とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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あけましておめでとうございます。久しぶりの投稿は少し短いです。もう少し戦闘描写入れたかったのですが…時間の関係上削りました。ここからがこの事件の最終章突入です。さぁ!気合い入れていくので平成の間には終わります!








たぶん!


第二十話 帰還

「A to Z計画」、それは26体の試作生物兵器を開発し、それを実践へ投入、そこで得られたデータから新たな生物兵器を開発する計画。この計画のミスは突然研究所が上から新たな2つ実験兵器を試すように命じられたこと。新たな実験体を開発する予算はなく、マイティタイプとして開発されていた実験体「A」、後の橘アキラに実験兵器を与えたこと。Aは実験中に暴走し、研究所は壊滅した。だがそれと同時に計画の中の24名は死亡した。AとS、2名が生き残ったがさほど心配はなかった。計画の少年少女は全員あくまで試作品。ある程度の年齢で細胞は限界を迎え、最期は灰となって消える。これは反乱を防ぐためのシステムだ。

 

だが、橘アキラは違った。投与された試作のエクリプスウィルスが細胞の崩壊を防いでいたことで死ななかった。しかし銀の腕輪がエクリプスウィルスを封印したことでアキラの細胞は崩壊を始めた。

 

「ならば作り直せばいい。ちゃんとした形に」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

私の里は管理局の人間によって滅ぼされた。肉体が限界を迎えるたびに何度も繰り返す…クローンへの記憶転写、それによって私、「クラウド・F・オーガス」というただの少女が生きていた頃の記憶はほとんど消えている。だが、今でも明確に覚えている。私の里の家族同然の人間と家族…彼らが上げていた悲鳴…。管理局に殺された私の家族たちの叫び。

 

管理局は自分たちが力を持っていると示すために、私たちの里で安全に管理されていた黙示録の書を奪っていった。私の家族を殺して。管理局は間違っている。奴らは世界を管理するに値しない。だから私が頂点に立つ…。必ず。

 

「私は勝つ。世界を変える…。この世界を正しく……修正する!そのために力を貸せ!私の命を削るだけ削ればいい!!!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

管理局はクラウドとの決戦で劣勢を強いられていた。最初は互角かそれ以上という感じだった。だが、しばらくしてクラウド側が本気を出した。個体の戦力が高いゼロ・ナンバーズがルーラーアーマーを解放させた。

 

それによって戦況が大きく揺らいだ。

 

 

 

ーサードVSティアナー

 

 

 

「はっ!はっ!はっ!」

 

「クスクス…そんな身体じゃ…もう楽しめそうにありませんね」

 

ティアナはスピードに翻弄されながらもなんとかサードの相手をしていた。だが、ルーラーアーマーの機動により戦力差は一気に離された。一瞬で身体を切り刻まれ、クロスミラージュを破壊された。

 

「くぅ…」

 

「さぁ…終わりで」

 

「てぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「!!」

 

ザフィーラがティアナにトドメをさそうとしていたサードに突撃してきた。だが、サードは一瞬でその場から消え、ザフィーラの背後に現れた。

 

「!」

 

「はぁぁぁ!!!」

 

ザフィーラは一瞬のうちに叩き落された。ただ落とされたのではない、落とされる打撃を撃つ瞬間サードがザフィーラを切り刻んでいた。

 

「ごぁぁ!!」

 

「ザフィーラさん!」

 

「くぅ…ティアナ。スバルは救出した。安心しろ」

 

ザフィーラはスバルを魔力ダメージでノックアウトさせ、こっちに戻ってきていた。

 

「はい…ありがとうございます。ですが…」

 

「ああ、今はそれどころではないな」

 

二人は空中にいるサードを見た。

 

「あら、セカンドはやられてしまいましたか…まぁ良いでしょう。あの子にはあまり期待してませんでしたから」

 

サードはセカンドがやられたという事実を知っても特に気にする素振りは見せなかった。言っている通りスバルに対して期待はしてなかったようだ。

 

