とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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今回は108での奮闘を描きました。時間軸的にはメグの出動後です。アキラの義兄のレイとナインス、シグナムとフォースの戦闘もいれたかったのですが、時間かかりそうなのでやめときました。もっとセッテとかにも戦わせたかったのですが、今回はまだあえて活躍させず今後に期待と言った感じです。あと、前回の投稿期間守れずすいません。次回もまた1ヶ月後くらいになるかもです…。


第十二話 奮闘

ー陸士108部隊ー

 

 

108の隊長室でフランシスはチンクとセッテに面倒を見られていた。セッテはいつも通り仕事をしている。フランシスは保護されたあとすぐに施設に送られる予定だったが、ギンガと同じ遺伝子、そして機械の融合した身体。二つの要因から108に預けられていた。

 

本来彼女の面倒は戦闘部隊の隊員や女性職員に見させるべきだが今は違った。その理由はサードの襲撃の日にまで遡る。

 

 

 

ーサード襲撃及びスバル誘拐の日ー

 

 

 

その日、ウェンディとディエチは二人でクラナガンにショッピングへと出かけていた。クラナガンの街中を散策していると、管理局の緊急車両が慌ただしく走って行くのが見えた。

 

「何かあったのかな?」

 

「事件ッスかね?物騒な世の中ッス」

 

自分達の傍を通り過ぎて行った管理局の緊急車両を見ながら二人は言った。そのすぐ後、突然空間ウィンドウが開くとそのウィンドウにはゲンヤの姿が映っていた。

 

「お父さん」

 

「パパりん、どうしたッスか?」

 

『おう、二人とも。今どこにいる?』

 

「今?クラナガンのショッピングモールだよ」

 

『なんか変わったことはないか?』

 

「いや………別に」

 

二人が辺りを見回して見るが、変わったことはない。それを聞くとゲンヤは少し安心した様だった。

 

『そうか‥念の為、迎えに行く。それまでモール内の警備室に居てくれ、連絡はこちらから入れておく』

 

「は、はい」

 

「分かったッス」

 

ゲンヤは何か慌てた様子で通信を閉じる。

 

「なにか、あったんスかね」

 

「あったんだろうね………わざわざ警備室に行けだなんて」

 

ディエチとウェンディはゲンヤに言われた通り、ショッピングモールの中にある警備室でゲンヤからの迎えを待った。

 

やがて、警備室にゲンヤが二人を迎えにやってきた。二人はゲンヤがのってきた車に乗り込んだ。

 

「ねぇ、パパりん。なにかあったっんスか?」

 

「家に戻ったら話す。そうだ、今からアキラの家に行くからな。今そこにウーノがいる」

 

ゲンヤの顔は物凄く真剣な表情で、その顔を見た二人は車内ではそれ以上何も聞かなかった。

 

アキラの家でウーノを迎えに行った時、アキラから市街地で起きたことを聞かされた。

 

「そんなスバルが‥‥」

 

「攫われたって‥‥」

 

「……」

 

まず、アキラは三人にスバルがサードと名乗る戦闘機人に攫われた事、同じくそのサードにノーヴェが重傷を負わせられた事を話した。

 

「すまないゲンヤさん。俺がいながら…」

 

「いや…過ぎちまったことはしかたないさ」

 

そうは言うがやはりゲンヤは落ち込んでいる。だからと言ってアキラに当たっても仕方ないことはわかっていた。だからこそなにも言わないのだ。

 

「そのサードって言う戦闘機人は一体誰なの‥‥?」

 

「わからん。それから、同じかどうかはわからんが仲間がもう一人いた」

 

ギンガ、スバル、アキラ、ノーリ、そして自分達姉妹以外にも戦闘機人が存在している事に驚愕するディエチとウェンディ。

 

「ウー姉は知っていたッスか?」

 

「私が知っているのは、JS事件の以前と事件当時のことだけよ。でも、他の戦闘機人がいる可能性は十分あるわ」

 

ウーノにもサードと名乗る戦闘機人には心当たりがない様子だ。

 

