内で眠る恋人を呼び起こすため悠二を分解しようとしていた“紅世の王”は、代わりに出迎えた“銀”の板金鎧の腕によって消滅した。
「“銀”……?」
悠二はそう、呆然とつぶやくしかできなかった。
琥珀色の檻が跡形もなく消滅し、中の状況を見て驚愕するフレイムヘイズたちと目が合う。
「悠二ッ!」
シャナが真っ先に近寄り、落ちつつあった悠二を背中から抱きしめる。
「フィ、レス……」
気配の残滓も炎の欠片も消えた友が“どうなってしまったか”察して、ヴィルヘルミナは巌と立っていながら打ちのめされる。
「ユージ、死にたくなかったらじっとしてなさい! チビジャリ、死なせたくなかったら邪魔しないで!」
マージョリーがトーガを纏い、まばゆい群青を煌めかせながら突進してくる。悠二はその勢いに恐れを抱くも、先の戦いのような狂乱は感じられなかったため手を握り締めどうにか向き合う。
「そう出来るならそうしたい、もし出来ないならどう出来る!?」
「出来なきゃ出来ない、出来るかね? 君も出来なきゃ出来ぬはず!」
マージョリーとマルコシアスが『屠殺の即興詩』を詠い、自在式で“銀”を縛る。群青の自在式は、反対側の肩まで這い出ていた“銀”の動きを止めた。
(まだ、まだ……! 奴の
(それでこそだ、我が美麗なる追跡者、マージョリー・ドー!)
“銀”を収めていた『容れ物』ごと消し炭にしてやりたい衝動を、相方と共に振り払う。神出鬼没で数百年影先すら掴めなかった
昨日の調査会で起動させた倍の数の自在法を同時に繰り、情報の濁流を精査する。
断片ですらない余計な情報の切れ端を火の粉として捨て、理解不能な絡まった情報の塊をグリモアに刻み付けていると。
「『弔詞の詠み手』!」
シャナの叫び声でその場を離脱する。マージョリーが四半秒前までいたそこには、車程の大きさの“
「まさか――『マグネシア』だと!?」
アラストールが驚愕の声を上げた時には、大小の立方体が吹き荒れる嵐が完成していた。
シャナは密接していた悠二との
「『マグネシア』――それは“嵐蹄”フェコルーの……」
「“嵐蹄”がただ本拠地から離れるとは思えん。ならば……」
アラストールが暗に“これだけではない”ことを示し、シャナは、この街のフレイムヘイズは、揃って『上』を見上げた。
明るすぎる水色が嵐の上を漂う。それは蛍のように、宇宙を征く彗星のように。
それは。
シャーン――
悠久を感じさせる清らな音と共に、小さなヒトガタを形作る。
「“
だれかが、震えた声でつぶやいた。
「[
『零時迷子』が紅世の徒最大の組織に関与……いいや、その中心に在ると分かった決定的瞬間だった。
―*―*―*―
ヘカテーが通る間止まっていた嵐が、動き出す。荒ぶる暴風が復活し、戦場の時も流れ出した。
シャナが暴風の弱い個所を縫うように飛び、マージョリーが悠二に施していた調査の自在法を防御の物に組み替え、ヴィルヘルミナがシャナの飛行を援護するためにリボンを伸ばす。
フレイムヘイズたちの足掻きは、フェコルーの虫一匹も入り込めない暴風域の完成と、ヘカテーの錫杖の石突による防御自在法破壊により、無効化される。
「はぁぁぁぁあッ!」
「こんのぉぉぉぉ!」
シャナとマージョリーが、
その二色の炎が向かう先には、既に桜色の自在式を奔らせたリボンが敷かれていた。
紅蓮と群青の炎がリボンで跳ね返り、嵐の球体を覆いつくし、更にリボンが包み込む。リボンには反射と増幅の自在式が刻まれており、無限に熱量による破壊力を積み重ねていく。
さしもの『マグネシア』も、その熱に溶かされ収縮していくが……
「大御巫」
声の無い許可を得たフェコルーは、険しい顔で腰に力を入れ。
「ふんぬっ」
