結果自体は変わっておりません。ご了承下さい。
何度も修正申し訳ございませんでした。
さて、僕のLPは1000でハンド(手札)は今から引くカード合わせて5枚、そしてフィールドには何も無い。対して雪さんのLPは5500、ハンドは2枚、フィールドには攻撃力4000で2倍の貫通ダメージを与える効果を持つブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴンと、魔法カードの効果を無効にしてエクシーズ素材にする誘発効果を持つ攻撃力3000のNo.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシーの2体。
守備で並べて凌ごうにもカオス・MAXの2倍の貫通ダメージで1000なんてLPは吹き飛んでしまう。展開しようにも『剛鬼再戦』と言った展開に必要な魔法カードの効果は無効にされる。残されたこのターンであの2体を処理しなければ僕は負ける。誰が観ても圧倒的に不利。打開策はデッキトップにかかっている。
「僕のターンドロー」
引けなければその時点で負け。さぁどうだ。
恐る恐るカードを確認する。このカード...!
首の皮一枚繋がるって、こういう事なんだな。
「メインフェイズ!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札の『剛鬼 ヘルトレーナー』を見せ、墓地の剛鬼リンクモンスター1体を対象にして効果発動します。このカードと墓地の『剛鬼 ジェットオーガ』を特殊召喚します」
「おぉ!一気に剛鬼モンスターを展開した!やるな遊飛!」
「でもここからどのリンクモンスターに繋げるか、だね。ジェットオーガをリンク素材にすればフィールドの剛鬼は攻撃力は500上がるが、それでも4000には届かないはず。それにタイタニック・ギャラクシーの存在も無視できない。さぁ、見せてもらおうか」
もう既にこの盤面は脳内で突破している。あとは筋書き通り実行して実現させるだけだ。
「更に手札から『剛鬼 スープレックス』を召喚します。効果で手札の剛鬼を1体特殊召喚します。『剛鬼 ライジングスコーピオン』を特殊召喚します」
「へぇ、魔法カードを封じたのにこうも簡単に展開して、更にカオス・MAXの攻撃力も下げるとはね。だが、カオス・MAXとタイタニック・ギャラクシーをどう超えるつもりだ」
「超えて、そしてLPも削りきります」
結東市の人間は何かとフラグを建てるのがうまい。
こうやって口で説明して見事に回収されるのは一種の職人芸だ。結東市の人間に流れる決闘遺伝子がそうさせるのか。
「フィールドのリンク2の『剛鬼 ジェットオーガ』と『剛鬼 ライジングスコーピオン』でリンク召喚!リンク3 『剛鬼 ザ・ブレード・オーガ』を特殊召喚します」
ブレードオーガをExゾーンに置く。そしてこの際に下と左下に2体の剛鬼が置かれているのを確認。元々いたヘルトレーナーとスープレックスがリンク先にしっかり置かれている。よし、これで準備は整った。
「墓地に送られた『剛鬼 ジェットオーガ』、『剛鬼ライジングスコーピオン』の効果発動します。チェーン順は1にライジングスコーピオン、2にジェットオーガです。ジェットオーガの効果でフィールドの剛鬼モンスターの攻撃力を500アップします。そしてライジングスコーピオンの効果でデッキから剛鬼カードを手札に加えます。『剛鬼再戦』を手札に加えます」
回っている。ここまで筋書き通り。大丈夫だ。
この後フィールドの『剛鬼 ブレードオーガ』の効果でリンク先の『剛鬼 スープレックス』をリリースして2回攻撃を可能にしつつ、リリースされたスープレックスの効果でデッキから『剛鬼 フィニッシュホールド』を手札に加える。
『剛鬼フィニッシュホールド』はリンクマーカーの数✕1000アップと貫通効果を与える魔法カード。ブレードオーガを対象にすればこれで攻撃力6000超えの2回攻撃で正しくフィニッシュだ。その前に魔法カードを発動して無効にしてもらわないと。
「手札に加えた後で、発動したい効果があるんだが」
不敵な笑みを浮かべ1枚のカードを宣言した。このタイミングで発動するカード...!しまった。警戒してなかったわけじゃないが、あのカードが来るとすべてが瓦解する!
