とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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お久です。皆さんクリスマスは楽しかったですか?僕は大学のテストとその勉強でしたが、サンタさんは遅れながらも来てくれましたしギンガとディナーにも行ったので楽しかったです。クリスマススペシャルやろうと考えていたのですが時系列的に無理があったので断念しました。

またお正月スペシャルでも書きましょうかね?

では19話お楽しみください。


第十九話 流星

ー南西部ー

 

 

「ちょっと待ちぃ!」

 

「そういわれて待つと思う!?」

 

ナインスとはやての空戦、というか鬼ごっこは続いていた。ナインスは大量召喚やサポートを得意とするが、サシでの勝負、そもそも攻撃を得意としなかった。そのためとにかく逃げまわる。飛行型のガジェットを度々召喚し、はやての手を止めさせていた。

 

(たくっ………エイトスのやつ何やってんだ…)

 

ナインスははやての追撃を避けながら何かにイラついていた。

 

「くっ!…あの機械龍が邪魔や…機動力がえげつない……。しゃーない」

 

はやては飛行を一旦やめ、足元に魔法陣を展開する。

 

「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ…フレースヴェルグ!!」

 

本来なら制圧に使われる、はやてが所有する魔法の中でもかなり最大規模の殲滅魔法だがいまこの召喚魔導士であるナインスを仕留めなければ劣勢なる一方だと感じたはやてはこの魔法を使った。

 

しかもただ打つだけでなく、一点に収束したフレースヴェルグのエネルギーを誘導性付きで飛ばした。

 

「くっ!しつこいって!」

 

はやては魔力弾のコントロールに集中しているので動けないがナインスは巨大な魔力弾を躱すので精一杯だ。だがはやての狙いは収束した魔力弾を当てることではない。

 

「この!」

 

反転回避するときに機械龍のスピードが一瞬ゆるくなるタイミング、そこを狙ってはやては魔力弾を爆裂させた。

 

「今や!!」

 

「!!」

 

あたり一帯を一気に制圧する程の魔力が塊となり、それが至近距離で爆裂したとなるともちろんナインスも機械龍も無事では済まない。無数の魔力弾に撃たれたナインスと機械龍はそのまま落ちていった。

 

「はぁ……はぁ……普段こないなやり方せぇへんから疲れたわ…」

 

集中力をかなり使ったはやては一度深呼吸をし、ナインスの落下地点に向かった。

 

「!」

 

だが落下地点にナインスの姿はなかった。ボロボロになった機械龍が倒れているだけだった。

 

「いったいどこに…」

 

 

 

別地点でナインスは目を覚ます。

 

「うう…」

 

「無事ですか?」

 

ナインスはサードに抱えられ、戦線を一旦離脱していた。

 

「サード!」

 

「ええ、私です」

 

はやてに撃たれた瞬間、サードが高速で助けてくれたことを理解すると同時にナインスはサードは額から血を流していることに気づく。

 

「サード……それ…」

 

「お気になさらず。少し油断しました」

 

「そう…」

 

「私より、自分の心配をしなさい。あなたはこの作戦の要なのですから」

 

「そうだね…」

 

「あなたはもう引きなさい。私が…いえ、皆がルーラーアーマーを起動させて管理局を可能な限り潰します…。すでにトーレは解放したようですし」

 

サードはなのはとトーレが戦っている方面を見て言った

 

 

 

ーなのはVSトーレ方面ー

 

 

 

なのははスターライトブレイカーをほぼゼロ距離でトーレに撃ち、その爆風に巻き込まれてダメージを負いつつも何とか飛んでいた。

 

「はぁ………はぁ、はぁ…。大丈夫?レイジングハート」

 

『なんとか』

 

「トーレは…」

 

なのははあたりを見渡すがトーレの姿はない。

 

「撃墜した…?」

 

「なるほど…いまのは中々効いたぞ」

 

トーレの声が上空から聴こえた。なのはが上を向くと、そこには黒紫の鎧を装備したトーレが立っていた。その体にはなのはのスターライトブレイカーによるダメージ等感じられなかった。

 

