とあるギンガのPartiality   作:瑠和

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完結しました。初投稿時(2017年3月)には年内に終わらす予定が早2年。削った部分や変更した部分、時間がなくて文が纏まらずにちゃんと文章にならずそれでも投稿したりしたのもいい思い出です。次回からはしばらく、過去編等やっていきますVivid編は別枠で投稿していきます。あとでURL張っておきます。お楽しみに!


Vivid始まりました。→ https://syosetu.org/novel/190683/


黙示録事件編最終回 第二十九話 終幕

黙示録の獣の前に現れたギンガのバリアジャケットには所々黒いアーマーが追加され、全身には紫のラインが追加されていた。

 

さらに、顔にスカウターのようなものがついている。

 

「敵性反応感知……本体の損傷具合を考慮し、ここは一時撤退する」

 

黙示録の獣は、現状は不利だと判断したのか、ギンガを相手にせず、撤退しようとした。

 

「ウィングローラー…起動。start our mission」

 

ギンガの足に装備されているローラーに青い炎のような魔力が発生した。

 

「すぅ………アクセラレイタァァァァァァァ!!」

 

ギンガはアクセラレイターを発動し、瞬時に黙示録の獣の前に現れる。

 

「!」

 

「絶・虎牙」

 

突然の攻撃に、システムにダメージがある黙示録の獣は反応が少し遅れた。

 

ギンガの拳は黙示録の獣の腹部に命中し、黙示録の獣はそのまま殴り飛ばされる。だが、殴られた直後、スタッフで刃をギンガの背後に生成し、ギンガの背中目掛けて飛ばした。

 

『ギンガ、後ろだ』

 

突然、アキラの声がした。その声を聞くと、ギンガは後ろ回し蹴りで迫ってきた刃を打ち砕いた。

 

「ありがとう。アキラ君」

 

『気にすんな。行くぞ』

 

声はギンガが頭に着けているスカウターからだった。今、アキラは自身の意識をデバイスの中に移動させていた。

 

「じゃあ、いこうか。アクセル!」

 

ギンガはさらに加速し、黙示録の獣に突撃する。黙示録の獣は瓦礫に倒れ込みながらも触手を突撃してくるギンガに向けて放った。

 

ギンガは華麗なステップで触手を避け、黙示録の獣の懐に入り込んだが、黙示録の獣は腕を剣に変えてギンガに斬りかかった。

 

通常のギンガだったら避けられないであろう速度の攻撃だった。しかし、ギンガはその攻撃を瞬時に右手で抜いた刀で防いだ。

 

「!」

 

『まかせろ』

 

ギンガはそのまま、手慣れた手つきで斬撃での戦闘をこなす。

 

そして剣での戦闘の途中で生まれた隙を見つけるとアキラが言った。

 

『ギンガ今だ!』

 

「うん!」

 

ギンガは黙示録の獣の腹部にリボルバーナックルを食らわせた。

 

「…っ!」

 

そのまま右手の刀の切っ先を黙示録の獣に向ける。

 

「『一閃必中!アクセルトラスト!!』」

 

強大な筋力と速度が産み出す突きの剣撃を黙示録の獣に打ち込んだ。その鋭い一撃は黙示録の獣の身体を形成しているスタッフを貫いた。

 

「っ!」

 

この二撃が黙示録の獣の本体に更なるダメージを与えた。

 

「あぁぁ…あぁぁぁぁaaaaaaaaaaaaaaaaaaぁぁぁぁ!!!」

 

黙示録の獣が叫んだ。その瞬間、辺りからスタッフが大量に出現し、ギンガを襲う。

 

「なんて量!!」

 

『やらせねぇよ!』

 

ギンガは構えをとる。そのギンガに四方八方からスタッフが襲いかかった。

 

(あのときの感覚……「あれ」は俺の身体の中だが、似たようなものなら…「今」のギンガの身体ならできる!)

