「私は手札から魔法カード、調和の宝札発動!手札の攻撃力1000以下のドラゴン族チューナーを墓地に捨てて2枚ドローする」
となると考えられるのはドラゴン族のシンクロテーマか。そこそこあるが、どれで来る?
「手札から
まさか、
「そしてエンドフェイズ!墓地の
空から咆哮と共に現れたドラゴン。デュエルをしている者なら知らぬものはいない、強さと美しさを備えた無敵の龍。
「挨拶代わりの
どぎつい挨拶だこと。さて、
「僕のターン、カードドロー」
そう言えば今日このデッキだったな。単体の攻撃力は劣るが、展開力は勝っている。とにかく並べて盤面を整えるか。
「まずは手札から強欲で貪欲な壺を発動!デッキトップから10枚裏側で除外して2枚ドロー!」
ドローして直様除外したカードを確認。完璧だ、展開に必要なカードがデッキに残っている。
「そして手札から剛鬼スープレックスを召喚します。そして召喚時効果で手札の『剛鬼』を1体特殊召喚できます」
「へぇ、剛鬼か。相手としちゃ悪くない。さぁ、ぶつかってこい!」
あぁ雪さんがどんどん戻れない所へ。あんなにお上品だった雰囲気は何処へ。
「あれ、昨日の暗黒界じゃない。お前何個デッキあるの?」
「い、いっぱいあるの」
前に言ったよ、僕はデッキを適当に一個持ち歩いてる変わった人なの。
「手札から剛鬼ツープラトンを特殊召喚します」
さて、これで『剛鬼』モンスターがフィールドに2体。
「フィールドのスープレックス、ツープラトンでリンク召喚!リンク2の剛鬼ジェットオーガを特殊召喚します」
「剛鬼ツープラトンには確かリンク素材になったらリンクモンスターの攻撃力をターン終了時まで1000上げる誘発効果があったな。それを使って相打ちでもするか?」
「いえ、
剛鬼の展開はまだ終わらない。ここから更に並べて
「手札に加えるのは剛鬼再戦、そして発動します。墓地のレベルが異なる剛鬼2体を守備表示で特殊召喚します。もちろんスープレックスとツープラトン」
「いいぞ遊飛ぃ!滾ってきたぁ」
「え、あ…っと、僕はリンク2のジェットオーガと、スープレックス、ツープラトンの3体でリンク召喚。さぁフィールドというリングに上が...あ!今の忘れてください!リンク4、剛鬼ザ・ジャイアントオーガ!」
結東市に来て一ヶ月、純朴な田舎青年の僕はこうして結東市カラーに染まっていくのか。勢いで恥ずかしいこと口走ってしまった。今何歳なんだ僕、公園でこんなこと叫ぶのは小学生までだぞ。
「いいぞ遊飛!ジャイアントオーガがフィールドと言うリングにインだ!」
やめて筋太郎君。僕はさっきの失言そよ風に乗せて忘れようとしたのに。
「ほぉ、ジャイアントオーガか。これまた厄介なモンスターだな」
何か来たぞ。メガネかけた若い男性が突然喋りだした。
「そんなに厄介なのか?」
「あぁ。剛鬼ザ・ジャイアントオーガは自身の攻撃力以下のモンスターが発動した効果を受けず、自身とリンク先のモンスターを対象にした効果を攻撃力を500下げることで無効に出来、更に攻撃力が変動していると1ターンに一度相手ターンでも攻撃力を1000上昇できる効果を持っている。そして先程リンク素材に使われたジェットオーガはリンク素材に使われた場合、フィールドの剛鬼モンスターの攻撃力をターン終了時まで500上昇させる効果がある。そこにツープラトンの1000上昇の効果を合わさり、3000+500+1000+1000の5500となる。
どこにいても名も知らぬ解説役が出てくる。しかしこれだけは非常に助かる。あの人の説明通り、
「リンク素材として墓地に送られたツープラトンの効果とジェットオーガの効果発動、まずはツープラトンからの効果処理でジャイアントオーガの攻撃力を1000アップ。そしてジェットオーガの効果で500アップします。更に剛鬼ザ・ジャイアントオーガの効果で自身の攻撃力が変動している時に、攻撃力を1000アップできます。これで計5500、バトルフェイズに入ります!」
伏せカードもない、真正面からねじ伏せるだけだ。
「剛鬼ザ・ジャイアントオーガで
ジャイアントオーガは大剣を振り上げて、
「やるなぁぁぁ!」
臥竜院雪 LP5500
爆炎に巻き込まれながらも心の底から嬉しそうなシャウトを響かせる。雪さんに褒められるのは嬉しいけど、僕が褒めてほしいのはこの声じゃなくて数分前のあのお淑やかな声なんだ。
「僕はこれでターンエンドです。そして剛鬼ザ・ジャイアントオーガは元の攻撃力3000に戻ります」
「流石だ国光遊飛…いや、噂通りだ!!」
「な、なんて言いました?」
「大学で10戦無敗のデュエリストがいるって聞いてたんでね、前から興味あったんだよ。くく、アンタとなら血湧き肉躍る
え、噂になってるの?いや、そんな僕は事あるごとにデュエルしろって絡まれるから嫌嫌やってただけだぞ。って言うかデュエル関連はすぐ街中で噂になるな。何この街、越してきて一ヶ月で10戦も絡まれたのか、僕。
「剛鬼ザ・ジャイアントオーガは確かに強力だが素の攻撃力は3000。今ならなんてことはない…さぁ行くぞ遊飛いぃぃ!ドローだ!」
「おぉぉ!
