とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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一ヶ月ぶりです!次回は二人の決戦の間とその少し前、そしてその後、各襲撃場所でなにが起きたかを描いていくよ!お楽しみに目標は今週末!


第十一話 行方

この日、ミッドチルダは雨だった。そんな雨のなかに結界が一つ。その結界内で、金属が交差し会う音が響いていた。

 

アキラとクラウドは航空剣技の戦闘を続けているが、アキラが押されている。

 

「のやろぉ!」

 

アキラは右手のカノンを構えたがクラウドが出した先に刃がついてる触手にカノンを破壊される。

 

「しまった!」

 

「まだまだいくぞ!」

 

クラウドはそのまま突進し、腕にスタッフで精製した剣を振り下ろした。破損したカノンを投げ捨て、アキラは背中の刀を抜いてクラウドの剣を防いだ。

 

「ぐぅ………なんてパワーだこのガキ…」

 

「スタッフを全身に這わせているからな。私の力は弱いものだが、スタッフがパワードスーツ代わりになっているのだ!」

 

クラウドは叫ぶと共にアキラの刀を弾く。アキラは弾かれたと同時に刀のマグナムを撃つと同時に少し距離をとって体勢を建て直す。だがクラウドは刃付きの触手でマグナムの魔力弾を弾いた。

 

「どうした、本気でやらねばお前はなにもできず死ぬだけだ!」

 

クラウドは刃触手を一気に5本に増やしアキラを襲わせる。アキラは肩のマグナムと左腕のガトリングを使って触手を狙ったが、それで撃ち落とせたのは一本のみ。回避がうまくとれず触手によって、カノン、ガトリング、足に装備されたガン、左腕のハンドブレードを破壊された。

 

「なにも守れず!誰も救えず!ただ無意味な存在として散るだけだ!」

 

「ふざけろ!」

 

アキラは腰のブレードを一本抜き、刀とブレードで触手を切り落としながらクラウドに向かっていく。

 

そして両手をクロスさせて両手の剣をクラウドに当てようとしたがアキラの攻撃はシールドで防がれた。

 

「っ!氷刀一閃!」

 

防がれはしたがアキラはすぐに構え直し、氷刀一閃でシールドを切り裂く。そして左手のブレードでクラウドを刺そうとした。

 

しかしその一撃はクラウドの右手の刃で弾かれる。間髪入れずアキラは刀を向けるがそれも弾かれた。スタッフの力でパワーを上げてるクラウドは必要最低限の力で対応できる分素早いのだ。

 

「らぁ!」

 

二撃いなされてもアキラはめげず三撃目を入れる。両手の剣を同時に突き刺そうとする。クラウドは二つの剣をまとめて右に払い、そして左手に精製した剣をアキラの体に向けて振ったがアキラは身体を捻らせて避ける。

 

剣はアキラの脇腹にかすっただけで終わった。アキラは剣を避けると同時にすこし距離を取り、構え直すと再び切りかかった。

 

「氷牙大斬刀!」

 

「!」

 

小競り合いが続くかと思われたがここでアキラが大技に出る。クラウドは急な大技に対応しきれず、両手の刃で防ぐしかなかった。

 

スタッフの力で耐えようとしたが物理的な重さで地面に向けて落とされかける。

 

「くぁ!」

 

クラウドの落下と共にアキラは氷牙大斬刀を解除し、クラウドを追いかけた。クラウドはすぐに体勢を直すため、落下の状態から横への空中移動に変える。

 

「ふぅ!」

 

「逃がすか」

 

ようやく出来た隙。逃すまいとアキラはすぐに追いかける。

 

「雷神剣………轟雷召!」

 

「ちっ!」

 

刀に雷を纏わせ、それを放つがクラウドはシールドで防ぐ。体勢を直しきれず、防ぐしかなかったのだ。

 

「ぐっ!」

 

「地神剣・天落!」

 

攻撃を防いでいるクラウドの真下のコンクリートが砕かれ、先の尖った岩が飛び出す。クラウドはそれに気づけなかったが、クラウドの全身を這っているスタッフが気づき、防いだ。

