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「おぉぉぉぉ!!」
融合騎が火炎弾を撃ち込んできた。
アキラはギンガを誰より速く脇に抱え、バックステップを行う。火炎弾による攻撃で煙が上がり、その中から召喚獣が突っ込んできた。ギンガは自ら前に飛び出し、リボルバーナックルを構える。
「アキラ君!」
「ああ!!氷刀一閃・拡」
ギンガが召喚獣に突っ込み、攻撃を相殺した瞬間にアキラは召喚獣に魔力を込めた一撃をお見舞した。召喚獣は一発でぶっ飛んでいき、召喚獣の胴と融合騎の右手が凍った。
「すご…」
「悪い、加減を間違えた。ギンガさん、大丈夫か?」
アキラの一撃は後ろに被害が及ぶほどの魔力だった。実際ギンガ達は所々霜が降りている。
「う…うん」
ギンガの霜を払いながらアキラは刀を改めて構える。
「さぁて、一気に決めるぜ!」
アキラが魔力を込めた刀を改めて構え、突っ込もうとした刹那、何者かによって天上が貫かれた。
「!?」
天上を突き破って来たのは前にアキラが会った、ヴィータ副隊長とリイン曹長だった。二人は出てくるやいなや少女と融合騎を同時に凍らせ、召喚獣を容赦なくぶっ飛ばすと言う不意打ちを出しまくり。
「ヴィータ副隊長!」
「おう、無事かお前ら」
「あ…はい!」
FW部隊の無事を確認したあと、ヴィータは召喚獣が吹っ飛ばされた場所を確認する。しかしそこには貫かれた壁の破片が転がってるだけであった。ヴィータはグラーフアイゼンを肩に担いでアキラ達のいる場所に戻る。
「チッ…逃げられたでもなんとかレリックは取り戻したぜ?」
「こっちもだめです…」
リインが氷を解くと、そこには誰もおらず下に穴が空いているだけだった。すると突然辺りがぐらぐらと揺れ始める。
「なんだ!?」
「上方からエネルギー反応があります…多分…それが原因で…」
いつのまにか、キャロが目覚めてエネルギーの解析を始めていた。ヴィータは、なんとか奪われなかったレリックをティアナに預け、すぐにスバルに叫んぶ。
「急いで脱出だ!スバル!」
「はい!ウィング…ロード!!」
ウィングロードが回転しながら上に敷かれていき、ヴィータがくる時に開けた穴から外にでようという作戦だ。
「スバルとギンガが先頭でいけ!あたしは後から飛んでいく。」
ヴィータは次々と指示を出していく。アキラがギンガに続こうとした時、後ろが気になった。
「キャロ、ティアナ何してる?」
「すいません、今いきます!」
「?」
ー廃市街地ー
外部では、融合騎が少女の周りを飛んで何か抗議していた。どうやら少女は地下通路ごとアキラ達を潰そうとしているらしい
「あいつらだっていくら魔導師とはいえ潰れて死んじゃうかもなんだぞ!?」
「……あのレベルなら大丈夫。…これくらいじゃ死なない。…地雷凰」
地雷凰と呼ばれる召喚獣の下の地面がめり込む。その下の地下通路が崩れたのだ。それを確認した少女が召喚獣を、消そうとした瞬間、地雷凰が魔力の鎖で抑えられる。
「なんだ!?」
「あいつら!」
近くのビルにキャロが立ち、魔法を発動している。そしてその後ろからスバル、ギンガ、ヴィータが飛び出し、いかにも攻撃しようとする仕草を見せた。
しかしこれは陽動だ。
二人の視線が四人に行った瞬間、前方のビルからティアナが二人を狙い撃つ。二人は攻撃をかわし、融合騎が火炎弾をヴィータ達に向けて放った。ヴィータ達は問題なく交した。そこでようやく陽動部隊の役目が終わる。少女が降り立った場所にエリオが突っ込み、喉元にデバイスを突きつけた。
「ルールー!」
「動くな」
「く…」
アキラは融合騎の首に刀を軽く当て動きを封じた。
「これで終わりです!」
仕上げにリィンが二人に捕獲輪をかけて、フォーメーションは終了。融合騎は観念したらしく地面に座りこんだ。
「子供いじめてるみてーで気は乗らねーが…市街地での危険魔法使用、公務執行妨害、その他もろもろで逮捕する」
捕獲の後、しばらく少女の質問が続いていた。しかし少女は何も答えない。アキラも融合騎に質問はしていた。しかし返答は少ない。アキラはどうにもこの融合機に親近感を感じていた。しばらくすると黙秘を続けていた少女が口を開く。
「二人とも黙秘か………」
「逮捕もいいけど」
「あ?」
「大事なヘリは守らなくていいの?」
少女の言葉に違和感を覚えたアキラは厄介なことにならないうちに、少女を黙らせようと少女の首に刀を当てた。
「ちょっと黙れ」
「あなたはきっと…」
「黙れっつってんのが聞こえねぇのか!!おい!!」
アキラは必死に黙らせようとするが、少女は言葉を止めない。
「また守れない」
「!」
その直後、ヘリは落とされたと言う連絡が入る。その瞬間ヴィータの顔は蒼白になり、怒りと不安が入り混じった表情で、少女の肩を揺する。
「てんめぇ!!!」
「おい落ち着け」
「副隊長!落ち着いて!」
「うるせぇうるせぇ!!おいお前、仲間がいんのか!?どこだ!どこにいる!!」
