オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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縛りプレイ

鏡の氏族は滅びなかった。

けれど、ブリタニアの官僚であり鏡の氏族の長でもあったプーカは階段で足を滑らせて死んだ。

幸いにも次代のエインセルは鏡の氏族として優れた才覚を有していたのですんなりと後任のポストに収まることが出来たが、優しすぎて令呪を刻むことを躊躇してしまい、数ヵ月ほどでその任を下ろされることとなる。

それを他の鏡の氏族が引き継ぐかと思われたが、ここに土の氏族である()()()()が鏡の氏族の未来を詠む力を上回る洞察力でその座を奪い取り、結果ブリタニアにおける鏡の氏族の権威は落ちた。

 

王の氏族のように嫌われていたわけではなかったので追い出されるようなことはなかったが、氏族として全体の声を広げようと思っても芳しくないのが現状である。

 

「成る程。成る程。ブリタニアのシステムは実によく出来ている。氏族間の問題には口を挟まないとは言いつつ、"侵略者"からの防衛と殲滅には積極的に手を貸す。"侵略者"の判断を下すのが上層部のみで完結している以上、六氏族は必死こいて上を目指す為に國に貢献するしかない。女王オーロラとやらは何ともまぁ悪辣なことを考えたものだ」

 

王の氏族という前例があるのも拍車をかけていた。侵略者の烙印を捺されないようこれから鏡の氏族はブリタニアの為に忙しくなるだろう。

 

 

 

 

「これより語るは一つの未来。

 

妖精国と成り果てた、神秘の島のその行く末

罪なき者は春にようこそ 罪ある者は冬にようこそ

ここは底なし、女王たちのお城

つもる、つもる、雨のように、灰のように

きえる、きえる、雪のように、嘘のように

ぼくらの望みは棚の上。今も冬の手のひらのなか。

でも、それもあと少しの辛抱だ。

二千の年を超えた朝、救いの子が現れる。

妖精と人間を結びつけ。冬を終わらせる救世の子。春から生まれた大きな光が、ぼくらを導いていく。

鉄の街、白の海

災いを退けた時、巡礼は迎えられる

港は渚に戻るけど、厄災は遥かな空へ。選定の杖に導かれ、異邦の旅人に見守られ 救いの子は玉座に届く

 

丸い砦は燃え尽きる。血の鐘はあらわれる

 

玉座につくのは真の王。血染めの冠おひとつどうぞ

罪を認めた罪人に、落とされるのは首切り刃

ならせ、ならせ、雷のように、火のように。

 

六つの鐘を鳴らして示せ。真の王の道を示せ

あかい災いが追いつく前に くろい災いが食いつく前に

役目を終えた『予言の子』、元いた場所にさようなら

仕事はちょっとなまけるけども、ぼくらは自由な妖精の裔

望みはずっと欠けたまま きらめく明日がほしいのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーム・ボーダーにて第7異聞帯を目指していたカルデアは尻に火をつけられたような状態に陥っていた。

 

「な、な、何なんだね!?あれは!!!?」

「エンジン全基起動!ここで焼き付いても構わない!これ以上やつに近づかれたらストーム・ボーダーの推進力でも引き込まれる!!!!」

「ハッチをあけて下さい。私も出ます!!」

「だめだ!ストーム・ボーダーに回していない電力を変換してさっきから藤丸がサーヴァントを送り続けてる!だがどのサーヴァントも一撃入れる間もなく消し飛ばされているんだぞ!何で消し飛ばされているのかも分からない!今は召喚し続けることが優先だ!彼らが突破口を見つけてくれることに期待するしかないんだ!」

「ハァハァハァ…」

 

マシュの盾は先ほどから召喚の輝きを放ち続けている。

そしてたった今、藤丸が送り出したサーヴァント達とのパスが切れた。

もう何人目だろうか。

「お願い!」

「任された」

作家や作曲家など直接戦闘に向かない鯖を除いて片っ端から霊基グラフに登録されている英霊達を召喚して出撃して貰っている。

管制室には赤黒い嵐のような物がストーム・ボーダーの後ろにぴったり張りついている姿を捉えていた。

 

「訳が分からん!こいつがその気ならとっくにこの船は落とされているのだぞ!?何が目的だ!まさか我々をストレスで狂わせることが目的なのか!?」

「ここにトリスメギストスⅡがあれば正確な答えが出たかもしれないが、この正体不明の敵対生物は今我々を害する気はないと見ていいでしょうね」

「ならば何故英霊(サーヴァント)達を殺しているのだ!?」

「羽虫を払うような事なのでしょう。この存在にとっては」

「カルデアには元が神霊だった英霊もいる。それを羽虫扱い?なんだ、我々はORTでも相手にしてるとでも言うのかね?」

 