 

しかしアキラの技の威力が強く、スタッフから伝わった強い振動がクラウドの集中を解き、それと同時にとっさに張ったシールドが割れた。クラウドはアキラの雷を喰らい、落ちた。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

「炎神剣・業烈火ぁ!!」

 

アキラは追撃を続ける。激しい炎を纏わせた刀でクラウドに襲いかかった。

 

「…っ!」

 

クラウドは舌打ちをして黙示録の書を開き、文字をなぞる。するとスタッフが魔法陣から大量に溢れた。

 

「なっ!」

 

アキラは驚きつつもスタッフの波に立ち向かう。そんなアキラの肌にスタッフが触れた瞬間だった。

 

「!?」

 

(なんだこりゃあ!?)

 

アキラの頭に、様々な思いが流れこんできた。恐怖、絶望、不安、様々な形の、様々な負の感情が。

 

アキラは驚き、急停止して上空に退いた。冷や汗がアキラの全身から溢れてくるのを感じた。

 

(なんだ…今の…。一瞬で死にたいような…いや死の瞬間を体験したような感じだった…)

 

「スタッフに触れたか」

 

「…」

 

何が起きたか察したクラウドはなにも言わずにアキラを嘲笑った。

 

「ふ、まあいい。お前の急な猛攻には驚いたぞ」

 

「…」

 

「少し本気を出すとしよう」

 

クラウドは魔法陣から流れるスタッフに左手を突っ込んだ。

 

(あいつ……あれに普通に触れるのかよ…)

 

「行くぞ…」

 

クラウドはスタッフから腕を引き抜くと腕にまとわりついたスタッフが形状を変え、尖った爪を持った鎧になった。

 

「…っ!」

 

アキラが構えると同時にクラウドもアキラに向かって高速で接近した。

 

「氷牙!」

 

アキラは左腕に氷の鎧を生成し、クラウドに立ち向かう。

 

二人が交戦する直前、先に仕掛けたのはアキラだった。

 

「氷刀一閃!」

 

氷刀一閃を放ったがクラウドは紙一重で避ける。クラウドが横にずれてアキラの攻撃を避けた直後、アキラの頭を左腕の鎧で掴もうとするがアキラは氷の鎧を装備した腕を間に挟み、腕をつかませた。

 

「エクスプロージョン」

 

「チッ!」

 

掴んでいる腕にエネルギーが溜まるのを察知したアキラは刀をクラウドの体に向けた。しかしクラウドも右手に装備している剣で防ぐ。

 

「ブレイク!」

 

「ぐあ!」

 

クラウドの叫びと共にアキラの掴まれた腕が爆裂した。氷の鎧は少し砕けたがアキラはクラウドから脱出した。

 

「くっ!炎神剣!業烈火!」

 

離れると同時にアキラは炎神剣・業烈火を放つ。クラウドは腕のスタッフを素早く形状変化させ、盾にしてアキラの炎を防いだ。

 

「緩い!」

 

クラウドは叫んで魔導書を開き、文字をなぞった。

 

「ボルケーノ…」

 

盾を出してる手とは逆の手に魔力を貯めそれを思いきりアキラに向けて放った。

 

「バスタァァァァァァァァ!!」

 

「!」

 

クラウドの撃ったボルケーノバスターはアキラの炎神剣を易々と貫き、アキラに命中する。

 

「どうわぁ!」

 

防御する間もなくアキラの身体は炎に包まれた。そのままボルケーノバスターに押され、民家の屋根を突き破った。

 

「がはっ…まだまだ……」

 

再び空に戻ろうとした瞬間、真後ろにクラウドがいることに気づく。

 

「なっ!」

 

「遅い!」

 

左腕の鎧から放たれた魔力砲を背中にくらい、壁を突き破って向かいの家の門に激突した。

 

アキラのマイティギャリバーの飛行ユニットが破損し、バリアジャケットのダメージ蓄積量が限界値に到達したことで装備が解除される。

 

