オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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鐘を鳴らせ

『鐘を鳴らせ』

 

声が聞こえる。

 

『鐘を鳴らせ』

 

『鐘を鳴らせ』

 

ずっと、ずっと、声が聞こえていた。

多分生まれた時から、寝ても覚めてもずっと。

周囲の音を紛らわせるほどじゃなかったけど、耳を傾ければ誰かがずっと語りかけていた。

初めは何とも思ってなかったけど、ママに聞いてみたら悲しそうな顔をして「辛い?」って逆に聞かれたから自分にだけ聞こえるのだと悟った。

別に今の今までこれが当たり前として育ってきたのだ。今さら煩わしいとは思わなかったが、鐘とは何なのか純粋に気になった。

「鐘は……そうね。貴方があと三年歳を重ねたら向かうことになっているソールズベリーに一つあるわ。とっても立派で、どんな音色がするかはヒトそれぞれね。貴方には少し嫌な音に聞こえるかもしれないけど、勇気を与えてくれる大切な音よ。ソールズベリーにあるのを含めて全部で五つ。本当は六つ必要なんだけど、最後の1個はまだ造られていないの」

「どうして造ってないの?」

「それは、うーん。私も不思議なんだけど、あの氏族って未来が見える、詠めるだったかしら?だからとっくの昔に反省してる筈なのに、まだその時じゃないからと時を待ってるんじゃないかしら」

「要は長い納期にかまけて仕事をサボってるってこと?」

「……そう、言うことになってしまうわね」

悲しそうに目を伏せる。彼女はとても物知りなのだがヒトを疑うことを知らないお人好しだ。

だから裏切られると人一倍傷ついてしまう。

 

私の目は他人の真実が良く見えた。だからそんな筈はない、間が悪かっただけだと胸の内に押し止めようとするママの姿はまるっとお見通し……ではなかった。

 

何故かママだけはこの目も真実を見通せないのだ。

親だからだろうか。こっちは声と違って鬱陶しくて仕方がないのでフィルターとかかけれるなら是非教えて欲しいとねだったことはあるが、ママは私と同じ目は持たず、見通せないのはそういう体質だかららしい。

それをなきにしても、ママは分かりやすい性格をしているので、表情で簡単に読み取れてしまう。

 

「ママも私に鐘を鳴らして欲しいの?その、6個全部?」

「どうでしょう。ずっと昔はそれが正しいことだと思っていたけど、ママ。貴方とお姉ちゃんが生まれてから分からなくなっちゃった」

 

いつものように私を抱きしめて、眠たくなる花の香りを漂わせながらママは続けた。

 

「もしも、この島がなくなっちゃうとして、それよりもっと素敵な島に住めるならアルトリアは幸せ?」

「皆も行けるならいいかなぁ。それで今以上に美味しいご飯が食べれるなら行ってもいいよ」

「皆ってホープちゃんや友達のこと?」

「ううん。皆は皆だよ。説教臭いけど誕生日に髪飾りをくれたハロバロも、晴れの日は外からだけど雨の日は工房に入れてくれるエクターも、お婆ちゃん達もお爺ちゃん達もみーんな、引っ越せるなら島がなくなっても私はへっちゃらだな」

「そう、いっぱい大切なヒトが出来たのね」

 

ママは優しく笑って私を撫でた。

 

「アルトリア」

「なぁに?」

「ママ、ちょっと頑張ってみるわ」

「だいえっとを?」

「ふふ、残念。私はいくら食べても太らない体質なの」

「うわー、おんなのてきだー」

 

だんだんと眠たくなってきて意識も朧気となる。

 

『鐘を鳴らせ』

『鐘を鳴らせ』

『鐘を鳴らせ』

 

声は変わらず聞こえる。

鐘を全て鳴らせばどうなるのか。ぼかされたがママは真実を教えてくれた。

 

鐘を鳴らせばブリテンは消える。私たちの故郷がなくなるのだ。

 

何でそんな壮大で酷いことをこの声の主が求めるのかは分からないがママの様子を見るに大切なことなのだろう。

 

私にしか出来ないことならやらないと。

 

「寝ちゃった?」

 

『鐘を鳴らせ』

『鐘を鳴らせ』

 

「それにしても寝ている時まで催促するなんてちょっとどうかと思わない?えっと、うーん。この魔力の糸?みたいなのを切れば聞こえなくなるのかしら?」

 

『あ、ちょ、止めて下さい!て言うか何で触れるっっっ!!!』

 

 

──プチッ

 

私が使命感を覚えたからだろうか。

その日以降、声は聞こえなくなった。




楽園の妖精1「これってアルビオンが敵に回ったってことですか?」
楽園の妖精2「もうだめだ!おしまいだー!」
楽園の妖精3「生まれた時から刷り込めば使命を果たしてくれると思ったのにー!」

マーリン「これは敵に回ったとかそういう話ではなく親として普通の反応じゃないかな。洗脳教育ってレベルじゃないよ。精神が壊れてもおかしくない。私でもちょっとどうかと思うな(ヒトのことは言えないけど)」


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