オーロラに転生ですか?   作:オーロラ・ル・フェイ

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おびき寄せる

最後の鐘は何処にあるのか。

その情報を求めて、藤丸達はソールズベリーに向かうことにしたが、その道中でまさかの人物と再会することになる。

 

「おや?そんな大所帯でどうしたいんだい?」

「オベロン!!!?どうしてここに!?」

 

まるで外の情勢など知らないとばかりに、優雅に紅茶を楽しむオベロンであった。

彼はとぼけたように首を傾げたかと思うと、妖艶に笑い、だいたいの状況は把握しているとティーポットを手に取った。

 

「そろそろ来るとは思っていたが、まさか冬の方の妖精騎士まで連れてくるとは思わなかったよ。……マシュは、いないようだが、新しい出会いを祝福しようじゃないか。どうだい?淹れたての紅茶は?」

 

オベロンとは誕生祭が始まる前に別れてそれっきりだった。

一緒に祭りを回ろうと誘ったものの、秋の森(こっち)も誕生祭の催しをするので、一日目はその手伝いで出られない。二日目なら大丈夫だからその時、回ろうと話していた。

 

「私はコーラにしてもらってもいい?」

「……そう言うと思って、用意してたよ」

 

手慣れたように、アルトリアへコーラを手渡す。

汎人類史の英霊とはいえ、春の國に随分と入れ込んでいる様子の彼。ノリッジの件で微妙に不信感を覚えていた藤丸であったが、アルトリアが大丈夫というので、ひとまず用意された席に座ることに。

 

「……ふーん。ここが秋の森か。ヒト型の妖精がいない珍しい村があると聞いてたが、ここが」

 

トリ子は初めてきたのか珍しそうにしていた。

 

秋の森と言うだけあって、紅葉の綺麗な牧歌的な村だ。

あとヒト型ではない妖精達。多くは虫のような姿をしているが、彼らに合わせてなのか、木にぶら下がっていたり、半分地面に埋まっていたりと変わった建物が多かった。

 

「こいつらだけで建てたのか?」

「いや、常春の女王の息吹はこの辺境まで届いている。彼女はとても慈悲深いからね。役割のない彼らでも豊かな生活を送れるように支援してくれているんだ」

「……(オレ)の雇い主も言ってたが、つくづくイレギュラーな女王様だな」

「君は……そうか。汎人類史の英霊だけど、カルデアに召喚されたわけではないのか。イレギュラーとはどういうことかな?」

「いや、な。奴さんは『外見だけは完璧で中身は空っぽ』な妖精として生まれたそうなんだが、いつの間にか中身までともなって、外見も中身も完璧なバケモンになってたらしい。同僚(言峰)はそれを聞いて、えらく興味深そうにしていたが、下手に刺激したくなかったんだろうな。魔女(モルガン)が彼女を誑かさないうちに殺せ。彼女が友好的ならいいが、敵対的なら直ぐに帰還しろって、同僚を無視して儂に命令されたわ。まさに触らぬ神に祟りなし。特異点化したことがどうでもよくなることぐらい想定を超えたイレギュラーにこっちも頭を抱えてるようだぜ」

「……まぁ、3000年も生きていたんだ。伽藍堂にだって埃は溜まるだろ?君たちの主に過失があるとしたら、オーロラという一個人を舐めすぎたことだろう」

「言うね。お前みたいなやつがこっち側ならもう少しやりやすかったんだろうが」

「それは勘弁!将来的にオーロラと敵対するしかない君たちが勝利するビジョンが浮かばない」

 

「「はははははは!!」」

 

「(そこまで警戒するってことは、アルビオンの力はそれ以上なのか?それとも彼女の存在が異星の神にとって、それだけ想定外なのか……)」

 

ダ・ヴィンチは思う。もしかしたら神造兵器よりもオーロラを味方にすることを優先した方がいいのかもしれない。

 

「それで、世間話をする時間はないんだが、何のようだ?」

 

トリ子は紅茶には手をつけなかった。

オベロンと一番離れた席に腰かけている。

先程は村の様子を気にしていたが、やはり鐘の捜索を優先したいのだろう。

 

「はは。最後の鐘を探してるんだろ?ここにも鐘の音は届いていたから分かるとも」

「じゃあ知ってるってことでいいのか?」

「もちろんだとも……と、汎人類史の英霊として、そろそろ役に立たないと、無能の烙印を押されそうで怖いが、鐘の場所は分からない。けど()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

