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ー南西部ー
南西部ではザフィーラに敗北し、近くのビルの屋上に寝かされていたセカンド、及びスバルが目を覚ました。
「う…」
スバルは既に鎧が外され、ほぼインナーの状態で寝かされていた。捕らえられた後の記憶はなかったスバルはなぜ自分がこんなところに寝かされているのか理解してなかった。
「あれ…私……なんでこんなところで寝て…………確か…サードって人と戦ってて…」
曖昧な記憶を整理しようと声に出しているときに、背後から誰かの声がした。
「スバル」
「誰!?…って……ウーノ」
他のナンバーズとともに行方不明だったウーノだ。
「…私が相手をする予定でしたが……。もう正気みたいですね」
「どういうこと?それに今…いったいどうなって…」
「…面倒ですが、一応説明しておきましょう」
スバルはウーノから、今まで何があったかを説明した。自分が洗脳され、味方に攻撃をしていたことにスバルはずいぶんショックを受けていた。
「そっか…そんなことが…」
「ええ。ですがショックを受けている場合ではありません。今はもう決戦といっても過言ではないでしょう。ですから…。戦ってください」
「でも、マッハギャリバーが」
「ええ。もう少し待ってください。まもなく届きますので」
ークラウドたちの元アジトー
ここではなんとか軟禁されていた部屋から脱出したギンガが、アリスを抱えながら鎧騎士に追い掛け回されていた。
「はぁ…はぁ…」
ギンガに傷をつけないためか、武器は持っていないもののとにかく数が多い。そしてギンガは出口もわかっていないため、ただ避けて走り回るしかない。
「出口は…」
走り回っているうちにまた前から周り込まれてしまった。ギンガは横にあった通路に入り、開いている部屋に飛び込んだ。
「はぁ…はぁ…」
追手は来ない。どうやらうまく撒けたようだ。
「とりあえず一休み…」
ギンガは一息つこうと、休める場所を探した。部屋が薄暗かったので電気を探し、それらしいスイッチを押してみると電気がついた。
「!」
薄暗かった部屋に明かりが灯され、部屋を照らした。ギンガはその部屋の中の光景に驚いた。
「これは…!」
部屋の中にある、たくさんの生体ポッドと、その中で培養されているクラウドのクローンの身体。
「あの娘……ん?これは?」
ポッド前の机の前にブリッツギャリバーが置いてあった。
「ブリッツギャリバー!!」
「Master」
「無事!?」
「Yes no problem」
「マッハギャリバーも!」
「Hiya」
「良かった…急いでここを出ましょう」
デバイスと出会えたことでだいぶ希望が見えてきたが、一つ問題があった。アリスだ。彼女はずっと自分が抱えているしかない。下手に置いて行って鎧騎士に攫われても困る。
「困ったな…」
「ギンガさん!」
「!?」
背後から声がした。驚いて振り向くと、そこにはセインがいた。
「セイン!」
「良かった!無事で!」
「どうしてここに!?」
「ああ…アキラからギンガさん助けろって」
「そう…でも助かった。アリスを連れて早く脱出…」
その時、ドアが鎧騎士によって破られた。二人の視線は同時に入り口のほうにむけられる。ギンガが急いでブリッツギャリバーを起動しようとそれをセインが止める。
「さっさと抜けよう。IS!」
セインのISであるディープダイバーでアリスとギンガはセインと一緒に地面の中へ入っていった。
「そっか、セインのISは…」
「そう、潜入や隠密行動はセインさんにお任せ♪このまま一気に出口までご案なーい」
二人はアジトの出口付近でディープダイバーを解除し、出口から出ようとしたとき、背後から斧が飛んできた。
「!?」
「あぶない!」
セインがぎりぎりのところで斧を防いだ。
「やぁセイン。久しぶりだね」
「…ドクター」
「スカリエッティ…」
そこに現れたのは、JS事件の首謀者でマッドサイエンティストのジェイル・スカリエッティと一体の鎧騎士だった。二人は戦闘態勢に入る。
「もう私の指示に従ってはくれないのかな?」
「スカリエッティ!あなた…」
再び言葉巧みにセインを自分のほうにつかせようとしているように見えたギンガはスカリエッティに反論しようとするが、それをセインが止める。
「ごめん。ドクター。それはできない」
「なぜだい?」
そう聞かれ、セインは少し考えてから微笑んだ。その表情にスカリエッティは予想外だったのか驚いた表情をした。