 

『ウィング!』

 

ギンガの体内で魔力が練られ、背中から魔力の翼を出現させた。その翼は意識を持ったように動き、ギンガを守った。

 

『一気に決めるぞ!』

 

「うん!」

 

 

 

ースバル Sideー

 

 

 

スバルはビルの上で気を失ったクラウドを抱えながら、なのはと黙示録の書に取り込まれたノーリの戦い、そしてギンガと黙示録の獣の戦いを見ていた。

 

すると、クラウドが目を覚ます。

 

「う…」

 

「クラウド!」

 

「スバル…?私は……いったい何を…」

 

「黙示録の書に…取り込まれて、黙示録の獣の魔力タンクとして使われてたんだよ。リンカーコアと魔力回路がメチャクチャになってる。動くとダメージが悪化するから動かないで…」

 

スバルの話を聞くと、クラウドは周りの戦況を見る。

 

「……くっ…なぜだ………管理局地上本部はあと少しで制圧できるって言うのに……」

 

「クラウド…」

 

自身が道具のように使い捨てられてもまだ、クラウドの目的は変わることはなく、管理局への復讐が第一だった。

 

「クラウド…お願い。話を聞いて……」

 

「…聞く気はない。さっきもいっただろう…もう戻る道もないんだ」

 

「まだ…戻れるよ……だって、今アキラ君もギン姉も、ノーリも、なのはさんも、クラウドを助けるために戦ってる。みんな、あなたの味方だよ…」

 

「…」

 

クラウドからの返事はない。クラウドが考え方を改めてくれたとは思わない。でも、スバルは構わず話し出した。この話を聞いてもらわないことには始まらない。

 

「クラウドの村が教われたあの日。管理局でとても強大な魔力反応を検知したの。クラウドの村に。クラウドの住んでいた村は実は、管理局から許可を得て黙示録の書の管理をやっていたの」

 

「……何?」

 

「管理局の中の情報でも極秘中の極秘。フランシスだからたどり着けた情報…」

 

「…だったらなぜ管理局が私たちの村を襲って黙示録を奪わなければならない?わざわざ別の封印者を見付けてまで」

 

「異常なまでの反応が確認され、管理局員が向かった時、村人は全員さっきのクラウドや今のノーリみたいに黙示録の書から作られるスタッフに操られ、暴徒と化していた。だから管理局は……仕方なく」

 

「…」

 

「でも、一つだけわからないことがあるの。あなたはなんで……管理局が村を襲ったと思っていたの?」

 

「…………私はまだその時幼く、母に言われるがまま地下室に隠れた。だから………あ?…ああ……あああ!!…………そうか…きっと母もその時操られていたんだ…「管理局がきた。此処に隠れてやり過ごせ」と言われた……そうか…やっとわかった………黙示録の書は暴走し、我々では抑えきれなくなったんだ……。私という、「自分なら黙示録を制御できる」と勘違いしている部族の生き残りを…私を利用して管理局をつぶさせて…自らを自由にさせるために……」

 

クラウドは話しながら泣いていた。

 

クラウドとスバルはすべて理解した。黙示録の書はクラウドの部族から逃げ出すことはできた。だが、管理局にもっと強力な封印が行える人間がいたことを知っていた。

 

だからわざと一人生き残らせ、復讐させたのだ。元、封印させられていた部族の生き残りなら自身、つまり黙示録の書を使って復讐してくれるだろうと考えて。黙示録の書はクラウドに可能性を感じていた。実力と才能がある子供ということに。だからクラウドを生き残らせたのだ。

 

そしてクラウドは黙示録の書の思惑通り復讐の為に実力と知恵をつけていった。そして黙示録の書を奪還、無事に黙示録は自由を手に入れたということだ。

 

「クク……馬鹿らしいったらありゃしない………寿命を尽きても、記憶転写とクローン技術で何年も何十年も生きてきて……そんなことにも気づかず…」

 

クラウドは泣きながら笑っていた。ようやくそのことに気づいた自分が馬鹿らしくて仕方なかった

 

「実際のところ、記憶転写が繰り返されるうち、記憶の擦り切れが起きてもう当時のことはほとんど覚えてなかったんだ……ただ、管理局への復讐心と、母の最期のぬくもり…それだけで生きてきただけなんだ…」

 

「クラウド…」

 

 

 

ーなのはVSノーリー

 

 

 

なのはは黙示録の書に取り込まれたノーリと戦っていた。

 

「ノーリ!!!」

 

「…」

 