「私一人いればあなたたち二人の相手など…造作もないことでしたし…。っと、話が長引きましたね。ではお二方、さようなら。ザンバー」

 

サードの持っている槍の先端が変形し、先端から槍の刃の幅ほどの光剣が出現した。

 

「くっ」

 

「…痛む間もなく…殺し」

 

「はぁ!!」

 

トドメを刺されそうになった二人を誰かが助けた。

 

「!」

 

「あなたたち…」

 

二人をその場からかっさらい、別の場所へ移動させたのはノーヴェ。さらに、サードの攻撃を妨げたのはディードとオットーだ。

 

ティアナとザフィーラは近くのビルのなかに運ばれた。助けられたティアナは早速ノーヴェに訪ねる。

 

「無事だったの!?」

 

「…まぁな」

 

ティアナの問いにノーヴェはどこか後ろめたさを感じているような表情で答えた。

 

「拐われたって聴いたけど…いったいいままでどこに…」

 

「…そういうのは全部、あとでな…。ここでじっとしといてくれ」

 

そういい残し、ノーヴェは行ってしまった。

 

「ノーヴェ…」

 

 

 

ーシグナムVSフォースー

 

 

 

「あんたは…そんな模倣の魔法では自分たちに勝てないって言ってたわね…」

 

「…」

 

シグナムは腹部から溢れる血を手で押さえている。

 

「じゃああたしらオリジナルの力なら…あんたに勝てるかな?」

 

フォースの身体にはルーラーアーマーが纏われていた。その腕にはシグナムの血が付いた氷の刃がついている。

 

「あたしの力はたしかに八神はやての模倣よ。正しくは闇の書の力の模倣だけど。けどこのルーラーアーマーを装着すれば…。その力はもはや模倣を超える」

 

シグナムは傷を押さえながらレヴァンティンを構える。

 

「なるほど…奥の手というわけか…」

 

「パワーもスピードも…今の私はあんたを超えている。下がったほうが身のためじゃないの?」

 

フォースはシグナムに下がるように促すが、シグナムはそれを聞き入れず未だに戦闘態勢だ。

 

「敵に情けをかけられるほど、落ちぶれた記憶はない」

 

「そう。なら死んじゃえ!!!」

 

フォースの一撃目を、シグナムが防いだ。かなり重たい一撃にシグナムは一瞬動きが止まる。その一瞬でフォースはシグナムの背後に回る。シグナムは急いで防御しようとするが身体が止まった。

 

「!?」

 

氷が手足を固めていた。かなり堅い。そう簡単に解除できるものではない。

 

「くっ!!」

 

「んっ」

 

シグナムの心臓を狙ってフォースが氷の刃を突き刺そうとした。だがその刃はどこからかの狙撃で砕かれた。

 

「なに!?」

 

「うおりゃ!!」

 

「!」

 

狙撃で刃が砕かれ、驚いたフォースにライディングボードに乗ったウェンディが突っ込んできた。

 

「ちっ!」

 

フォースは一旦後ろに下がった。反撃もできたが、ライディングボードで防がれる未来は見えていた。だが下がった先に数本のナイフのような物が刺さった。

 

「なっ!」

 

チンクのスティンガーだ。どこからか指を弾く音が響き、スティンガーが爆発した。

 

「お前たち…」

 

「下がってるっス。ここはあたしたちに任せるっス」

 

ウェンディがシグナムの前に立ち、いつものおちゃらけた感じはなく、まじめに言った。

 

「そういうわけには行かない!むしろお前たちが…」

 

「私たちは奴らに対抗する力を持ってきた。まともに戦えば死ぬぞ」

 

どこからかチンクがやってきた。

 

「対抗策だと?というかお前たち一体今までどこに…」

 

シグナムが尋ねた時、フォースが爆破された爆炎の中から魔力弾が飛んでくる。シグナムがシールドを張ろうとした瞬間チンクが叫んだ。

 

「ウェンディ!」

 

「了解っス!」

 

ウェンディが攻撃を防ぐ。

 

「この程度…効くと思う?」

 