「あっ…がぁ……がはっ!……はぁ…………はぁ……く………そぉ」

 

アキラは起き上がろうとするも、倒れてしまう。流れる血が水溜まりに混ざって行く。いつの間にか雨の勢いは強くなっていた。

 

アキラは恨めしそうな目で右手の腕輪をみた。冥王イクスヴェリアから貰ったものだ。アキラが普通の人として生きていけるようにエクリプスウィルスを封じてもらった腕輪。

 

今は、この腕輪がただひたすら憎い。なぜならアキラ自身の力で封じたエクリプスウィルスを解放できないからだ。

 

「はぁ……はぁ………ちく…しょお!」

 

「…もしも、エクリプスウィルスの力を使えたら」

 

「!?」

 

クラウドがアキラの思っていたことを口に出した。

 

「そう考えたのではないか?」

 

「くそったれが…あぁそうさ……この力があれば、テメェを…」

 

「なら、試してみるか」

 

「あ?」

 

「我々の魔術なら腕輪の封印を一時的に解除することなど」

 

クラウドは魔導書を再び開き、文字をなぞると文字が浮かび上がり、アキラの腕輪に向かって飛んでいった。

 

「これは…」

 

浮かび上がった文字は腕輪に張り付いた。すると、アキラの身体にエクリプスウィルスの模様が浮かびがると同時に傷が再生した。エクリプスウィルスの力だ。

 

「造作もないことだ」

 

「…」

 

アキラはゆっくり立ち上がった。

 

「俺に手を貸したこと」

 

アキラの手の中にエクリプスディバイダーが出現する。そして、ディバイダーの刃をアキラの腕に突き刺した。

 

「後悔しろ…………リアクト、オン!バーストォ!」

 

アキラの全身が光り、エクリプスウィルスが全身に広がり、冥王の鎧が装着された。

 

「…エクリプスウィルス、そして冥王の鎧………アキラ・ナカジマが管理局の阿修羅と呼ばれる由縁」

 

「ブースト」

 

リアクトバースト時の武器、烈風のトリガーを引くと超高速次元に入った。この空間ではアキラ以外の周りの時間が1000分の一のスピードになる。

 

周りからみればアキラが高速移動してるように見える。

 

「これで終わりに…」

 

超高速であればアキラは負けることはない。そう思っていた。しかし、顔をあげたときアキラは我が目を疑った。

 

「なん…………だと?」

 

クラウドは動いている。普通に。

 

「なにを驚いている」

 

「…なぜ動ける……」

 

雨はほぼ動いてない。つまり超高速次元にアキラは入っている。

 

「冥王の腕輪の封印を解く魔法を持っているのだ。冥王の鎧の力で発動する魔法と同等の魔法など持ってて当然だ」

 

「…」

 

「どうした?高速移動なら私を倒せると思ったか?逆に高速移動がなければ私を倒せないのか?」

 

「舐めんな」

 

アキラは烈風構えてクラウドに突進した。

 

「はぁ!」

 

「ボルケーノバスターァ!」

 

「ディバイド!」

 

クラウドは真っ正面から飛んでくるアキラにボルケーノバスターを放ったがディバイドで打ち消される。

 

「それがディバイドか!」

 

クラウドは笑った。

 

アキラは止まらずクラウドに切りかかったが、クラウドは右手のブレードで受けようとする。

しかし。ブレードはアキラの烈風によって簡単に切り裂かれた

 

「!」

 

「もらった」

 

「ふっ!」

 

アキラは烈風を降りきる前に構え直し、クラウドの頭を狙って突き刺した。が、クラウドはそれより早くスタッフの触手でアキラの腕を押さえる。

 

「氷牙!」

 

次の瞬間足に氷の鎧を装備し蹴り上げた。

 

「ちっ!」

 

クラウドは後ろに避ける。と、同時にアキラを触手でぶん投げる。

 

「…っ!」

 

アキラは触手を力でもぎ取り、すぐに脱出した。そしてクラウドの後ろに瞬間移動した。

 

