とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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約二ヶ月振りでしょうか。中々上げられず申し訳ありません。小説が最近全く手付かずでした。三本ほど同時進行な上創作意欲というのはどうも色々なところに湧くもので………。これからも長い目で見ていただければと思います。デトネイション、楽しみですね


第十四話 行動

ここは聖王教会の一室。この部屋には普段は置いてないような子供向けのおもちゃや絵本などがおいてある。

 

その部屋にいるのはフランシスとアキラだった。

 

「お兄ちゃん…」

 

「…なんだ?」

 

「大丈夫?」

 

壁に寄っ掛かってただただ虚空を見つめるだけのアキラをフランシスが心配する。アキラはフランシスに近くに来るようにジェスチャーした。

 

フランシスが近くに寄ると、アキラはフランシスを膝の上に乗せて後ろから抱き締める。

 

「ちょっと大丈夫じゃないから………少しだけこうさせてもらっていいか?」

 

「う…うん」

 

「…」

 

「お兄ちゃん?」

 

「どうした?」

 

「痛くない?」

 

フランシスはアキラの身体に巻かれてる包帯を見て言った。アキラは頷く。

 

アキラがこんなところにいるのは一日前、アキラが目を覚ました時に遡る。

 

 

ー一日前ー

 

 

「話ってなんだよ。マリエルさん」

 

「うん…あのね?」

 

マリエルはポケットからなにかを取り出してアキラに見せる。

 

「なんだこりゃ」

 

ジップロックに入った、砂というか、灰のようななにか。

 

「これは、アキラ君が眠っている間にアキラ君の身体から出てきたもの…」

 

「…垢?」

 

「垢とかじゃなくてね…身体からこう……さらさらって…。最初は気にならなかったけど、何回か繰り返されてたから、なにかと思って調べてみたけどよくわからなかった。だから……詳しい人に聞いてみたの」

 

「詳しい人?」

 

「ウィード・スタリウ」

 

アキラは少し驚いたがそれだけだった。詳しい人物と言えば確かに彼が適任だ。

 

「そういやあいつはまだ檻のなかだったか」

 

「ええ。だから聞いてきたの。これはなにかわかるかって。そうして得た結果、これが今の話の本題。アキラ君。落ち着いてよく聞いて」

 

マリエルは急に表情を険しくした。そしてアキラの顔を真剣に見る。

 

「…なんだよ」

 

「あなたの寿命はあと3~4日よ」

 

「……なに…?」

 

アキラの声が強ばった。数秒後、アキラは立ち上がり、少しずつマリエルに近づく。マリエルはアキラのその様子に恐怖を覚えつつも真剣な表情を変えずにいる。

 

そんなマリエルをアキラは胸ぐらを掴んで引き寄せた。

 

「…おい、あんな野郎の言うことを信じるのか………」

 

「彼は嘘はついてない、嘘発見器もつけたしね」

 

「俺が死ぬのか?」

 

「ええ」

 

「あと3日で?」

 

「そう………彼曰く…」

 

マリエルが細かい理由を話そうとした瞬間、アキラがマリエルを突き飛ばした。

 

「ふ………ふざけるな!」

 

「痛…」

 

「な……んで…んなわけあるか!俺が……俺がギンガを助けなきゃいけないんだ!死ぬわけにはいかないんだよ!」

 

受け入れがたい事態に、普段冷静なアキラも焦っていた。何度も死にかけたアキラだがこんなところで死にたくはなかったのだ。

 

「気持ちはわかるけど…ほら」

 

マリエルはアキラの腕を指差す。アキラが自分の腕を見ると、腕からさっきマリエルに見せられたものと同じような質の灰がこぼれ落ちていた。

 

「……っ!」

 

アキラは元々生物兵器として作られた。そのため寿命は短かったのだがそれでも30~40くらいまでは生きる筈だった。

 

データを収集し、アキラのような生物兵器を量産できるまで生かせれるようにだ。だが、30、40まで生きれるのも調整を行われてこその話。調整なしならせいぜい生きれて10年ほど。調整もなしにアキラが今まで生きてこれたのはエクリプスウィルスが身体を生かそうとさせてたからだ。

 

そして、想定されていた以上の戦闘と死線でエクリプスウィルスで身体の崩壊が中和されていたとはいえ、アキラの身体は本当に限界だったのだ。むしろ今まで死んでなかったのが奇跡と呼べる程に。

 

さらに、再調整を行うにしてもウィードが必要な上、成功する確率は限りなく低いとのことだった。

 

マリエルがウィードから話されたことを話してくれたがアキラは上の空だった。

 

