オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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妖精歴 1000年 
断章/1


「んっ……体じゅう、しびれて───わたしは、いったい」

「…………えぇ」

 

マシュが目を覚ますと、困惑の表情を浮かべたオーロラがいた。

 

「オーロラ様!ご無事だったんですね!良かった……空から凄まじい落雷があってソールズベリーは焼け落ちてしまったものかと」

「ソールズベリーが?え、嘘でしょ?それに落雷ってことはやっぱりモルガンとは分かりあえなかったの?」

「あれ?──ここは、草原?ソールズベリーの街は、一体どこに──それに先輩もアルトリアさんも、これはどういう事でしょう、オーロラ様!いったいソールズベリーに何が、」

「待って。本当にちょっと待って。頭が追い付かないの。私ってば頭どころか、全身オーロラだから!」

「?オーロラさま?なんていうか、雰囲気が違うような……それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、どういう、」

「え?あ、ごめっ──ふふ、ごめんなさいね?だって突然のお客様ですもの。少しはしゃいでしまったわ」

 

まるで先ほどまでが嘘だったかのように、彼女は笑って彼女を出迎えた。

 

「こんにちは。可憐なアナタ。どうやらはじめましてではないようだけど、私はオーロラ。そしてここは私の治める街ソールズベリー。もしよろしければ名前を教えてくれるかしら?まだ何もないとこだけど、歓迎するわ」

 

「は、はい。私の名はマシュ・キリエライトと言うのですが……」

 

マシュはキョロキョロを周囲を見渡す。

僅かな建造物が立ち並ぶ程度で、道も踏んで固めたもの。とても栄えていたソールズベリーには見えない牧歌的な景色に戸惑っている様子だった。

 

「オーロラ様。ここはソールズベリーの領内にある辺境の村なのでしょうか?」

「あら?貴方の知るソールズベリーはこれよりも発展していたのかしら?そうよね、3000年もあるのだもの。これよりもっと美しく、春を表したような街並みだったのでしょう」

「3000年、あの……先ほどから、私には分からないことばかりで、オーロラ様はこの状況について、何か知っているのですか?」

「うーん。どこから話した方がいいかしら?そもそも『私』ってそっちいるの?最近は空想樹の演算ミスから生まれたバグのような存在かと疑ってて、貴女が現れたことでより信憑性が増したのだけど……とりあえず、私の屋敷で話さない?そろそろお昼だし、『あの子』もお腹を空かせているかもしれないから」

 

 

 

 

 

ノリッジの厄災は笑ってしまうほど呆気なかった。

誕生祭の頃にはマシュとリツカは再会出来て、楽しく露天を回ったりしたものだ。それからアルトリアの旅の巡礼に同行してカルデアは聖剣を手に入れ、妖精國をオサラバ、そうは問屋が卸さない。

 

喜劇では終わらない物語を再開しようか。

マシュはリツカとアルトリアを庇って、モルガンの『水鏡』に攫われた。

 

一瞬の暗闇のあと。

彼女が目を覚ますとそこは見知らぬ草原だった。

僅かに立ち並ぶ、木や藁を積まれて出来た簡素な家と、小さな畑を耕す妖精達。

 

北の地平線にはまだ何もない。あるにはあるんだが、世界樹と呼ばれるまでに育つにはあと600年は待たないといけない。

それでも彼女を驚かせたのは、

「壁がない。ブリテンを覆う光の壁が、どこにも。」

 

ブリテンの周りには何もない。

一面の白い海が広がるだけ。

これがマシュのいた女王歴2017年からさかのぼること、約3000年前のブリテン島。

 

妖精歴1000年。

春の國の女王オーロラが生まれた、記念すべき年。

彼女がただの人からオーロラになった、運命の時代の話。




多分、モルガンは無実。
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