「おおっ!」

 

「なにっ!?」

 

瞬間移動はアキラが義兄との訓練で覚えたわざである。まだ一回の戦いでは二回が限度だが、今は惜しみ無く使った。

 

後ろに回り込んできたアキラの攻撃を、クラウドは少し無理をして避ける。同時に牽制として数発の魔力弾を放ち、アキラの猛攻を止めて距離を取った。だがそれで止まるほど今のアキラは余裕がない。魔力弾を軽く腕で受けた跡、烈風の切っ先をクラウドに向けた。

 

「フロストバスター!」

 

「なっ!」

 

クラウドは慌ててシールドを展開して身を守る。

 

「ぐぅ!」

 

砲撃は二秒ほどで終わったが、アキラは最後の仕上げに移っていた。砲撃を防ぎきったクラウドはアキラがさっきフロストバスターを撃った場所にいないことに気付く。

 

「いな…い?」

 

「紫電一閃」

 

上から声と共に衝撃がクラウドを襲った。アキラが上から足で放った紫電一閃で、クラウドを叩き落としたのだ。

 

クラウドはうまく地面に着地し構え直す。

 

(くっ…今、首をあの剣で狙われたらやばかった………今の一瞬で殺さなかったことを後悔しろ、アキラ・ナカジマ)

 

余裕ぶるクラウドが上を向いた瞬間、彼女は硬直した。クラウドが見たのは大きめの魔法陣、そしてそこに集束される魔力。

 

「あれは……」

 

クラウドは嫌な予感を察知し、離れようとしたがそのクラウドをアキラが仕掛けたチェーンバインドが拘束する。

 

「がっ……………この程度の拘束!」

 

すぐに拘束をはずしたが、別の場所から伸びたチェーンバインドが再びクラウドを縛る。

 

「くそっ!」

 

「いくぞクラウド!」

 

「!」

 

「これが俺の現時点で放てる最強の氷結魔法…」

 

「!……………ふ……良いだろう。受けてやる。来い!」

 

「ユルティム・グラセ・ブレイカァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「っっっ!!」

 

魔法陣の中央に集束された魔力が氷結魔法の光線として放たれた。たちまち辺りの気温が下がり始める。

 

「ユルティム・グラセ・ブレイカー」、本来この魔法はかつてノーリが使った拒絶型の結界と同じく使用禁止になっている危険な技だ。

 

その威力は、クラウドが展開した半径2kmの結界内の気温は-20度まで落ち、すべての建物は凍っていた。降り注ぐ雨すらただの氷となって落ちてくる。

 

「はぁ………はぁ…」

 

かなり離れた場所で観戦していたセヴンですら身体に霜が降りていた。

 

本来この魔法は、対軍魔法だ。遠方の敵兵の集まっている場所に打ち込むための。上空にいたとはいえ、近くで撃ったアキラにも影響は出た。身体が凍りつき、少し動かした指が根本から折れた。

 

「…痛みは感じないが………」

 

そう呟きアキラは指を再生させる。そして着弾地点を見た。

 

「いくらなんでも…これを食らって生きてるわけ…」

 

アキラがフラグをたてた瞬間それは回収された。地面が割れ、下から身体の所々から血を流してるクラウドが這い上がってきた。アキラと同じく身体が凍ったことによる凍傷だ。

 

「やれやれ………地下5メートルまで穴を掘って、入り口をスタッフで塞いでも、身体に影響が出るとは、いやはや恐ろしい技だ」

 

「ちっ!いい加減に!」

 

アキラは解凍されてきた身体を無理矢理うごかし、クラウドに切りかかった。

 

「3、2、1」

 

アキラが目の前に迫っているにも関わらず、クラウドは何も言わずに何かのカウントをしている。

 

「0」

 

「!?」

 

カウントが0になった瞬間、クラウドは超高速移動を開始し、アキラの背後に回って蹴り飛ばした。

 

「がっ!」

 

何が起きたか、アキラは理解できてなかったが、すぐに回りの異変に気付く。

 

雨の音が、聞こえる。

 

