IS Inside/Saddo   作:真下屋

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Adrenaline

「織斑、お前のISだが準備まで時間がかかるぞ。予備の機体がない。学園で専用機を用意するそうだ」

 

「具体的にはいつ用意されるんですか? 試合の5分前とかに渡されても正直困りますよ」

 

「その辺りは私の管轄ではない。おい山田君、後で確認を取っておけ」

 

「先輩っていつもそうですよね! 面倒なことは全部私に押し付けて…でもそんな先輩もステk」

 

「織斑先生だ、山田君」

 

「それを聞いて安心しましたわ!」

 

 バアンと音を鳴らし何故席を立つ。

 なぜ俺の眼前に立つ。

 何故の俺の前で胸を張る。

 指を指すな鬱陶しい。

 

「クラス代表決定戦、わたくしと貴方では勝負が見えていますけど、流石にわたしが専用機―――」

「勝手に席を立つなオルコット」

 

 必殺・出席簿アタック。こうか は ばつぐん だ。

 オルコットが涙目になる、あちょっと可愛い。

 

「なにをなさるんですか! わたくしをオルコット家当主と知っての狼藉ですか!」

 

「貴様こそ何をしている。今は授業中だ馬鹿者。あとオルコット家がどうした。私は『織斑千冬』だぞ?

 あんまり家の権威を傘に着てると、自慢の家ごと潰すぞ」

 

トボトボと席に戻るセシリー。何アレ可愛い。

 

「織斑くん、ISの中心に使われているコアって技術は一切開示されてないの。

 だからISはそのコアの個数、467機しか存在しなくて、その全てのコアは篠ノ之束博士が作製したものなのよ」

「ISのコアって完全なブラックボックスなんだって。篠ノ之博士以外は誰もコアを作れないんだから」

「でも博士はコアを一定数以上造るのを拒絶しているの」

「国家、企業、組織、機関では割り振られたコアを開発、研究訓練を行うしかない状況なんだよ!」

 

 知ってるよそれぐらい。テキスト丸読みして補足した顔してんな。

 しかし可愛いから許す、許すでござる。

 もっと近うよれガール。

 

「本来なら、専用機は国家もしくは企業に所属する人間しか与えられない。

 が、お前の場合は状況が状況なのでデータ収集を目的として専用機が与えられる。理解できたか?」

 

「理解しました」

 

 なぜこの姉は俺に対してドヤ顔したがるんだろうね。正直たまにイラッピーだよね。

 ちなみに俺はしまじろうではトリッピーが好きだったり、はしない。

 やっぱしまじろうだよね!(CV的な意味で)

 

「あの先生、篠ノ之さんってもしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか?」

 

 誰かが箒の名字に気付いたのか質問を飛ばす。

 そりゃあ気付くよね、しののの、なんて珍しい苗字そうはいないし。

 

「そうだ、篠ノ之はあいつの妹だ」

 

「ええ~!!」

 

「それじゃあ専用機が貰えちゃったりするんだ」

 

「篠ノ之博士って今世界中が探しているんでしょ? どこにいるか分からないの?」

 

 流れる様に箒へ話題が行く。

 そして箒は、大嫌いな姉の話題をされたので、

 

「あの人は関係―――」

「ハイハイ! 俺も関係者! 篠ノ之博士は近所のお姉さんでした!

 いやー昔っから破天荒な人で、目茶苦茶だったよ篠ノ之束さん」

 

 

「お、織斑君って博士とも旧知だったんだ…」

 

「IS動かせたのもなんか当然? って感じ」

 

「それって立ち上がってまでするアピール?」

 

「イッピーナイワー」

 

 相川あとでストパンの刑な^^

 

「静かに。ちなみにあいつをもし見かけたら全力で距離をとれ。基本的に知らない者に対しては無害だが、あいつは天災だ。

 巻き込まれるとロクな目に合わんぞ」

 

 俺の起立はスルーして、フォローを入れる姉の姿に若干の贔屓と過保護を感じつつ着席。

 女の子が怒鳴ったり、クラスの雰囲気が悪くなるのは、いやだもんね。

 

 ちなみに箒さんは束さんを嫌っているが、束さんは箒ちゃんLOVEってのが面白い所であった。

 ちなみに俺は束さんとたまに連絡を取っている。あの兎ちゃん寂しがりだからたまに構ってあげないとすねるのだ。

 ちなみに昨日撮影したとある写真をメールで送ったら俺の口座に6桁の振込みがあった。

 

 篠ノ之家姉妹は、今日も平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂に参りました。

 いやはや凄い人。席空いてない。

 かと言って相席はちょっとねぇ。

 食事を終えた先輩のお姉さま方が席を空けてくれるのを待ち、すかさずいただき。

 

 あ、尻があったけぇ。ちょっとテンションが上がる。

 あの手を振ってくれたおっとり系巨乳お姉さんの尻で暖められた席か、胸が熱くなるな。

 

 山盛りのカツカレーが俺を誘うので、スプーンをつきたてる。

 ハム、ハフハフ。

 

 

「隣、いいか?」

「よろしくてよ」

「誰だ貴様は」

 

 我等がモッピーの出現ですよ。

 

モッピーがあらわれた!