何度か呼びかけるものの、ノーリは反応しない。左手に持った黙示録の書、さらにそこから発生したスタッフに左腕は完全に包まれ、顔は右目以外スタッフに包まれている。身体にも木に巻き付くツタのようにスタッフが張っている。

 

(魔力砲で飛ばしてもすぐに再生する…。黙示録の書に直接魔力砲を当ててもガードが固くてそう簡単に剥がしきれない…)

 

ノーリはなのはに斬りかかる。

 

「…!」

 

「ファイヤー!!」

 

なのはは突っ込んでくるノーリを魔力砲で吹っ飛ばした。身体のスタッフが多少削り取られるが、すぐに再生した。

 

「……うぁぁぁぁぁl!」

 

その瞬間、単調な突っ込みしかしてこなかったノーリが急に変化球な動きをしてきた。なのははその攻撃を避けながら反撃の一手を考える。

 

(ノーリは元々この間の戦闘で身体がボロボロだ……変に強力な魔力砲で吹っ飛ばしたら魔力ダメージだけでもノーリが…)

 

色々悩んでいるなのはにノーリが切りかかった。なのははレイジングハートでそれを防ぐ。

 

「くぅ………」

 

「なにを……やっている…」

 

「え!?」

 

ノーリが話しかけてきた。ノーリは必死に黙示録の浸食に耐えながらなのはに語り掛ける。

 

「早く…………俺を…殺せ………」

 

「ノーリ…」

 

「すぐそこに………テレジー家が……来てる。俺を殺して黙示録を止め……ろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「ノーリ!」

 

ノーリは再び取り込まれ、暴走した。触手をなのはに飛ばしたが、なのははアクセルシューターを触手の先端にぶつけ、打ち切った。

 

「……ロック!」

 

なのははそのままノーリの身体にバインドをかけた。ノーリは少し抵抗したが、なのはの強力なバインドはそう簡単に解除できない。

 

「……や…れ」

 

ノーリはかすれた小さな声で言った。だが、なのははノーリを絶対に助けたかった。その時、たまたま黙示録の力が弱まったのか、ノーリが再び話し始めた。

 

「元々、生まれることもなかったはずの命だ…それが悪あがきと運だけで…いや、お前たちの協力もあってここまでたどり着いた…それだけだ……。ここで絶たれたとしてもなにも……変わらねぇ。世界も…アイツら(ギンガとアキラ)も…。人を殺し続けてきた俺があんなのうのうと生きてていいわけなかったんだ…。ツケを払うときが来たんだ……あんたの手で終わらせてくれ」

 

「でも…っ!!」

 

「やれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「……っ!エクセリオン!バスタァァァァァァァァ!!!!!」

 

なのはは覚悟を決めてトリガーを引いた。ノーリはバインドで縛られた状態でエクセリオンバスターをもろにくらった。

 

「はぁ…はぁ…」

 

これが本当に最善の策だったのか、ほかにやり方はなかったのか。そんな思いが一瞬で脳内によぎる。

 

[Master!!!Heat source body approach from the front!!(マスター!!!前方より熱源体接近!!)]

 

「!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

全身から血を噴き出したノーリが再び突っ込んできた。

 

なのはは無意識のうちに技を放つことをためらい、加減していたのだ。

 

なのはの反応が遅れた。なのはは斬られることを覚悟した瞬間、なのはとノーリの間に誰かが割り込んだ。

 

「危ない!!」

 

「!」

 

サラだ。サラはあまり戦闘向きでないのに、前に出てなのはを護ったのだ。

 

「サラ!?」

 

「きゃあぁぁぁ!!」

 

サラはノーリの一撃に耐え切れず吹っ飛ばされる。なのははサラが瓦礫に激突する前に回り込んで受け止めた。

 

「大丈夫!?どうしてあなたが…」

 

「伝えなければならないことが…」

 

サラは強力な結界を張ってノーリが邪魔してくるのを防いで話をする。サラは端末からデータを空中に展開する。

 

「これは?」

 

「黙示録の書のデータです。私たちが使っている封印のためのアイテム。これと似た作用がつけられるカートリッジを作ってきました。即席で出力が安定してませんし、これ一発しかありません」

 

「これを…私に?」

 

「ほかに動ける人間がいない以上、あなたにしか頼めません。黙示録の書本体にこれを当てれば一時的に黙示録の書の力を弱められます。そうすれば、きっと彼を救えます…」

 