「とりあえず、これがすべて…。アキラ君の身体に起きてる事態…」

 

「…」

 

「アキラ君?」

 

「フランシスは…どうしてる?」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

その後、アキラは退院した訳ではないが治療をやめるように願い、フランシスが保護されている聖王教会に身を預け、現在に至る。

 

残りの寿命は約二日。アキラは明後日の夕方頃に灰になって消えるとのことだ。

 

アキラもう完全に脱け殻だった。敵と戦う気力も、時間もない。ギンガを諦めて彼女に良く似たフランシスの近くで短い余生を過ごすことにしたのだ。

 

そんな時、部屋の扉が開く。アキラが僅かに視線を動かして確認するとナンバーズ達がいた。心配して様子を見に来たようだ。

 

「アキラ…」

 

「…」

 

「話は聞いた……その、なんというか」

 

「…」

 

ナンバーズ達はチンクを先頭にぞろぞろと入ってきた。アキラはなにも言わない。

 

チンク達はアキラを励まそうとやって来た。しかし色々考えてきた筈なのに、アキラのこんな姿を見た瞬間声をかけ辛くなってしまった。

 

「お前たちだけでも」

 

「え?」

 

アキラが口を開いた。

 

「お前たちだけでも、無事でよかった…って言うべきなんだろうな」

 

アキラは僅かながら笑顔を見せつつチンクを見た。

 

「あ、ああ………その、ありがとう」

 

「…俺はもうあと少ししか生きれない。だから、お前らに挨拶にいこうと思ってたんだが、来てくれて助かった」

 

「そんな、縁起でもないこというな…」

 

「そうっス!案外気合いでいけるかもしれないッス!」

 

「ウェンディ」

 

確証もなし、励ましになるわけでもないことを軽々しく言ったウェンディをセッテが睨む。

 

「あ…ご、ごめんッス」

 

「いいんだ。俺も…ここで終わらせる気はない」

 

「え…?」

 

なにか不穏な言葉をアキラが口走る。そんなアキラの手には何かの装置が握られていた。

 

「アキラ…それは?」

 

いやなチンクはアキラが正常でないことに今さら気づく。

 

「ごめんな。兵器共」

 

アキラはこの言葉と同時に装置を投げた。既に怪しい雰囲気を察知していたノーヴェが装置を取ろうとしたがアキラの松葉杖に殴られ阻止される。

 

「アキラさん!あなたはなにを…」

 

「発動」

 

セッテが止めようとしたが遅い。装置が空中で開き、強力な電磁波を発生させた。

 

 

ー管理局本部 黙示録対策室ー

 

 

「なにも小此木さんが出る必要はなかったのでは?」

 

小此木が資料を漁っていると、助手のアストが話しかけた。

 

「ん?なにがだい?」

 

「先日の襲撃の件です。あれでは、敵に手の内をさらすようなものでは…」

 

「ははっ、なに。僕の能力が全て明かされた訳でもないんだし。それに僕以外にもファントムはいる。そんなに気にかける必要はないさ」

 

アストの悩みを小此木は笑って流した。そんな時アストの通信機に連絡が入る。

 

「あ、はい。こちら黙示録対策本部……ええっ!?」

 

「どうかしたのかい?」

 

アストは驚きを隠せない顔で小此木に報告する。

 

「聖王教会に保護されていたフランシスを除く戦闘機人及び、アキラ・ナカジマ隊長が行方不明…」

 

「…」

 

「それから…ウィード・スタリウが脱獄しました………」

 

小此木は軽く舌打ちをした。

 

「はぁ……予想以上に面倒な事態になったなぁ…。アスト、対策室所属のメンバーを収集。それからアリアにウィード脱走の手引きをした人物を突き止めさせてくれ。彼の脱走の目的によってはこの事件に大きく関わる」

 

 

ー会議室ー

 

 

 

今回の収集に集まったのはなのは、ティアナ、はやての三人とアリアを除いた本部の三人、合計六人だけだった。

 

「さてと、連絡は行き届いてるだろうから言うまでもないと思うが緊急事態だ。アキラ陸尉と戦闘機人は行方不明唯一無事だったフランシス君は今本部に移させてもらった」

 

「…」

 

なのは達は頷いた。

 

「こちらの戦力も先日の襲撃で減らされてる。だから次やつらがなにかを始める前にこちらから叩く。ナンバーズやアキラ陸尉もきっとクラウド達のところにいるだろう。彼らの救出を最優先にする。今こちらで動かせる部隊を最大限使って拠点を炙り出す!」

