とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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すいません。もっと長くするはずが…。ためしに始めた単発バイトが忙しくてあんま書けませんでした。次回こそは…。あまり制限をかけるとうまくいかないことが多いので、次回は2月中って以外は決めません。自分勝手で申し訳ありませんが、次回こそ…決戦開始まで…なんなら決戦終了までいきたいと思います!


第二十三話 因縁

クラウドの宣戦布告の1日前

 

 

ーウィード監禁獄室ー

 

 

 

「………珍しい来客だね」

 

アキラとの戦闘後、首のみで封印されているウィードが珍しく開かれたドアの先にいた人物に向かって言った。

 

「いい様だなクソ野郎」

 

「ハハハ、酷い言われようだね。まぁ仕方ないかな」

 

厳重に管理されている筈のウィードの監獄の扉を開けたのは、死までのタイムリミットが迫ったアキラだった。

 

「心底嫌だがテメェに頼み事をしに来た」

 

「………管理局員ではなく君が訪れるあたり、管理局等の依頼ではなさそうだね」

 

アキラは小さく舌打ちしてからウィードに、数年前の、大切なセシルの仇に頭を下げた。

 

「俺を…お前が言う完成形にしてくれ」

 

ウィードは少し驚いた表情をした。だが、アキラのその覚悟に満ちた表情、そしてアキラがいま行っていることの罪深さ、それを考えればアキラの身に何が起きたか大体察しがついた。

 

「ククク。そうかクラウド君か…」

 

「なぜ知っている…」

 

「いや、大体予想は付くさ。僕とクラウドは面識があってね。彼女の言っていた目的と、君のつながり……タイプゼロファースト。ギンガ・ナカジマ」

 

「…」

 

「安心したまえ。恐らくギンガ・ナカジマは生きている」

 

「そんなこたぁどうでもいい。無事でも無事でなくても……必ず…俺は…クラウドを殺す…。ギンガを奪われた時点で…俺は……俺は…」

 

アキラの顔が歪んでいく。ウィードはその様子を哀れんだ目で見る。

 

「ギンガが無事じゃないと仮定するなら俺にはもうあいつを殺す以外に生きる目的はない!ギンガを取り戻せなけりゃ俺にもう生きる意味はない…。だから…ギンガを取り戻すためにも…アイツを殺す……そのためなら手段を選ばない…。テメェだって利用する」

 

「ふっ、嘘を言っちゃいけない。君が僕を求めたのは、君の肉体再生が一番の目的だろう?」

 

「それもある…目的の前に俺が死んだら意味がないからな…」

 

すこしウィードは考える素振りを見せた。

 

「ちなみに、断ったらどうなるんだい?」

 

「断らせると思うか?」

 

アキラは拳銃を取り出し、ウィードの額に突き付けた。なんの迷いもない目だ。ちょっとでも茶化したり挑発すれば撃たれるだろうとウィードは思った。

 

「こちらとらテメェは殺したくて殺したくてしょうがねぇんだ。テメェがいなくても俺は残された一日を使って奴らを殺しに行く。ナンバーズはいま俺が自由に動かせる。俺の力で洗脳した。ナンバーズ使って既にアジトの場所は割り出せてる。倒せなくても…奴らに一矢報う」

 

「冷めること言わないでほしいなぁ。そんなつまらない結末、見たくはないよ。第一、ナンバーズを何人ひきつれようが彼らに勝つことはできないだろうね。いいだろう。君の望みを聞こう」

 

 

 

ーウィード旧アジトー

 

 

 

アキラはウィードを連れ出し、ウーノとセインの力で監獄から脱出し、ウィードが指示したかつてウィードが使ってた研究所兼アジトに連れてきた。洗脳状態のナンバーズも一緒だ。

 

「こんなところにアジトと…」

 

アキラはケースに入れてきたウィードの頭を取り出しながらいう。

 

「自分のクローンを作っていたとはな」

 

「君に殺されかけた僕は、脳以外の肉体をスタッフに入れ替えた。だがそれはあくまで君のクローン……ん、今はノーリ君だったか。彼を失った故に僕自身で君を回収するための手段だった。だから予備の肉体を作っておいたのさ。さぁ、僕を横の装置に入れてくれ」

 

アキラは言われたとおりにする。

 

「なんだこれ」

 

「脳の移植装置だよ。人の脳を入れたら動き出す兵器なんかもある。そのための装置さ。起動と調整は頼むよ」

 

アキラは装置を起動し、調整を始めた。マニュアルを読みながらの作業中、アキラはウィードに訪ねた。

 

「……一つ気になってたことがある」

 

「なんだい?」

 

「なんでお前は脱獄しなかった?お前ら…スカリエッティとお前がつながってるのは知っている。さっきの話からするとクラウドとも繋がってて、スカリエッティとクラウドも繋がってる。恐らくスカリエッティを逃がしたのはクラウドだろう。だがお前は何で一緒に逃げなかった」

 

「…僕たち三人はたしかに繋がってる。マッドサイエンティスト同士、出会ってから僕たちは同盟を組んだ。この世界を変える革命…反逆…。中心はスカリエッティ。彼の作戦がうまくいかなかったから次はボク。君とノーリ君を使った実験。君が完成形になれば事件から間もない、完全に復活してない管理局を打倒することはできただろう。だがそれも失敗した。だから最後に…クラウド。彼女だ。これが現在進行形。スカリエッティはクラウドが動くときに捕まっていればナンバーズごと外に出させるように言っていた。彼にとっての誤算はナンバーズが予想以上に裏切った……君たち側に寝返ったことだろうね」

 

