うるせーぞ決闘者ども!   作:バルバドス

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TURN2 バニラの世界

結東市で暮らす場合家や職なんかよりも必要になるものがある。それはデッキだ。

デッキがあればこの街でなんとか生きていける。笑い話かと思われるが、実際浮浪者の方々もデッキは持っている。デッキは命、文字や数字を教わる前にデュエルを学ぶのは結東市だけだと思う。

で、僕はそんな結東市を生き抜くために実家にあるデッキを全て送ってもらった。おかけでもともと狭い部屋がだいぶ狭くなった。

朝起きるとリュックにテキストやその他と一緒にデッキの山からデッキを一つ適当に入れる。今日何入れたっけな。

 

「行くぞ国光遊飛!俺の先攻!」

 

結東市の決闘者はノリで先攻後攻を決めるのがデフォだ。じゃんけんとかコイントスが介入する余地はなし、言ったもの勝ち。

 

「手札からジャイアントオークを召喚」

 

ジャイアントオーク。星4にして攻撃力2200は強力だが、攻撃すると守備表示になり次のターン表示形式を変更できないデメリット効果がある。つまり守備力0のサンドバックが2ターン出来上がると言うことだ。

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

ジャイアントオークねぇ、まぁだいたい読めるけど今はバック(伏せカード)に触る手が無いし。

 

「じゃあ僕のターン、カードドローっと」

 

6枚の手札を見る。とりあえず動いてみるか。

 

「ライトロードアサシン ライデン召喚。起動効果でデッキトップから2枚墓地に落とします」

 

「おおっと、それにチェーンして永続罠発動!スキルドレイン!1000LP払ってフィールドのモンスター効果を全て無効にする!」

鋼山 LP7000

 

やっぱりかぁ、彼のデッキは『スキドレバルバロ』だろう。デメリットアタッカーの効果をスキドレで無効にしつつ相手フィールドのモンスター効果を封じ、高い攻撃力のモンスターでビートするシンプルな戦法のデッキだ。

 

「さぁ、バニラの世界だ。殴り合おうぜ」

 

殴り合って勝てる気しない、スキドレを破壊しないと...しかし手が無い。こうなるとやるはことない。デッキトップを祈るだけだ。

 

「ターンエンドです」

 

「俺のターンドロー!ゴブリン突撃部隊を召喚!」

 

攻撃力2300のアタッカーが来たか。こりゃ苦しいぞ。

 

「バトル!一斉攻撃!ジャイアントオークでライトロードアサシンライデンを攻撃!ジャイアントフルスイング!」

 

ジャイアントオークが持っている棒を振り回してライデンに襲いかかった。く、いつ聞いてもこの技名言わないといけないのか。テキストのどこにも書かれてないから、カード毎に考えてるのか?

 

遊飛 LP7500

 

「ゴブリン突撃部隊で直接攻撃!ボコボコタイム!」

 

技名ダサ!

遊飛 LP5200

 

「ターンエンドだ。遊飛、お前筋肉足りないんじゃないか?」

 

デュエルに筋肉はいらないだろ...と突っ込むのは何度目だ。テレビでもタレントや芸人、プロデュエリストが言ってた気がするが、絶対いらないでしょ。

 

「く、僕のターンカードドロー!」

 

そうか、このカードか。とするとこうしてああして...。あぁ、頭使いたくない。使うとお腹が減る。

いっそサレンダーしたいが相手が認めないとサレンダー出来ないし、わざと負けると凄い怒られるし、何かギャラリー出来てるし、もう勝負の土俵から降りられなくなってる。

 

「僕はカードガンナーを召喚します。そして効果発動!デッキから3枚まで墓地に送ることで送った枚数☓500アップさせます」

 

「おいおい、スキルドレインを忘れたか?腹減りすぎて頭回らなくなったか?」

 

そして結東市の人間は決闘中やたら煽ってくる。なにか一言付け足さないと死んでしまうらしい。これは心理動揺を誘っているらしい。いや、僕はもう慣れたけどさ。

 

「忘れてませんよ。カードガンナーのデッキトップから墓地に送るのは『コスト』です。そしてスキルドレインで効果自体がなくなっているのではなく、あくまで発動が無効になるだけです」

 

「どういう、意味だ?」

 

頭を抱えている筋太郎君を見て初老の店員さんがレジから出て来て

 

「スキルドレイン中でも効果の発動自体は出来るんだ。今回カードガンナーも効果を発動して発動のコストとしてデッキトップからカードを墓地に送ったんだ。でも効果自体はすぐにスキドレに無効にされちゃうから攻撃力は上がらないって処理になるね」

 

これも結東市ではよくある事だが外野の人間がやたら解説してくる。名前も知らないギャラリーがカードやコンボの解説、戦況を整理してくれたりする。これは勉強になったりするので有り難い。

 

「...なるほど、つまり意味はないと」

 

「大アリです。そもそもカードガンナーの攻撃力を1500上げても1900、ジャイアントオークもゴブリン突撃部隊も倒せません」

 

「じゃあなんのために」

 

「墓地にカードを送るのが目的です。お陰でいいカードが落ちましたよ」

 

この落ちた3枚はこのターンには使えないな。勝負は次のターンになる。

 

「ターンエンドです」

 

「へ、こんな400の雑魚モンスターを棒立ちとは!」

 

効果読んで

 

「俺のターンドロー!いくぞ!神獣王バルバロスを召喚!」

 

神獣王バルバロスは8星のモンスターで本来なら2体のリリースが必要。だけどバルバロスにはリリース無しで召喚する代わりに攻撃力が1900になる妥協召喚効果がある。この妥協召喚で場に出してスキルドレインで効果を無効にすれば3000に戻る、というある種のコンボ...になる。

 

「バトルだ!バルバロスでカードガンナーを攻撃!トルネードシェイバー!」

 

「く、だけど破壊されたカードガンナーの効果発動!カードを1枚ドローする!」

遊飛 LP2600

 

「だが場はがら空きだぜ!ゴブリン突撃部隊で直接攻撃!ボコボコタイム!」

 

「そうは行かないよ。墓地の超電磁タートルの効果発動!このカードを除外してこのバトルフェイズを終了させます!」

 

カードガンナーが落としてくれた超電磁タートルの効果でなんとか生き長らえた。

 

「ち、あと少しなのに。ターンエンド」

 

さて、後は決めるだけだ。お腹も思考力も限界なのでこのターンで決めてやる。

 

「僕のターン...カードドロー!」

 

さぁ、とっとと終わらせて昼飯だ!

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