 たたかう

 まほう

 どうぐ

→にげる

 

 モッピー知ってるよ! モッピーからは逃げられない!

 

「何を笑っている」

「ちょっとねwwwwwwwwwwwwwww思い出し笑いwwwwwwwwwwwwwww」

「不快だな」

 

 サーセン。思いのほか頭の中に描いた光景が面白くて我慢できず噴出してしもうた。

 

 

「ねえ、君って噂の子でしょ? 」

 

 茶髪のセミロング襟足ふんわりシャギーな可愛らしい女性に話しかけられた。

 話しかけられた。

 全然知らない人に話しかけられた。

 俺は、心中で号泣した。

 

 この学園に来てから、初めてクラスメイトじゃない同世代の人と話したよ!

 イッピー知ってるよ。クラスメイトと教師と食堂のおばちゃんを除いたら初の会話だって、イッピー知ってるよ。

 

「代表候補生の子と勝負するって聞いたけど、でもキミって素人だよね?

 私が教えてあげよっか、ISについて」

 

 ISに限らず色々と教えてくださいまし。

 ひとまずその体を用いた女性に関する実演指導がいいなぁ。

 

「結構です。わたしが教えますので」

「あなたも一年でしょ、わたし三年生。わたしの方が上手く教えられると思うなぁ?」

「私は、しのの―――」

「先輩、是非ともご教授願います! 1の1、織斑一夏です。先輩の名前は」

「え、ええっと、3年の固法美佳だけど…、いいの?」

 

 チラっと箒に視線を向けるコノリ先輩。構わん。

 

「いいです! 早速ですが演習場と訓練機はいつ押さえてますか?」

「明日の放課後から一応申請出してるから、使える予定だけど」

「では明日、講義が終わり次第演習場へ向かいます。先輩、よろしくお願いします」

 

 立ち上がり、コノリ先輩の手をを握る。感謝も感謝、特大感謝。

 紳士スマイル全開でお願いしたら、「わ、分かったわ」顔を赤くしながらコノリ先輩が去っていった。

 何気に男性経験は少ないようだ。よう話しかけてくるわアレで。

 

「―――のたばね。の、妹ですから。けっこうです……」

尻すぼみに呪文を唱える箒。

それを尻目に食事を再開する俺。

 

 

…。

……。

………。

 

 

「一夏っ貴様っ!」

「食事中に騒ぐな、みっともない」

「お前は、私のことが嫌いなのだな?」

「そうでもない。可愛い女性は皆大好きだ」

 

 いまの会話に箒は激昂したようで、俺の胸元を掴み、引っ張り上げた。

 この細腕にどれだけの力が込められているのか、全国レベルは流石だな、ちょっとおっぱいが揺れたな、

 俺は暢気にもそんなことを考えていた。

 

「女に胸ぐら掴まれても態度を変えないか、軟弱者。放課後、剣道場に来い。その軽佻浮薄な精神を叩き直してやる」

 

「ええーいいよいいよ悪いし、そんな手間かけなくてもいいって」

 

「その茶化した態度も二度と取れないようにしてやる。必ず来い。出ないと、私は自分を抑えられそうにない」

 

 箒はわざわざ俺を押して、食器を持ち戻っていった。

 周りの女子生徒達の視線が集中していていたたまれないが、食事は大事。

 大盛りにしてくれたおばちゃんに、食材に感謝しつつ、俺はカツカレーをのほほんと平らげるのであった。

 

 

 今のはもうスキンシップじゃごまかせないなぁ。箒ちゃんの評価が下がらなければいいけど。

 強いようで、すっっっっごくハートの弱い娘だから、大変なんだよねぇ。

 人の気持ちを考えないし、空気読めないし。

 だいたいさっきの授業の織斑ブラザーズによる小粋なフォローも気付いてねーだろうしー。

 この辺で折っとくか。

 これからまだまだ人生長いんだし、このままじゃ弊害が出ちゃうでしょうし。

 俺なら出来る。俺なら出来る。俺なら出来る。自己暗示―――よし。

 さあて、織斑一夏の人間試験、始まるよっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やって参りました剣道場。

 実は迷いました。ぞろぞろと追尾する女の子を一名とっ捕まえ場所を教えていただきました。

 部の練習に混ざらず、一人座して剣気を高める女がいらっしゃる。あ、帰りてぇ。

 

「……ようやく来たか。来ないかと心配したぞ」

 

「可愛い可愛い箒ちゃんからのお誘いですもの、馳せ参じますともさ」

 

「その軽口、叩けぬようにしてやる。ほら、そこにある防具と竹刀を使え」

 

「箒は防具を付けないのか?」

 

「必要ない」

 

 そっか。それ程までの腕の差があると確信しているのか。

 それ程までに自分の実力に自信があり、その程度の力も、俺には無いと思っているのか。

 

 ……………。

 調子こいてんじゃねぇぞ、この糞ガキ!

