「さーて、それじゃあ早速第一種目、行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が
そう言ってディスプレイに映し出されたのは、障害物競争の文字。
ミッドナイトから競技の説明が行われる。
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4キロ!」
「我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」
「ん?今何でもするって…」
言ってない。
「さあさあ位置につきまくりなさい…」
その声で生徒達は位置につき、ランプによるカウントダウンが始まる。
「3…2…1…スタ────ト!!」
スタートの合図で一斉に生徒達が飛び出そうとする。が、同時に多くの人が飛び出そうとしたのでゲートが詰まってしまって中々前に行けない。一足早く抜け出したのは轟だ。
『さーて、実況してくぜ!解説アーユーレディ!?ミイラマン!!』
「無理矢理呼んだんだろが」
その轟が後続を個性で凍らせて先頭を確保...するかと思われたが、これをA組らは回避する。
「グっ…オラッ催眠ッ!」バキン
熊谷は除く。
『さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門!ロボ・インフェルノ!!』
入試の時の0、1、2、3pの仮想敵が再び立ちはだかる。しかし、先頭を進む轟はものともせずに凍らせてどんどん行動不能にしていく。そのおこぼれにあやかろうとした後続は崩壊する仮想敵に巻き込まれているが大丈夫なのだろうか。
『1-A、轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!すげぇな!!いち抜けだ!!アレだな、もうなんか…ズリィな!!』
先頭から少し後ろを行く熊谷も入試の時みたいに催眠を使って仮想敵を行動不能にさせていく。
「オラッ!イけ!もっと大きくアク○しろ!」
『ンヒィィィッ♡♡♡♡』
「なんかロボットがビクンビクンしてる…」
他の生徒もロボットの挙動に困惑しながらついて行こうとすると、熊谷が通り抜けた瞬間に、
「ヒーロー候補が他人に甘えてる場合じゃねぇ!」
と言って催眠を解除させた。すると当然ロボットは元に戻り襲い始める。
『ブッ殺す!!』
「うわあああっ!!」
それを尻目に熊谷は第2種目へ進んで行った。
『オイオイ第一関門チョロいってよ!!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!ザ・フォール!!』
下が真っ暗で、峡谷みたいになっていて恐怖心を煽られそうなそこには、たくさんの足場と足場を繋ぐロープが張り巡らされている。どうやらそのロープを伝って移動するらしい。
「催眠で綱渡りが上手くなるわけねぇだろ!」
流石にこれは個性を使ってもどうしようもないので普通に渡る熊谷。普通に渡った分先頭とは少し離されてしまう。
『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねぇから安心せずにつき進め!!そして早くも最終関門!かくしてその実態は──一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!!』
『地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!目と脚酷使しろ!!ちなみに地雷!威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だから失禁必至だぜ!』
『人によるだろ』
「地雷エリアって体育祭にも限度ってものがあるだろ ちょっと引くわ」
日常生活ではまずお目にかかる事はないであろう地雷を見てついツッコミを入れてしまう熊谷。それでもすぐに気を取り直して処理をしていく。
「浅まし地雷が!イけッ!催眠!」
刺激を与えて目の前にある地雷を誘発させて、出来た道を順調に進んでいく熊谷。
が、流石に緑谷・轟・爆豪らに後れを取ってしまい、最終的に結果は9位に終わってしまった。
「ふむ、9位ですか。結構なお手前」
「個性のわりによくやった方じゃねーの?」
「そうだね…」
「19位ならイk…」
「言わせませんよ」
どうやらタネツケファイブの人たちも来てたらしく、熊谷の活躍を見ながら体育祭をユルく楽しんでいた。
そして舞台は次の種目へ移る。
「さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど~~~…何かしら!!?言ってるそばから…コレよ!!!!」
そう言ってディスプレイに表示されたのは騎馬戦の文字。
ルールは、42名が2~4名で騎馬を組み、第一種目の順位によって振り分けられたポイントを奪い合うものだ。
ポイントは42位の5ポイントが最小で、そこから5ずつ増えていく。
ただし1位はクイズ番組の最終問題みたいなノリで1000万ポイントが与えられる。
「上を行く者には、更なる受難を。雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!予選通過1位の緑谷出久くん!!
