伝説と呼ばれた義足   作:アストラッド

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 なんとなく書いてしまうのでした。
続ける気はありませんでした、でも会話中心の描きたくなったので。

でもわりと纏まりはないです。
 


欲求と実行の間

 とある日のGGO カフェ・Nox

 

 

 「お待たせぇ、オクちゃぁん」

 

 「たく呼んでおいて待たせんなよな、くそ鳥」

 

 「ごめんてぇ、ここは奢るからさ」

 

 「ま、あんたと俺の仲だ……それで手打ちだな。

  さっさと座ってくれ」

 

 オクタンの座る席の向かいに腰をおろす女性……ピ

トフーイは、メニューを開く。

 

 「いやぁ、ここのは現実に限りなく近いからどれ

  を食べるか迷っちゃうねぇ」

 

 「良いから早くしやがれ、ここに呼んだ理由をよ」

 

 「んもぉ……オクちゃん、デスガン(死銃)って知ってる?」

 

 その名前を聞いたとたん、オクタンは持っていたコ

ップを口に持っていくのをやめ、テーブルに置く。

 

 「知ってるぜ、有名プレイヤーに弾丸をぶちこんで

  ログアウトさせるチーター擬きがいるってな」

 

 「そうそう、それでそのプレイヤーは二度とログイ

  ンしてないって噂……なーんか知ってるよね?」

 

 「教えねぇ、死に急ぎに教えてもろくな事になんね

  ーぜ」

 

 「いーじゃん、あたし顔広いんだよ」

 

 「……メンドクセェ、じゃあ心理的な意見を聞きてぇ

  から話す。ぜってぇに手を出すなよ」

 

 「よっしゃぁ!分かってるねぇオクちゃん」

 

 オクタンはメニューを操作すると、数枚のスクショ

をピトフーイに送り付ける。

 そこには、事件の主な内容がある程度だが書かれて

おり写真も写り込んでいる。

 

 「プレイヤーの中身だ、実家に協力要請が来てな。

  薬剤の種類と注入方法の調査だ、結果はサクシニ

  ルコリン……スキサメトニウムっつう筋肉弛緩剤

  だって分かった、恐らく針無注射器を使ったんだ

  ろうよ」

 

 「ふーん……確実に複数犯だね、リアルとゲームの担

  当で別れてる。ターゲットを決めてるのと、犯行

  の仕方を考えたのは別人じゃないかな?」

 

 「……どうしてそう思うんだ?」

 

 「見た感じだけど、犯行を考えたのは殺したいだけ

  の奴かな。GGOでリアルの情報を盗めたから殺し

  ちゃおうって感じ……じゃなきゃ筋弛緩剤を使う訳

  ない、こりゃ捕まらない為じゃなくてバレない為

  の工夫だもん」

 

 「つまり、ずっと殺し続けたいシリアルキラーが犯

  人って言いてぇのか?」

 

 「そう、そしてターゲットの決め方は……簡単だね、

  ゲーマーのひがみとか恨みだよ。

  ゼクシードのアホは流行操作まがいなんてしょっ

  ちゅうだったでしょ?その後は……隣の芝生は青

  く見えるから燃やしましょう、とかじゃない?」

 

 「困った連中だぜ、俺が面倒事に巻き込まれんだか

  らよ」

 

 「あとは……価値観の逆転じゃない?」

 

 「おいおい……お前の劣化バージョンがいるのかよ

  勘弁してくれよ!」

 

 「言うねぇ!!……まぁ、私とは少し違うけどね。

  犯人に取っては仮想世界こそ自分のいるべき世

  界なんだと思ってるんじゃない?だからGGOで

  拳銃を使って撃ち抜いて……」

 

 「現実で殺すってか……手間だねぇ」

 

 「その手間が大事な人間も存在すると言うことだ

  薬物中毒者よ」

 

 ピトフーイの前にはショートケーキが、オクタン

の前にはオレンジジュースが置かれる。置いた人物

に視線をやると、オクタンを薬物中毒者と呼んだ男

、店主であるノックス……通称コースティックの姿

があった。

 

 「おいおい、コーヒーとかケーキと一緒だとか言

  い出すんじゃねぇだろうな、毒ガス博士」

 

 「強ち間違いでもない……私がガスやこの店のメニ

  ューに力を入れる事も、貴様がオートリカバー

  と言う評価されないスキルにポイントを使って

  いるのも、他者から見れば下らない事とも言え

  るだろう」

 

 「コスッち、理解してるねぇ。いわば、生きる上

  では必要ないけど人生の謳歌には必要なの。

  楽しく生きるには、自分にとってのそれ!って

  ものが必要だからね」

 

 ちゃっかりと同じテーブルに座るノックス、自前

のカップにコーヒーも入れられており話をする気満

々であるのを悟ったオクタンは、ため息をつきなが

らも意見を聞いた。

 

 「博士は今までの話で反論とかあるかい?」

 

 「ミス・ピトの意見とほぼ同じだ、だがスキサメ

  トニウムを使ったのは検査しなければ体内で分

  解されるからだろう。それと、相手は医療従事

  者かその親族……それも家系的なものか、2、3

  世代前からの院長クラスの関係者だ」

 

 「へぇ、単に心不全とかに見せかけるだけじゃな

  いんだ」

 