「それから…JS事件と言えばなんだがな」

 

「何かあったの?」

 

「‥‥スカリエッティとトーレ、クアットロが脱獄した」

 

「「「えっ!?」」」

 

スカリエッティの脱獄に関してはウーノも驚いていた。アキラとギンガはすでに知っていることだったのでなにも言わなかった。

 

「今回のスバルとノーヴェの件から見て、敵の狙いはお前達、戦闘機人の可能性が高い。加えてスカリエッティ達の脱獄‥‥連中がお前さん達と接触して来ることも十分に考えられる」

 

「…」

 

「だからしばらく聖王教会に身を隠してほしい」

 

「ディード達の所に?」

 

「ああ、バラバラでいるよりも固まっていた方が守りやすいからな。」

 

「チンク姉も?」

 

「チンクは今セッテと出張に出ててな。どう頑張っても帰ってくるのに一日かかっちまう距離にな。だから明日帰ってきたら108にいてもらう。実は、スバルが攫われた現場でもう一人、ギンガそっくりの戦闘機人が保護された。記憶を失っているみたいでな………しばく検査が必要だからそれが終わるまで。終わり次第その子と一緒にお前たちに合流してもらう。小さいとはいえその子も戦闘機人だ、狙われないとも限らないからな」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

と、いうわけだ。もうフランシスの検査も終わり、聖王教会の迎えを待っている。フランシスはチンクとパズルをやっていた。意外とチンクは面倒見が良かった。

 

そんな様子を微笑ましく思いセッテはなんとなく眺めている。

 

「ん~~………ここかな」

 

「ああ、そうだ。フランシスは賢いな」

 

「………え?」

 

だが次の瞬間セッテは我が目を疑った。

 

「たのしそうだねチンク」

 

さっきまでなにもいなかった。その筈だ。なのに、チンクとフランシスの後ろにはフードを被り、コートを着ている少女が立っていた。

 

「セッテっ!」

 

「はいっ!!」

 

チンクは叫びながら懐からダガーを出し、少女に投げた。少女はダガーを体を少し動かして避ける。セッテはすぐさまフランシスを抱え、ドアよりも近い隊長室の窓から飛び出した。

 

セッテの脱出を確認したチンクはISを発動させ、壁に刺さったダガーを爆発させた。

 

「やったか!?」

 

爆煙が晴れると、そこにあったのは穴の空いた壁とコートにすら傷ひとつ、汚れひとつついてない少女の姿だった。

 

「馬鹿な…」

 

「終わり?」

 

チンクは再びダガーを取り出そうとした。しかしそれより早く少女は姿を消す。

 

「!!」

 

「じゃこっちの番」

 

背後から声がしたと思った瞬間、チンクの全身から血が吹き出し、意識が遠退いた。

 

「かはっ…………」

 

「………」

 

窓から飛び出し、外の駐車場でチンクを待っていたセッテは一度の爆破の後、音沙汰がないのが不安だった。

 

「…チンク姉………」

 

「こんにちは」

 

「!」

 

気づけば真横にさっきの少女がいた。

 

「なっ!…………チンク姉はどうしたんですか!」

 

セッテはフランシスの前に立ち、構える。

 

「すこし寝てもらった。僕の目的はその子だ。セッテ、君は退いてくれ」

 

「あなたは一体…」

 

「僕はゼロ・フィフス。お察しの通り、クラウドの仲間さ」

 

「くっ!」

 

セッテはデバイスを展開させようとした。しかしセッテもチンクと同じく、一瞬のうちに全身から血を吹き出して倒れた。

 

「!?」

 

「おやすみ」

 

「………いっ…一体……………なにが…」

 

「おや、まだ意識があるのか」

 

血にまみれながらセッテは起き上がる。

 

「あぁ……あ…ふぇ」

 

急に倒れたセッテをみて、フランシスは泣き出しそうになる。セッテは痛みを耐え、笑顔を作ってフランシスを撫でた。

 

