な...何いっているのかわからねーと思うが俺も(ry
色がついたからでしょうか。お気に入り、評価、コメントありがとうございます!!
ヴェストは気がついた。
冒険者になってさえいれば前回のデストロイヤー戦の時に無理やり割って入る必要はなかったのではないか?堂々と初めから叩き壊せたのではないか?ベルディアの尊い犠牲も防げたのではないか?
「別に俺死んでないからな!?死んでるけど!」
思いついたが吉日。
早速ヴェストはギルドに向かい冒険者登録の手続きを踏んでいた。ちなみに前回の黒歴史&ドレインタッチによるダブルパンチはしばらく時間が経っていたために完全回復している。
体が薄れていたりはしない。安心である。
「登録料は千エリスになります。」
大丈夫だ。どこかの転移者と違い資金なら山ほどある。
軍資金と言う名目で魔王から強奪、もとい下賜して頂いたからだが。ちなみにこの資金。軍資金としてちゃんとと使われたことはない。せいぜい変装用の服装とベルディア用の革袋を買ったくらいだ。
まあ、もとより少なかった魔王への忠誠心はその全てがエリス様へと向けられ命まで捧げる勢いであることを考えれば当然だが。
それにこの貨幣の名は「エリス」。
無駄に使う方がおかしいのだ。
100エリス貯めれば100人のエリス様。
1000エリスなら1000人のエリス様。
当然それ自体はただの貨幣なのだが彼にとってはそれ以上の価値がある。が、必要経費なら仕方がない。彼は大人しく1000エリス払った。
「はい確かに。ではステータスの確認を行うのでこの冒険者カードに触れてください。」
「わかりました。」
ヴェストは他の冒険者のように受付嬢の大きく開かれた山脈に目を奪われることもなく爽やかな笑顔でカードに触れた。
もちろんステータスは偽装してある。種族悪魔などと出たらタダでは済まないからだ。
能力値もそこら辺の冒険者を参考に調整してある。
「ええと...ミラーさんですね。筋力生命力魔力...運が特別低いことを除けばどれも中の上くらいですね。いきなり上級職にはなれませんが中級のものなら大体選べますよ。」
調整は案の定うまくいったようだ。
本音を言えばちょっと高めに設定して“俺、何かやっちゃいました?”なプレイがしたかったが彼もそこまで馬鹿ではない。
ただちょっとエリス様のことになると知能指数が低下するだけでむしろ良い方だ。
しかし大体か...ヴェストは迷った。自らの戦闘スタイルを何にするか。
基本的なことなら彼は何でもできる。魔法だって弓だって剣だって使える。ただちょっと考え方が脳筋なだけだ。
「じゃあ、剣士でお願いしますね。」
生き物は大抵叩き潰せば死ぬ。
そんな脳筋な考えで彼は剣士を選んだ。
そう、叩き“斬る”のではなく叩き”潰せば“だ。
繰り返そう。彼は脳筋だ。故に力任せな戦いを得意とする。だが彼の力は悪魔並み。並の人間の武器では壊れてしまう。そこで友人の科学者が用意したのがこの
それならハンマー等でよくないか?と思われるがそこは彼の好みだ。
そんな彼の脳筋な考えを知る由もなく受付嬢は良い笑顔を浮かべヴェストを見送った。
「それではこれからの健闘をお祈りしております。頑張ってください。」
今まで敵として蹴散らしてきた冒険者に今度は自分がなる。随分と面白い状況である。
ヴェストはマントをバサッと翻しギルドのドアを開ける。いざ、冒険へ!!
「いたっ!?」
とはいかなかった。
相手は随分と急いでいたのか扉を開けて外に出ようとしたヴェストに盛大に体当たりをかましてきた。そしてその相手というのは...