「昔はさ、ドクターは生みの親だし、やることも正しいんだと思ってた。でも、事件が終わって、ギンガとアキラからいろんなことを教わって、いろんな人と会って、いろんな世界を見た。あたし、頭悪いけどさ、考えてみて………わかった気がするんだ。世界の正しさとか正義のありかとか難しいことはわからないけど、ギンガとアキラ、ヴィヴィオ陛下、六課のみんな、みんなが幸せになれる世界に貢献することが、今の私の正義なんだ」
「セイン」
セインがセインらしくないが、正しいことを言った。そのことにギンガは少し感動していた。
「…そうかい」
スカリエッティはそれを聞くと、少し俯いた。
「そういうことだから、ドクターの味方にはなれない。ごめんね」
「残念だ。騎士。やれ」
鎧騎士が動き出す。どうやら普通の鎧騎士とは違い、リーダー格のようだ。ギンガがセインにアリスを預けようとしたがセインは首を横に振る。
「大丈夫」
「え?」
セインはギンガにウィンクをした。ギンガは一瞬何を言ってるんだという顔をしたが、その言葉の意味はすぐにわかった。
「一閃必中!ジェット!ランス!!!」
空中から、聞き覚えのある声がした。ギンガが聞いて、一番安心できて、一番聞きたかった声だ。
「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
上空からアキラの技が鎧騎士に向かって飛んできた。その一撃で鎧騎士の頑丈な体は貫かれ一発でダウンした。
「無事か!ギンガ!!」
「アキラ君!」
アキラは上空から着地するなりギンガの下へ駆け寄り、アリス共々抱きしめた。
「ギンガ!ギンガ!ギンガぁぁ…無事で……無事でよかった!」
「うん!アキラ君も…良かった…」
「ごめん…俺…弱くて……何回も…守るって……言ったのに…」
「いいの…私もアリスも、無事だったから……それに、クラウドと戦った時も、あんなにボロボロになるまで戦ってくれて……大丈夫だった?怪我はない!?」
「こっちのセリフだ。大丈夫か?」
「うん…」
互いに無事を確認し終える。だがその背後からは鎧騎士が続々と現れていた。
「ちょっとお二人さーん。なんかまずい状況ですけど」
セインが冷や汗を流しながらアキラの袖を引っ張る。
「大丈夫だ」
アキラは余裕の表情だ。紅月を引き抜き、アジトから出現する鎧騎士の群れに走っていく。
「アクセラレイター…ハザード」
アキラの身体は紫色の光に包まれ、それと同時に消える。
「消え…」
次の瞬間には、鎧騎士は全機破壊された。そしてそれを遠目で見ていたスカリエッティの目の前にアキラは着地した。
「ほう…」
「てめぇにゃギンガを攫わせようとした恨みがあるからなぁ…氷牙……大斬刀!」
紅月に巨大な氷の刃が装備され、それでアキラはスカリエッティに切りかかった。スカリエッティはこれと言って抵抗を示さず、吹っ飛ばされた。
「クク…なるほど……これが君の力か…」
「あ?」
「君が造られた理由…。ウィード氏が夢中になるのもわかる…」
「お前何を言って………ッ!!アクセラレターハザード!!」
「キャッ!」
その時だった。背後に妙な気配を感じたアキラがアクセラレイターハザードを発動し、ギンガとセインを抱えてギンガたちが立っていた場所から移動させた。その数秒後、二人が立っていた場所が爆発する。
「…避けたか」
「テメェ…」
一体何が起きているのか気づいて無かったギンガとセインがアキラの視線の先を見ると、そこにはクラウドがいた。
「クラウド…」
「まさか脱走するとはな。ギンガ。私は悲しいぞ」
「…テメェからきてくれるとはな。探す手間が省けて助かった」
その一言とともにアキラに抱えられていた二人はアキラから大きな殺気を感じた。
「アキラ君…」
「テメェは俺が…殺す……。セイン。ギンガを本部まで届けてくれ」
「う…うん」
セインはアキラに言われた通り、ギンガを連れてディープダイバーで地面の中に潜っていった。その様子をクラウドは不安そうに見ていたが止めようとはしなかった。
「まぁいい。お前をさっさと始末すればいいだけの話だしな」
「できるかよ。そんなこと…」
アキラは紅月を構えて言う。それを見てクラウドは少し笑った。
「少しは強くなったらしいな…だが…不思議なものだ。放っておけば勝手に消滅してるだろうと思ったのだが、読みが外れたか?」
「いいや会ってる。クラウド、君と戦った日から彼はあと数日で肉体限界を迎えて消滅するはずだった」
アジトの奥にある廃市街地の奥から一人の男が話しながら現れた。
「ウィード………そうか貴様か」
「ああ。私は君たちから完全に見放されていたからね。こちら側につかせていただいたよ」
続く