 

小此木が作戦を説明しようとしたとき、小此木の部下が飛び込んできた。

 

「申し上げます!」

 

「今度はどうした」

 

「それが…」

 

部下が懐から紙を取り出す。

 

「これが小此木さん宛に…」

 

「これは?」

 

小此木が折りたたまれた紙を開き、そこに書かれた文章を読んだ。

 

「…」

 

「小此木さん?」

 

「…すまないみんな。今回は作戦を中止する」

 

「え?」

 

なのはたちは少し困惑した表情を見せるが、上官の命令だ。何も言わない。なにより、小此木の表情が今は焦る必要がないということを物語っていた。

 

 

ー先日ー

 

 

此処で時系列はクラウドによるナカジマ家襲撃日まで戻る。アキラを撃退したクラウドはギンガとアリスを連れて自らのアジトへと戻る。アリスは泣き喚かれてはかなわないとクラウドがスリープ魔法をかけてギンガの腕の中で眠っている。スタッフで作られたポッドの中でギンガはただクラウドを睨みつける事しか出来なかった。

そして、クラウドのアジトにてギンガを出迎えたのはあの男だった。

 

「やぁ、久しぶりだね、ゼロ・ファースト。いや、ギンガ・ナカジマ君と言わないと彼に怒られてしまうかな」

 

「ジェイル・スカリエッティ…」

 

クラウドの協力者であり、先日刑務所から脱獄したジェイル・スカリエッティ。

 

「貴方達、やっぱりグルだったのね…」

 

ギンガの言葉にスカリエッティはほくそ笑む。

 

「目的が共通しているからね」

 

「目的?それって…」

 

スカリエッティが言った目的についてギンガが詳しく聞こうとするとそれよりも先にクラウドが答えた。

 

「管理局を潰す……正義と言う偽善を振りかざしているあの偽善者詐欺集団を潰して新世界を作る」

 

「ずいぶんな言われようね。あなたは何でそんな風に思うわけ?」

 

ギンガはあきれた様子で言っていた。目的があまりにも幼稚でありきたりに思えたのだ。

 

「もし、管理局が正義と言うのであれば、何故、お前やお前の旦那、お前の妹、そしてスカリエッティは存在している?」

 

「えっ?」

 

「クローンを作ることは管理局が禁止している。軍事的兵器を売買することもな。だがスカリエッティは最高評議会によって作られた。元々は優秀な脳を役立たさせるための計画だったが…だが管理局がクローンを作ったのは事実。それとも、よりよい技術を、頭脳を手に入れるためなら自分たちの創った法を破って良いとでもいうのか?」

 

「………」

 

「違うだろう?」

 

クラウドに言われたが、ギンガは何も言い返せない。

 

「それだけではない…」

 

急にクラウドの声が低くなる。

 

「あの組織は、自分たちが頂点に立つため、世界を管理するため他世界を蹂躙した」

 

「蹂躙?」

 

「ああ、私の世界の……私が生まれた村。そこでかつて黙示録の書は管理されていた。黙示録の書は既に世界にその名を轟かしていたが我々一族が封印し、管理していた。だが黙示録の書を管理しているという事実は他世界への大きな牽制になる事実だった。その事実、肩書を管理局は求め、我々の村を焼き、一族を抹殺した。そして、封印の技術と黙示録の書を奪っていった」

 

初めて見たときから冷静な感じのクラウドがこの時だけは歯を食いしばり、手を強く握りしめていた。だがギンガはそれよりもそんなことを管理局が行っていたことに驚いていた。

 

「そんな…」

 

「他の世界に置いては管理世界などと言って番号をつけ、その世界を植民地化して、その世界の原住民に対し自分達に都合の良い理想を押し付け、ロストギアの回収だとか言ってその世界に伝わる秘宝、文化財を根こそぎ奪っていく略奪行為、意にそぐわない世界に対しては制裁と言う名の侵略をする。これの何処が正義だ!?それに、お前の知り合いである八神はやて‥‥アイツの下僕たる騎士たちが起こした事件をお前は知っているか?」

 

「事件?どういう事‥‥?」

 

「理由があったとはいえ、他者を傷つけ、他の命よりも主の命を優先した。主の幸せのため?自分たちの幸せのため?どうあれ、たった一人の孤独の少女と世界の命を天秤にかけてしまった。奴らのせいで命を落とした者、魔導師として再起不能になった者が大勢居る。そんな奴等が今では管理局のエリートだと?被害者や遺族が見たらどう思う?しかも管理局はそんな奴等をエリートに据えておきながら、被害者や遺族たちには謝罪も賠償もない。なぜだかわかるか?そいつらに高い地位にいてもらえば管理局は安全だからだ。私の村の黙示録を奪った時と同じ理由だ。だから潰す。権力のためならば利用できるものを利用し、利用のための犠牲は厭わない。関係のない人間の犠牲もな。そんな奴らは…世界の頂点にふさわしくない」