 

「ていっ」

 

 竹刀を拾い上げ、軽く振り抜いた。

 それが座っている箒の腕を打ち据える。

 

「おいおい油断してんじゃねぇよ。剣を持つなら常時戦場だろ。相手が武器持ってるのに悠長に構えてどうしたよ」

 

 打たれた腕を無言でさする箒。

 その目に溜まっているのは、涙か、憤怒か。

 

「防具を付けろ、一夏。怪我じゃすまんかも知れん」

 

「テメーが付けたら付けてやんよ」

 

「そうか、後悔するなよ」

 

 ゆらり、と。感情を感じさせない声で呟き、箒は中段に構えた。

 なんつー気迫だ、押されそうだ。

 けどさ、そんなに殺気がダダ漏れしてたら、狙い目までバレバレですよ?

 

「殺アアアアアアアア!」

「だから舐めんなっての」

 

 裂帛の気迫を込めた面を半身で交わし、すねに竹刀を叩きつけた。

 悲鳴を噛み殺し、蹲る箒。

 今度は強めに打ちつけたので、結構な痛みを与えている模様。

 舐めすぎだろ、人を。

 

「ルール違反、だろ。お前は、まともに剣道が、できないのか?」

 

「防具もつけねぇでルールがどうこう言ってんじゃねぇよ。

 それと、お前がどうかは知らんが俺達がやっていたのは、篠ノ之柳韻さんから習っていたのは剣術だ。

 己を高める道じゃない、生きる為の術だ。ルール前提のスポーツじゃないんだよ」

 

 息絶え絶えな箒を見下ろし、竹刀を肩にかつぐ。

 堅い、脆い、弱い。

 自分の世界だけで生きてるから、お前はそうなんだよ。

 他人を拒絶するから、受け入れられるだけのキャパがないから、自分の定めたルールしか持ってないし、

 そのルールの中でしか生きられない。

 

「だけどまあ、このまま終わったら不満が残るだろう。ソイツは頂けない」

 

 お前の固定観念、その在り方を此処で止めないと、きっと、変われなくなってしまう。

 友達だから、同門だから、幼馴染だから。大切な、女の子だから。

 お前は、此処で折れろ。

 

「防具をつけろよ、箒。剣道のルールでやってやる」

 

「一夏。お前はきっと、私が思っているよりきたな、いや強い。

 だがその発言、私を見くびった事は、後悔させてやる」

 

 一旦、互いに竹刀を置き、防具を装着する。

 女子の物と言えど、やっぱり小手は臭い。イッピー知ってるよ。

 けれども全くケアしてない激烈な悪臭を放つ一品は存在しないようだ。それだけが救い。

 さしもの俺も、小手の臭いではスタンダップしないようだった。安心。

 

 フルアーマー箒と対面し、目礼。座り、剣を合わせ、立ち上がる。

 一応、作法は体が覚えているようだ。

 先ほどよりだいぶ冷静になった箒をどうやって倒すか。

 腕の差は歴然。

 こういった試合になってしまっては、俺が箒に勝っている部分などほぼ無いと言っても過言ではない。

 それでも闘うのであれば、神に祈るのでなく、自分を信じて策を弄すのみ。

 ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん!

 俺のじゃないけど、姉はいつも、良い事を云う。

 

 礼に則り、試合開始。

 様子見、膠着状態が続く。先を取ってしまっては、俺と箒の技量差では余裕綽々で後の先を持っていかれる。

 だから待つ。

 箒は、先程の怒りに任せた件で返し技を受けてしまっているので、中々攻め込めない。

 

 俺は目を閉じた。

 感じる。大丈夫だ、分かる。

 心を落ち着け、世界を拓く。

 このまま待っていたら、箒が焦れて攻めてくるのは目に見えている。

 だが、それに付き合って一挙一動観察していては俺がもたない。

 だから、これでいい。

 

