オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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赦されよ、赦されよ

「やぁ、五百年ぶりだね」

 

目が覚めるとグランドお兄さんがお迎えしていた件について。

 

 

 

 

「ここは……また夢の中なのかしら?」

「そう、ここはキミの夢の中。内装はちょっぴり弄らせて貰ったが前と同じく私が勝手にお邪魔させて貰っている感じだね」

 

一面の花畑。少なくとも視野が許す限り無限に広がっているそれはまさしくアヴァロンと称しても名前負けしないぐらい美しい光景であった。

どうやら私の夢の中ではあるがプロジェクションマッピングよろしく、マーリンが見ている世界を貼り付けているらしい。

 

 

「聞いていいかしら?何でまた裸なわけ?」

「ハハハハ!それについてはすまない。どうにもこの空間は本人の寝間着のまま投影される仕様なんだが、キミがまさか寝る時に服を着ないタイプだったとは思いもよらず」

 

景色については文句のつけようがないが、ボンキュボンのプロポーションを惜し気もなく晒している私である。マーリンは笑っているが、一応私の尊厳の為に言っておくと好きで裸になってるわけではない。寝ている時に魔力放出や翼や尻尾なんやらで毎回破いたり穴を空けてしまうので、仕方なく全裸で寝ているのだ。それに欲情した蜥蜴竜が夜這いに来なかったわけではないが、知らず知らずのうちに尻尾ビンタで迎撃していたようで、身の危険というやつは感じたことがなかった。

モルガンの魔術で負の感情も抑制されているので羞恥心が沸かないからそれも助けになってこの通り……と、前回とは違い初めから用意されていた椅子に堂々と座ってやる。

 

「まぁそんなことはどうでもいいだろう」

「ええ……ちょっと不服だけど。何か用があって訪ねたのでしょう?」

 

汎人類史の歴史では女癖が悪かったような気がするが、こちらに対しては欠片も欲情などしていないらしい。

 

「用があった。その通りだが、悪い未来を予言しに来たわけでも大きく事態が動くような報告をしきにたわけじゃない」

 

さっきとは打って変わり、真面目そうな顔をしたマーリンは杖を使って少し大きなバスケットを取り寄せた。

 

 

「ヴィヴィアン……はキミが世話を見ている妖精の娘と被るから少しややこしいね。これからは本人が名乗っているようにモルガンと呼ぼうか。楽園の子としての使命を放棄したモルガンに代わり、次なる楽園の子を我々は用意すると500年前に言っただろう?それの金型が出来てね。折角なら見て貰おうと呼んだのさ」

「金型?」

 

見て貰った方が早いと促され、バスケットの中身を覗くとモルガンに非常に良く似た赤ん坊が眠っていた。

いや、この場合アルトリア顔の赤ん坊と言った方が正しいかもしれない。

 

抱き上げても愚図る気配すら見せずにスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。そしてぴょこんと飛び出たアホ毛が楽しそうに踊っていた。

 

「どうだい?」

「どうって……いきなり言われても」

 

ふわふわで温かくミルクの匂いがする非常に愛らしい赤ん坊である。

少し驚いたがこの子がアルトリア・キャスターなのだろう。

楽園の妖精は成長するものと知識として知っていたが、赤ん坊の姿を目にすることになるとは思いもしなかった。

 

「この子を育てればいいのよね。どうしましょう……寝室にベビーベッドは置くとして……私たちだけなら平気だったけど虫の妖精達って不衛生よね。この子には近づかないようにして貰わないと……いえ、我慢させるのも悪いし、思わぬ事故もあり得るから、ある程度成長するまで二人で暮らせるように人里外れた空気の綺麗な場所に別荘を建てるのはどうかしら?」

「思いの外、大切にしてくれるようで良かった。でもやる気になっているところ悪いが、まだ役目を果たすには()()()なんだ。だから妖精國に送るわけにはいかない」

「まさか生まれて間もないこの子に何かするつもり?」

 

思わず、抱き上げたアルトリア・キャスターを庇う。

彼女の使命やカルデアにとっていかに重要なピースになりえる存在であるかは充分理解しているつもりだ。マーリンからの説明もあって勝手な思い込みによる勘違いや千年の記憶のブランクも恐らくはない。けれど赤ん坊を玩具や機械のように配列を弄くって都合の良いように調整しようだなんて言われて平気な顔をしていられるほど人間性を捨てたつもりはなかった。

 