 

クラウドはまるで革命家の様に管理局への反逆理由を次々とギンガに述べる。

 

「それにこれはお前の為でもあるのだぞ、ギンガ」

 

「私のため?」

 

「そうだ、管理局の禁忌とされる存在である戦闘機人のお前と橘アキラ…戦闘機人同士の間に生まれた娘……バケモノの子として周囲から扱われるかもな」

 

「そ、そんな事は……」

 

「『ない』と言い切れるのか?」

 

「……」

 

ないと言い切れない。知られなければ気にされることではない。だがアキラは管理局でも有名な隊長。経歴も案外簡単に調べれる可能性もある。知られれば…。

 

ギンガ自身、自分が戦闘機人である為、周囲から奇異の目で見られた事もある。アキラと付き合う前の彼氏がその典型だった。アリスは戦闘機人ではないが、戦闘機人同士の間で生まれた子供の為、バケモノの子として言われるかもしれない。

 

「まぁ、管理局を潰し、我々が作った新たな世界ではそのような事もない。戦闘機人も人造魔導師も全てバケモノの子ではなく、人間よりも優れた人種である事を証明し、その者達の為に優しい世界を作る。戦闘機人は、強化人間は、化け物ではなく人より優れた種として、ただの人は劣等種として…な」

 

「だったら、なんで戦闘機人であるアキラ君を‥‥」

 

「奴はただの戦闘機人ではない。異端の存在どころか一人で国一つ滅ぼしかねない化け物になりかねない。スカリエッティの時にも裏切ったことがあるからな。スカリエッティが提案したことにも奴は賛同しなかった。だから奴は不要…いや危険だから排除しようと思ったんだが…冥王の鎧を使っても私にかなわないのであれば殺す必要もあるまいと今は生かしておいた。もっともヤツがあのダメージで生きていればの話だがな‥‥」

 

「だったら、私だって貴女の言う世界なんて認めない!!それにアキラ君はきっとまた立ち上がって来る!!私を、私達を絶対守るって誓ってくれたんだから!」

 

ギンガは声を荒げた。彼女にしては珍しい反応だ。

 

「やれやれ、育ての親が管理局員だと難儀な性格に育ってしまったな‥‥。やはり、あの夫婦に任せたのは間違いだったか‥‥このままでは私の孫のアリスも管理局に妄信してしまう。‥‥だが、私の作った新たな世界に身を置けば、その考えも変わるだろう」

 

アリスの祖父はゲンヤであり、祖母は故人であるがクイントだ。アキラには血の繋がり、DNAの繋がりがある家族が居ないので、父方の祖父母なんて存在しない。それにもかかわらずクラウドはアリスの事を自分の孫だと言う。

 

「アリスが貴女の孫?何を言っているの?」

 

「お前の育ての親はあのナカジマ夫妻であり、お前の誕生元になったDNAデータはクイント・ナカジマだ。だが、お前達姉妹‥そしてお前の妹とも言えるゼロ・ナンバーズを作ったのは私だ」

 

「…………だから、あなたはこの子が孫だって言いたいわけ?」

 

驚きながらもギンガは返した。

 

クラウドが言う事が事実ならば、確かにクイントのDNAデータと育ての親がナカジマ夫妻であるが、この世に自分達を生み出したとなればクラウドが確かに生みの親であり、戦闘機人の理論を生み出したのがスカリエッティなので、ギンガ達の本当の親はスカリエッティとクラウドと考えることも可能だ。

 

「ああそうだ。私はお前たちを娘のように思ってるし、アリスを孫同然に見ている。…………ずっとこの作戦のための準備に明け暮れていたからお前たちがここまで成長するのを影で見ているしかなかったが………ずっとお前たちを心配していた。特にお前が始めてフられた時なんかはあのフった男を殺そうとしたがな」

 

「だとしても私はそれを認めない。そう思いたいなら勝手にそう思ってて。少なくとも血のつながりはないんだから」

 

「強情だな」

 

ギンガは口ではそう言っていたものの頭の片隅にそれが残る。クラウドの目はそれを見透かしているような目だ。

 

「まぁ、その子の親権だのなんだのには私は興味がないがね。しかし、戦闘機人同士の間で生まれた子供‥‥実に興味深いねぇ~」

 