 攻め気と、呼吸と、距離にだけ集中する。

 閉じた感覚と、開いた思考。

 俺の師は、肌で感じることに重きを置いていた。

 例えISを用いたとしても、御師様は徒手空拳で倒してみせるだろう。

 スーツとか、武器とか、そういう物を必要しない人だった。そういう物が通用しない人だった。

 今度の連休には顔を出しに行こう。

 俺の波乱の人生の新たな一ページを、あの人は面白いと言って聞いてくれることだろう。

 

「ふざけているのか、一夏…ッ!」

 

 試合中の私語は、失礼に当たる。

 それでも、我慢できずに問いかける箒。

 自分が定まっていないから、そう相手の動きに左右される。

 

「目で見たものしか信じない、などと言ったり思うのはよしなさい、なんて姉にしつけられて育ったんでね。

 俺は、お前みたいに見えてるものが世界の全てじゃない。こうやって目を閉じると、そいつを感じられるのさ」

 

 来る、な。

 箒の体がピクリと動いた。

 ゆっくりと目を開ける。

 感覚としての眼と、眼球の情報をリンクさせる。

 お膳立ては整った。あとは、初動を盗むだけだ。

 

「死ね」

 

 プッツンした箒の加減のない踏み込み、面。

 そのタイミングに合わせ、虚をつくように一歩踏み込んだ。

 振り下ろした竹刀―――鍔に、自分のそれをぶつける。

 

「グッ!」

 

 体重ごとぶつかった俺のタックルに、箒は体幹をずらされバランスを崩している。

 俺が間違いなく箒に勝っているもの、それは体重。

 相手は全国優勝の高スペック剣道少女。筋力さえも正直勝っているか怪しい相手だが、体重だけは絶対俺の方が重い!

 勢いのまま箒の体を押し出し、死に体となったその身に飛び込み胴。

 不細工ながらも、なんとか拾った勝ちだった。

 

「お前は、卑怯だ」

 

「ルールの中で自分が取れる最善を選んだ、それの何が悪い」

 

「それでも、お前は卑怯だ」

 

「強さに卑怯も糞もあるか。あのなあ箒」

 

 愕然と、憮然と、へたりと座り込んだ箒。

 俺は竹刀と小手を投げ捨て立ったまんま面を外し、ついでに箒のも外そうとしたが手を払いのけられた。

 

「お前の云う強さに、何の価値がある? 正直、剣道の腕じゃ俺はお前に勝てっこない。

 けれど俺は、お前と喧嘩したのであれば十中八九勝つ自信が有る。お前はその程度の強さしか持たない。

 お前が将来、剣道家として生きてくのであればそれで良いが、此処はIS学園だ。

 ISの操縦技術、ISでの戦闘能力を高めることを主としたこの学園で、お前の強さにどんな価値が宿る」

 

 きっと、俺の仲間内の誰と闘っても、箒は負ける。

 最も戦闘力の低い弾でさえも、箒には勝つだろう。

 例えどれだけレベルが高くても、剣道しか出来ない奴に負ける程、俺達は弱くない。

 

「私は、無理矢理連れてこられたんだ! 来たくなんてなかった! ISなんて大嫌いだ!」

 

「それでも、お前は此処に居る! 社会に押し負けてこの場所に居る! 境遇に腐ってどうする!

 上を向いたってキリがないけれど、下を向いたら後が無い。お前の人生だろうが、前を向けよ!」

 

「私は、コレ以外の強さなど知らない…。誰からも、教えてもらっていない…」

 

 甘えた小娘ですこと。

 強さなんてもんは、誰かに教わるものじゃない。

 現状に満足しない人間が、足掻く為に身に付けていくものだ。

 お前の弱さは、その精神性にこそある。

 だから、俺はお前が嫌いだよ。

 

 

「強いってのは、何も肉体的なことだけじゃない。もちろん、肉体の強さも重要だけど。

 精神の強い人間には、それこそ肉体の強さ以上の可能性が広がっている。

 強い人間は、何も諦めない。

 本当に強い人間は、欲張りで、意地汚く、アレもコレもと掴み取ろうとして、失敗せずに本当に掴み取っちまう。

 お前が強くしなければいけないのは、『こころ』だ。

 他人にどうこう言う前に、お前はその芯の無い精神をなんとかしろ」

 

 

 剣道部員に、借りていた防具と竹刀を返却し、お礼を述べ剣道場を後にする。

 座り込んだ箒はそのままに、俺はその場を去った。

 剣道部員やギャラリーの前でガチ語りをしてしまったことにとてつもない羞恥を感じ、走り出す。

 やっちまったーァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と言う訳で、決戦当日。

 本日は御日柄もよく、絶好の決闘日和となっております。

 なんだよ決戦って。なんだよ決闘って。

 現代人だぞ、俺。馬鹿じゃないの? 馬鹿じゃないの?