「あと少しこれの展開が遅ければ…さすがに危なかったぞ」

 

「ルーラー…アーマー」

 

「それでおしまいか?ならば今度はこちらの番だ!!」

 

「!!。カードリッジロー…」

 

次の瞬間、なのはは道路を貫通し地下街の地面に叩きつけられていた。なのはの反射神経も、レイジングハートのレーダーも反応できない速度でトーレがなのはを殴り飛ばしたのだ。

 

「がは!!」

 

「ふぅ…これがこの鎧の力か……」

 

(これは…さすがにまずいかな……体に力が入らない…意識が朦朧としてる……。魔力を消耗しすぎた…。バリアジャケットの維持ができない…)

 

なのはの予想通りバリアジャケットが解除された。体への蓄積ダメージが多く、スターライトブレイカーに魔力を使いすぎたのだ。何よりも決定打は今の一撃。ただでさえ強化されたトーレに加えてルーラーアーマーの強化によりその強さは制限されているとはいえなのはを超えたのだ。

 

「エースオブエース…高町なのは…もう終わりだ。死ね!!!」

 

トーレが完全に無防備になったなのはに突撃し、その心臓を貫いた。なのはの口から血が噴き出し、それがトーレの顔に飛び散った。

 

「がっ…あぁぁ…………」

 

(ヴィヴィオ……フェイトちゃん…みんな……ごめ…)

 

薄れゆく意識の中で思ったのは家族や仲間のこと。それらに対しての謝罪だった。

 

「さらばだ…エースオブエース」

 

 

 

 

 

 

刹那、なのはに迫ったトーレの拳を誰かが止めた。

 

「危ない…」

 

「!?」

 

トーレとなのはは困惑する。

 

「え…?」

 

「何が…」

 

確かに今、トーレはなのはの心臓を貫き、なのはは死んだはずだった。その記憶は確かに二人の中にある。だがなのはは生きている。死んではない。そもそもトーレの拳がなのはに届いていない。

 

そしてトーレの拳を受け止めたのはリュウセイだった。

 

「悪いな高町なのは。お前はまだ死んでもらうわけにはいかない」

 

「なにが…起きている?貴様が…なにかをしたのか?」

 

トーレはとりあえずリュウセイと距離をとった。その上でリュウセイに聞いた。

 

「なんの話だ?」

 

「……」

 

(本当になにも知らないのか……何かしたのか…いや、そんなことはどうでもいい)

 

「まぁいい。殺せなかったなら再び殺すまで。貴様と高町なのは。二人とも死んでもらう」

 

「ああ。「ヤツ」が戻ってくるまで少しの間、俺がお前の相手をしよう」

 

息まいていたものの、トーレは警戒心を上げていた。トーレは一度だけリュウセイに会っている。スカリエッティのラボで突如出現したリュウセイと戦闘をしたのだ。その時は全く敵わず敗北ともいえる結果になっていた。

 

(……果たしてこいつに勝てるのか…)

 

突如現れたリュウセイになのはは驚きながらも彼のことを見ていた。

 

(白い髪に…甲冑……ウィード事件でギンガが言ってた人って…もしかしてこの人?)

 

リュウセイにあったことがあるのはアキラ、ギンガ、フェイト、セッテ、トーレ、スカリエッティだったがなのはは二回ほどリュウセイの話を聞いていた。

 

最初はウィード事件で記憶を失ったギンガが拒絶結界を突破するアイテムを持ってきたとき、二回目はウィード事件の後に、フェイトがそのような人物にあったと話してくれた時だ。

 

「行くぞ!!!」

 

トーレがISを発動させてリュウセイに突貫した。

 

「…」

 

リュウセイは以前のように手を前に出し、手のひらから魔力衝波動を放った。トーレは衝波動をモロにくらい、壁に叩きつけられる。

 

「がぁ…!?」

 

「まっすぐな攻撃だな。まぁそれがお前の信条ってやつなのかもしれないが」

 

(馬鹿な…今の私のパワーをここまで軽々と…)

 

トーレの今の性能はノーマルでもかつてのライドインパルスを発動させている状態以上の出力だった。それをリュウセイは赤子の手を捻るかのように吹っ飛ばしたのだ。

 

