とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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二ヶ月ぶりです。なんとか11月前に出せてよかったです。なのはデトネイションおもしろかったですね。おもしろかったという次元を越えたような気もします素晴らしかったです。そんな劇場版に影響され、久々にイノセントのほうも投稿したのでよかったら見てやってください。投稿が遅れて申し訳ありませんでした。

感想お待ちしてます


第十五話 宣戦

陸士108部隊

 

 

 

108部隊では先の襲撃で多くの損害を出した。しばらくはまともに隊として運用するのも難しいだろう。そんな慌ただしい隊舎の入り口に怪しい影が忍び寄った。クラウドだ。ギンガを手に入れたクラウドは本格的な進行を始めるため、108を襲撃にきたのだ。

 

「…………」

 

入り口の自動ドアが開き、小さな足音が入ってきた。108の受付係がそれに気づく。

 

「お前は!」

 

近くの警備係がすぐに動き、デバイスを構えた。

 

「止まれ!」

 

「ふ………。やれやれ全く。力量というものを知らんのか貴様らは」

 

クラウドが腕を前に向けると警備隊員に向かってスタッフの触手が高速で飛び出し、警備隊員を吹っ飛ばした。それを見た受付は机の下に設置されている緊急通報ボタンを押した。それを押せば警報が鳴り、陸の管理局本部にも連絡が行くようになっている。しかし………

 

「………?」

 

警報は鳴らない。繰り返しボタンを押すが反応はない。

 

「無駄だよ」

 

受付の背後で声がした。振り向くと、何時の間にかフィフスが立っていた。

 

「以前お邪魔した時にここのシステムは完全に私の制御下になるように改善させていただいたので」

 

にっこりと笑い、フィフスは受付を幻術の応用で気絶させた。それを確認するとクラウドは再び歩き出した。

 

「九番からの連絡通り、今ここは手薄のようだな」

 

「止まれ!それ以上動けば攻撃を開始する!」

 

だが歩き始めてすぐ、近くの廊下で数人の魔導師が立ちはだかった。なるべく騒ぎに鳴らないうちに済ませておこうとしたクラウドはしかめっ面でフィフスに尋ねる。

 

「どうなってるフィフス。カメラも警報もジャミング済みではなかったのか」

 

「…………おかしいな」

 

「警備には各隊員に通達できる小型の連絡装置がある………。我々を出し抜こうとしてもそうはいかんぞ!」

 

魔導士が叫ぶ。それと同時にクラウド達の背後にも魔導士達が現れた。完全に挟まれた………が、クラウドの表情に変化はない。むしろ不安そうな表情をしているのは108の魔導士達だ。彼らもクラウドに勝てるとは思ってはいない。だからといって逃げるわけにもいかない。

 

「…………はぁ。結局こうなるのか。できれば何事もなく終わらせたかったのだが……やれ」

 

「御意」

 

クラウドの合図と同時に魔導士達の背後にサードとシックスが現れ、一瞬にして魔導士を蹴散らした。当然だが彼女たちの戦闘能力は並の魔導士たちに抑えられるようなものではない。

 

「無駄だとわかっていながら………なぜお前たちはこうも…」

 

クラウドの言葉に一人の魔導士が立ち上がる。

 

「我々は…………アキラ隊長に教えてもらったんだ…」

 

「?」

 

「例え勝てない戦いでも、市民を…仲間を最後まで守るのが我々の使命………歯が立たないからといって仲間の避難が完了するまで背を向けるわけにはいかない!」

 

最初に吹っ飛ばされた警備が送った信号により、108の非戦闘員は裏口からの避難を始めていた。今クラウドと戦っている魔導士達は避難完了までの時間稼ぎをしていた。

 

「……………」

 

「その避難してる仲間ってこいつみたいなやつのこと〜?」

 

魔導士の前に突然フォースが現れ、傷だらけになった非戦闘員の108の隊員を目の前に落とした。

 

「!」

 

「残念ながら私たちの姉妹がすでに裏口側に回り込んで逃げ出した兵士たちは全員捕らえさせてもらいました。無駄な努力でしたね」

 