 今日に至るまで「ドキッ、先輩とのマンツーマンIS訓練」のなんと幸せだったことか。

 ISスーツのときに触った固法先輩の尻の感触が最高だった。

 ケツ触らせてくれるぐらいだから、頼めばやらせてくれねーかなぁ。

 

 未だに届かぬ俺の専用機。

 試合は本来ならもう始まっている時間だったりします。

 届かないから後日、とかならねーよなあ。

 

 モニターに映るセシリアの姿。

 半端ないEROTICを誇るセシリアの尻をガン見する。

 周りには俺が真剣に相手を観察しているよう見えることだろう。

 

「アレがあいつの専用機だな。実物見ると見蕩れそうだ。蒼き滴、ね。イカしてる」

 

 けど乗り手が三流だな。なんで戦闘前に滞空して無駄にエネルギー消費してるんだ。

 馬鹿となんたらは高い所が好きって言うけど、正鵠を射てるのかも知れない。 

 

「織斑君、織斑君、織斑君! 来ました、織斑君の専用IS」

 

「織斑、すぐに準備をしろ。アリーナの使用時間にも限られているからな、初期化と最適化は実戦でやれ」

 

「だから言ったよな、俺。試合の直前に渡されても困るって。……おい、眼を逸らすな」

 

「どういうことだ山田君。生徒に言われてしまっているぞ」

 

「私に言われても困ります~!」

 

 漫才はこの位にして、と。待ちかねたぞ、ガンダム。

 俺の専用機に触れる。IS名『白式』、高軌道型近接専用機。

 武装、戦い方、戦闘経験。

 データは存在しないが、コイツに刻まれた情報が伝わってくる。

 コイツのコアには存在しない、コイツの情報も。ISのコアネットワークを通じ情報は流れてくる。

 分かる、知っている、理解できる。

 

「すぐに装着しろ。時間が無いからフォーマットとフィッテングは実践でやれ」

「―――少し、黙れ」

 

 伝わる。俺のことも、コイツのことも。

 

「初めまして『白式』、俺の名前は『織斑一夏』。早速で悪いが、俺の命、お前に預けるぜ。OPEN」

[Access.Connect.CONTACT]

 

 情報経路を全て開く、俺の戦闘経験、戦闘知識、意思、意義、存在価値、戦闘の癖、俺の名前の由来、伝える、伝わる。

 これまで培った俺という人間を、余すことなく伝える。

 俺がお前と逢う為に重ねたISの操縦経験を譲渡する。

 お前に全てを委ねる。だから、お前も俺に、その存在を預けろ。

 

 俺、白騎士に憧れていた。

 だから、オマエと会えて嬉しい。

 もし、お前に生命があるのなら、―――応えろ。

 

「気分は悪くないか、織斑」

「最高だ。今すぐいける」

「よし、行ってこい」

「ハッチ、開放します」

 

「『白式』は『織斑一夏』、出ます」

 

 俺は相棒の羽根を広げ、空へ飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後のチャンスをあげますわ。この私、セシリア・オルコットが有終の美を飾るのは目に見えています。

 今泣いて謝れば、許して差し上げないことも無くてよ」

 

「そうだな、これが実戦だったらそうしてたかも知れない。姉が憤ってなければそうしたかも知れない。

 3年生の固法先輩が鍛えてくれなきゃそうしたかも知れないし、俺を応援する人がいなければそうしたかも知れない。

 だけど、ここはそんな事が出来る場面じゃない。諦める方向には進みたくない。

 そう、此処は―――抗う場面だ」

 

 一夏はクールに、ニヒルに笑ったつもりだ。だが、その笑みは、凶暴で粗野な獣の笑みだった。

 それがこの男の本質、普段は草食系を気取りながらも、根は激情家である。抗う者、無法者、ならず者。

 反逆者だ。抗え、一夏。お前の強さをこの姉に、世界に見せつけろ。

 

「精々手を抜け、そうすれば此の刃、お前に届くかも知れねえぞ?」

「吠えなさい、猿が!」

 

セシリアが撃つ。そのビームは白式を掠め、地面に穴をあけた。

 

「よっ、とぉ!」

「足掻きなさい、猿」

 

 2発、3発と打ち込まれるビームをほうほうの体で回避する。

 白式の操作感覚に慣れず、やっとこさの回避だ。

 

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 おわ、あたっちまったよ。

 盾はない。シールドバリアとこの装甲が盾って所だろう。

 武器は、たしか刀剣が一本。

 ああ、これでいいや。

 この手に剣を物質化する。

 

「遠距離射撃型の私に、近距離格闘型の装備で挑もうとは……笑止ですわっ!」

 

 うっせぇパツキン、下の毛までその色なのか確認してやろうか。

 ビームを剣で受ける。

 よし、いける。シールドバリアに直接叩きつける物だから、かなりの硬度を誇ると踏んでいたがその通りだったぜ。

 

「無茶苦茶ですわね、貴方! でも、これなら!」

 

 ビット兵器・ブルーティアーズが射出され全包囲攻撃が行われる。

 だけど、狙うポイントが分かっていれば、この程度難なく!