アキラの超高速移動の限界時間が来たのだ。超高速移動は魔力を激しく消費する。しかもロクと戦い、クラウドと全力で戦った後に発動した。つまり使い始めた時点で魔力はかなり使っていたのだ。

 

「リミットか……っ!」

 

アキラは背後から心臓を刺される。

 

「そういうことだ。私の魔術と違い、お前の魔法は未完成。それ故、限界時間がある。まだ鎧とリアクトは解除されないみたいだが、じきに限界が来るだろう」

 

「ごほっ…」

 

剣を引き抜かれると、アキラは膝から崩れ、前に倒れた。

 

刺された傷はすぐに再生したが、魔力が限界地点に到達し、リアクトバーストが解除される。

 

「…」

 

「……がはっ」

 

その場を去ろうとするクラウドの足を、アキラが掴んだ。傷の大半は再生しているが魔力のほとんどを使いきったアキラはもう立てなかった。

 

「ま………て……」

 

「…………離せ、アキラ・ナカジマ。それ以上歯向かうのなら殺すことになる」

 

「ギンガ……を…返せ…」

 

「………」

 

クラウドは何も言わず、アキラの手を振り払って歩を進める。

 

「あ…………あぁ……」

 

アキラは無理矢理身体を前にだし、両手を地面に付いて水溜まりに頭を打ち付けた。

 

「お願いしますぅ!どうか!どうか!ギンガだけは連れていかないでください!!お願いします!」

 

「…」

 

もはやプライドも何もかもアキラは捨て去り、敵を泣き落としにいく。いや、プライド云々よりも、これがアキラの本音だった。力で敵わないとわかった。ならばもうこうするしかないとアキラは最後の賭けに出た。

 

「………冗談いうな。それに今、お前にギンガを返したところで何になる。黙ってくたばってろ。死に損ない」

 

「頼む!彼女は……ギンガは俺の…俺の」

 

「例えどんな存在であろうと、渡す気はない。失せろ」

 

「…っ!」

 

その時、不思議なことが起こった。アキラの中の憎しみの感情が、冥王の腕輪と同調し、一時的に爆発的な魔力を発生させたのだ。

 

「クラウドぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

「火事場の馬鹿力…か…」

 

アキラは残りの魔力すべてを足先に集め、クラウドに向かっていった。足からは黒い魔力が放出される。クラウドは敢えて避けずに受けに行く。

 

「はぁぁぁ!」

 

アキラの最後の一撃の飛び蹴りをクラウドはシールドで防ぐ。

 

「ぐぬっ!」

 

衝撃は強かったが、防ぎきれないものではなかったと、クラウドは思った。

 

「まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

アキラはさらに魔力を放出し、シールドを破った。

 

「馬鹿なっ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

クラウドはそのまま十数メートル蹴り飛ばされる。

 

「あ…あぁ…」

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

「今のは効いたが、残念だったな倒せなくて。…お前は殺そうと思っていたが、生かしておいてやろう。大切な人を守れなかった後悔でもがき苦しむがいい」

 

「まてっ!あがっ…」

 

そういってクラウドは飛び立っていった。アキラは追いかけようとしたが、身体の限界は突破され、その場に倒れた。

 

クラウドが飛び立つとアキラの腕輪に張り付いていた文字が剥がれ、再びエクリプスウィルスは腕輪の中に封印された。

 

一人残されたアキラはその場に倒れ、涙と怒号の混じりあった声を上げる。

 

「あ……あ…あァァァァァァァァァァァァァ!ふざけるな!ふざけるな!ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

守れなかった悔しさ悲しみ、負の念が、後悔の念がアキラに押し寄せた。彼の人生にはギンガがなくてはならない。ギンガがいるからこそアキラの人生が成り立っていた。

 

生きるよりしろをうしなったと同時にアキラはある変化に気付く。

 

「ぁぁぁぁぁぁ………あ…ぁあ?」

 

腕から、砂が落ちた。

 

だが、アキラはそれに気付くと同時に気絶した。


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