それは組織的な集団であり、ブリテンの嫌われもの。けれど、トップが優秀なのか、有力な妖精が匿っているのか、未だ壊滅には至っていない。名を『円卓』、カルデアの君たちにも馴染み深い名前だろ?」

 

オベロンは片目を閉じて小さく笑った。

 

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽

 

「ねぇ、突然なのだけど、異星の神ってビーストなのかしら?」

『ヌン(どうした急に?)』

 

相変わらず不眠不休で走り続ける中、オーロラは思い出したかのように呟いた。

 

「前にね。ほんの一瞬だけど巫女が私の前に現れたの。その時、何故かバーゲストみたいな匂いがして。へんだなーと思っていたのだけど、そう言えばコヤンスカヤも同じ匂いをしていたから。あの『美味しそうな匂い』ってビーストの匂いなのかなって」

『ヌンヌ(なんと。バーゲストはビーストだったのか?)』

「多分、違うけどすっごい適性が高いんだと思うの。だって人類悪は人類愛なんでしょ?あの子は本当に優しいから……きっとメリュジーヌに似たのね。今のところは目覚める兆候はないようだけど、もし目覚めたら、人を襲わないようによく言って聞かせないといけないわ」

『ヌンヌン(ビーストに言って聞かせるか……まるで、と言うか言葉通り、子供扱いだな。それで、異星の神もビーストだとしたら、何か困ることがあるのか?)』

「あのね……彼女なら食べていいかなって」

『ヌン(は?)』

 

オーロラは少し恥ずかしそうに頬を染めた。

 

「バーゲストは私の娘なのだし、コヤンスカヤは悪い子ではないでしょう?大統領は言うまでもない、あのロマニも中身はビーストIだろうけど、カルデアの味方みたいだし、襲ったら駄目だって思ってたの。でも異星の神って……勘だけど、悪いヒトでしょう?もしかしたら反省出来るかもしれないけど、空想樹や異聞帯のことを償い切れるとは思えないし、うちの法律に当てはめるなら間違いなく死刑じゃない?だから、食べていいかなって」

『ヌンヌヌヌ(待て待て待て!どうしてそうなるのだ?なんだ、ヌンが知らないだけでビーストは極上の食材なのか?)』

「種の記憶と言えばいいのかしら?アルビオンはね、どうやら昔、襲ってきたビーストを返り討ちにして、食べたことがあるみたいなの。そのビーストがあまりにも美味しかったらしくて、また食べたいって思っていたけど、そんなに頻繁に現れる存在ではなかったのね。もう一度食べることは出来なかったみたいだわ。私も味を覚えているわけではないのだけど、そのビーストは本当に美味しかったみたいで美味しいって感情が強く残ってる。だから機会があるなら、食べてみたいなって」

『ヌンヌヌヌ(ウーン。ヌンとしてはそんなゲテモノをオーロラに食べて欲しくないが……こればかりは本人の意志だからな。それに異星の神がビーストなら、放っておくわけにもいくまい)』

 

やった。とオーロラは小さく拳を握りしめた。

 

「ふふ。楽しみだわ。焼いて食べようかしら?煮て食べようかしら?アルビオンの時は生で食べてあれだけ感動したのですもの。調理すればもっと素敵な味になる筈だわ。死なないように何度も治療して、何年も何十年も、何百年も………そこまで残酷なことはしては駄目ね。サクッと殺して………次があるか分からないから、少しづつ丁寧に調理して、食べていきましょう」

 

楽しみが増えたことで若干オーロラの走力が増す。

 

『ヌンヌ(それにしても、異星の神がビーストである可能性、か。考えなかったわけではないが…空想樹のことを考えると、分からなくなってしまう。あれは人理を終わらせるものであると言うのに……)』

 

オーロラの言う通り、人類愛なきものに人類悪たる資格なし。

 

空想樹の仕組みを理解するヌンノスからすれば、やっていることはただの虐殺であり、人類への愛など欠片も感じられなかった。それに加えこの世界の空想樹が『オーロラ』を展開していたのも、このオーロラを貶しているようで癪に障る。

 

異星の神はビーストなのかもしれないが、それだけではないのかもしれない。いくらビーストの霊基ではアルビオンには敵わないとは言っても、何か秘策ぐらいは用意しているだろう。

 

ヌンノスは油断はするなと彼女に忠言するのだった。

 


 

○○○「幸いにも現代のアルビオンは理性的な方です。きっと私の目的にも賛同してくれる筈……え?喰われるからやめとけ?唐揚げにされる?……またナビゲーターのバグですか……はぁ。初期化、と。……そんなわけある筈がないでしょうに。全く」

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