ヴィータはアイゼンをスバルとアキラにふり回したが、アキラはヴィータの肩を掴んで自らの方を向かせた。
「なんだよ!」
「ヘリを守れなかったのはお前の責任じゃない。だから今はこいつに怒りをぶつける時じゃない。ヘリに乗ってたお前の仲間は諦めろ、仲間の為にも今自分ができることをやるべきじゃないか?」
「黙れぇ!!わかってんだよ!そんなこと……わかってんだよ!」
「橘陸曹、ヴィータ副隊長、落ち着いて……」
ヴィータがアキラに怒鳴っている時、エリオの足元に何かがあるのをギンガが気づいた。
「エリオ君!足元に何かが!!」
「え!?」
その瞬間に、地面から何者かが現れ、エリオが持っていたレリックを持ち去る。
「へへ、いただき~」
そのまま、また地面に潜った。まるで、水中に入るように。更に全員が敵の潜った所に集中した隙を狙われ、少女も奪還された。慌てて、敵が潜った場所に向かうが当然間に合わなかった。
「…………うあぁぁ!ちくしょう!」
「邪魔だ!」
ヴィータが地面を叩いて自分の、情けなさを悔やむ。が、そんなヴィータの手をアキラが引っ張り、ヴィータをそこから退かす。アキラはたった今敵が潜った場所にECディバイダーの銃口を向けた。
『set up』
「アキラ君!?なにを……っ!」
「どいてろ!危ねえぞ!」
『frost buster・EC』
アキラが発射した巨大な砲撃が橋を貫き、下まで一直線に進んだ。
「おあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
アキラの手に砲撃を撃った反動が一気に帰ってくる。しかしアキラはそれに耐えながら、一カ所に集中放火した。魔力をほとんど使い果たし、砲撃の軌跡が消えた先には巨大なクレーターができているが、そこには誰も何もなかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…ブレードオフ…」
『blade off』
アキラはディバイダーを収納し、その場に座り込む。
「やっぱリアクト無しでのこの技はきついな…」
「アキラ君!大丈夫?」
ギンガがアキラに寄り添う。
「すまん…副隊長さん。逃げられた…」
「いや、いい…それよりロングアーチ、ヘリは無事だよな?あいつら…落とされたりしてないよな!?」
ヴィータは今にも泣きそうな表情で通信をとった。そんなヴィータに、割り込みの通信が入る。
[こちら、スターズ1。ギリギリでヘリの防御、成功しました!!]
「!」
なのはからの通信にヴィータの表情が明るくなった。よほど嬉しかったのだ。
それから、隊長陣による戦闘機人への追い撃ちが行われたが、敵側の策士によってあと少しのところで逃げられた。ヴィータは周りの部隊に結果を報告した。逮捕した敵を逃がしたことも、レリックを奪還できなかったこともすべて自分のせいだと説明する。いつまでも見た目は子供なヴィータだが、責任感は誰よりも大きかった。
その後ろではFW部隊がこそこそ話している。
「どうしよう…完全に話すタイミング逃しちゃったよ〜!」
「どうしましょう…」
「どうしましょうって…今言うしかないでしょ」
「だよね〜」
スバルはヴィータに近寄ろうとするが、それに気づいたヴィータがスバルにアイゼンをスバルに向け、そしてスバルを睨む。スバルは一瞬怖じ気ずいた。
「ん?ああ。FW部隊は完璧だった。完全にあたしの失態だ。橘陸曹も…レリックの為に反動の強い魔法使ってくれた」
ヴィータはチラリとアキラの方を見る。アキラは少し前に突然倒れたのだ。幸い意識はあったがひどい熱を出している。本人曰く、すぐに治るとは言っていたが、一応今はギンガとリインが介抱していた。
スバルは諦めずに声をかける。
「あのっ…」
「何だよ!今報告中だぞ!」
ヴィータが言うと、後ろのティアナがモジモジと出てきた。
「いや、その…さっきまで緊迫してたので……切り出しづらかったっていうか………実はレリックは私たちでちょっと細工して置いたんです」
「なに?」
「レリックは……ここに」
ティアナがキャロの帽子をとる。そこにはピンク色の小さな花が揺れており、ティアナが指を鳴らすと花が光り、レリックに変わった。いきなりの事にヴィータはぽかんとしている。
それを見ていたアキラが急に口を開く。
「考えたな。あいつらは」
「え?」
「いや、もし俺だったらあんな方法思いつかなかった……前にあいつらは使えないと言ったな。あんたの言うとおり、確かにあいつらは少しずつ成長して、才能を発揮してるみたいだ。前の言葉は撤回する。すまなかったな」
アキラの意外な態度にギンガとリインは驚いていた。そして、リインは少し笑ってアキラに言う。
「橘陸曹は…優しい方なのですね」
「あ?」
アキラは頭に「?」を浮かべる。そして、リインの言葉にギンガが笑って頷いた。
「そうでしょう?」
「はいです♪」
「???」
続く