 「アドレナリンの過剰投与でもいけるが……褐色細

  胞腫やアナフェラキシーショック等の痕跡が出

  るのを嫌った可能性がある。そして……」

 

 「なんだよ、気になるじゃねぇか」

 

 「医療施設に詳しい貴様なら分かるだろう?緊急

  時のドアロック解錠方法を」

 

 「……あぁ、そうゆうことか。確かにそりゃ医療関

  係者って考えるわな」

 

 「んねぇ?どうゆう事?」

 

 「医者ってのはよ、緊急時のみ使えるマスターキ

  ーを持ってる奴がいんだよ。まぁ大きな医療施

  設とかだけどよ、んでこのマスターキーが厄介

  なんだよ……」

 

 オクタンの言葉と同時に、ノックスは角砂糖をテ

ーブルの上に2つおき、何故かオブラートを取り出

した。

 

 「このオブラートに包んだ砂糖を最新式の電子錠

  とする、そしてただの砂糖を旧式の電子錠とし

  よう」

 

 「なんか始まったけど」

 

 「いつものこった……まぁ分かりやすい解説ばっか

  りだけどよ」

 

 「そしてこのコーヒーをマスターキーとする。

  最新式の電子錠よりも古いタイプだ」

 

 「じゃぁ、そっちの砂糖と同じ世代?」

 

 「そうゆう事だ、このマスターキーでどちらの錠

  が開くか試した時……どうなると思う?」

 

 「そりゃただの砂糖……旧式は開くんじゃない?」

 

 「その通りだ、ん……ふぅ、この様に最新式の錠

  は開かず、旧式は開く。オブラートの砂糖は溶

  けずに無事で、普通の砂糖は溶けると言う事だ」

 

 「ふーん……あれ?」

 

 ピトフーイは少し考え、紙にイラストを描いてい

く。そこには、凸と凹や三角とそれを切り抜いた様

なイラストだった。

 

 「鍵って、こう言う特定のやつじゃないと無理な

  んじゃないの?で、最初の一本がマスターキー

  なんじゃないの?」

 

 「ミス・ピト、厳密にはそれはオリジナルキーと

  呼ばれる物だ。

  そして、マスターキーは基本的に異なるコード

  の電子錠を多く開けられる、だが権限が大き過

  ぎるのだ」

 

 「どゆこと?」

 

 「分かりやすく言うと、同世代の鍵は全部開けれ

  んだよ。下手すりゃ前世代のやつもな」

 

 「……ワーオ」

 

 「ミス・ピト……賃貸住宅やマンション、それと最

  新式ではない電子錠の一戸建て。彼等の開けら

  れる錠は我々の把握しきれない程にあると言う

  事だ」

 

 「こうなると、どうやって個人情報を取るかだよ

  なぁ……後ろからは覗き込めないようになって

  るしな」

 

 「街中で透明に慣れればあるいは……いや、モザ

  イクの消去の課題は残るな」

 

 「そもそも住所なんてステータスに書かないで

  しょ?あるとしたら……総督府?」

 

 

 その後、2時間ほど議論したが可能性の域を出ず

殺人の方法は検討がついたものの、ターゲットの場

所の割出方法は情報不足だった。

 

 

 「……そろそろ昼か、学校に行かねーとな」

 

 「ほう、サボりだったとはな」

 

 「ちげーよ、家の用事で半休とったんだよ」

 

 「オクちゃぁん、なんか分かったら教えてね」

 

 「わーたっよ、たく……じゃあ、また今度な」

 

 オクタンはメニュー操作を行い、GGOの世界か

らログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ、まだまだ検討が必要ですね」

 

 オクタンのプレイヤー、白銀 空はベッドから起

き上がると服を整え始める。

 

 「シルバ製薬の関わった医療施設の犯行かどうか

  ……この程度の情報じゃ分かる訳ないですね」

 

 外していた義足を取り付けながら、情報の整理を

するが足りない情報ではやはり全貌は見えてこない

 

 「仕方ありません、犯人の捜索と事件の解決を目

  指さなければならないのは変わらなそうですね

  ……シルバ製薬が解決したとすれば、関係施設で

  もある程度の損失は抑えられるでしょう」

 

 カシャンカシャンと言う音と共に部屋を出る空、

その姿は少しだけ憂鬱そうなオーラを放っていた。

 

 

 これから起きる激動の数日を嘆いているかの様だ

った。

 

 

 

 

 

 





 戦闘を描くとしたら次です。

・何でピトはオクタンが事件の情報を知ってると思ったの?
 A.彼の実家とその特殊性を知ってるから

・ピトの推測は合ってるの?
 A.所々で間違ってますが、おおよそは合ってます。

・コスティは何でケーキの研究してるの?
 A.現実でガスの研究出来ないから、データ入力して味覚や感覚を近付けガスの研究に利用しようとしたから。勿論、運営にも許可を貰ってる、しかもアプデに採用される事もある。

・なんでゲーム内のトリックは分からなかったの?
 A.単純に光学迷彩マントの存在をしらなかったから、あとアイテムごしならモザイク貫通すると知らないから。

・キリトとの共闘は?
 A.菊岡の依頼とかではしないです、本戦でやっと対面する勢いで考えてます。

・マスターキーすごない?
 A.たぶん新しい技術の普及に伴って発生した問題と思われます。ただ、少しだけ間抜けな事件ですよね。

 時間飛ばすかどうか迷いますね。

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