──持ちポイント、1000万!!」
その言葉を聞いて多くの鋭い視線が緑谷に向けられる。
「めぐまれねえ村人に愛の手を!そのクソムチエロ1000万ポイントにむしゃぶりつかせてくんろ!」
と、他の選手同様に熊谷も緑谷に熱い視線を向ける。
「制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイントが表示された"ハチマキ"を装着!終了までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競うのよ。取ったハチマキは首から上に巻くこと。とりまくればとりまくる程、管理が大変になるわよ!」
例えば、5、10、15、20のポイントを持った4人が騎馬を組んだ場合、合計の50ポイントのハチマキとなる。
また、ハチマキはマジックテープ式になっている。
「そして重要なのは、ハチマキを取られても。また、騎馬が崩れても、アウトにはならないってところ!"個性"発動アリの残虐ファイト!でも…あくまで騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード!一発退場とします!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムよ!」
その言葉を皮切りに各々が各自騎馬を組む相手を求めて探し出した。
熊谷も例に漏れずに組む相手を探していると、後ろから声をかけられる。
「なぁ、そこのアンタ。ちょっと良いか?」
そう言われて振り向くと、そこにはボサボサとした髪型で身長にしては少し痩せ目な、普通科の心操人使がいた。
「俺と騎馬を組んで欲しいんだけど」
「いいよ♡」
その問いに対して答える、いや、答えてしまう熊谷。その瞬間、心操は口元に笑みを浮かべながら指示を出す。
「『騎馬を三人で組み、そして俺を騎手として上に乗せろ』」
彼の個性は【洗脳】。呼びかけに応じた者の意識を自分の制御下に置いて命令を出す事ができる、というものだ。その個性を使って騎馬を組ませようとする。が、
「ははは なるほど、ご主人の個性は対したものですなぁ だが足りませんな」
熊谷は洗脳にかからず、さらに手拍子で操られていた尾白とB組の生徒を正気に戻してしまう。
「──は?」
それを見た心操は笑みを崩し、一瞬我を忘れてポカンとする。そりゃそうだ、今まで個性を使って操られなかった人間などいなかったのだから。
「助かったぜ熊谷!」
「ありがとう…!」
「恐縮です」
そんな心操を尻目に熊谷に感謝の言葉をかける二人。
そして我に返った心操が叫ぶ。
「オイ、何でだよ……何でかかんねぇんだよ……返事したならかかれよ……従えよ…なぁ!」
その問いに対して熊谷は
「おじさんマスターだからね 催眠マスター♡」
と返す。訳が分からない。が、そんな無茶苦茶な論法がまかり通ってしまうのがちんちん亭である。
まぁ、フグが自分の毒で死ぬか?というのが一番近いかもしれない。どっちにしろ理不尽だが。
「はは…なんだよそれ…そんなワケわかんねぇ理由で俺の洗脳が破られるのかよ……チッ、これだからヒーロー科は…」
拳を握りしめる心操。
「まぁまぁ、時間もないですしここは同業者同士手を取って行きましょうやご主人」
熊谷のその言葉でこのままだと15分が過ぎてしまうと気づいた心操は仕方なく引き下がる。
「……ハァ、分かったよ。こうなりゃ俺はどうしようもない、さっさとやろう。後俺の事は心操と呼んでくれ」
着々と進んでいた所に尾白からの待ったがかかる。
「お、おい良いのか熊谷…俺達を洗脳しようとした奴を仲間にしても」
「良いんですよ。彼の個性は中々の業物でございますからね」
「……まぁ、助けてくれたお前がそう言うなら文句は無いけど…」
結局陣営は前方庄田、後方熊谷尾白、騎手が心操に決まった。
チーム内での個性の情報交換も終わり、いよいよ騎馬戦が始まる。
『さァ上げてけ鬨の声!!血で血を洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!』
心操らの騎馬のポイントは合計で445。低すぎず高すぎずといったところだ。
『よォーし組み終わったな!!?準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』
「1千万は捨てておいて、取れる所から確実にコツコツとポイントを稼ごう!」
『3!!!』
「……まぁ、4位までに入ればいいからな。無理して狙う必要もない」
『2!!』
「後ろなら任せとけ!」
『1…!』
「うお…今期一番気合出る…!」
『START!!』
今ここにイき残りを賭けた騎馬戦が始まった。
⚠今更ですが催眠には嫌なことを強制するほどの力は無いのでエッチな事には使えません!⚠
よってちんちん亭の催眠は洗脳の域に入っていると言えるでしょう。