内からの防御で熱も破壊力も何もかもを跳ね返す。嵐はその領域を一気に広げた。
悠二は“ただ少女の姿をしているだけの”強大な紅世の王と相対し、何もできず。
「どうぞ、お退きを」
錫杖の音が響き、胸から這い出ていた“銀”は消滅した。
文字通り臓物が引きずり出されていく感触が消え、悠二の思考に空白が生じ。
「宝具に刻印を」
その隙を狙うまでもなく当然のように、錫杖の先端が悠二の“奥”に到達する。
悠二は未だその形を見たことのない『零時迷子』に焼き印を打たれ、その感触のまま激痛にあえぐ。
「容れ物の破か――!?」
ヘカテーは手を止め、驚愕の表情で振り返り身を守る。
見たのは紅蓮。矢と評するには鋭すぎる閃きが悠二を攫う。残像の“入口”と“出口”は
(転移――)
純白の、気配無きトンネル。事態に気付き驚愕するフェコルーを他所に、ヘカテーは『マグネシア』が組み変わった物だと一瞬で見抜く。フェコルーの“嵐を外に押し広げる”意志が緩やかに湾曲され、小さな穴へと変じた物だと。
悠二を連れたシャナが去った残像は、群青の自在式へと変化しフェコルーに絡みつく。『マグネシア』を操る手元に決定的な狂いが生じ、嵐と同じように広がっていた二色の業火が雪崩れ込んだ。
「大御巫ッ!」
「退きましょう」
常の自在法ではない、ベルペオルに“万が一のために”持たされていた最も早い脱出手段――『
「間に――」
合わない。刹那にそう判断したフェコルーは鍵に込めていた力も自身を構成する力も全て
「ご無事で――ッ!!!」
紅蓮と群青の炎、全てを支え導くリボン、そして純白へと色を変えた『マグネシア』で視界が掻き消えていく。全てから守るには薄かった臙脂色たる“己”が最期に見た色に、明るすぎる水色は無かった。
―*―*―*―
遥か彼方、『星黎殿』。“頂の座”と“嵐蹄”を送り出した“逆理の裁者”ベルペオルは、
「そうか、フェコルーは」
「計画に狂いはありません。最大の不確定要素“彩飄”も消滅した模様」
ヘカテーは凛と、声も表情も崩さず――傷一つない姿で宣った。
「ああ、そうでなくてはね」
ベルペオルも、『この世の本当のこと』を知る者全てを恐れさせる、不敵な笑みを浮かべた。
ただ、一秒――二人は目を閉じ、動き出した『大命』への責務に戻った。
ただ、一秒――二人はよく仕えてくれた偉大なる“紅世の王”を弔った。
―*―*―*―
その頃、御崎市では。
「悠二――!」
「大丈夫だよ、たぶん……」
掛け値なしの彼の危機に何度も無事を確かめるシャナと、危機がひとまずは去りぎこちない笑みを浮かべる余裕ができた悠二。
「……」
消えかかった封絶を受け継ぎ、大掛かりな自在法を多く発動させたヴィルヘルミナは、校庭の隅でへたりと座っている。
「……」
消えてしまった友を想い、どこかで間違ってしまった自分を責めていた。
「問題未解決」
ティアマトーがまだ何も終わっていないと発破をかけ。
「そう、でありますな……」
ひとまず惨憺たる有様となった清秋祭フィナーレの修復を始めた。
そして――
「生きてるー?」
「見るからに干からびてんなぁおい」
マージョリーがうつ伏せに倒れるミコトを突いていた。
「こつこつ貯めてたストックが空っぽ~……」
「トーチも無い以上、これからは戦力外だわ……」
使える“存在の力”が底を尽きたらしい。命に別状は無いようではあるが。
マージョリーは
「いで~」
「ほら、エネルギー切れくらいじゃ死なないでしょ。しゃっきりしなさい」
「へいへ~い」
一瞬息つまったぞ、とぶつぶつ言いつつ体を起こす。時が巻き戻るように戦場から祭りの様相へと直っていく様を見つつ、マージョリーは訊ねる。
「倒せたと思う?」
