「16……17……18……19……20……両足重傷の彼を除いて……ほぼ全員無事か」
襲撃事件が終わり、少しした後で警察が到着した。
USJの出入口からA組やヒーロー達に無力化された敵達が連行されていく。ちなみに熊谷が堕とした敵のアヘ顔を警察の人達が見せられるのは流石に警察の人がかわいそうだと思ったので催眠は解除しておいた。
その横でA組の面々は警察の指示で点呼を受けた後、しばらく待っているように言い渡されていた。
暇が出来たので話を始める生徒達。熊谷は八百万と喋っていた。
「まあ、とにかく無事で良かったですわ、熊谷さん」
「こんな俺でも心配してくれるの?お前はほんとに優しい子だね大和撫子の鑑」ナデナデ
「別に心配なんて...って撫でないで下さいまし!」
「お痒いところはございませんか♡」ワシャワシャ
「わしゃわしゃもしないで下さいまし~ッ!」
そんなこんなで警察の捜査が終わり、解放されたので帰宅する熊谷。
学校からの帰り道を歩いていると、前から5つの人影がやってくる。そしてその人影の内の一人が熊谷の正面にやってきて、口を開いた。
「そこな少年」
熊谷は見覚えがあったらしく、
「あなたは…!?あの時の…!」
と言う。果たして、熊谷に声をかけた人物とは… ?
「大河内 猛獣ですな」
「藤壺 棒吉です」
「マイネームイズ、ダグラス・ポートフォリオ」
「喜屋 翔っす」
「ふふ…安堂 龍」
「まさか…!」
「そう!我らは知る人ぞ知るちんちん亭ヒーロー!」
「ヴィラン蔓延る世の中に、平和の種を植えつける」
「人呼んで‥」
「「「タネツケオジサンファイブ!!」」」
「俺はおじさんじゃねーけどな」「ふひひ…僕も」
なんとタネツケオジサンファイブだった!
これには少年のテンションも上がる。
「精進してるかい?少年」
「はいっ!!あ、それで無事に雄英高校に入ることが出来ました!」
「おぉっ、そうか!それはおめでたい!やはり私の見込みは間違っていなかった!その調子で頑張りなさい」
「ありがとうございます!」
熊谷は大河内への挨拶が済むと次は年齢が近い喜屋らと話し始める。同類がいるからなのか割と素が出ている。
「熊谷クンだっけ、とりあえずLI○E交換しよーぜ」
「僕もお願いしていいかな…?」
「あ、良いですよ」
気が合ったのかワイワイ話す3人。
「友情ですなぁ」
「感動ですな」
「おじさんたちの乾いた心にも潤いが戻って来るようだよ 龍神雷神」
「それにしても、若者はすぐラインライン…」
「ついていけませんな」
「そもそもスマホ自体がよく分かりませんからなぁ」
「ガラケーでも十分ですわな」
「おっさんのデジタル弱者の話も大概にせよ邪馬台国」
「!閃きましたぞ。今の私たちにスマホとかけまして、発現したばかりの個性と解きます」
「そ、その心は?」
「どちらも操作が出来ないでしょう」
「うわっはっはっはは」
「これは傑作ですな 頼むから死んでくれ」
盛り上がっている3人を見ながら3人のおじさんは眩しいものを見るようにしみじみとしていた。世の中のデジタル化についていけない事も嘆いていたが。
熊谷は大層楽しんだようだ。
USJ襲撃事件の翌日は臨時休校となった。
そして次の日。
「皆ー!!朝のHRが始まる、席につけー!!」
「ついてるよ、ついてねーのおめーだけだ」
「灯台下暗し あるあるですよな」
襲撃事件の後だからなのか、委員長だからなのかそれともその両方なのかは知らないが声かけに熱が入る飯田。もっとも、その熱意は空回りしてしまったが。
「お早う」
本鈴のチャイムと同時にやって来たのは包帯で顔と腕をぐるぐる巻きにされた相澤だった。おかげで目しか見えなくて非常に怖い。
「相澤先生復帰早えええ!!!!」
「先生、無事だったのですね!!」
「無事言うんかなぁアレ……」
「目しか見えねえ!おい!そこで隠れて下品な顔してんの分かるぞ!かわいいね♡」
「俺の安否はどうでも良い。後うるさい。何より、まだ戦いは終わってねぇ」
そこで一旦言葉を切り、少し貯めてから相澤は話す。
「雄英体育祭が迫ってる!」
「くそ学校っぽいの来たぁぁ!!!」
「待って待って!敵に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか?」
途端に沸き上がるA組。しかし事件があったので心配の声も上がる。
「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するようだ」
「何より雄英の体育祭は…最大のチャンス。敵ごときで中止していい催しじゃねぇ」
「全てはチャンス!(レ)」
「いやそこは中止にしよう?」
「峰田くん…雄英体育祭見たことないの!?」
「あるに決まってんだろ、そういうことじゃなくてよー…」
まぁ時期が時期なので反対意見が挙がるのも仕方のないことだろう。それでも相澤は続ける。
