オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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おしまい

分かりきっていたことだ。

初めから手遅れだった。欲しい手札どころか持ち札すら手に入らず、そもそもデッキが組めていない。

 

カルデアの者を名乗る男は正しい。介入するには3000年遅かった。

 

それか彼女がメリュジーヌを呼び覚ます前まで、だろう。ブリテンの未来は彼女が運命と出会ったことで確定した。

 

今さらどう足掻こうと、結末は変わらない。

 

 

ゴーン ゴーン

 

 

 

最後の鐘が鳴る。ブリテンを終わらせる最後の鐘が鳴り響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが、」

「最後の鐘……」

 

道中で両國の軍と遭遇することもなく、藤丸達は最短距離で最後の鐘までたどり着いた。

 

「何て言うか呆気ないね。これを鳴らして私の旅もおしまいか」

「何気取ってんだ。妖精がどれだけ長生きか知らないのか?旅なんてこれから何度でもすればいいんだよ」

「いや、ホントに何もなかったからさ。……何だろう。ワイバーンが一回ぐらい湧いて出てくると思って気を張ってたのがバカみたい」

「何でワイバーン?湧くならモースだろ」

 

即席の鐘つき堂。その中でアルトリアはトリ子に肩をどつかれていた。

 

「アルトリア様。先ほど伝令でブリタニアの軍との戦闘が始まったとのことです」

「はい。分かりました。では鐘を鳴らしますので、貴方達は下がっていて下さい」

 

別に誰が側に居ても問題ない。鐘を鳴らすのは簡単なのだ。

ただ単純に、それは気分の問題だった。

 

アルトリアは杖を構えて、鐘を鳴らす。

 

 

ここで背後に立っていた藤丸立香による妨害は───ない。

 

 

 

……うん。僕も頑張ったんだけどね。

 

あのあと風の知らせでこっそり会話を聞いてたアルトリアに、藤丸が抱いた疑念は一つ残らず解消されてしまったのだ。

 

あの手癖の悪さはあれだね。マーリンに似たと見た。

 

自分が『造られた存在』だとは知らなかったようだが、アルトリアは自分が望んで産まれてきた存在だと知っていた。望まれるままに生きて、愛され続けた。

だからあまり気にならなかったようなのだ。

 

無知で考え知らずな暴君として育つよう、周囲の妖精達を使って過度に煽てたり、マーリンの授業から外に関心が向くように誘惑してみたが、母親からは引き離せなかったので仕方ないと言えば仕方ないんだけど、ここまであっさり済ませられるとイラっとくるね。

 

『お母さんは悪いヒトじゃないからね。こんな時に寝言を真に受けて裏切りました、とか冗談にもならないから』

『そ、そうだよね。そう言えば寝てるんだった』

 

彼も彼だ。これまで散々、オーロラは実は悪い王様なんじゃないかって、深層心理に働きかけてきたのに、あんなあっさり信じるんだもん。

よくその程度の単純な頭で、これまで旅をやってきたものだ。

いっそのこと、洗脳でもした方が良かったか。

でも、アルトリアの妖精眼があるからなぁ……せめて、僕が先に会ってればいくらでも捏造出来たんだけど、何で勝手に森に入るんだよ。危ないから入るなって釘刺したのに、怖いもの知らずにもほどがある。

 

「うん。本物みたい」

「よし!これで戦争を止められる!」

 

最後の鐘は何の障害も挟まるのことはなく、鳴らされた。

 

円卓。ブリタニア、そして冬の軍隊は、その鐘の音を聞いて足を止める。

 

予言の鐘は鳴らされた。

あとは手筈通り、風の知らせを使って、彼女が真の女王として君臨することを宣言するのみである。

 

「ならぬ」

 

 

それを許すものかと、風の知らせの魔力を逆探知して、転移してきたモルガン。

 

「お母様……」

「アルトリア……。これまで同郷のよしみで見逃してやっていたが、貴様がブリテンの妖精ではなく、あくまで楽園の妖精として使命を優先すると言うなら、ここで殺さねばなるまい」

「舐めないでよね。こっちも鐘を全部鳴らして性能ではイーブンだ」

「何がイーブンだ。貴様のその浅知恵で、この私を倒すなど夢のまた夢だ」

 

 

 

 

藤丸は二人を庇うようにサーヴァントを召喚し、モルガンも本気なのか、キャメロットにいる本体が分身を次々と送り込んでくる。

 

 

 

ここだけ見たら、あれ?まだ行けそうじゃね?と思うよね。

でも無理なんだ。ここで奇跡的に、カルデアとアルトリア達が協力してモルガン達を迎撃し、単身突撃したウッドワスがモルガンを討ち取ろうと、冬の國が消えるだけ。

 

ブリテンそのものはこれからもあり続ける。

 

それじゃあ意味がない。

 

それで喜ぶ奴らは大勢いるだろうが、僕は彼らが嫌いだからね。

 

 

「おはよう。みんな」

 

中途半端なメリーバッドエンドになるぐらいなら、無茶苦茶なハッピーエンドを。

 

 

彼女がいる限り、ブリテンはあり続けるだろう。

 

「■■■■■?」

「あーはいはい。諦めた、諦めた。オーロラのやつ。ついに、このブリテンから英雄を誕生させやがった。目ぼしいやつは片っ端から殺して回って、パーシヴァルには反逆者の汚名を着せたのに、自分を英霊の座に人間として登録させるとかどうやったんだ?

これで奈落の蓋は文字通り、ただの蓋となった。もう開けようがない。今度こそ敗北だよ」

 

 

だから僕はこれから趣味に生きることにする。

 

 

「おっ。パーカーの再販が来てる!今度こそゲットするぞ!」

 

『ふざけるな!殺せ!赤い竜を殺せ!!!』

 

「そう言えば、アルトリアはどうやってたって?確か……こうっプチっと」

 

僕はオベロン。秋の森の王子だ。

森に来るなら歓迎しよう。蜂蜜たっぷりの紅茶と黒パンぐらいしか食事は用意出来ないけれど、虫の妖精達の糸から作った布はとても滑らかで肌触りが良いて評判なんだ。

よろしければ、お土産にお一ついかが?

 

 

 


 

オベロンはついに匙を投げ、オーロラはその後話し合いで……話し合いで終わらなそうなのは拳で黙らせ、全て綺麗に片付けました。

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

ほんとうに?

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