煙の中からほぼ無傷のフォースが現れた。

 

 

 

ーセヴンVS小此木ー

 

 

 

「はぁ…まったく…まいったね。まだ上があるのかい」

 

「あははは!私は一応ゼロの中でも一番強いんだ。だから…」

 

ルーラーアーマーを展開したセヴンの魔力数値はどんどん上がっていく。腕を振った衝撃でビルが崩れた。

 

「もう終わりにするよ…」

 

「…」

 

小此木は懐から小さなケースを取り出し、ふたを開けた。その中からピンク色の玉と黄色の玉を取り出した

 

「そろそろ、これも使おうか」

 

「君もまだ上があるの?」

 

「あまり人前で使うものじゃないがね」

 

小此木が弾を強く握ると小此木から魔力が放たれた。

 

「!」

 

「ぐっ……くぅ…これ……くらいの魔力があれば…君の相手には充分かな?」

 

「無理してるんじゃない?やめといたほうがいいんじゃないの?」

 

「舐めないでもらおう!」

 

小此木が宙を蹴ってセヴンに突進した。ナインスが全力の拳を放つ。小此木は同じく雷を纏った拳をぶつけた。二つの強力すぎる拳がぶつかり合い空間が歪み、ビルよりも高い場所でぶつかったのにも関わらずあたりのビルが崩壊した。

 

小此木はすぐに離れ、蹴りを放つ。セヴンはその蹴りを同じく蹴りで受ける。魔力が付与された強力な蹴りとセヴンの蹴りがぶつかるが再び相殺に終わる。

 

「あははは!!いいよ!もっと楽しもう!!」

 

「まったく…いつまで持つかな」

 

 

 

ーロクVSフェイトー

 

 

 

フェイトも、ヴィータも既に限界を迎えた。だが破損しているとはいえルーラーアーマーを装備したロクを相手にするのは難しかった。シャマルとメグの二人で何とかしのいでいた。メグも前回の戦闘で限界を迎えている。だが今はやるしかなかった。ほとんど根性だけで魔力を行使している。

 

「中々耐えるんだな」

 

「みんなには……指一本触れさせません!」

 

「あんま舐めんじゃないわよ…」

 

シャマルの防御術とメグの幻影でしのぐ形だったがそろそろ限界を迎えそうだった。この二人でしのげていたのもロクのルーラーアーマーが破損しているからだろう。だが、このままでは埒が明かない。

 

「はぁ!!」

 

ロクが動く。火炎の纏った大剣でシャマルに迫った。

 

「クラールヴィント!」

 

急いで防御を発動するがシールドが砕かれた。魔力が限界に近付いてきていたのだ。

 

「あぁ!!」

 

「!」

 

背後からメグが攻撃を仕掛ける。ロクは砕けたほうの装備でメグの攻撃を受ける。

 

「貴様にはこれで十分だ!」

 

手のひらから火炎を発生させ、メグを吹っ飛ばそうとした。だがメグはお得意の幻影回避で避けた。だがそこで、完全なる限界を再び迎える。

 

「くぅ…」

 

「もらった」

 

ロクはその隙を狙ってアーマーの刃で切り飛ばした。メグは壁に激突し、バリアジャケットが解除される。

 

「メグちゃん!!」

 

「う…」

 

シャマルのほうに向かっていたロクだったが、その足を止めてメグのほうを向く。

 

「貴様は邪魔だな…先に始末させてもらう」

 

「待ちなさ…うっ」

 

シャマルが止めようとしたが、足がすくみその場に跪く。

 

「そこで…仲間の死を見届けるといい…」

 

ロクはルーラーアーマーの刃に火炎を集中する。

 

「一閃焔刃」

 

「メグちゃん!!!!!!」

 

 

 

その時、空から一筋の光が下りてきた。その光はメグとロクの間に落ち、地面に激突すると煙の中から誰かが現れた。

 

「……」

 

「なに…やってんだお前」

 

「アキラ……ナカジマ…」

 

 

 

 

続く


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