スカリエッティはギンガの腕の中で眠るアリスを怪しげな目で見る。

 

「この子には指一本触れさせないわ!!」

 

スカリエッティにアリスを預けでもしたら何をされるのか分かったモノではない。ギンガはアリスを守る様に両腕でアリスを覆い、スカリエッティとクラウドに少しでもアリスの姿が見えないように背を向ける。

 

「スカリエッティ、いくら興味深い存在でもその子に変な事をすれば私とて、貴様の身の安全は保障できんぞ」

 

「ハハ、クラウド君にそう言われては仕方がないか」

 

クラウド自身はアリスを研究対象とは見ておらず、スカリエッティに対して手出し無用と釘をさす。そこへ、市街地を襲撃したゼロ・ナンバーズの戦闘機人達が帰って来た。

 

「あっ、スカリエッティ!!コイツ全然使えなかったよ!!おかげであの執務官を殺れなかったじゃん!!」

 

市街地にてフェイトの相手をしたナインスが帰ってきて早々、スカリエッティに噛みつく。ナインスはサードを‥正確にはサードの肩に担がれている人物を指さす。サードの肩には意識が無いのか、ぐったりとしたスバルが担がれていた。

 

「スバル!!貴女達、スバルに一体何を!?」

 

意識を失い、ぐったりとしているスバルの姿を見たギンガはまたもや声をあげる。

 

「此方の戦闘員の数が少々不足していてな、心苦しいが、彼女にも我々に協力してもらっている。彼女の本気の戦闘能力は非常に高いからな」

 

サードがスバルを担ぎながらギンガに言う。スバルが自分の意志でクラウド達に協力するとは思えない。その事から今は意識を失っている様だが、連中はきっとスバルを洗脳して無理矢理戦わせているみたいだ。

 

「くっ、私も洗脳して無理矢理従わせるつもりなの?」

 

「いや、お前にはその子の面倒があるからな、お前はあくまでも我々のゲストだ。大人しくしていれば悪いようにはしない。サード、セカンドは修復と再調整をする。メディカルポッドの中に入れておけ」

 

「了解」

 

サードはスバルを肩に担いだままギンガの前から消えようとする。

 

「やめて!スバルをこれ以上兵器として扱わないで!」

 

ギンガはスタッフで作られたポッドの中から叫ぶが、サードはギンガの叫びを無視してそのままスバルを連れて行った。

 

「くっ‥………ごめんなさい…スバルゥ…」

 

ギンガは目の前で連れ去られたスバルを助け出す事が出来ない自分に無力を突きつけられ、アリスを抱いたままポッドの中で項垂れる。その様子にクラウドは一瞬表情を曇らせる。

 

「さて、ゲストにはゲストなりの待遇を用意しよう」

 

クラウドはギンガが入ったポッドごと移動し、アジトにある一室に連れて行く。クラウドの護衛の為か、ゼロ・ナンバーズの戦闘機人が数名ついてくる。

 

「お前の為に用意したゲストルームだ。お前の生活に必要な生活物資の他に子育てに必要なモノも用意してある」

 

クラウドはギンガをアジト内にあるゲストルームへ案内した後に彼女を閉じ込めていたポッドを解除する。ギンガの為に用意されたゲストルームは生活に必要な家具家電があり、その他にもアリスの為に用意されたベビーベッド、ミルクにオムツ、オモチャの類があり、トイレにお風呂、キッチンも設置されていた。それにギンガとアリスの為の着替えの服も用意されていた。まるでこのアジトの内部にマンションの一室をまるまる一つ持って来たような感じだった。

 

「まぁ、先ほども言ったが大人しくしておくことだな。その赤ん坊や妹であるセカンドが大事であるのならな」

 

確かにクラウドの言う通り、アリスが居るこの状況下でアリスを守りつつ、スバルを助けてこのアジトから脱出するなんて不可能だ。クラウドやゼロ・ナンバーズ、そしてスカリエッティが居るのであれば、彼と共に脱獄したトーレやクアットロもきっとこのアジトに居る筈だ。数においても戦力においても相手の方が断然上だ。

 

「‥‥」

 

ギンガはアリスとスバルの二人を実質人質に取られてしまい下手に動けなかった。

 

しかし、ギンガは信じていた。アキラが助けに来てくれることを‥‥。

 

 

 

ー研究所ー

 

 

とある街の離れにある研究所。そこでアキラは夜空を眺めていた。

 

「待ってろギンガ……………必ず助ける」

 

 

 

続く

 

 

 

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