二つの気配は消えたが、討滅の瞬間は見ていない。
「さあな……けど」
封絶が解けて過ぎ行く祭りを送る歓声を聞いて、ミコトは答える。
「万が一“頂の座”が死にでもしてたら、今頃“千変”との連戦だろうさ」
“頂の座”ヘカテーは、“千変”シュドナイが属する組織の『巫女』だ。シュドナイの『巫女』に対する過剰というのも生ぬるい庇護心は、フレイムヘイズの中でも有名だ。
古代に行われた[
「“嵐蹄”を討滅出来てたら上出来、ってとこね。流石に連戦はきついわ」
マージョリーがあぐらをかき、同じく座っているミコトに手を出す。ミコトはいつの間にか手にしていた御崎銘菓『海ない港』を彼女の手に置く。
二人並んでもぐもぐ食べて、終わりゆく祭りの声を流していると。
「ねーあんたさー」
マージョリーが相変わらず視線を向けず、ミコトに声と疑問を投げる。
「いつになく気合入ってんじゃない。普段ならもう少し手を抜いてんじゃない?」
「確かになぁ……」
ミコトは戦闘後の疲弊をのんびりした声で隠す。
「あんたも気に入った? この街を」
「それともなんとかっつー酒をか? ヒャハッ」
「『御倉』だよ」
短くマルコシアスに答え、マージョリーにも小さく――フレイムヘイズしか聞き取れないほど、小さく――答えた。
「頼まれたからな」
誰に、とは言わず。はぐらかされると知っているから誰に、とも訊ねなかった。
―*―*―*―
清秋祭が終わって、数日。池速人は悶々とした休日を過ごしていた。
いつもなら休日のこの時間は、図書館へ行くか自宅で大学入試のための勉強をしているのだが、妙にやる気が起きない。
(原因なんて……)
分かり切っている。
一つは限界まで動いた実行委員会での疲れ。
一つは清秋祭当日の、自分の有様。準備に追われ続け、吉田に“多少なりともいい格好”をするチャンスだったというのに……結局
それ、と……。
――「……いや、
悠二が吉田に言った言葉。パレードが終わった後、教室で休ませてもらっている時。軽くない微睡みの中で、確かに聞いた。
そして、確信した。
彼らが大きな『秘密』を抱えていると。
「隠すには隠すなりの訳があるんだ」
そう口に出してみるが、思考は勝手に回り出す。
(吉田さんと、坂井……)
だけじゃない。悠二を中心とする自分たちグループにぼんやりとした違和感を覚えたのは。
(シャナ、ちゃん)
そのあだ名。田中が突然呼び出した。まるでそれを知ってたかのように“自然に呼んでいた”のが幾人か。
(本人たちを除くと、佐藤と吉田さんと坂井)
緒方は除いて。そういえば……
(マージョリーさん、って言ったよな)
佐藤の家に住み込んでいるという謎の外国人女社長。謎といえば。
(カルメルさん)
シャナの養育係だったという、謎の外国人メイド。吉田健の『いたずら』の一件で、二人は知り合いだと判明した。
カルメルさんが来たというのは、夏休み序盤――御崎市駅が崩壊した頃。
一方、マージョリーは五月。佐藤と田中がずる休みをした、あの辺り。
これだけの情報なら、『シャナという令嬢を守りたいがカルメルが仕事で手を離せなかったため友人であるマージョリーがやって来た。マージョリーはシャナから隠れて守るために会社の伝手で佐藤家に居候を始めた』という仮説を立てられる。
しかし、これには吉田と悠二が関わっている。シャナという人物を見てきて、“ただのお家騒動”なら絶対に
しかも、
(なんで……)
速人は手をきつく握りしめる。
(なんで……僕を頼って――)
ふと、気付く。
池家が半崩壊して、悠二とその家族の手を振り払ったのは、自分だ。
自分が蒔いた種だ。のけ者にされたのは、自分の行いが悪かったから……。
と。
「速人ー。メシ出来たぞー」