「手札から『ドロール&ロックバード』を墓地に送り効果発動だ!このターンアンタは以降デッキからカードを手札に加えることができない」
最悪の予想が的中してしまった。『ドロール&ロックバード』は相手がデッキから手札にカードを加えた時に発動できるカード。チェーンを組んでもその処理後に発動されてしまう。これで僕はこのターンサーチすることができない。
「この程度の妨害で止まるのか?国光遊飛ぃ!」
この程度って大ダメージだよ!このターンで終わらせるシナリオが奇麗に白紙だ。...決めきれなかったのは痛い。仕方ない、せめて盤面だけでも取るしかない。
「『剛鬼ザ・ブレード・オーガ』の効果でリンク先のヘルトレーナーをリリースして2回攻撃を可能にします。そしてブレードオーガにはリンク先のモンスターの数✕300アップする効果があります。リンク先には『剛鬼スープレックス』がいるので300アップ。そしてジェットオーガの効果で上がった500と合わせて800アップします。これでブレード・オーガの攻撃力は3200、そして2回攻撃が可能!」
「だが攻撃力はこちらが上だ!」
「わかっています。『剛鬼 ザ・ブレード・オーガ』で『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を攻撃します。技名はなし!」
「何かあるな!さぁ来い!」
「バトルフェイズ開始時に手札から『星遺物 星槍』の効果発動!リンクモンスターを含むモンスター同士が戦闘を行うダメージ計算時に、このカードを手札から捨てることで、その戦闘を行う相手モンスターの攻撃力は3000ダウンします」
「つ、つまり...」
「カオス・MAXの攻撃力は1000になる。『星遺物 星槍』のこの効果は対象を取るわけでもない。カード1枚で見事に4000のカオス・MAXの上を取ったな」
ブレードオーガは大剣を振り回しながらカオス・MAXに突撃し、自分の何倍もあるカオス・MAXを切り刻んだ。フィールドに広がる爆炎の中から、高笑いが響く。
「ははは!」
臥竜院雪 LP3300
「そしてタイタニック・ギャラクシーにも攻撃!」
ブレードオーガは直ぐ様もう一体の龍へと突撃。唸り声を上げながら自慢の大剣で斬りつけた。
「くく、全滅か!」
臥竜院雪 LP3100
「そしてまだ僕のフィールドにはスープレックスが残っています。スープレックスで直接攻撃!」
スープレックスは素早いステップで一気に距離を詰めると、反応に遅れた雪さんに手の甲に付けた爪型の武器で強烈な一撃をかました。悲鳴と共に雪さんは膝をついた。いくら
「くはははは!いい一撃だぁ!さぁデュエルが佳境になってきたなぁ!滾ってきたぜぇ」
臥竜院雪 LP800
そんな僕の気持ちなんぞ知らぬと言わんばかりの笑い声と男でも言わない熱苦しい発言。爆風に巻き込まれようが、痛みを感じようがこのデュエルを心から楽しんでいる。
「メインフェイズ2に入ります。フィールドのリンク3のブレードオーガとスープレックスの2体でリンク召喚します。リンク4 『剛鬼 ザ・パワーロード・オーガ』」
このターンが終わればジェットオーガの効果が終了し、攻撃力が元に戻る。そのときにフィールドにいるとまずいのが『剛鬼 スープレックス』だ。元々の攻撃力1800だと、復活の福音や銀龍の咆哮と言ったカードで
でも...実は、僕の手札にあるカードを使えば1200のダメージを受けても負けはしない。だからスープレックスがいても問題はなかった。
ただ
「ここでリンクか。確かにスープレックスが場にいるとなんとなくまずいのはわかるな」
「そうだね。
「そして『剛鬼再戦』を発動します。墓地の『剛鬼 ヘルトレーナー』と『剛鬼 ライジングスコーピオン』を特殊召喚します」
パワーロード・オーガはリンク先のモンスターの数✕200アップする。今出した2体の400を加算して3200、
効果破壊と戦闘破壊耐性のあるモンスターを並べた。これで確実に次のターンにつなげる!
「『剛鬼 ザ・パワーロード・オーガ』か。他のカードの効果を受けず、更にリリースした剛鬼リンクモンスターのリンクマーカーの数だけフィールドのカードを破壊する起動効果もある。そして今はリンク先に2体いるから3200...ふふ、今私は追い詰められている!絶体絶命だ」
盤面は僕が圧倒的に有利...なのに、全く油断できない。雪さんの目は死んでない、いや逆にここに来て一番楽しそうだ。
「国光遊飛...アンタは強い。デュエルを純粋に愛しているのがよく伝わる。抜かりのないプレイングに豊富なカードの知識、好きが原動力になってなけりゃここまで強くなれない」
「あ、ありがとう、ございます」
「私の探し求めていた
「今度は、私がこの盤面をひっくり返す番だな」
雪さんはデッキトップに静かに指を乗せ、腰を落として下半身に力を入れる。
「見てろ
力一杯、デッキトップからカードを引く、その動作で彼女の方からから突風が吹いた。
ドローの動作で生じた風で、大人の男がバランスを崩すなんて話結東市以外の人間は笑うだろう。
僕も笑っていたと思う。でももう笑えない、だってこうして尻餅をつくのは何度目かの事なので。
結東市のデュエリストとデュエルする時、対戦相手の追い詰められた際のドローは身構えていたほうが良い。偶にこうしてドロー時の風圧で吹き飛ばされるからだ。
「...手札から、トレードイン発動。手札の星8モンスター、
あぁぁぁまたドローくるぅぅぅ!