「…………大丈夫…ですよ。さぁ、ここには怖い人がいます。そこの………車の影に。」

 

フランシスは頷き車の影に走っていった。セッテはなんとか姿勢を正し、フィフスを見る。

 

(それにしても、なぜ応援が来ない?さっきのチンク姉の起こした爆発……あんな音がすればすぐ108の人間が駆けつけるはず…)

 

「まだ意識があるのは驚いたがそれだけか。戦えないなら退け」

 

「……私はアキラさんから彼女の警護を任されてます。例えこの身が滅びようとも彼女を守ります!」

 

「じゃあ滅ぼしてみよう」

 

フィフスがそう言って笑った瞬間、セッテの右腕が飛んだ。

 

「ーーーーーーっっっっ!!!!!」

 

セッテはフランシスを怖がらせないように必死で悲鳴を押さえた。

 

「次はどこをとばそうか?」

 

「…ぐぅ………」

 

(さっきからあのフィフスという戦闘機人………まるで動いてない…。最初全身を刻まれた時も…今も…)

 

セッテは腕を縛って止血をしながら考える。さっきからフィフスは動いていない。なのにセッテは大ダメージを負わされている。攻撃方がわからずセッテは完全に不利だった。

 

「次はそこだ」

 

「!」

 

フィフスが呟いた瞬間セッテの左目が潰された。

 

「ぐぅぅぅ!」

 

歯を食い縛りながらもセッテは声を漏らしてしまった。激しい痛みに耐えきれず再び倒れる。

 

(攻撃がまったく見えない…っ!)

 

「ははは、精神力だけは高いみたいだね。ここまでやられてまだ意識があるなんて」

 

セッテはなんとか起き上がろうともがくが、痛みと片腕を失ったことによる平衡感覚の乱れで立ちあがれずにいた。そこにフィフスが近寄っていく。

 

「でも弄るのも飽きたし、死んでもらおうかな」

 

フィフスはポケットから拳銃を取りだし、銃口をセッテに向けた。

 

「バイバイ」

 

フィフスが引き金を引きかけた時、突然飛んできたダガーが拳銃を弾いた。

 

「!」

 

拳銃を弾き、フィフス足元に転がったダガーはいきなり爆発する。フィフスは爆発に巻き込まれながらも爆煙から飛び出した。

 

「びっくりしたぁ…なんだ、生きてたのか」

 

ダガーを投げたのはチンクだ。チンクはフィフスをISで遠ざけると、急いでセッテに駆け寄った。

 

「セッテ!大丈夫か!」

 

「チンク姉様…申し訳ございません………やられました…」

 

「チッ」

 

チンクがやってくるやいなやフィフスはチンクに攻撃を仕掛けようとした。

 

「ておぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「!」

 

しかし、その瞬間フィフスの上空から雄叫び声が聞こえてきた。

 

フィフスが後方に避けるとほぼ同時にフィフスが立っていた場所に人間態のザフィーラが拳を振り下ろしながら落ちてきた。

 

「ここは俺に任せて、セッテを頼む」

 

「ありがとうございます!セッテ、落ち着け。姉の目を見ろ」

 

先ほどやられたはずのチンクは傷ひとつなく、ピンピンしてる。チンクはセッテに自分を見させた。

 

「大丈夫だ。どこをやられた?」

 

「…?」

 

「いいから教えてくれ」

 

何を言っているのだろうとセッテは思ったが、チンクはかたくなに聞いてくるので仕方なく答えた。

 

「見ての通りです。全身を切り刻まれたのと……、右腕を吹き飛ばれたのと、片目を…やられています」

 

「わかった。いいかセッテ、右手に意識を集中させろ。お前はどこもやられてなんていない」

 

「……え?」

 

「やつは幻術使いだ。今お前が負っている傷はすべて幻。偽物だ」

 

「幻術…」

 

「頭の中で今の痛みを、傷を否定し続けるんだ。大丈夫だ。ちゃんとお前の目も腕もついている」

 

「…」

 