なのははカードリッジを受け取ってそれをレイジングハートにロードした。

 

「必ず当てるには誘導弾が一番有効だけど、黙示録の書そのものにガードが張られてる…一閃必中の大技でガードを抜くしかない……」

 

なのははレイジングハートを改めて構えなおす。

 

「いくよ!ノーリ!!今度は絶対!助けるから!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

なのはとノーリの戦闘が始まるが優劣ははっきりしていた。ノーリはほとんどボロボロの身体を無理やり使役されていたのでパワーはほとんどない。

 

だがなのはも強く攻撃できない関係上、互角の戦いをするしかなかった。しかし、ノーリは持っていたジーンリンカーコアごと取り込まれていたため、放ってくる魔法は強力なものだった。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「あぁぁぁぁ!!」

 

しばらく拮抗した戦闘が続いていた時、突然ノーリの動きが止まった。

 

「…?」

 

「う……おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

ノーリは剣を投げ捨て、顔を覆っていたスタッフを引きちぎる。そして、黙示録の書を掴んでいる左腕を掴んで真上に掲げた。

 

「ノーリ!?」

 

「今度は迷うな……一気にやれ」

 

「……っ!カートリッジロード!ACS!!ドライブ!!!」

 

なのははレイジングハートのACSを起動し、ノーリが掲げている黙示録の書に向かって突っ込んだ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

なのははサラが渡したカートリッジの力が付与されたACSで黙示録の書を貫いた。それと同時にノーリに絡まっていたスタッフも解ける。

 

「今です!」

 

そこにサラが封印の布を持ってなのはのもとに向かった。封印の布が黙示録の書を包み、その力を封印した。

 

「黙示録の書!一時封印に成功しました!!これより本格的な封印処置に入ります!!」

 

 

 

ーギンガVS黙示録の獣ー

 

 

 

黙示録の獣相手にギンガは有利に戦っていた。そしてそんな中、黙示録の書が封印されたことを黙示録の獣は感じ取った。

 

「黙示録の書の封印を確認、魔力タンクもいなくなった模様………形勢は圧倒的に不利と判断、これより黙示録の書の奪還、並びに一時撤退します」

 

黙示録の獣は状況を冷静に判断し、撤退を図ろうとした。

 

「逃がさない!!」

 

『逃がすかよ!!』

 

「『ヴァリアントバスター!!』」

 

ギンガは大きめのバスターライフルを取り出し、黙示録の獣に向ける。ライフルのチャージが始まると同時にギンガの背中に計6枚の翼が展開される。

 

「スパイラルブレイズキャノン!ファイヤー!!!」

 

ヴァリアントバスターライフルから紫色の魔力砲が発射された。黙示録の書が封印された影響で動きが鈍く、スパイラルブレイズキャノンを避けきれずに飲み込まれた。

 

「!!」

 

黙示録の獣の身体は吹っ飛び、コアとなるページが出現する。

 

『今だギンガ!!これで終わらせる!全魔力を注げ!!』

 

「うん!!」

 

ページに再びスタッフが集まる前にギンガは左腕に全魔力を注ぐ。リボルバーナックルの回転に合わせ、拳の周りに魔力が集中する。その魔力は集まるにつれ、槍のような形をとっていく。

 

(これを外したら……)

 

もう魔力もあまり残っていない。これを外したら黙示録の獣に逃げられてしまう。そう考えると緊張し、手が震えた。そんなギンガの手にある筈はないぬくもりを感じた。

 

『大丈夫だ。俺がついてる』

 

「…」

 

ギンガの表情が変わる。覚悟は決まったようだ。

 

「ふぅ…はぁぁぁぁ!!」

 

 

 

「『ロンゴ…ミニアド!!!!!』」

 

 

 

ギンガの左腕から光線のような魔力槍、「ロンゴミニアド」が発射される。黙示録の獣のコアとなるページはロンゴミニアドに飲まれ、消滅した。

 

「はぁ……はぁ……」

 

『消滅…確認』

 

黙示録の書は封印され、黙示録の獣のコアとなるページは消滅した。黙示録の書を中心とした事件はこれで状況が終了した。

 

 

 

ー数時間後ー

 

 

 