「どうした…そんなもんか!」

 

リュウセイはもう片手から衝波動を放った。それによりトーレの身体からミシミシと音がする。

 

「が……あぁぁぁぁぁ!!ライドインパルス!!」

 

トーレはライドインパルスを発動させ、何とか衝波動から抜け出した。

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

さらに抜け出した勢いのままリュウセイの背後に回り、拳をぶつけようとしたがリュウセイが直前に出現させたザンバーモードのバルディッシュで防いだ。

 

「!?」

 

「バルディッシュ!?」

 

バルディッシュはひとりでに動き、トーレの拳を弾いてそのまま消えた。

 

「レイジングハート」

 

更にリュウセイはレイジングハートを出現させ、ブラスタービットを12基出現させる。

 

「なっ…」

 

「嘘…」

 

その光景に、リュウセイの所業になのははただただ驚くことしかできていない。

 

「ディバインバスター」

 

リュウセイが手に持っているレイジングハートを合わせて計13門のディバインバスターが放たれた。トーレはそれを上空に避難して何とか躱すが、高速で追撃に来たブラスタービットのバインドに捕まった。

 

「ぐっしまった…」

 

「レヴァンティン」

 

リュウセイがレヴァンティンを出現させ、連結刃モードでトーレを捕獲し、そのまま地面に叩きつけた。

 

「ぐあ!!」

 

「一気に行くぞ」

 

リュウセイはエリオのストラーダ、バルディッシュ、チンクのスティンガー、グラーフアイゼン、クロスミラージュを自身の周りに出現させ、それらを一気に投擲した。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

トーレは様残な武器たちに傷つけられていく。

 

「おまけだ」

 

さらにリボルバーナックルを二つ出現させ、それをロケットパンチのように飛ばした。トーレは避けようとしたがリュウセイの出現させた武器たちは彼の思い通りに操られ、トーレは数発殴られた後に両腕分のリボルバーナックルに同時に殴られ吹っ飛んだ。

 

「ぐぅ…」

 

(避けられる…スピードのはずだ……だが、的確に死角と移動位置が読まれている…)

 

「お前はなんだ…」

 

素朴な疑問だった。トーレからはまだリュウセイは本気を出してないように見えた。それどころか、一撃目、それを防がれた瞬間トーレはリュウセイと目があった。その時、直感が彼女に伝えた。

 

 

この男には勝てない

 

 

と。

 

思えばおかしいところまみれだ。自分にはたしかに高町なのはを殺した記憶があるのにそれが実現していない。他者の、それもバルディッシュのような特別製のデバイスを含め複数の武器を操る魔法など聞いたことはない。ルーラーアーマーの力有りで自分の動きを封じる程の力など見たことがない。これほどの力を持っていながらどこの組織にもデータもなにもないのはありえない。

 

「俺か?俺は世界の管理人だ」

 

「ふ…神かなにかとでも言いたそうだな」

 

「神……か。本当にそうだったらどんなに良かっただろうな」

 

「なに?」

 

「…まぁいい。さぁ、もう来ないのか?」

 

「くっ…なめてくれる」

 

トーレは飛行魔法を使った戦いをやめ地に足を付き、拳を構える。

 

「エアッ!ブラスト!」

 

「!」

 

トーレの拳から放たれた風圧が、一瞬リュウセイの身体の動きを止めさせる。その一瞬でリュウセイとの間合いを詰め、インパルスブレードをリュウセイの首に向けて振った。

 

「…」

 

「ぐ…っ!」

 

「小細工程度で俺は倒せない。それくらいわかるだろ?」

 

リュウセイは気づけばトーレの背後に回りトーレの腕を掴んでいた。

 

トーレはすぐに次の手に移行しようとしたがリュウセイの魔力波の塊のようなものを当てられて拘束されている。

 

「か…身体が」

 

「飛べ」

 

リュウセイはそのまま手を上に上げるとその動きに合わせてトーレは空中に持ち上がる。

 

「貴様…」

 

「ふっ!」

 