解説役のお兄さんがすごい興奮してる。
「手札からドラゴン目覚めの旋律を発動!手札を一枚捨てデッキから、攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族2体を手札に加える!私は
この2枚ということは、早速
「私は手札の
見せるだけで3000のアタッカーが出てくるのは脅威にほかならない。しかもドラゴン目覚めの旋律で見せるための
「
「相打ちでもする気か?」
「いや、そんな単純な手を使うデュエリストじゃない。ジャイアントオーガを超える手があるんだ」
筋太郎君と男性のやり取りの通りだ。この人はただの脳筋デュエリストじゃない。
「私は手札から死者蘇生を発動!墓地のモンスター1体を特殊召喚する!」
墓地には
「私は墓地から、
...そうか、ドラゴン目覚めの旋律の時に捨てていたカードが1枚あったな。それがこれか。
「
「カオス・ォーム!?まずいぞ!」
そうだよお兄さん。これ以上デカイのが並ばれるのはきつい。
「いくぞ遊飛ぃ!手札からカオス・フォーム発動!手札の
3体目の龍が雪さんのフィールドに現れた。しかもカオス・MAXの攻撃力は4000。ジャイアントオーガを上から殴るには十分だ。
「バトルフェイズ!カオス・MAX・ドラゴンでジャイアントオーガを攻撃!混沌のマキシマム・バーストぉ!」
カオス・MAXの全身から放たれた光がジャイアントオーガに突き刺さり、爆炎が巻き起こった。
遊飛 LP7000
「まだだ!
「くっ!」
遊飛 LP4000
「まだまだあぁ!
「ぐわぁぁぁ!」
遊飛 LP1000
今度は
地面に数度バウンドし、背中を何回も打ち付けた。
「な、なんで。これは映像のはずなのに」
「デュエルディスクの裏設定ってやつだ。これがあるとデュエルの中で痛みを感じられて、
え、それ僕に何も言わずにやったんですか?
雪さんの独断なんですか?一言ないんですか?
「アンタもデュエリストならわかるだろ?デュエルってのは心が震えなくちゃ楽しくない。それはただ単純なデュエルでは生まれないんだ。こうして、肌で、心でデュエルを感じとることが、本物の
「んなわけないでしょ!ふざけんなよ結東市のデュエリスト共!」
思わず怒鳴ってしまった。こんなに怒りで声を荒らげたのは初めてだ。自分で言うのもあれだが僕はかなり温厚だと思う。だから、自分でもこんなに怒鳴れるんだなと驚いた。
「全部デュエルで片付けるな!デュエルでなにか賭けようとするな!デュエルに変な機能や要素を持ち込むな!僕だってデュエルが好きだ!好きだからこそ、純粋にカードゲームとして楽しみたいんだよ!なのに、決め事だの賭けだの順番だの...もういいよ!疲れるんだよ!」
思いの丈全部吐き出した。一ヶ月僕が味わった結東市の洗礼が走馬灯として蘇る。
「国光遊飛、アンタがデュエルを本気で愛してると言うなら。ここから逆転してみせろ、そして証明しろ。お前の言う普通のデュエルが、
ほーらそういう所だよ!そして何言ってるかよくわからないし!そういう所についていけないの!
「メインフェイズ2だ。私は
「ここでタイタニックギャラクシーか。きついな」
「あのモンスターってどんな効果なんだ?」
「効果は3つあるが、何より辛いのが1ターンに一度魔法効果を無効にしてエクシーズ素材にしてしまう効果だ。剛鬼の展開の要、剛鬼再戦を封じてきたな」
リンク4に繋げるにはほぼ必須の剛鬼再戦。そこをメタられるときつい。それに攻撃力4000のカオス・MAX・ドラゴンもいる。
「さぁ、遊飛!来い!」
「僕の、ターンドロー」