 

「左後方、右上方、真下ァ! バレバレなんだよ!」

 

 ビットを瞬間で切り払い、下がる。

 全ての攻撃を前方に集中させる。

 背後に剣を振るう練習なんて、やってねぇんだよ。

 

「面倒ですわね! これで、墜ちなさい!」

 

 ミサイルを射出し、ブルーティアーズとの同時攻撃。

 あ、ミサイルって自動制御なんだ。コイツはヤクい。剣で受けても爆風が

 

「一夏ッ!」

 

 爆音が響き渡る。悲鳴が聞こえた。

 爆発の衝撃は、コアから伝播されるエネルギーに相殺された。

 煙が晴れる。きっとセシリアに取っては予想外だろうけど、俺は万全に健在だった。

 

 

「あの馬鹿、機体に救われたな」

 

 

 姉のそんな呟きが、聞こえた気がした。

 

 

「なんとか、間に合ったか」

[FITTING Complete.FirstShift OK.STAND BY READY]

「いけるな、白式?」

[All Right.Get set]

 

 形の変わった白式に、より一層の一体感を感じる。

 俺の意を汲み、俺という存在を理解し、俺を受け入れた。

 

「まさか、ファーストシフト!? あなた今まで初期設定のISで戦ってましたの!?」

 

「だったらどうしたってんだ。もしかして初心者相手に「此処まで私の攻撃に耐えたのは貴方が始めてですわ」とか

 言うつもりじゃないだろうな? だったら勘弁してくれよ、笑いすぎて手が震えちまう」

 

 強く、握る。

 『雪片弐型』白式が教えてくれた其の銘。

 白式が用意してくれた、其の切り札。

 『零落白夜』

 これでやっと、闘える。

 

「ワルツはもうお仕舞いだ。こっから先は鉄火場のタップダンスだ。乗り遅れたら足に穴があくぜ、お嬢ちゃん」

「馬鹿にして!」

 

 牽制の射撃を危うげなく雪片弐型で弾き、弧を描くように肉薄する。

 射線を縫うように進み、進み近寄り、それを嫌がるセシリアが逃げる。

 初期武装でもなんでもない、メンテナンス用の接続ワイヤーがあったので、進行方向に投げつけた。

 セシリアは動揺して進路を変更する。その先に回りこむ。

 交差一線。

 雪片弐型をただぶつけただけの攻撃だったので、それ程のダメージは与えられていない。

 それでも、とりあえず一矢。

 今のは小手調べで、準備運動で、予定調和だ。

 これでやっと、アイツは俺の事を見てくれんだろ。

 俺が、お前に届く存在であると。

 

 セシリアがこちらを睨む。その視線を受け止め、問う。

 

「アンタ、名前は?」

 

「未だにわたくしの名前を覚えていなかったと、貴方は仰るつもりですか?」

 

「まさか。だけどまだ、アンタは『俺』に名乗っていないだろ? アンタの目の前に居る猿じゃない、『人間』に対してさ」

 

「それは、失礼しましたわね。―――イギリス代表候補生、オルコット家当主、セシリア・オルコットですわ」

 

「OK、刻んだ、アンタの名前。じゃあ今度は俺の名だ。『織斑 一夏』。

 覚えなくてもいい、すぐに忘れられない名前になる。

 ―――さあて、喧嘩だ喧嘩ァ! お前が売った! 俺が買った!

 覚悟は出来てんだろうなぁセシリア・オルコット、殺さず解体さず並べず揃えず―――晒してやるよ!」

 

 ブースト全開でセシリアへ直進する。種も仕掛けも手品もない、ただただ真っ直ぐに向かう。

 

「いい的ですわよ、貴方」

 

 そりゃあ勿論撃たれる、撃たれる、狙い撃たれるが。

 

「男は度胸!」

 

 シールドバリアをカットし、左腕部装甲を傾け逸れる様に受ける。大丈夫、出力にリミッターがかかっている状態じゃ、早々抜かれない。

 迷うな、俺が欲しいのは勝利に繋がる刹那だけだ。

 一拍たりとも足を止めず、愚直に押し通す。

 集中砲火をバレルロールで掠めながら、それでも進む。

 

「無茶苦茶ですわ、けれど」

 