今度は重心を落として突風に備えたお陰で腰を打たなくて済んだ。
「...国光遊飛、アンタとのデュエル楽しかった。私が求めていた互いのすべてがぶつかり合う
これで終わらないはず。まだ1枚ある。引いたんだ。この盤面をひっくり返すカードを。
「手札から...魔法カード
無敵の龍を越えた、究極の龍が進化した姿。三ツ首の龍は地に足をつけると空に咆哮した。空気が震え地が恐れをなして揺れる、絶対的で究極の力を僕に示した。
「
「しかもヘルトレーナーの効果が無効になってるし...遊飛!ヤバいぞ!」
やはり、いたか。雪さんのデッキには多分
「バトルフェイズ!
守備表示だからダメージはないが、
「
Exデッキに『
「破壊されたライジングスコーピオンの効果発動!デッキから『剛鬼 フェイスターン』を手札に加えます」
凌いだあとにこのカードで展開する!僕のターンを信じてサーチする。
「私はExデッキから3枚目の
「手札の『剛鬼 マンジロック』の効果発動!このカードを捨てて戦闘ダメージを半分にします!」
衝撃波にふっ飛ばされ、背中と腰を強打した。痛みに呻きながらもゆっくりと立ち上がる。
ぐうぅぅぅ!痛い、でもまだ、マンジロックがあった。これで3度凌いだ!できることはやった、もう祈るだけだ。
遊飛 LP150
「マンジロック...そうか、そのカードがあったか」
なんとか、なんとか凌いだ。盤面は壊滅だがLPがある限り勝負を続けられる。ゆっくりとデッキトップに指を置く。
「さぁ遊飛、次はお前がこの盤面をひっくり返してみろ。ターンエンドだ」
「僕のターン...ドロー」
追い詰められたときこそ、冷静に。唸っても吠えてもデッキトップのカードは変わらない。信じて引くだけだ。
ドロー...『剛鬼』下級モンスターが来てくれたか。ほんの僅かだが、まだ僕にも可能性が出て来た。
「メインフェイズ、手札から『剛鬼 ツイストコブラ』を召喚します」
「そして手札から魔法カード『剛鬼 フェイスターン』を発動します。フィールドのツイストコブラを破壊して墓地の『剛鬼 ザ・ジャイアント・オーガ』を特殊召喚します」
「リンク4のジャイアントオーガを出せたけど、攻撃力は3000だ。4500の
「そう、勝てない。彼自身それは理解している。理解して出してるんだ。まだあるんだ、勝利の可能性を信じてジャイアントオーガをフィールドに出したんだ」
「墓地に送られたツイストコブラの効果でデッキから『剛鬼 アイアンクロー』を手札に加えます」
「そう来たか!アイアンクローは手札から捨てることで攻撃力を500アップする効果を持つ。そしてジャイアントオーガは攻撃力が変動しているときに自身の攻撃力を1000アップする効果を持っている。これで合計4500、
「はい、ですから後続を呼ばれたら僕の負け。呼ばれなければどちらが先に4500のモンスターを突破するかのデッキトップ勝負になります」
「面白い...その勝負受けて立つ」
勝負じゃない、こんなの分が悪い賭けだ。それでも今の僕にはこれしかない、願うしかない。
デッキトップでの勝負なら展開力のある下級モンスターの多い僕の方が有利だ。ここさえ、ここさえ凌げればいいんだ。
「私のターンドロぉぉぉぉ!」
雪さんのドローに耐えながら彼女の顔を見る。
じっとドローしたカードを見ているが、どうなんだ。引いたのか?
「バトルフェイズ!