「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した」
「今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した…」
「そして日本に於いて今、かつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭だ!」
雄英の体育祭がとても大きなイベントであることを語る相澤。
「当然全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的でね」
「第1巡選択希望選手…」
「それは野球のスカウトですわ」
他にも注目度の高さを示したり…
「資格取得後はプロ事務所にサイドキック入りが定石だもんな」
「そっから独立しそびれて、万年サイドキックってのも多いんだよね。上鳴あんたそーなりそう。アホだし」
「くっ!」
将来の事を考える人もいる。
「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」
「年に1回…計3回のチャンス、ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ!」
そう言って話を終える相澤。
ヒーロー基礎学が終わって、時間は放課後。
A組の教室前には多くの生徒が集まっていた。
なんでもB組や普通科の生徒達が敵情視察や宣戦布告しに来てるらしい。
そしてそれに対して爆豪もいつも通りのキツめな態度で対応している。
教室の中からその様子を見ていた八百万、熊谷、障子、瀬呂、耳郎、葉隠は思い思いの感想を言い合っていた。
「爆豪さんはなんていうか…強い、ですわね」
「性格はアレだけど誰相手でも一貫してんのはすげーなーって思うわ」
「ヒーロー社会を生きていくにはああいう強い気持ちも必要なのかもしれんな…」
「なるほど…痛み入るなぁ…」
「…まぁヒーローやるならあの性格を何とかするのは必須だろうけどね」
「あはは…私たちも頑張らなきゃ!」
そして、各々が思惑を持った体育祭が遂に開催されようとしていた…。
『群がれマスメディア!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!??』
「死ぬほど耳に響いてくるんだけど シャレになってないよ」
「お気持ちは分からないでもありませんが、それは失礼ですわ…」
『一年ステージ、生徒の入場だ!!』
プレゼントマイクのその言葉で一年生が入場してくる。最初に出てくるのはもちろんA組だ。
『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが、我こそはとシノギを削る年に1度の大バトル!!どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!!?ヴィランの襲撃を受けたにも関わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!』
『ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉ!!?』
プレゼントマイクの気合いの入れようというか、贔屓が凄い。生徒達もその注目度の高さに困惑しているようだ。中にはいつも通りの生徒もいるが…
そしてミッドナイトによる司会進行が始まり、選手宣誓の時間となる。
今年は首席である熊谷だ。
「選手宣誓!!」「選手代表!!1年A組、熊谷裕貴!!」
「さて、イきますか」
そう言って熊谷は台に上がって宣誓する。
「宣誓。我々選手一同はヒーローシップにのっとり、正々堂々戦う事を誓います」
ここまでは良かった。
「さて、えーところで、雄英高校の皆さん、最近は徐々に暑くなってきていますがいかがお過ごしでしょうか。私はですね近頃、花を育てるというのにハマってまして、まぁ暑さを凌ぐというか、どちらかといえば見て癒やされて暑さを忘れるっていうのが主な目的なんですがね、これがまたかわいいんですよ。今の時期なら丁度パンジーやビオラなどが旬ですかな。真赤なバラと白いパンジー小犬の横にはあなた。これらは初心者の方でも簡「さっさと終わらせろぶっ殺すぞ!」…あぁ、すいません。横道にそれてしまうのは私の癖でしてね。どうもいけない。で、さてえーと、何でしたかな。あぁ、体育祭の話でしたか。
えー、頑張って下さい♡獅子奮迅。プルスウルトラ」
校長先生によくある長話みたいになってしまった熊谷。
「体育祭の話短ァ!そして雑ゥ!」「ほぼ自分の趣味の話じゃねーか…」「パンジーかぁ…」
…体育祭の始まりだ──
ちんちん亭おじさん座談会はパワポケのリセット座談会みたいですき。
ちなみに次は掲示板回です。