オーロラに転生ですか? 作:オーロラ・ル・フェイ
予言は外れる 良く外れる
オーロラの時だけ それ以外は百発百中
どうしてだろう でも良かった
オーロラ あぁオーロラ
この妖精國の真なる女王 彼女がいるなら安泰だ
早いとこモルガンは死んでくれないかな?
邪魔だ 邪魔だよね
でもモルガンが死ぬ未来は見えない
オーロラでも見えるのに …外れるけど
モルガンは一度も死ぬ未来を予言出来たことがない
最悪 つまらない 面白くない 最悪だ
アイツのせいで アイツはオーロラを傷つける アイツが生きてるから
僕らは赦されないんだ!
「許さんー絶対に許さんぞー!翅の氏族の長ムリアン~!」
ポヨン
「あーそうですか。なら虫さんサイズになるのはこれっきりとなりますね~」
「くぅぅぅぅ……この女狐。いつか絶対僕がお前を裁いてやるんだからな~!」
ポヨン
揺れる揺れる。私のたわわな胸に挟まれたメリュジーヌが暴れる度に揺れる。
「あぁ、オーロラ。どうしてキミはそんなに柔らかいんだぃ……このたわわの前では僕の怒りなんて今朝の寝起きが悪かったぐらいの矮小な物に成り下がってしまうよ」
だらしない顔だ。谷間から感じる若干の湿り気はヨダレだけのものと願いたい。
「ムリアン。あなたの
「ハイッ!悪用なんてするつもりはありませんとも!」
「それと怪我はない?妖精領域の影響下と言えどさっきまで竜と取っ組み合いしていたわけだけど」
「少しヒリヒリしますが、負傷はしていません。あ、でも服と髪が乱れてしまいました」
「うちのお風呂を使って。クリーニングと髪の手入れは私がやるわ」
「本当ですか!光栄です!!!」
「何!?まさか一緒にお風呂に入るつもりじゃッッ!!!むぎゅぅぅぅ!!!!」
谷間を寄せて変態を埋める。暫くこの変態には黙っていて貰おう。
「…………ぁぁ……ここが僕の楽園……」
「…………大丈夫そうね」「はい」
沈黙したメリュジーヌに二人して苦笑い。
何故こんなことになっているのかと言うと私たちが──と言うか今回のは私の落ち度だが裸で寝ている私とムリアンを見て寝取られだと発狂して襲いかかってきたのだ。
幸いにもムリアンの妖精領域内であり、そして虫サイズにして私の胸の中に放り込むことで無力化に成功したが、それでもメリュジーヌが抵抗した場合、軽く屋敷は吹き飛んでいただろう。
「今回は本当にごめんなさいね。この子も本気で殺そうとしていたわけじゃないのよ。ただちょっと……どうしようもないぐらい変態で」
「分かってますよ。もし本気ならせいぜい2、3メル程度の妖精領域に突っ込んで来ずに中距離から仕留められていたでしょうから。むしろ先代では手も足も出なかった彼女を無力化出来て自信がついちゃいました!」
「その虫空間のコントロールはまだ掴めていないのよね?他の妖精相手だとうっかり潰して三禁に触れてしまうかもだし、練習台に使ってくれていいから」
「あはは……それはちょっと遠慮しときます」
どうやら彼女が先代から引き継いだトラウマは根深いものとなっているらしい。
「さて。こんなことになっちゃったけど私たちは何もなかった。それでいいわよね?」
「へ………………あ、はい。ナニモナカッタデスヨ?」
「え?」
「何もなかったです!!!」
何か含みがあるような気がしたが、気のせいだろうか。
マーリンとの久しぶりの再会とキャストリアの赤ん坊状態を抱き上げることになるなど、少し休むつもりが逆に疲れてしまったような気がするがムリアンは良い具合に肩の力が抜けたようだ。
誕生祭まであっと三日。ムリアンの働きのお陰であと半日もあれば準備は完了してしまうから今日はもう休んでもいい。
だがムリアンのことだ。私の目を盗んでまたドリンクを掻き込みかねない。なら一緒にやることは出来なくとも見守っておくことは必要だろう。
「誕生祭の準備、ぱぱっと終わらせましょう」
「そうですね。オーロラ様の死は準備の最中……それが終われば予言は外れる筈……ぱぱっと終らせちゃいましょう!!」
『オーロラ様。オーロラ様。秘蔵の酒が割れています』
「え?」
そんな中、風の氏族長シルフから風の知らせが届く。
『サラマンダー様にモース化の兆候あり。進行速度、そして呪いの密度からして厄災級との報告。現在、牙のライネック殿の指示の下、聖堂で隔離されておりますが、半刻ほどで完全に変容してしまわれるかと』
それはサラマンダーがモースになるという。
私がオーロラとして生まれ変わってから初めて出来た友達。そして私以上に活動期間が長く老け込みながらもなんだかんだ生きながらえている唯一の妖精。感性が死んでいる妖精達の中で独自の論理のもと、比較的人間への対応には寛容的でもあった彼には何度も相談して助けになってもらった。
特にホムロの時のことなんて感謝してもしきれない。
そんな彼が死ぬ。否、モース化は明確に言えば死と定義されないが、治療は不可能で災いをもたらす存在でしかない以上殺すしかない。
「…………まだ間に合う?」
普通ならば。だが私という例外がいた。竜の神秘である私を食べさせればまだ間に合うのではないか?
普通ならばそんなことをしようと思わない。だってモース化する妖精は数が多すぎる。
またモースになる理由も自業自得なことも多く、どうせ次代が生まれるんだからと目をつぶってきたが、サラマンダーは別だ。彼なら竜の力を手に入れても悪用しようだなんて思うまい。
それは希望的観点であった。しかし無意識にオーロラは恐怖していたのだ。誰からも好かれるというオーロラという虚像。それを脱いでありのままで話せる存在などメリュジーヌを除けば彼ぐらいしかいない。
半刻もあるなら意識がなくても輸血などで無理やり神秘を分け与えることも出来る筈だ。
「ごめんなさいムリアン。ちょっと用事が出来たから」
「駄目ですっっっ!!!!」
自然と聖堂の方へ向かっていた足にムリアンが絡み付く。
「……緊急なの。離して」
「駄目です!駄目なんです!」
「なら。一緒に連れて行くから」
「っぅ!?だったら―――なんで!?」
ムリアンはその時、オーロラもメリュジーヌと同じように虫サイズにしようとしたらしい。
だがオーロラには効かなかった。まだムリアンの力が未熟だったのもあるだろうが、文字通りただの妖精と冠位の竜の血から誕生した真性の竜とでは格が違ったのである。
最早一刻の猶予もないと悟ったオーロラはムリアンを抱え、翼を広げた。
「嫌ッ行かないで!死なないで下さい!」
『シルフ。モース化は私が何とかします。だからそれまで聖堂には誰も近寄らせるなと』
『オーロラ様。サラマンダーはモルガン様によって討たれました…………そして、それを庇おうとしたヴィヴィアン様も犠牲に……』
「―――――――は?」
しかし残酷なまでにこの國の真なる女王は合理的で迅速な罰を下してしまった。