チンクに言われた通りセッテは目を閉じて身体の傷を否定した。どこも怪我をしていない、血など出ていないと。

 

「………ん」

 

そんなことはない、そんなことはない、と否定し続けていると、セッテの右手がピクリと動いた。次に少しずつ指を動かす。セッテがゆっくりと目を開けるとそこには普段通りの自分の身体があった。右腕は付いてるし、身体を切り刻まれてもいない。

 

「………本当に、幻術…」

 

「幻術が解けたようだな…。立てるか?」

 

「…はい」

 

セッテは力強く答え、立ち上がった。

 

「私たち以外の人間にここの状態は理解できていない。特殊なフィールドを張られたようだ。先ほど、ザフィーラ殿に聞いた」

 

「道理で…さっきから誰も来ない訳ですね」

 

セッテが復活する様子をみてフィフスはため息をついた。

 

「…あーあ、まだ楽しもうと思ったのに」

 

「貴様、クラウドの手先か」

 

ザフィーラが構えながらフィフスに問うとフィフスは頷いた。確かな敵と確認するとザフィーラは一気にフィフスに攻撃を仕掛けた。

 

「おぉぉぉ!」

 

「ああ、ワンちゃん気を付けてね。足元に罠があるよ」

 

「なにっ…ぐぅ!」

 

ザフィーラが踏み込んだ足に、地面から延びた棘が刺さった。

 

「それっ」

 

ザフィーラが止まったのを見ると、フィフスが手を振る。するとザフィーラの右肩から左脇腹にかけて深い切り傷が入り、血が吹き出した。幻術の筈とわかっているのに本当に切り裂かれたような痛みだ。

 

「ごあっ!」

 

「僕の攻撃が幻術だとわかったからって、何ができる?よっぽど耐性を持ってない限り、防ぎ様はない」

 

「ぬぁぁぁぁ!」

 

「!」

 

だが、ザフィーラは止まらなかった。フィフスの頬に向けて魔力強化付きの拳を振るった。

 

「はじけろ」

 

拳はフィフスに命中する前に爆裂した。

 

「!!」

 

「あはっ、ワンちゃんも面白い顔するねぇ」

 

「大丈夫ですか!」

 

膝を着いたザフィーラにセッテとチンクが駆け寄る。

 

「くぅ…幻術だと理解はしているはずだが、中々否定は難しいものだな」

 

ザフィーラは一度目を瞑り、瞑れた拳の傷を幻覚だと思い込む。

 

「ほら、みんなまとめてかかってきなよ。もっともっと、苦しそうな顔見せてよ、僕に」

 

 

四人の戦いの様子を、フランシスは影に隠れて見ていた。すると、その背後に戦闘しているはずのフィフスが立っていた。

 

「!」

 

その存在にフランシスも気づく。

 

「やぁ、フランシス」

 

「あぁ…」

 

「きみの本来の役割を思い出させに来たよ」

 

「あっ…」

 

フィフスはフランシスの額に指を当てる。その瞬間フランシスは意識を失い、倒れかけるがフィフスが支えた。

 

「…頼んだよ、フランシス」

 

「てぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

復活したザフィーラが再びフィフスに攻撃を仕掛けると、フィフスは煙のように姿を消した。

 

「!」

 

「どこに!?」

 

「遊んでくれてありがとう。僕のミッションは既に完了した。ばいばい」

 

ミッションが完了したと聞きチンクは、ハッとして振り返った。

 

「!。セッテ!フランシスは!」

 

「!」

 

同じことを察したセッテは急いでフランシスの隠れた車の後ろに向かって走る。

 

「フランシス…………大丈夫です。眠ってるようです」

 

「そうか…念のため、検査を受けさせておこう。なにかあるといけない」

 

チンクたちもすぐに追い付いたが、確かにフランシスは眠っているだけのように見えた。この時、拐われてないという思いが前面に出過ぎていたため、なぜフランシスが眠っていたのかという考えに及ばなかった。

 

それが問題となり、チンクたちが後悔するのはまだ先のことだった。

 

 

続く

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