「お前は出なくてよかったのか?」

 

「ああ。僕は世界の確変なんて興味はなかったんだ。興味があるのは…」

 

ウィードは怪しげな目でアキラを見つめる。

 

「…」

 

「君を完成させることだけさ」

 

アキラはウィードを見てからすぐに目を背ける。ウィードがどう思ってようがアキラにとっては心底どうでもよかった。だがそこに別の疑問が出てきた。

 

「…じゃあなんで、セシルを誘拐した?何でセシルを巻き込んだ!!なんで!!」

 

「あれは…不幸な事故だった………。僕だって彼女を傷つけたかった訳じゃない」

 

「なに?」

 

「君はEC(エクリプスウィルス)に感染しているだろう?今はその腕輪の中に封印されているらしいが。君がECに食い殺されないように、破壊を君に行わせ、君の身体を生き残らせるために…」

 

「……ある感染者から聞いた。通常のECは破壊衝動と殺戮衝動があると。だが俺の場合は捕食衝動だって聞いたぞ?」

 

「まぁね…。だが、君はきづいてるか知らないが君にも破壊衝動はある。それを収める為にあのゴロツキどもと戦わせたんだが……あんなことになるとは…本当に申し訳ない…」

 

アキラはウィードの態度に違和感を覚えた。以前はこんな性格じゃなかった。間違っても、こんなしおらしい謝罪なんてしなかった。

 

「てめぇ…何考えてやがる」

 

「……私も不思議だ。こんな気持ちになったのは初めてだ。どうやら私は…黙示録に踊らされていたようだ…。あの…黒い物体。スタッフに触れていると、感情が大きくなる。僕の…研究欲や、サイコパスな部分、それらが狂気的な領域まで強化されたような気がする。テレジー氏にレプリカの黙示録ごと封印されてからずいぶん丸くなったものだと自分でも思う。沈静化されているからか…」

 

「…まぁなんだろうと俺はお前を生涯許さない。これが終わったあと、隙があれば殺すぜ」

 

「御随意に。ぼくは君の完成形を…。スカリエッティやクラウドの用意したどんな兵器よりも僕の作ったものが上だと証明できれば僕の人生は満足さ」

 

「チッ………準備完了だ。システムを起動させる」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

脳の移植手術のマシンが起動し、ウィードの脳みそがウィードの予備の身体に移植された。生体ポッドが開き、全裸のウィードが出てきた。

 

「ふぅ……いやぁ、手足があって自由にできるのはいいなぁ!」

 

「さぁ、俺を完成形にしろ……俺に…力を寄越せ」

 

「まぁ待ちたまえ。まずはこれだ」

 

ウィードは冷蔵庫のようなものから一本の注射器を取り出してアキラに渡した。

 

「なんだこりゃ」

 

「ん~。まぁ、君の身体を一時的に保たせるための薬剤だ。今のままだと新たな力を手に入れる前に君の身体は崩壊する。君の身体を完全に復活させるには用意するものが多くてね。万が一予想よりも身体が早く崩壊したら用意したものが無駄になるからね」

 

「…信用すると思うか?」

 

「まぁ、当然の反応だね。だが安心したまえ。先ほども言った通り私は君にしか興味はない。世界のことなどよりも。私としては、戦力的に不安があった管理局よりもっと信用高い黙示録を相手に君を試せるんだ。楽しみでしょうがない。出してもらった恩もあるし、君自身私に乗ってくれた。そのお礼として君を洗脳したりもしない所存さ」

 

「…」

 

アキラはウィードのマッドサイエンティストっぷりを信用し、注射を打った。

 

「………ッ!」

 

突然心臓が大きく脈打ち、アキラの全身に激痛が走った。

 

「ぐ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アキラは自身の胸を掴み、地面へのたうち回った。冷や汗を流しながらウィードをにらみつける

 

「て……てめぇ…やっぱ何か…」

 

「勘違いしないでくれたまえ。副作用だ。肉体を軽く作り変えてるんだ。それくらい当然さ」

 

「ぐ…はぁ…はぁ…。あぁぁぁぁぁぁ!!!あがぁ!」

 

 

 

ー20分後ー

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「収まったかな」

 

アキラは20分ほど苦しんだ後、やっと痛みの副作用が収まって立ち上がった。

 

「体が…軽い…」

 

「うまくいったみたいだ」

 

「じゃあまずは君に用意してもらいたいものがあるんだが…その前に君の完成形がどういうものなのか説明しておこう」

 

ウィードは引き出しからある資料を取り出してアキラに渡した。資料の表紙にはAtoZ計画と書いてあった。

 

「…これがどうかしたか?」

 

「君は…君たちは、もともと一つの計画を分けて作られたんだ。本来の計画の名は…A(アギト)計画」

 

「アギト…?」

 

「無限に進化する者…というような意味さ。それが最初期の計画。様々な魔法…戦闘技術それらを身体に取り入れ、取りいれ、取りいれ続け、どこまでもどこまでも進化する。だが当時、僕らのもとにあるものが足りなかった。だから一気に作るのは無理だった。そこで試作品としてAtoZの26人にA計画に最初取り入れようとした「力」を分割したんだ。そしてその力がどれくらい使えるか、試してたんだ」

 

「つまり俺は実験台だと」

 

「ああ。そしてA計画の為に足りなかったものも用意した。これで君は完成する」

 

「なんだそれは」

 

「ロストロギア…とだけ言っておくよ。君の身体に入れたところで特に何も起きないがねあとは君に色々取ってきて欲しいものがある。君が力として取り入れるべきものだ」

 

 

 

 

続く


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