グランドお兄さんなんて自称するこの男。巷ではグランドクソ野郎だと呼ばれ、重要な時にしか動かないだとか、覗き魔、ネカマ、自分の思いどおりになるようにセイバーの人生をコントロールしているだとか色々言われていたが、グランドキャスターの資格保持者である。グランドキャスター……『魔術師』やはりそういう面も持っていたのか。

 

竜の眼光でキッと睨め付けるが、真の英雄は目で殺すとばかりにビームは出てくれなかった。

 

「落ち着いてくれ。そこまで警戒されると……ほら。キミの夢から追い出されそうだ。言い方が悪かったね。未完成ではなく未成熟。楽園はこの子にとって母胎であり、ここから旅立って初めて誕生する。見た目では充分に育っているように見えるがまだまだ中身は未成熟で出産予定日はずっと先なんだ」

 

所々綻びが出たようにぶれる肩を擦りながらマーリンは誤解を解く。

今私が抱いているこの子の本体は楽園にまだあり、生まれるのは早すぎる……そういう話なのだそうだ。

 

「その生まれる時期と言うのは?」

「まだ分からない。百年か千年か、それとももっと先か、モルガンと同じ轍を踏まないようにこちらもかなり神経質になっていてね。予兆があったらまた連絡するよ」

 

だとすると、彼女が生まれる時期は本編と相違ない時期となるのだろう。

とにかく、彼女が元祖Fate作品のヒロインであるイリヤスフィールや間桐桜のような幼い内から虐待、或いは凌辱紛いの調整を受けることはないとのことで息を吐いた。

 

 

「しかし意外だな。赤ん坊の姿であるとはいっても妖精の子であるその子をキミがそんなに気に入るだなんて」

「私は妖精嫌いなんかじゃなくて、彼らの無垢で悔い改めないヘドロみたいな悪性を憎んでいるだけよ。赤ん坊も無垢ではあるけど、全くの別物でしょ?」

「確かに」

 

そこでマーリンの姿がより一層ぶれる。

私が目を覚まそうとしている前兆らしい。随分早い気がするが、そう言えば少し目眩がして横になっただけで昼間だったことを思い出す。

 

「どうせその目で視てたでしょうに……この子の顔を見せるだけのつもりだったのね」

「下手に干渉するとアルビオンの子がうるさいからね」

 

丁度あの子が離れている時期を狙ったのだそうだ。

もしかしてこれまで干渉してこなかったのは、あの子が四六時中私に張りついていたからでは?と思いはしたが、あれはあれで頼りになる存在が常に側にいてくれるという安心感もあったので、これを機に遠ざけようとは思わない。

 

「あ、それと気づいてくれたかな?」

 

もうそろそろ目覚めると言うことでアルトリア・キャスターをバスケットに戻したマーリンは徐に彼女の背中を私に見せた。

まだ小さなその背中にはシワシワに萎れた……けれど何処か見覚えのある翅がついている。

 

「へ?」

 

まさか……え?これ、て……私の……ん?

 

勘違いでなければ、それは私が風の氏族だった時に背中から生えていたものであった。

 

「キミが竜になった折、妖精としてのキミの器は楽園まで落ちてきてね。勿体ないから再利用させてもらったよ」

 

マーリンは目の前でまぜまぜと何かをかき混ぜるようなジェスチャーをした。

それで全てを悟る。コイツ、勝手に私の血肉(妖精ボディ)を混ぜやがったと。

 

「うわー」

 

「ドン引きの感情。ハハハ!!!!あと告げるのが数秒遅ければバックドロップされていただろうね!でもこれで妖精達はこの子をキミの子供であると違和感なく受け入れることが出来る。そして君の要素で楽園の匂いも誤魔化せる。赤ん坊として生まれ出る楽園の妖精は成人するまでの期間。どうしても妖精達の善性を頼りにしないといけないのが難点だったが、皆に愛される君の娘として認識させることでその最難関をクリアすることが出来た。それだけでもお釣りがくるぐらいだが、そのデカイ胸と尻も受け継ぐんじゃないかなー!」

 

あはははは!!!と本人の言うように、あと数秒あればバックドロップで背骨を折って顎の骨を砕いてやろうというところで私は目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

「愛してる……愛してるんだオーロラ。たとえ、この(すがた)を失うとしても」

「起きて下さい!起きて下さいオーロラ様!このままだと二人とも仲良くグサッとやられちゃいます!!!!?」

「何が仲良くじゃ阿婆擦れがァァァガ!!!」

「ヒィィィィ!!!!」

 

そして目が覚めたら修羅場であった。




風の氏族オーロラの肉体←赦された妖精。
魂は竜ボディに乗り換えたが、それは内海に還る……楽園の妖精に拾われて再利用された。
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