状況が終了し、地上本部は次元本部と通信可能になり、事件の収束に向かっていた。戦闘現場には本部の車が大量に投入され、戦闘員や一般人の救助に向かっていた。

 

そんな中、ギンガの膝枕で寝かされているアキラは次元本部の捜査員に囲まれていた。

 

「アキラ・ナカジマ二尉だな」

 

「ああ。ずいぶん大人数でご苦労なこって」

 

「ウィード・スタリウ脱獄の件について話がある。同行を願う」

 

「待ってください!アキラ君…いえ、アキラ隊長は…」

 

ギンガがアキラをかばおうとするがアキラはギンガにやめるように手で合図する。アキラは元々こんなことになるのは覚悟の上だった。

 

「そうかい、じゃあ行こうか」

 

アキラは肉体が限界を迎えているので立てなかったなので捜査官の手を借りて車に乗せられた。車が出発しようとしたとき、アキラが乗った車に誰かが駆け寄ってきた。

 

「アキラ!!」

 

「ディエチ!!」

 

黙示録の獣に吹っ飛ばされ、死んだように思われていたディエチだった。

 

「ディエチ…お前、生きてたのか!」

 

「うん…知らない人に助けられて…なんか、眼帯を付けた、白い服を着た人に………あ、あと本部にいた人、アキラの警告の直後に小此木さんが転移魔法で非難させてたって」

 

「そうか…」

 

アキラはほっとした表情を

 

「さっき助けてくれた人か……いやいい。とにかく…生きていてくれて、ありがとう。それから他のナンバーズに伝えてくれないか。「迷惑をかけてすまない」と」

 

「うん」

 

そのディエチとの会話を最後にアキラは車で連れていかれてしまった。

 

「アキラ君…」

 

その後、生存していたゼロナンバーズ、並びにスカリエッティ、主犯のクラウド、アキラが脱獄させたウィードが捕らえられ事件は解決した。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ー管理局本部最高評議会ー

 

ここは管理局本部最高評議会。過去にドゥーエに殺された最高評議会ではなく、新たに設置された管理局の中の選りすぐりのメンバーを集めた最高評議会だ。

 

その円卓の中心にいるのは、小此木だった。

 

「小此木君どういうことかね?アキラ・ナカジマに無罪を求めるとは」

 

「とても正気の沙汰とは思えんね」

 

「彼は既に人間が超えてはいけないラインを超えている。処分、あるいは監禁しなければ」

 

メンバーの数は小此木を含めて計11人。今はアキラの罪をどうするかについて会議をしていた。

 

「早計ですよ。最高評議会ともあろうものが」

 

「なに?」

 

「彼があの力を発揮したのは、黙示録が放った大量の魔力を一時的に取り込んだことで体内のロストロギアが発動しただけです。黙示録の獣並みの攻撃がなければ、もう二度と発動することはないでしょう」

 

「しかしだね、それ以上に彼は投獄された罪人を脱獄させて…」

 

「ギンガ・ナカジマを護れる強さを…求めた結果です。彼にとってはそれがすべてであり、それ以上に臨むものはない。逆に言えば、ギンガ・ナカジマさえ守れれば彼は管理局にとってのいい戦力になる。そうは考えられませんか?」

 

「たしかにそうだが、もしなにかの拍子に裏切られ、その力が脅威になったりしたら…きみや高町なのはとは次元の違う力だろう?」

 

「ギンガ・ナカジマが管理局にいる限り、問題ないと考えられます。それにそれだけではありません。アキラ・ナカジマはかなり顔が知れています。今回の事件で、避難シェルターの中から多くの人間が彼が守ってくれたと証言しています。そんな英雄的な彼が急にいなくなったなんて、管理局の信用問題に関わるのでは?」

 

「…」

 

「もちろん彼をただで無罪放免にする気はありません。彼を「ファントム」に加えることを提案します」

 

「馬鹿な!」

 

「何を言っているんだ!」

 

「そもそも彼はファントムにふさわしい戦力と呼べるのか!?」

 

「これからF1とともに彼を3か月間鍛え、その後の摸擬戦で皆様に判断してもらいます。もし認められれば影のファントムの一員かつ108戦闘部隊隊長として管理局に努めてもらいたいと考えております」

 

 

 

 

続く


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