な、相打ち覚悟で来るのか!ならやるしかない。
「剛鬼モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時に手札のアイアンクローの効果を発動できます。手札から捨てて攻撃力を500アップします。更にダメージ計算前にジャイアントオーガ自身の効果を発動します。攻撃力を1000アップ!これで4500です!」
三ツ首のドラゴンが放ったブレスを受けながらも巨大な戦士は剣を投擲し、胸元に刺さった。痛々しい咆哮を上げながら両者はフィールドから姿を消した。
「国光遊飛、楽しかった。こんなに血湧き肉躍る
「まだ、デュエルは終わってません」
「いや終わりだ!手札から速攻魔法『銀龍の咆哮』を発動する!墓地の
引いていたのか...この土壇場で、止めをさせるカードを。なんて引きの強さだ。
「
「うわぁぁぁぁぁ!」
迫りくる光に飲み込まれた。LPが減るディスクの音が小さくなっていき、段々と視界が歪む。あ、倒れる。
そう直感した時にはもう意識を手放していた。
「...さん」
ん...誰?
奈落から意識がだんだんと僕に近づいてくると、ぼやけた視界に誰かがうつった。
どこか甘い匂いがして、後頭部が柔らかい。地面じゃない何かに頭をのせてるのかな。
「遊飛さん」
見えてきたのは雪さんだった。デュエル中に見せていた
「雪さん...」
「申し訳ございません。デュエルディスクの裏設定を勝手に起動してしまったばかりに、このようなことに」
「も、もういいですよ。謝らないでください」
そう言えばなんで雪さんの顔、僕の真上にあるんだ?しかも90度横向けだし。これ、僕が立っていたなんてことはないし。僕が寝転んでるよね。ん?じゃあ頭のこれは何?
「お、遊飛起きたか?」
ひょっこりと視界の外から筋太郎君が顔を出した。あれ、雪さんの顔と向きが違う。雪さんと筋太郎君の顔が180度反対にある。
「雪が倒れたお前を膝枕してずっと声かけてたんだぜ」
「ひ、ひざまくら?」
「はい」
雪さんは微笑みながらコクリと頷いた。ひざ、まくら、なるほどだからこんなに柔らかいのああああぁぁぁ!
上半身を速攻で起こし、ベンチから飛び起きた。スペルスピード3の勢いで。
「遊飛さん、急に動かれて大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、大丈夫です」
「筋肉はないがこいつ結構頑丈なんだ、大丈夫だよ」
「でしたら良かったです」
こ、この人会って数時間のほぼ他人の僕を野外で膝に乗せていたのか!な、なんて人だ。
いや僕としては嬉しいしずっとあのままでもううん、違う僕の気持ちじゃないんだもうさっきから心臓バクバクで汗だらだらなんですけど。
「あの遊飛さん。私、あなたの強さに感動いたしました」
「ど、どうもです」
「ですので、私遊飛さんを是非
「お、お好きにどうぞ」
僕は呼ばないですよ。
「それとですね、是非私の同好会に入りませんか?」
「同好会?」
「はい、デュエル研究会です」
「...もしかして、後教授に会いに行ったのって」
「はい、デュエル関係のサークルや同好会を作る際には後教授に申請しないといけない決まりのようでして」
同好会でも申請いるんだ。面倒だな。
えーっと、で、同好会かぁ。まぁせっかく大学に入ったんだしどこかには入りたいとは思ってはいるが。
「待て待て、遊飛は俺の同好会に入るんだぜ」
「そう、なのですか?」
「ま、まって!初耳だよそれ」
突然筋太郎くんが話に入って来たと思ったらとんでもない発言をした。僕の知らない場所で僕のこと決めないでよ。
「もう既に後教授に申請済みかつ通っているのだ。名付けて『デュエル筋トレの会』だ」
「絶対入らない!」
「なぜだ!」
「筋トレしたくない!」
「く...わかった。じゃあデュエルマッスル同好会は?」
「いや待って、そもそも入るとも言ってない「す、すみません。私も入れて頂けないでしょうか?」
雪さんが恐る恐る手を上げながら筋太郎君に言った。
「おういいぜ!大歓迎だ!」
「ありがとうございます!」
嘘でしょ雪さん。なんでですか?筋トレですよ?
「デュエル同好会、やっと入れました」
あ、きっと前半しか耳に入ってなかったのかな。そうに決まっている。
「遊飛さんは、入らないのですか?」
「え、あー...その」
「私、遊飛さんと共に切磋琢磨し、デュエルを極めたいです。どうぞ、よろしくおねがいします」
「頼む遊飛!俺たちと筋力...じゃないデュエル力鍛えようぜ」
なんで雪さんにまで頼まれてるんだ?
「一つ、条件がある」
「なんだ?」
「その同好会の名前、僕と雪さんが考えるからな」
何はともあれ、僕はこうして同好会に入った。正直、心の底じゃちょっと楽しみだった。
「よろしくおねがいしますね、遊飛さん」
「ありがとな、遊飛」
「こちらこそよろしく」
僕の大学生活は始まったばかりだ。