトの表情はさっきと打って変わり、険しくなった。バルディッシュをザンバーモードに変え、その鋒をナインスに向けた。

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン!行きます!」

 

「遊んであげるよ!私の人形がね!」

 

ナインスが地面に手を当てるとそこらじゅうに魔法陣が展開され、そこから黒い鎧の騎士が現れる。

 

「召喚魔法!?」

 

「大丈夫。彼らは鎧だけだから、思う存分やっちゃって」

 

「くっ!」

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

ー別地点ー

 

「…………見つけました!距離30メートル!」

 

「丸焦げにしてやんなさい」

 

街で暴れている少女を視認したメグのチームはいきなり炎熱魔法を遠距離から放った。炎熱魔法は少女に命中し、半径数メートルを巻き込んで燃え上がった。

 

「……………どう?」

 

「現在確認中で………ダメです」

 

いきなり炎熱魔法を当てられた少女は不機嫌そうに立ってた。

 

「ふぅ…………いきなりなに?あんたら管理局?」

 

「そーよ。あんたたちをしょっぴきにきたわ」

 

メグが出ていくと同時に魔導師達が少女の周りを取り囲んだ。

 

「あーそー。ご苦労様。それじゃあ……」

 

少女が軽く指をならすとそこらじゅうから風が吹き始める。その温度は低く、少しずつ風力が強くなると同時に温度が下がって行く。みるみるうちにあたりの景色は氷に包まれて行く。

 

「寒っ…………これ………氷結魔法…しかも結構強力な………あいつ、一体何者?」

 

「私の戦いやすいフィールドでやるわ。さて、じゃあ改めて自己紹介でもしちゃおっかな〜っと!あたしはゼロ・フォース!ヨロシク〜」

 

「こないだと、今日暴れてるサードの仲間?」

 

「正解!あれ、ていうかあんたもしかしてシックスに負けた奴?」

 

フォースがにやけながらメグを指差す。メグはそう言われるとカチンと来たのか少し低い声で返す。

 

「油断しただけよ。あれはただの時間稼ぎだったから」

 

「そう、まぁ、楽しませてよね」

 

「あんた達、手ぇ出すんじゃないわよ」

 

メグは周りに手を出させないように命じると、一人で前に出た。周りの部下がメグを心配する。

 

「しかし、隊長代理!一人では危険では…」

 

「私が負けそうになったら手を出しなさい」

 

「あ、はぁ……………」

 

微妙な顔で部下達はメグの背中を見つめた。

 

「始める前に聞くわ。あんた達は一体なに?なにが目的なの?」

 

「……んー?何だろうね。とりあえず私たちは、言われたこt」

 

話してる途中にメグはさっきいた場所に姿を残しながらフォースの後ろに回り込んだ。

 

(幻影回避(ロングVer)!!)

 

そしてロッドモードの暁でフォースを思いっきり殴ろうとしたが、それはメグの動きを見切ったフォースにガードで防がれる。すぐにメグは距離をとって暁をロッドモードからトンファーモードに変える。

 

「クラウソラス!!!」

 

フォースは振り向きざまに魔力弾を数発撃った。

 

「そんな攻撃!」

 

メグは躱しながらフォースに向かって突っ込んだ。トンファーによる近距離戦に持ち込もうとしたが、フォースは空を飛んで避ける。メグの攻撃は空を切った。

 

「このっ!」

 

空に上がったフォースに間髪いれずメグはガンモードに変形させた暁で撃ち落そうと数発空に向けて撃つ。

 

「ブラッディダガー!」

 

「!」

 

放たれた弾丸はフォースの放ったブラッディダガーによってすべて打ち落とされ、余計に打った分のダガーがメグを襲う。しかし、メグはそれを幻影回避で避けた。

 

「幻影回避!!!」

 

追尾式のブラッディダガーは幻影回避で発生した幻影に目標を定め、そのまま幻影を貫通して地面に突き刺さった。

 

「フーン………まぁまぁやる方なのね」

 

「一つ、質問いいかしら」

 

メグは何かに気づき、戦闘を中断し、フォースに話かけた。

 

「話の途中に殴って来なければどうぞ?」

 

「………あんた、さっきから使ってる魔法………闇の書に内蔵されているものじゃない?」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー別地区ー

 

 

「発見しました!あれです!」

 

一方、シノブ達のチームも敵を視認していた。

 

「全員散開して取り囲みましょう!前回メグ先輩が負けた相手なので、気をつけて!」

 

シノブの言葉で、魔術師たちが一斉に車から飛び出す。接近の様子を見ていたロクは、取り囲んでくる兵士を見ながら何もせずに立っていた。

 

「あなたは完全に包囲されています。おとなしく投降すれば悪いようにはしません!」

 

一応シノブが最初に呼びかけた。だが、ロクは何も言わずに武器である巨大な盾を取り出し、内蔵されている剣を引き抜く。戦闘体制を取るロク向けて一発の魔力弾が打ち込まれた。

 

「!」

 

ロクはその弾丸を剣で弾く。

 

「抵抗するのであれば、容赦なく我々は実力行使にでる構わないのだな」

 

別の魔導師からの言葉だ。ロクはしばらく黙っていたが、ついに口を開く。

 

「いいからかかって来い」

 

「なに?」

 

「私は私の力を試したい…………そのためにここにいる。さぁ!かかって来い!私を倒してみろ!」

 

「……………総員、戦闘開始!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

ー陸士108部隊ー

 

 

108部隊の前には、一人のフードを被った少女が立っている。背は低く、コートを着ているために体型はあまり分からない。

 

「みんな始めたのか…………じゃあ私も…」

 

少女の姿は景色に溶け込み、見えなくなった。

 

 

 

 

続く。

 


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