ははは……と乾いた笑い声の漏れるゴルドルフ・ムジーク。彼は冗談でORTと言ったが灰色の脳細胞をフル稼働させるホームズには決して大言壮語だとは思えなかった。

 

「…悪い知らせだ。早くもエンジンが悲鳴を上げ始めている。あと1時間でこの船の動力は完全に焼き付いて止まるだろう」

「それまでに第7異聞帯へは?」

「無理だ。帰還しようにも船を旋回したらその瞬間、あれに飲み込まれる」

「たどり着けないのに真っ直ぐこのまま突き進むしかないのかよ!」

 

まるで弄ばれているようだと船内に暗い空気が立ち込める。

彼らにとっては馴染み深い絶望という名の空気。無理難題を乗り越え、幾度もその窮地を脱してきた。だが今回のこれはあまりにも、

 

「判った!!!」

 

そんな時、ダヴィンチの声が響く。

 

「ムニエル君!舵を第6異聞帯へ切って!」

「第6?第7異聞帯とは正反対じゃないか。それに距離も1時間じゃ到底間に合わない」

「いや、出力は通常まで落としても構わない。恐らく彼/彼女の目的は私たちが第6異聞帯に向かうことだ。行動パターンをボーダーと同期して調べてみたんだけど、僅かだが第6異聞帯へこの船の進路が傾いた時、彼/彼女の進行スピードが落ちた。思惑は分からないが、我々が第6異聞帯に向かう分には追ってくる気はないようだ」

「それって確かなのか?舵を切った途端追い付かれて落とされるんじゃ」

「その通りだ!我々を第6異聞帯に向かわせることが目的なら何故そう示さない?あれほど規格外の力を有しておいて知性は獣並だとでも言うのか!」

「…………やろう。どの道、このままじゃじり貧だ。船長として少しでも生存確率が高いものに賭けたい」

 

苦渋の決断を下そうとするネモに藤丸は待ったをかける。

 

「前、エミヤに教えて貰ったんだけど固有結界は解除した時に出る場所を術者が変えられるって聞いたんだ。固有結界を展開して貰えば旋回による減速のリスクなしに方向を変えられるんじゃないかな?」

「悪くはないと思う。だけど固有結界は塗り潰されることもある。もしそれで解除方向を真下になんて向けられたりしたら全速力のこの船はその時点で詰みだ」

「ごめん。でしゃばった」

「いや、本当に悪くはない作戦だ。固有結界を展開出来る英霊を優先的に召喚してくれ。もしダ・ヴィンチの推測が外れていた時はそれで距離を稼いでみよう」

「分かった!」

 

藤丸はエミヤや征服王、なぎこちゃんなど固有結界を使える霊基グラフに登録された英霊達を再召喚する。

 

「準備OK!」

「よし、旋回!!!」

「あぁもう!どうにかなれー!!!」

 

 

 

 

 

『良かった。何とかブリテンに向かってくれた』

 

オーロラはそのあとを追わない。一瞬だけ艦内にいるカルデアのマスター(アニメや漫画基準なら藤丸立香)の顔を見たが、疲労困憊といった様子であった。これで追走しようというなら藤丸立香は勿論、阿鼻叫喚を上げているであろうゴッフやカルデアスタッフが泡を噴いて倒れかねない。

 

 

『全く。喋っては駄目、ジェスチャーも駄目だなんてマーリンも無理を言うわ』

 

何とか後ろから追い立てられないかと試行錯誤して、やっと気付いて貰えた。

前世からよく知る英霊達や竜特攻持ちがゾロゾロと出てきた時には肝が冷えたが、皆直ぐに消えてしまったので助かった。

3000年も前の事なのでうろ覚えだがあれが簡易召喚というやつだったのではないだろうか?

確かそれで召喚すると、直ぐに消えてしまうとかそういう設定だった気がする。だとしても消えるのが早すぎたので恐らくシステムに異常が起きていたのだろう。

それを修理する時間を用意する意味でも、これ以上追うのは止めた方が良さそうだ。

 

ゆっくりと、今の地球を一周でもして帰ろう。

 

白紙化という今後見ることのないであろう地球の景色を眺めることにする。

途中で何か追ってきたが、適当に撒いて、半日ほど経った後にオーロラはブリテンに帰還した。

ちなみに光の壁は普通に突き破っている。

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