オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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一時離脱

「やぁ、カルデアの諸君。息災で何よりだ」

「マーリン!?」

 

無事ダ・ヴィンチちゃんとも再会することが出来、藤丸達は暫くマイクの酒場で宿を取ることになった。

そこで改めてこの異聞帯での目的を確認する事になったのだが、やはりはぐれてしまったマシュの捜索が急務で、あわよくば神造兵器の獲得。そしてカルデアをこの世界へと追いやった謎の存在への究明を同時並行で進めていくことになった。

話の流れで取り敢えず、オベロンと再会しようとこの都市の本庁に訪れたのだが、そこで出迎えたのは何とマーリンであった。

 

「どうしてマーリンがこの異聞帯に!?」

「まぁ一応ここもブリテンだろう?なら私が居てもおかしくはないじゃないか」

「でも現地の英霊は存在しないって…」

 

あれ?そう言えばオベロンって何で

 

「簡単なことさ。アヴァロンから歩いてきた」

 

まるで『チャリで来た』と太古のネットミームを思わせるような力こぶを作るマーリンに笑ってしまう。

 

「マーリン、貴方が()るということはこの異聞帯はそれほどの物として見るべきなのでしょうか?」

 

だがそうだ。冠位の資格を持ち、魔術師として最高峰のマーリンが術者や世界に召喚されるわけでもなく、本人の意思で異聞帯に駆けつける状況なんて先ずあり得ない。

バビロニアの時のように、よっぽどの事があるのではと藤丸達に緊張が走る。

 

「どうやら勘違いしているようだが『私』が君たちと会うのはこれが初めてだ。トリスタン卿、君にも会ったことはない。ただ一方的に知っているのさ。この『千里眼』を通してね」

「異聞帯のマーリンってこと?」

 

ならば敵なのか。この中で恐らくマーリンの脅威を一番知るであろうトリスタンが静かに身構える。

 

「そう身構える必要はない。既に汎人類史の私との交渉は済んでいる。我々楽園の妖精は君たちの人理こそが正しいと判断した。どのみち空想樹は伐採されちゃったからね。するべき事をすませたら、あとは他所にやっかみをかけずに消滅するのを大人しく待つつもりさ」

「味方と見て良いんだね。それでするべき事とは?」

「……まだ言えないな」

「それはカルデアに害のあるものですか?」

「いや、それはない。そうなる選択肢はあったが、彼女は選ばなかった。この異聞帯で君たちは何もしなくて良い。そうだね。外と時間の流れは違うからバカンスに訪れたと思って寛いでいたらどうだい?」

「時間的猶予はある……それに越したことはないが、何もしなくて良いというのは何もしてはいけないの裏返しではないんだね?」

 

ダ・ヴィンチちゃんの問いかけにマーリンは頷いた。

 

「好きにすると良い。何をするかは君たちの自由だ。ただ直ぐに立ち去るのはオススメしない」

 

もうあの靄がカルデアを襲ってくることはないが、このまま次を目指すのは危険だと、外回しだが、マーリンは神造兵器を手に入れてから第七異聞帯へ迎うべきだと助言した。

 

「分かった。ひとまず君の意見を信じよう」

 

現在の全てを見通すマーリンの助言だ。無視するわけにはいかなかった。

マシュが何処にいるのか尋ねると、シェフィールドにいると教えてくれたので、一先ずカルデアはマシュとの合流を優先させるのことに。

 

「案内は私に任せてね」「アルトリア~キミは終わってない課題があるだろう?」

「そ、それは……帰ったらやるから」

「そんな様子じゃあ今年の誕生祭には参加させられないな」

「なっ!?それとこれとは話が別じゃん!」

「誕生祭?」

「年に一度。女王オーロラの誕生を祝う祭りのことさ。あと1週間ほどで開催となる」

「各氏族の代表や街の領主がこの日の為に、色々な出し物をするんだよ。その年の誕生祭で注目を集めた人達には一年の安泰が約束されるんだって」

 

詳しいことはチラシに載っていると渡されたが、中々に興味を引くものばかりだった。

神代の神秘をもった妖精や人間達が本気で他者を楽しませようとする祭典。これにはトリスタンやダ・ヴィンチちゃんも興味津々である。

マシュと再会出来たら参加するのもいいかもしれない。

 

「それじゃあ行きますか!」

「え?ロビンは残るんじゃないの?」

 

シェフィールドまでの馬車の手配をしてくれるとのことで一時的に留まっていた藤丸達は、当たり前のようについて来ようとするロビンに首を傾げる。

てっきりロビンはオーロラに会うためにここへ残ると言うと思っていたからだ。

 

「確かもうすぐ帰ってくるんだよね」

「そうですけど……いやー、いざ会うとなったら、何て言おうか頭に浮かばなくて。そもそも俺の事を覚えているのかも分かりやせんし」

「それはないと思うけど」

「ええ。貴方の弓のこともありますし」

「……本音を言うと不安なんです。俺はあの人の親友の、妻を守りきれなかった。失望されてるんじゃないかってそれが気がかりで」

「ですが、この機会を逃せば、二度と会えなくなるかもしれない。英霊にとって仮初めの命が何れだけの奇跡の上で成り立っているのか、貴方も分からないわけではないでしょう」

「オレは会うべきだと思う」

「……そうですよね。すみません。急に臆病風吹かれて。はぁぁ、らしくない。らしくない。しっ!俺、オーロラ様に会って話してきます!」

 

ここでロビンとはお別れになるかもしれない。そんな予感がした。

彼の過去を夢を通して体験したが、ロビンは英雄にたる活躍と実力こそあれど、本質は戦いを好まない優しい青年だった。

彼自身、オーロラに会ってしまえば張り詰めていた糸が切れ、もう戦えなくなってしまうと危惧していたのだろう。

 

「ありがとうロビン。キミのお陰でオレたちはここまで来ることが出来た」

「俺の方こそありがとうございますマスター。生前の心残りがこんな形で果たされるなんて夢にも思っちゃいませんでした」

「じゃあ誕生祭で」

「ええ。誕生祭で」

 

ロビンに見送られ、カルデアはシェフィールドを目指す。

 

「おっと、失礼するよ」

「オベロン!」

「案内役を頼まれてね。ロビンの代わりと言ったら何だがこれからは僕がガイドを務めよう」

 

新たな仲間と一緒にマシュとの再会を急ぐ。

 


その後

「娘っ!?俺に娘が、無事に生まれてくれたんすね!!?」

「ええ。フェアリーガーデン最強の団長として10年。厄災をタコ殴りにしたり、調子に乗った翅の氏族長の前歯をへし折ったり、リンカはとにかく破天荒な子で、引退したあとは子供を31人生んで、最後は孫やひ孫をあわせて百人以上の家族に見守られながらの大往生だったわ」

「すっげぇ幸せな最後じゃないですか。……選択ミスらなくて良かったぁ」

「ふふふっ話したいことはまだまだあるわよ。何せ2700年ぶりなんですもの」

「ええ。今度は最後まで付き合いますよ」

 

オーロラ。幸せ過ぎて夢かと疑う。

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