サードが魔導士に伝え、その魔導士を武器の槍の持ち手で吹っ飛ばす。魔導士は気絶し、それで108の部隊員は全滅した。前回の出撃で、兵士に多くの死傷者が出たため108は本当に手薄だった。

 

「フォース、ゲンヤナカジマは捕らえたか?」

 

「うん。こっち」

 

ーオフィスー

 

フォースに案内され、クラウド達はオフィスについた。そこにはゲンヤを始め、非戦闘員達が集められている。先ほどフォースがボコしたのは見せしめであり、他のメンバーはあまり傷はなかった。

 

「よぉ……お前さんが今回の事件の首謀者さんかい?」

 

椅子に縛り付けられた状態でゲンヤがクラウドに聞いた。

 

「…………ゲンヤ・ナカジマだな」

 

「ああ」

 

クラウドはゲンヤの前に立ち、話を始める。

 

「聞かれそうなことは先に答えておく。ギンガ・ナカジマは無事だ。洗脳等も行っていない。孫も無事だ」

 

「そりゃ安心した」

 

「我々はこれからここを拠点とし、管理局に宣戦布告をする。部下と自分の命が大切なら変に暴れないことだ。少しでもおかしな真似をすればまずお前を切り刻む」

 

「……」

 

「質問はあるか?」

 

ゲンヤは黙って聞いてたが、一つだけ疑問があった。

 

「なんでこんなことする?」

 

意外な質問だったのか、クラウドは少し驚いた表情をした。

 

「…」

 

「復讐だ。私の村を焼いた管理局への」

 

「本当に管理局がそんなことをやると思うかい?」

 

ゲンヤの言葉にクラウドは一瞬表情を曇らせる。

 

「事実だ。すでに数百年の時が経っている事件だが、証人は私自身だ」

 

「あん?」

 

今クラウドは数百年といった。

 

おかしい、とゲンヤは感じた。クラウドはどうみても10歳かそこらの少女だ。何故数百年の事件の証人だと言えるのだろうと。

 

「ふん、貴様が今眉間にシワを寄せている理由など大体想像がつく。私がまだ幼い子供に見えるのだろう?理由は簡単だ。お前も聞いたことがあるだろう?ジーンリンカーコアというのを」

 

「なるほど…年齢だけなら俺以上ってことか」

 

「そうだ。さて、他に質問がなければ宣戦布告を開始する」

 

「…ご自由に。俺にゃいまなんもできねぇからなぁ。ただ、約束は守ってくれよ。おかしな真似しなきゃ部下にも手は出さないと」

 

「もちろん」

 

そこに、フィフスがやってくる。

 

「クラウド、放送の準備できたよ」

 

「うむ、ご苦労」

 

 

ーミッドチルダ街中ー

 

 

午後2時、ミッドチルダの街のケータイ等個人の機器を含めたすべてのモニターがジャミングされ、クラウドが映し出された。

 

『ここミッドチルダに住まう、すべての人類、そして管理局員に告ぐ。これはテレビでもドッキリでもない。私の名前はクラウド。数百年前存在した…管理局に焼かれた村の村民の一人であり、ここ数日起きた襲撃事件の首謀者だ。私は管理局、貴様らに宣戦布告を行わせてもらう』

 

街中はざわつく。人々の反応は様々だ。本気で心配する人もいればいつも通りの生活をしている人もいる。

 

ー管理局地上本部ー

 

「なんだこれは!今すぐ放送を止めさせろ!」

 

「ダメです!街中どころか、この本部全体のシステムもジャックされてます!」

 

『まぁもちろん急に言われても信じることは出来ないだろう。そこで私が本気だということを証明するために…陸士108部隊を制圧、占拠させてもらった。この先ミッドチルダに点在している陸士部隊は順に潰させてもらう。我々には交渉等する気はない。これは管理局への復讐だ!戦争だ!』

 

「…」

 

『だが、一般人諸君。お前たちが巻き込まれるのは快く思わないだろう。明日の12時まで待ってやろう。それまでに避難なりなんなりするといい。次は私が頂点に立つその時の大事な国民だからな』

