この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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ボスってのは無駄にしぶとくてたまに第三段階まである

 

 

「カズマ!」

「色々あったけど終わったよ。何とかデストロイヤーの心臓を止めてきたぜ。」

 

ダクネスの一声を合図に皆がデストロイヤーから無事降りてきたカズマ一行+αを迎える。街を救った英雄の帰還である。特に男性陣の喜びはすごかった。

 

「あの責任者の遺体も降ろして埋葬するらしいしもう大丈夫だな。疲れたし帰って飯でも食おうぜ。」

「それはこいつを浄化してからよ!さあ!覚悟しなさい!」

「ふっ...我ももう魔力吸われたり黒歴史ノートを読んだりして疲れて早く帰って寝たいのだ。さっさと決着をつけさせてもらおうか!」

「あの、俺抜けても...」

「あんたもよ!3億エリス!」

「ちょ!待て!何言ってるかわからないがやるなら向こうでやってこい!」

 

皆が皆騒ぎ立てこの大きな勝利を楽しんでいる中、ただ一人ダクネスだけは亡骸となったデストロイヤーを見つめていた。

そしてそれ故にその変化にいち早く気づくことができた。

 

「いや...何か様子がおかしいぞ。」

 

その視線の先は変わらずデストロイヤーに固定されたままだ。だがそのデストロイヤーに起こった変化は明確だった。

熱を持っているのか赤く染まり出す金属部。

そしてそれは徐々に亀裂が走り今にも限界を迎えそうだった。

 

「おいおいおいどうなってんだ!?動力源は取り除いたはずだろっ!」

「何よっ!終わったんじゃないの?」

「フザっけんなよ?ボスに第三ラウンドなんて求めていないんだが!?」

 

これには流石にレインコート(ヴェスト)もきれている様子で少々キャラ崩壊気味だ。

 

「これまで内部に溜まっていた熱が外に漏れ出そうとしているんです!このままじゃ亀裂から大爆発を...」

「なあーーーっ!?ここまできて何だよーーー!!」

「もう無理よっ!逃げましょう!」

「業腹だが我もそれに同感だ。流石にもうどうにもできん。」

「俺もそう思うぞ。今や首だけとなったがまだ死ねん。ウィズのパンツを見るまd「静かにしようか」ア、ハイ」

 

悪魔も女神もついでにデュラハンさえも匙を投げ出す惨状の中、たった一人、リッチーのウィズだけは諦めていなかった。

 

「だ、誰か魔力をっ!私に魔力を分けてください!爆裂魔法であの爆発を相殺します!」

「なっ!何言ってんだウィズ!お前が人前でドレインなんて使ったらリッチーだってことがバレて...」

「でも...他に方法が...」

 

確かに爆裂魔法ほどの破壊力を持つ魔法ならアレを爆発ごと消しとばすことも可能だろう。だがその魔力を補うためにドレインタッチなど使ったらウィズがリッチーだということがバレてしまうだろう。あのリッチーは正体を隠したがっているようだし街を守ったとしてもそこに店を再び構えることはできないだろう。本末転倒だ。

そもそもの話ここにいる者達が爆裂魔法などと言う超燃費の悪い魔法を使えるほどの魔力が残っているだろうか。ヴェストは先程の魔力を吸われたばかり。首だけのベルディアとカズマ少年はそもそも足りないだろう。アクアなど論外だ。彼女の魔力は本人が言うように余りにも神聖すぎる。リッチーにとっては毒以外の何者でもない。

だが、そのどうしようもない状況に鶴の一声をあげる者がいた。

 

「し、真打登場!」

 

めぐみんである。

魔力が欠乏しているのか足腰ががくがくと震えているが彼女はやる気である。

場は整った。

ドレインタッチは人の身でありながら修めていたカズマ少年が担当。魔力タンクはアクア。そしてめぐみんが「光と闇の魔力が合わさる時、真の爆裂が生まれるのです!」と言ったせいで渋々参加させられたヴェストである。おそらく紅魔の血がたぎったのだろう。

本人はエリス様を悲しませないためと割り切っているが「ここまでする必要あるか?」と少し疑問に思っている。

 

「ねえ吸いすぎないで!その悪魔のは吸ってもいいけど私のは吸いすぎないでよ!」

「おいカズマ少年、裏ボス戦がしたいなら好きにするがいい。」

「わかったわかりましたからそれは勘弁してくれ!」

 

カズマ少年は二人の背中に(おっかなびくりしながらも)手を当てドレインタッチを開始する。やはり何度やってもこの感覚は慣れないようでアクアなんかは「はうっ!?」などと言う声を漏らしている。

ちにみにヴェストもまた「みょ!?」やら「みゃ!?」やらと言った声を漏らしていたがあらかじめ防音結界を貼っておいたおかげで範囲外にいたアクアには聞こえなかったようだ。

余談だがカズマ少年は結界内にいたようで必死に笑いを堪えていたようだがヴェストがそれに気づくことはなかった。

 

「さあ早く!私にその混沌なる魔力を!」

「わかったわかったから急かすな!ほれ、ドレイン...いや違うな?リバースタッチ?」

「ヤバイです!アクアとその悪魔の魔力ヤバいですよ!これは過去最大の爆裂魔法が放てそうです!!」

 

小柄なめぐみんに膨大な規模の魔力が集まって行く。それと共にデストロイヤーの亡骸も限界に近づいて行くがそんなことは関係ない。これは間違いなくあのデストロイヤーを跡形もなく破壊し尽くすだろう。

もちろん我が友の亡骸も共に消滅することとなるが亡骸は亡骸。友ではない。

 

「....なあヴェスト。間違いなく成功する。これはわかる。だが...明らかにオーバーキルにならないか?」

「そう...だな。自分で渡しておいて何だがアレはまずい。非常に嫌な予感がする。今のうちに撤退しようか。」

 

過去にも類を見ない規模の爆裂魔法が魔法陣の時点で目が痛くなるほどの光力を放つ中、ヴェストとベルディアは静かに撤退を開始する。

その後は幸いになことにアクアやカズマ。その他の冒険者もめぐみんに注目していたおかげで難なく撤退することができたようだ。

 

「エクスプロージョン!!」

 

ちょうどヴェスト達が城壁内に到達したところでそんな叫びと共に鼓膜をつんざくような爆音が聞こえてきた。

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

結末はヴェストの予想通りデストロイヤーはめぐみんの爆裂魔法は跡形もなく粉微塵にされ消し飛ばされた。第四形態や裏ボス戦はなかったようだ。

ただ一つだけ失敗があったとすればその威力だろうか。デストロイヤーの巨体を消しとばしてなお有り余る破壊力はアクセル前方の平原に大きなクレーターを開け、爆風と吹き飛ばされた土や砂が冒険者達を襲った。

人的被害はなかったものの冒険者達が疲れた顔で砂まみれになりながら帰ってきた姿を見てヴェスト達はさっさと撤退してよかった、と素直に思ったそうだ。

機動兵器デストロイヤーとの決戦を飾るは冒険者達を襲う砂と土。何とも締まらない。

だがそんな彼らの様子はどこか晴れ晴れしていてヴェストが喰らうほどの負の感情が見つからないくらい楽しそうだった。

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