 バックブーストで距離を取り、スターライトmkⅢを向ける。

 チャージショットで決めるつもりだろう。

 そのまま直進すればスターライト、避わせばブルーティアーズが追従する、セシリア・オルコットが得意とする常勝パターン。

 知っている、俺は知っている。知っているのだから、カウンター位用意しているさ。

 

「受けろよ、俺の『衝撃』を」

[Ignition Burst]

 

 この一週間、固法先輩が近接型にとって生命線と呼べる技能を特訓してくれた。

 瞬時加速。エネルギーをスラスターに取り込み、圧縮/放出することによって爆発的な推進力を得る。

 セシリアが想定していた俺のトップスピードを上回る追加速によって、俺はその距離に届く。 

 構えられていたスターライトmkⅢの射撃を、零落白夜を発動させた雪片弐型で受け止め、尚加速。

 どうせこんなもん、零落白夜ヒットと同時に俺のエネルギーが尽きるっつーシナリオだろうさ。

 なら、俺は俺のやり方で好きな様にやれせてもらうだけだ。

 さっき稼いだ一秒。本来存在しないだろうたったの一秒。

 きっとその一秒が、明暗を分ける。

 確信はないが、期待はある。なら後は、やるだけだろうが!

 白式、お前に生命があるのなら、応えろ。

 

「越えたぞ、死線」

 

 此処は、俺の距離だ。

 もう一歩踏み込めば、刃が届く。

 この瞬間を、待っていたんだ。

 

「お返しだ。―――アンタに死線を、刻んでやるよ」

 

 篠ノ之流剣術「旋波」

 零落白夜を発動させたまま逆袈裟から胴を払い、突きを見舞う。

 絶対防御を三回発動させたブルーティアーズのシールドエネルギーはゼロとなり、推進力すら失い墜落する。

 けたたましい音を立て地面に落ち、砂埃を巻き上げた。

 かくいう俺も、残心の最中にエネルギーが切れ降下中。

 まあ競技用のリミッターって奴がこんな時の為に有るわけで、安心して空から降りるわけ、ない。

 

 怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ! 絶対大丈夫だって分かってても怖すぎんぞコレ。

 加速するフリーフォール。きっと顔が青褪めてるだろうけれど、決めるときは決めとかなきゃね。

 

 

「カマしてやったぜ、糞女」

 

 

 中指とチ○コは、おったてる為にあるんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜ、わたくしは負けてしまったのでしょう」

 

 シャワーを浴びながら自問する。流れ落ちる滴は、考えを一層胡乱気にする。

 暖かくて、優しいシャワーの雨に打たれながら、身体を撫ぜる。

 

「負ける要素が、何処にあったのでしょうか」

 

 不様に、完膚無きまでに負けてしまったのはいつぶりでしょうか。

 それこそ同年代に大敗を喫したのは初めてになるのでしょか。

 あんなに粗悪で、あんなに粗野で、あんなに粗雑な男に、わたくしは敗れてしまいました。

 乱暴に、暴かれるように、わたくしは切り裂かれた。まるで、まるで。

 

「殺して解体して並べて揃えて、―――晒された気分ですわ」

 

 思い出すだけで震えそうになる身体を抱き締め暖める。

 死んだ心地しかしなかった。

 

 私の皮膚(アーマー)が剥がれ、骨格(フレーム)が歪み、心臓(コア)を穿つあの衝撃が、未だに私の心中を占める。

 その度に怖気と震えが止まらないものだから、中々バスルームから出ることが叶わなかった。

 

「刻まれて、しまいました」

 

 その名前、その衝撃。

 いい加減のぼせてしまいそうな体をシャワー室から引っ張り出し、制服に着替える。

 外の空気が吸いたくなって、私は屋上を目指した。

 

 何故、と何度も自問する。

 答えは、出ない。

 それを探すように歩いた先に、彼が居た。

 夕日を背にした屋上で、わたくしは今一番会いたくない相手に会ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう」

 

「祝賀会の真っ最中ではありませんこと、主役さん」

 

「あーいうの、苦手なんだ俺。祝われるより祝いたいタイプでさ」

 

 

 屋上の柵に寄りかかり遠くを眺めていた織斑さんが、わたくしに向き直る。

 まるでドアを開ける前からわたくしだと分かっていたかのように、自然だった。

 

 それでは、約定を。

 わたくしは敗北者。

 今回は恥を晒しましたが、誇りを腐らす訳にはまいりません。

 

「何も言い訳はしませんわ。敗者は勝者に従うのが世の常。まして、私は貴方を奴隷にすると広言したのですもの。

 今後一年間、わたくしの生命とオルコット家の未来を左右しない限り、貴方に従いますわ」

 

 IS学園の慣習。

 決闘システム。

 勝った方が、負かした方を一年間従わせることが出来る。

 

 ああ、そんなことか、と。

 わたくしの苦渋を噛み締めた発言を上の空で聞き流す彼の姿に、怒りを覚える。

 頬を掻きながら、どうでもいいような声色で発言した。

 

「1年前、とあるIS雑誌でさ。各国の代表候補生のインタビューが載っていたんだ。

 隔月各国の映える代表候補生の特集で、俺はそれを買い集めた」

 

 それが、今のわたくし達に何の関係があるのでしょう。

 そう思いながらも、わたくしは口をつぐんだ。敗者の義務ですわ。

 

「その中に、とある国の代表候補生の紹介があったんだよ。見出しは「悲運の代表候補生」だったかな?