 

放送が終わった。当然これは管理局次元本部にも流れている。本部では上への連絡に来ていた小此木が頭を抱えていた。

 

「やれやれ…まさかここまで大々的に放送してくるとは………奴さん、かなり本気で管理局を潰す気なのかな…」

 

 

 

「小此木君。これより我々管理局は本格的に部隊を動かす。現場の作戦指揮を君に任せよう。場合によっては『F1』の出撃も検討する。その権利も君に渡しておこう。すぐ地上の方に戻りたまえ」

 

「了解。先に地上に指示をしておきます」

 

小此木は地上に戻ってすぐ作戦を開始できるように、作戦をすぐ考え、その準備を地上に留守番させてきた助手のアストに連絡を入れておいた。

 

 

 

ー地上本部ー

 

 

地上本部のアストはアキラが起こした騒ぎに巻き込まれたフランシスのお見舞いに来ていた。アキラが妙な装置を使ってナンバーズ全員をどこかへ連れて行ってしまったがフランシスだけは残されていた。一応身体に異常はないか本部で精密検査を受けていたのだ。

 

「フランシスちゃん、調子はどう?」

 

「大丈夫です…ありがとう……ございます」

 

その時小此木から作戦準備の連絡がきた。

 

「ん?小此木さんから…」

 

アストはフランシスの前で作戦準備命令のメールを開く。フランシスはそのメールをを見て首を傾げる。

 

「お仕事?」

 

「ん?ええ、そうね。フランシス、来たばっかりなのにごめんなさい…。ちょっと行かなきゃ」

 

アストは立ち去る前にフランシスの隣のカーテンで仕切られたベッドに向かった。カーテンの向こうには全身を包帯で巻かれ、今も意識が戻っていないシノブがいた。

 

「頑張ってくださいね」

 

アストは小さくつぶやき病室を後にした。

 

 

ー十数分後ー

 

 

次元管理局本部から戻ってきた小此木と合流したアストはさっそく小此木に現状を聞かれる。時間短縮のために歩きながら二人は話す。

 

「準備はどうだ?」

 

「命令通り、本部の陸士隊と他地域の陸士隊を集めて配置につかせました。すぐにでも作戦を開始できます」

 

「極秘に進めといただろうな」

 

「問題ありません」

 

「わかった」

 

小此木とアストは作戦指揮室に入る。小此木は指揮官席に座ると周りのオペレーターに指揮をする。

 

「待たせた。今から作戦を開始する。奴らが住民の避難を待っている今がチャンスだ。一気に仕掛ける。各配置場所から108に一斉に突入、人質の隊士たちを奪還してひとまずは引き上げる。その後結界を展開し、高町なのは、八神はやて、その守護騎士たち、そして僕たちが結界内に入る。それで終わらせる。OK?」

 

「「「了解」」」

 

説明を終えた小此木は出撃準備のために席を立ちあがった。

 

「作戦開始!」

 

そう叫んだと同時に指揮をアストに任せ、部屋を出ようと瞬間、通信先から断末魔が聞こえた。

 

『うわぁぁぁ!!!』

 

「!?」

 

次は爆発音。

 

「何事だ!!」

 

『こちら突入部隊!何者かのこうげk』

 

声が途切れた。

 

「四か所に配置した突入部隊全てが襲撃を受けている模様!」

 

「何が起きている…?」

 

小此木が困惑しているとき、作戦指揮室の大画面にクラウドが映る。

 

『こちらがわざわざ待っているんだ。貴様らも待ってもらわないとな。お前の動きなど手に取るようにわかる。兵士たちは今回殺さずに帰してやろう。だから明日の12時まで待て。もしまた仕掛けてくるのであれば、その時は確実に殺すぞ』

 

それだけで画面は消えた。小此木は再び頭を抱える。

 

「こちらはあちらの掌の上ってことか…。アスト、もう一度兵士を集める。人質が殺されてしまっては元の子もない。防御を固めよう」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

続く


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