ノック音とのんきな声。
思考は回るままに
「なあ兄さん」
「ん?」
「兄さんの飲み友達って――」
彼は割と頻繁に、飲みに出ていた。夜遅くはなるが、二日酔いで迷惑をかけることも無かったため、母は『外の友達に会いに行く』ことにただ喜んだ。
「佐藤んちのマージョリーさんか?」
「……。そうだが」
飲み友達についてはのらりくらりと躱されほとんど情報は無かったが、最近御崎市にやってきたこと、個人であること、そして
その情報から、家にバーがある大地主佐藤家と、半ば無理やり結び付けた。
扉越しに荒い口調で詰問する。
「坂井と何があったんだ?」
「悠二と? ちょっと話しただけだが……」
雅人がマージョリーに初めて会いに行くと出たのは、久しぶりに悠二と再会したまさにその日。悠二の不自然な様子と、たった二人の時間――もしかして、雅人はその時
「何を隠してるんだ?」
「ちょっと待て。何の話だ?」
「坂井たちと何かやってるんだろ!?」
らしくないと分かっていても、激情に身を任せ声をぶつける。
「僕を……のけ者にして……!」
速人の本質は、寂しがり屋だった。皆の中でいたいから、頑張れるのだ。皆と笑い合いたいから、和を作り出すのだ。
「……入るぞ」
静かに扉が開き、雅人が入る。泣き顔を見られたくないから振り向かず、しかし迎え入れた。
「あんたのせい、だ……あんたがあんなことに、なったから――僕は……」
頼ってもらえなかった。八つ当たりだと一線を保っている理性が断じるから、それは言葉に出なかった。
「教えてくれよ――仲間に、入れてくれ……!」
隠せないほど涙でかすれた声で、速人は懇願した。
胸を潰すほどの苦痛に満ちた沈黙は、やっと答えによって破られた。
「仲間って、なんだと思う?」
答えは、問いかけの形をしていた。
「……」
簡単な言葉、よく知る意味。だからこそ形に出来なかった。
「知らされないのは、戻ってこれないからなんだ。速人……お前さんは、悠二たちが逸脱した、だが大切でたまらない場所に、立っている」
知ることは、どれだけ己に変化を齎すか。それを無邪気に喜んでいた速人は、改めてその力を見つめ直す。
「そんな場所に立つお前さんが出来ること……いいや、するべきこと。それは“同じ場所に飛び込むこと”じゃない。――もう、分かるな?」
戻ってこられないなら、大切でたまらない、なら。
「“この場所”を守る……?」
いつでも戻ってこられるように。
悠二たちが戻ってこられるように、日常を営む。それが、“何も知らない仲間”として出来ること、するべきことだ。
「そ。お前さんはそれでいい。勉強教えたり、まとめ役になったり、複雑な恋模様の一端を担ったり、案山子になって
「磔って、見てたのか!」
「ああ、バッチリ。母さんやけに優しかったろ?」
そういえば、仕事や兄にかかり切りで“出来が良い故に放置しがち”だった速人を、気遣ったり小遣いを増額したりしていた。
「写真まで撮ったのか……」
「あったりめーだろ」
格好悪い有様を見られたくないという『男心』を気遣って言及しなかったのだろう。速人もそういうところが似たのか。
メシが冷める、と促され速人は立ち上がる。眼鏡は涙で少し曇っていた。
軽くぬぐってから、離れた『兄』の背中を追った。
―*―*―*―
清秋祭からひと月経った、十一月。シャナとヴィルヘルミナが住む平井家に、電話がかかった。ヴィルヘルミナが出ると、思いもよらず相手はミコトだった。
「何の用でありますか?」
『街を出ることにした』
その突然の知らせに、驚きつつ平静に返す。
「急でありますな。何故」
『外で気になることがあってさー。それとエネルギー補給』
案の定詳しくは話すつもりはないらしい。