リュウセイは手を思いっきり左へ振る。するとトーレも同じように左側へ飛んでいき、進行方向にあったビルの壁を貫きながら強制的に移動させられた。

 

「ぐぅ!」

 

「おぉ!」

 

さらに手を右、右から戻して下へ振るとトーレはその通りに動き地面に叩きつけられた。

 

「がぁ!」

 

「とっ……少し物理ダメージが多すぎたかな」

 

リュウセイは拘束している魔力波を解除し、緑色の魔力球を手の上に生成し、それを上空に投げた。

 

「コンフォート」

 

緑色の魔力球は上空で弾け、なのはとトーレの上に降りかかる。

 

「これは…」

 

「傷が癒えていく……それに魔力も…」

 

なのはとトーレの魔力が回復していき、傷が治っていった。広範囲にわたる回復魔法の行使、これも高等魔法のひとつだ。

 

「どういうつもりだ…?」

 

「勘違いするな。お前を倒すのは俺ではないってだけだ。少しおとなしくしてろ」

 

リュウセイが手を上に振ると、なのはとリュウセイ以外の世界の時間が止まった。

 

「ふぅ……高町なのは」

 

時間を止めたリュウセイはなのはのもとに歩いて行った。なのはは若干リュウセイに恐れながらも返事をする。

 

「あ……はい」

 

リュウセイはなのはの胸の前に手をかざし、小さめの魔法陣を展開する。

 

「…ずいぶん無理をしていたみたいだな。リンカーコアがボロボロじゃないか。出力は15%ほど下がっているだろう」

 

「…」

 

なのはは小さく頷く。なのはは周りにはJS事件の無茶はリンカーコアの出力が7%減っていると言っていた。検査をした人間には口止めをして。

 

「俺が良いと思うレベルに修復してやる。ちょっと待ってろ」

 

リュウセイの指先から光る触手が伸び、なのはの胸の中に入っていった。最初はいったい何なのかわからずなのはは少し驚いていたが、すぐにリンカーコアが修復されいる感覚が分かった。

 

「あなたは…何者?なんで……こんな力を」

 

「俺は世界の管理者だ…それ以上知る必要はない。お前が、俺を覚えている必要も」

 

「え?」

 

「とにかく、今は身体を休ませろ。お前はまだ死ぬのには早すぎる」

 

「さっき…私はたしかに死んだ……死に際に思ったことも、胸を貫かれたことも覚えてる。あなたが…私を蘇らせた……の?」

 

ありえない話だ。人間を甦らすなど不可能、いや、不可侵の領域だ。だが、時間を止める魔法も、他者のデバイスを使う魔法も、見たことも聞いたこともない。この男なら、やりかねない。

 

「少し違うな…まぁ不可能ではないが。「時間を巻き戻した」だけだ」

 

「…」

 

なのはは言葉が出なかった。次元が違いすぎる。

 

そうこうしているうちになのはのリンカーコアは回復し、出力減少は本人が言っている通り7%にして。

 

「さて、お前はトーレと半ば相打ち状態で戦いをしていた。そういうことにする」

 

「え?」

 

リュウセイはレイジングハートを取り出し、ディバインバスターを時間が止まっているトーレに向かって打った。だが砲撃は途中で止まる。

 

「じゃあ、奴が来るまで頑張れよ」

 

「ちょっと…」

 

なのはがリュウセイを止めようとしたとき、時間が動き出し、リュウセイも消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

トーレはディバインバスターをもろに食らう。だが、食らいながらもその砲撃の中で前に進み、なのはに殴り掛かる。

 

「おぉぉぉぉ!!」」

 

なのははレイジングハートでトーレの拳を受け止める。

 

「くぅぅぅ!!」

 

そのままなのはは後ろに押されながらもそのまま空中に飛び、砲撃の雨を降らす。トーレは砲撃の隙間を縫いながらなのはにその特攻していく。

 

本気で戦っているなのはとトーレの記憶には、リュウセイの記憶はなかった。二人とも「ほぼ互角に戦っていた」。そんな記憶しかなった。

 

 

 

 

続く




次回、あの男が奴と一緒に戻って来る…。

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