オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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女王歴 2017年 前編
おわりのはじまり


女王歴2017年

 

長かった。本当に長かった私の旅路の終わり。

妖精から竜へ、ただの竜かと思えばアルビオンへ。

多くの出会いと別れを経験し、幾度絶望に飲まれそうになったことだろうか。

 

それでも私はこの3000年を生き抜いた。

まもなくカルデアが来る。

私の街、私の愛した人たち、私が憎悪する悪性を孕んだこのブリテンが終わる。

 

「開催期間を延長ですか?」

「ええ。バーゲストやアルトリアが生まれた年に増やしたこともあったでしょう?今年もそれをやろうと思うの」

「それは大変喜ばしいことですが、まさかまた御子を?」

「ただの気紛れよ」

 

だから最後は綺麗で美しく、溢れんばかりの娯楽で溢れたこの國の輝きを、春の記憶の一部として持って帰って欲しい。

 

私はこの時の為に何度も何度も書き直して結局満足のいく出来には仕上げられなかった未完成の書物を撫でながら、カルデアの到来を待つ。

 

 

 

 

 

 

「いや、このままだと彼ら南米異聞帯で詰むよ?」

「へ?」

 

と横を見ればマーリンお兄さんである。

彼はアルトリア・キャスターが物心ついた頃、彼女を楽園の妖精として鍛える為に、またモルガンのように裏切らないように監視目的でやってきた。

一応本体ではないが、実体はあって汎人類史とも通じているらしい。

 

千里眼で観た彼の目にはこちらを無視して一直線に南米異聞帯に向かっているカルデアの姿があるという。

 

「それはおかしくないかしら?だって次はこっちの筈でしょ?」

 

ベリル・ガットは現在、モルガンに余計なちょっかいをかけたとかで監獄に収容され拷問を受け続けているそうだが、それはギリシャの件を片付けた後だった。

カルデアはそのままロンゴミニアドを手に入れる為、こちらに来るのではなかったのか。

 

「どうやら回収はするつもりのようだが一旦後回しにするようだ。ごく自然な流れだと思うが君の知ってる未来では他に優先せねばならない理由があったのではないかい?」

「ロンゴミニアド以外に?」

 

何かあったか?と考えて「あっ」と思い出す。

 

「そうよ。ケルヌンノスの大厄災!」

 

『ヌン?』

 

呼んだ?とばかりにケルヌンノスである。

 

「これから、あっちとは時間の流れが違うから24時間が50日だったかしら?それ以内に大厄災が起きてこの國が滅びる。それに巻き込まれて地球が滅んでしまうとかでこっちを優先せざるを得なくなった筈」

『ヌヌヌンヌヌ?(ヌンの本体でも星を滅ぼすほどの力はないぞ?)』

「貴方が蓋をしている穴が問題なのよ。恐らく貴方の本体だけならモルガンだけでも問題ない。だけど穴──ヴォーティガーンはどうしようもないの」

 

ケルヌンノスがメリュジーヌに出した英雄問題。それはほぼ達成寸前のところまで来ている。と言うのも、あのパーシヴァルがメキメキと頭角を現して、この國初めての人間の英雄はほば彼で決まりだろうとされていた。だがこのパーシヴァルは槍による成長補正がないので、()()()()()()

だから大厄災には間に合わない。シナリオの流れには影響しないと思っていたが、

 

『ヌンヌヌヌ(やはり、アイツが原因じゃないか?)』

「やっぱり貴方も彼が原因だと思う?」

「彼とは誰のことだい?」

 

ここで思い当たる節が一つ。

マーリンだけが心当たりがないといった様子だ。

そこで私はアルトリアが何処にいるか千里眼で視てくれと頼むと、彼は不思議そうな顔をして首を傾げた。

 

「ん?おかしいな。さっきまでソールズベリーの飯屋でメロンを食べていたのにもう街にはいないようだ」

 

それにしても、時折彼女の食欲は爆発したように凄くなるね。私の前では少食なのに、さっきは大人二人分ぐらい食べていたんじゃないだろうか。

もしかして私の前では遠慮していたのかな?

と冗談で言っているのか、まだ気付いていないのか分からないマーリンに私とケルヌンノスは苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「毎日毎日!魔術!魔術!魔術!分厚い本を読ませやがって!やってられるかクソッタレぇぇぇ!」

「良いぞ良いぞ!クソみたいな使命なんてすっぽかしてカジノに行こう!軍資金は君の姉上からたっぷり拝借して来たぞ!」

「何やってんのオベロン!?後でお姉ちゃんに殺されちゃうじゃん!?」

 

アホ毛と虫が一匹。陽気に踊っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「もし、もしよ。もし()のやる気がないとしたら全ての前提が崩れてしまう」

『ヌヌヌ(ヌンはそれでもいいと思うが)』

「私も無理に滅ぼそうとは思わないわ。結果的にこの國が救われてしまった、なんて事態になっても引き続き面倒は見るつもり。だけどマーリン、貴方さっき南米異聞帯でカルデアが詰むと言ったわよね?」

「あぁ言った」

 

私は二部六章が公開されて暫く経った後に死んだ。

だから最後のクリプターがデイビットなのは知っているが、南米異聞帯で何が待ち受けているかは分からない。だがメタ的な推測をすると、折角手に入れた聖剣のエッセンスを次の章で使わないという展開は考え辛く、恐らく聖剣が必要なほどの強敵が待ち構えているのだろう。

 

「カルデアが聖剣の原型を必要とするほどの異聞帯……まさか大統領戦も一緒に終わらせるのかしら?それか聖剣の本来の用途を思えば、異星の神が相手?それともセファール?まさか……ORTが出てきたり……いや、流石にないか」

「何が待ち受けているかなんて具体的な問題はカルデアに任せるべきだよ」

「そうね。でも貴方がそう言うなら鐘を鳴らして、聖剣だけでも渡してあげないと」

 

当たり前だが、それでアルトリアを犠牲にするつもりはない。聖剣を作っても今の彼女が消滅しないようにマーリンが師匠をしているのだ。

鐘を鳴らして得た力は失われるが、今のままの彼女は保たれる。それで私はカルデアに乗せるつもりだ。

出来ればバーゲストも乗って欲しいが、説得は難航中だ。

 

「どうやって、こっちを優先させようかしら」

「私が助言してきてもいいが、あっちには異星の使徒がいるからね。干渉は最低限にとどめておきたい。だから少々無作法だが、強行策で行こう」

 

マーリンは私に言う。

 

 

 

「アルビオンが全力で君たちを殺しにくると知れば無視は出来ないだろう?」

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