「貴方が呼びこんだ[貪奪]戦はともかく、清秋祭の戦いでの協力は感謝するのであります」
『そういう約束だったからなー。案外役に立ったろ?』
「貴方一人の力でもないのであります」
素直に肯定するのも癪だったので、軽く流した。
フレイムヘイズの聴覚で内容を聞いているシャナたちに、何か話はあるかと目で訊ねると、彼女は首を横に振った。
「要件はそれだけでありますか?」
『そだなー』
「それでは。因果の交叉路にて」
別れ際の決まり文句で締めくくり、さっさと電話を切った。
―*―*―*―
一方、坂井家にも一本の電話が鳴った。出たのは誇り高き専業主婦、千草。
「はい、坂井です。あら? まあ――!」
そして軽く三十分を越える長電話の末に……
「ゆうちゃ~ん。まさくんから電話よ~」
ニコニコ上機嫌で悠二にバトンタッチされた。
まさくんとは千草の池雅人の呼び方。つまりミコトからの電話だ。
少し訝しがりつつ応答すると、平井家への電話と同じく『気になることと補給のために街を出る』旨を伝えられ。
『大切な話がある。明日の十六時、御崎第二公園に来い』
「何の話ですか……?」
『来れば分かる。いいか、絶対に一人で来い。『炎髪灼眼』などなどにつけられるなよ?』
声の感じから察するに、冗談などではなく本当に『大切な話』のようだ。
つけられれば気配で分かるが、気配隠蔽の自在法を使われればその限りではない。要求を呑むならシャナたちには秘密にしておくべきだろう。
怪しいと多少は感じるが、ミコトの力の性質はこれまでの戦いで理解できている。こちらから手を出さない限り、ミコトは通常の人間の域を超えられない。
「分かりました」
いざとなれば封絶を張るなり連絡の栞を使うなり、手段はいくらでもある。
そして、信じていない訳でも、ない。
―*―*―*―
佐藤家には、来客があった。
「酒飲みに来た。つまみは持ってきた」
そんないつものやりとりと、マージョリーが『なめられない』ための時間を経て、いつもの酒盛りが始まった。
マージョリーも街を出る旨を知らされ。
「へ~」
彼女は短く、それだけ。
「まーた暗躍に戻るのか、ヒャハハハッ」
マルコシアスは冗談交じりに笑った。
その短いやり取りを流し、酒とつまみを二人で味わう。
「ね~え、夏に言ってたじゃん? 少年の成長を楽しんでるって~」
「そうだったな」
へべれけに酔ったマージョリーは、違う道を歩み始めた子分二人を思う。
田中は現実を見て、大切な日常との狭間で悩んでいる。
佐藤は夢から醒め、自分が本当にできることと向き合いだした。
ミコトが見守る“少年”は、どうなったのだろう。
「予想外の成長を果たしたよ。これだから仮宿泊まりはやめられん」
「へぇ~。どんな風によ」
「えー」
ミコトは詳細を明かすことを拒否するが、マージョリーは酒に任せてしつこく問い詰める。
人間の若者と成長を目の当たりにして、知りたくなったのだ。マージョリー自身よりもずっと長く人間たちの世界を観ている彼が『予想外』と評した、その若者を。
ミコトはやがて観念して、短くこう答えた。
「未来を変えかねない『願い』を祈るまでに」
酔いが回ったマージョリーの頭では、その意味や奥の真実までたどり着けない。
「祈るだけじゃ~未来は変わらないわよ……」
「それもそっかー」
そうして一緒に酒を浴びるように飲む。
佐藤家のバーに眠っていたもののみならず、ミコトの『酒蔵』に保管されている貴重な酒も開けて。
「叶えるつった以上……そうしなきゃ、な……」
酔い潰れいびきをかいているマージョリーの隣で、ミコトはまだ酒を呷りつつ、そう言った。
フェコルーさん討滅!
未来は大きく変わっていく……。