「!?エ、エリs「あーーーー!!ミラーじゃん久しぶりーーー!ちょっと外いこっかーー!!」」
◆ ◆ ◆ ◆
場面は変わって薄暗い路地裏。ヴェストとクリスが初めて会った場所と似たようなところだ。
「はぁ...で?何のつもり?」
「何のつもりとは?」
「何であなたが冒険者ギルドなんかにいるんですか!?」
そこでヴェストは逆壁ドンの形でクリスに問い詰められていた。
トゥンクッ。いやそれを通り越して彼の作り物の心臓は今にも爆発寸前である。
「冒険者になるためですが...」
「まさか魔王軍によるギルドの破壊工作のため!?」
「そんなまさか!私の忠誠、いえ信仰はもはやあなた様だけのもの!そんなあなた様が懇意にする冒険者のいるこの街をこの私が攻撃するはずがない!!」
「じゃあなんで」
「ちゃんとした身分があると色々便利かと。あと楽しそうでしたので。」
クリスは「はぁーーーー」と長いため息をつく。
何か気に触ることをしたのだろうか?ヴェストは首を傾げた。
「確かに君に限ってそんなことはないと思うけど...」
「信用していただけたのですか!?」
「違うよ諦めただけ。」
また彼女は盛大にため息をつく。いくら幸運の女神だからといってそんなにため息をつくと幸せが逃げてしまうのではないか?原因であるヴェストは思った。
「ところでそんな急いでどうしたのですか?」
「カズマって知ってるよね?」
「ああ、あの自称女神制御装置の...」
「そのことはよくわからないけど、とにかく彼が処刑されそうなの。」
「............はい?」
話を聞くにあのカズマ少年があの時ランダムテレポートを使用して転移させたコロナタイトが何でもここの領主の屋敷を吹き飛ばしたらしい。何とまあ運が悪いというか見事なフラグ回収技術というか...
そして彼にかけられた国家転覆罪を取り消させるべく裁判所へ急いでいたらしい。
「ふむ...私も彼を失うのは少々惜しいと感じる....よしエリス様。これを持っていってください。」
ヴェストがクリスに手渡したのは金属製のベル。つまりはただのベルである。
「これは?」
「少し音色に細工をした呼び鈴です。もしその裁判がよからぬ方向へ進みそうならば鳴らしてください。すぐにでも駆けつけそこら一帯を更地にしましょう!あ、もちろんエリス様個人で使っていただいても...」
「いりませんっ!!!!」
「ああ!?」
善意から渡された呼び鈴は無常にも地面に叩きつけられ破壊された。最後にチリーンと一声あげてそれは二度とその綺麗な音色をあげることはなかった。
◆ ◆ ◆ ◆
次にヴェストが向かったのは鍛冶屋だ。
気づいてしまった。
冒険者をやるにしても得物がなければ溝さらいくらいしかやることがないのだと。
自前の山刀は悪魔レインコートの得物として見られてしまっている。エリス様から頂いた(借りパクの間違いである)短刀は論外だ。アレは家宝とする。
つまりは新しい得物を手に入れなければならない。
「おう、何にするんだ?」
そこに置いてある武器は一般的な長剣に弓に槍、果てにはモーニングスターまで種類は多岐に渡る。
薙刀や戟などの長物も好んで使ったことはあるがやはり相棒の山刀のような剣状でなおかつ丈夫なものがいい。下手に振り回して壊れましたでは話にならない。
「ん?店主、あれは?」
「ああこれかい?作ってみたはいいが重すぎてなぁ。ろくに持てないってんで倉庫の肥やしになってるんだよ。」
そこにあったのは剣というにはあまりにも大きすぎt(以下略)
簡単に言えばそれは鉄塊だった。いや、見方によっては墓標にも見える。
見た目からしていかにも丈夫そうで高威力の叩き出せそうな武器だ。
切れ味は悪そうだがそんなことは関係ない。重量も彼の前には関係ない。
「店主、アレにしよう。いくらだい?」
「嬢ちゃん本気かい!?せめて一回持ってみた方が...」
「問題ないよ。あと僕は嬢ちゃんじゃない。どちらかと言うと男だ。」
「どちらかと言えば?まあいいか。持てるってならいいが...値段は3000エリスだ。誰にも買われなかったからな。安くしとくよ。」
アレほどの鉄塊ならフルプレートぐらい作れそうな物だが安くしてくれる分にはありがたい。ヴェストは素直に3000エリスを支払った。少し手が震えていたようだが問題ない。
「ほんとに持ちやがった...」
これで得物は手に入った。さあ、初仕事と行こうじゃないか。