 両親を事故で亡くし、家を継いだどっかのお嬢様。そのお嬢様の泣けるストーリーをさ。

 その細い双肩に一族の命運を乗せ、本人は国家代表候補生として努力しているって話だった。

 『技量は未熟だが、最も優雅にISを操縦する代表候補生』って触れ込みで、俺も何度か彼女飛ぶ様を見たことがあるが、実に見事だった」

 

 それは一体、誰の話をしていますの。

 貴方は、わたくしの存在を知らないのではなかったのですの。

 

「んでさ、雑誌では悲運な少女って触れ込みだったんだけど、微塵もその子は弱さを見せないの。

 毅然とした態度で、優雅に振舞っていて。誰だって15歳の女の子が無理してるって分かるさ。

 だけど、その子は弱音を吐かず、弱みを見せず、研鑽を重ねた」

 

「彼女は「自分を支えているのは『誇り』だ」と言っていた。

 貴族の責務、守るべき家名の重み、自分がのし上る為に踏みつけてきた操縦者、

 それ等を踏まえ、私は誇りで支えられている、と」

 

 

「俺さ、ファンになっちゃった」

 

 

 ―――え?

 

「だって自分とタメの女の子がそんな立派な生き方してんだよ? 凄い格好いいじゃん、憧れるよ」

 

 織斑一夏は笑顔で話す。そこにはその雑誌の女の子に対する尊敬が見て取れた。

 わたくしは、膝が震えて、立つのが辛くなってきた。

 

「けれど、俺が学校で会った初めての代表候補生は、人の祖国を馬鹿にし、俺のことを猿呼ばわりときたもんだ。

 挙句の果てには自分の得意分野で勝負をふっかけて、負けたら奴隷にしてやる、だとさ」

 

 恥ずかしさと、情けなさで涙が止まりません。膝ももうガクガク震えてしまってます。

 座り込んで耳を塞ぐか、此の場から逃げ出したい。

 それでも、視線を逸らす訳にはまいりません。

 今逃げたら、わたくしは自分が許せなくなってしまいます。

 

 織斑一夏の視線は、わたくしを映す。

 真正面から、感慨なしに、無感情に、わたしを映す。

 それはまるで、鏡のようで。

 その視線が映すわたくしの姿が、胸を張っているように見えるよう、まっすぐ立つ。

 

「俺はそんなくだらない人間として、セシリア・オルコットを胸に刻んじまった。

 面白くねぇ、全く面白くねぇ。俺の脳味噌の皺にくだらねぇ人間が増えちまった。

 だから、こう命令する。『お前が誇れるお前の姿を、これから一年間で俺に刻みつけろ』」

 

「受諾いたしましたわ、マイロード。必ず、貴方の記憶にいるくだらないセシリア・オルコットを忘れさせてみせます」

 

 わたくしが誇れる、わたくしの姿とは、一体なんなのでしょう。

 何を基準に、何を目標に、何を計画すれば成れるのだろう。

 分からない。何一つ分からないけれど。返事はノータイムで口から飛び出した。

 ここで大口叩けないようであれば、わたくしはきっと、一生つまらない女になってしまうのでしょう。

 

「ハッ。良い返事じゃねぇかアンタ。俺はアンタに侮辱されたことを忘れない。

 忘れないが、そんな愉快なアンタとはお友達になりたいと思ったぜ」

 

「ええ、よろしくてよ『一組筆頭』殿。これからの一年、卒業するまでの三年、楽しくなりそうですわ」

 

「違いない」

 

 歯を見せて笑う織斑一夏に、わたくしは好意を感じている。

 この男性の事を、もっと知りたいと思っている。

 彼はきっと、彼はきっと。

 わたくしを次のステージへと導く鍵だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一年間あの厚ぼったいエロい唇とか、あのたわわに実った胸とか、ISスーツで誇示した見事な尻とか。

 それを一年間自由にできる未来を棒に振ったことを泣いて惜しんでた夜のことは、云うまでもない。

 云うまでも、ない!

 


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