正直ここまで評価していただけるとは思わなかったのでとても驚いています。そしてしっかりと事前に設定を考えず勢いだけで書き出したことを後悔しています。
見切り発車はいけない(戒め)
あ、コメント、評価、お気に入り、誤字報告ありがとうございます。
カエルは可愛いが集まると怖い。でかいとなお怖い。
ヴェストたちは冬が近づき人の子なら少々肌寒く感じるであろうアクセル付近の平原に来ていた。ベルディアを少し盛り上がった丘の上に荷物とともに置き獲物を構える。
「えーと...今回の依頼はジャイアントトード五体の討伐?あのでかいカエルか。」
「そうそう。ちょうど受付のお嬢さんに紹介されてね。初心者におすすめのクエストだというしさっさと終わらそう。」
そういうとヴェストは地面に大剣を突き刺し小規模の地震を起こす。地味に凄い技術だがこれをカエルを呼び寄せるだけに使ったやつは世界広しといえどいないだろう。
狙い通りゲコゲコと2m以上の巨体が地面の中から這い出てきた。
「さーてチャチャっと終わらせましょうか」
ヴェストはベルディアを置いた丘の上から切先をカエルに構え、大地を蹴った。
まるでジェット噴射のように飛び足した彼は地面スレスレを滑るように飛び一瞬のうちにカエルに接近する。
「あ、ヴェスト知ってると思うがジャイアントトードに打撃はあまり効果がないぞ?」
ベルディアが何か言っていたようだがもはや風と化したヴェストには届かない。
ヴェストはカエルとの約数十メートルという距離を一瞬で縮め、その墓標の四角い切先をカエルへと突き刺そうとする。
これぞ必殺の一撃。くらったものは死ぬ!
「くらえ必殺デビルブレーーーード!!!」
ぽよん。
「へ?」
ぷるぷる。
「えーと.....え?」
ヴェストの必殺の一撃は見事カエルへとヒットした。
その結果、カエルの実に柔らかそうなお腹がぷるんっ、と震えた。
繰り返す。ぷるんと震えた。
それだけである。
「......」
「......」
「.................カエルってよく見ると可愛いと思うな。」
「ムシャリ」
「ヴェストぉぉぉぉぉぉぉ!?」
奇しくもどこぞの駄女神と同じことを口走った挙句ぺろりと戴かれた悪魔ヴェスト。
だが残念ながらこちらのパーティには餌はあるが処理係はいない。
そう、こうなった以上。ベルディアの結末はいうまでもないだろう。
「やめろ!くるな!俺のそばに近寄るなァァァァァァ!!!」
ぺろりといただかれた。
◆ ◆ ◆ ◆
カエルの唾液まみれでベトベトな様子で同じように粘液が滴る首ひとつ入りそうな革袋を下げた人物が大通りを歩く。
そう、ヴェストである。
周りからは「ああ、また新人が犠牲となったのか。」と、憐れみの視線を向けられていた。
ヴェストは考える。今回の敗因は何だったのか。いや負けてはいないのだが、剣士という職業で冒険者をすると決めたというのに魔法を使ってカエルを内側から貫き殺したのだ。これでは勝利とは言えないだろう。
原因の一つとして上がるのはやはり武器だろう。
ヴェストの大剣は頑丈さや重量に特化した代物だ。主に叩き潰すことを目的として作られている。故に切れ味は皆無。
これでは打撃に耐性を持つジャイアントトードに対してあまりにも不利だ。
いや、それにしてもあの打撃耐性はおかしいと思うが。おかしいと思うが!!
「はぁ...カエルなんかに食われるのはこれが初めてだ...せめて体があれば...てかあの時絶対体が浄化される前に来れたよな?」
「うん。こっちの方が面白いと思ったからゆっくりお前の醜態を観戦させてもらったんだ。」
「てっめ!死ね!この悪魔め!『死の宣告』『死の宣告』『死の宣告』っ!!」
「悪魔ですが何か?ちょっ!やめろ!いくら弱体化して効かないからって鬱陶しいんだよ!!」
さて、どうしようか。
ジャイアントトードには打撃攻撃は効きにくい。だがヴェストには引くという選択肢は残されていなかった。あのような屈辱的なことをされたのだ。許せるはずがないだろう?許せるはずがない。
ヴェストは激怒した。必ずやかの邪智暴虐なるカエルを取り除かねばならないと。
「さあ、リベンジだ。待っていろカエルどもめ。」
「まて!また行くのか!?武器は!?」
「今回はたまたま肉質の厚い腹に当てたからダメだったんだ。頭を狙えば問題ない!」
「やめろ!俺はもうよだれまみれになりたくない!!」
この日を境にアクセルの街に毎日のように涎まみれになって帰ってくるがクエストは必ず達成する謎の冒険者が現れたそうな。
ちなみにその毎回涎まみれになっている性別の分かりづらい中性的な風貌が一部の冒険者から妙な人気を集めていることを本人は知らない。
◆ ◆ ◆ ◆
女神エリスは悩んでいた。それはもう頭を抱えるほどに。
悩みの種は二つ。
ひとつは言わずもがな彼女の先輩である女神アクアの無茶振りである。彼女のわがままによって行われたサトウカズマの二度目の蘇生。それが彼女に多くの仕事を与えた。
そして二つめが最近になって封印から目覚めた悪魔ヴェストである。
生前世界を危機に陥れた大悪魔でも残機を全て削り切られ肉体をも滅ぼされ仮初の体にしがみつき、それによって記憶も失い、とどめとばかりに封印による弱体化によって難なく浄化可能な存在....だったはずだった。
残機が全て削り取られたはずの彼の心臓への刺突は致命傷になり得ず、逆に彼には存在しなかったはずの感情のかけらを与えてしまった。
その後彼が見せた言動から思わず逃げてしまい、まずいと気づいたがもう遅かった。
次に出会った時、彼の力は目に見えるほど回復しており自分一人じゃ対処できなくなっていた。しかも街の人々を人質に取られていたとは言え自分が女神ということを明かしてしまった。
この時点でもうかなりやばいのだが、最も彼女を困らせたのは奴が彼女に“恋”という感情を抱いてしまったことだ。
別にそれ自体は問題ない。ないのだが彼女の同僚である神や上司に当たる上位の神々からかけられた言葉が問題であった。
ー悪魔にもやっとエリスちゃんの魅力がわかるものが現れたか。
ー悪魔に恋されるとか、草生える。
ーよくやった女神エリス。じゃ、そいつのことよろしく。
ーそんなことよりおうどん食べたい。
要するに丸投げである。
面倒ごとには誰もが関わりたくないものなのだ。
まるで他人事のようだ。いや、実際他人事なのだが。
本当に勘弁してほしい。
好きになってくれるのは嬉しい。
それが悪魔じゃないならという前提条件があるが。
そもそも「困ったら呼んでね♪更地にするから♪」なんていう奴はたとえ人間だとしても神だとしてもお断りだが。
というかなぜ他の神々はそんなにも呑気なのだろうか。悪魔が復活したのだ。しかも過去の資料によれば生前人間と魔王軍の両方を己の食欲のために滅ぼしかけ同族をも手にかける悪魔の中の悪魔。そして魂だけになった後も仮初の肉体に乗り移り国一つ滅ぼしかけた脅威。それをなぜ放っておくのか。
その答えは思ったよりも早くわかった。
サトウカズマの死刑騒動が落ち着いた頃。悪魔ヴェストの様子を見ようと地上に降り立った時にまず目に入ったのは大きなカエル。
そしてその口元からはみ出た一組の足。そしてその周りを他のカエルに追われながらも悲鳴を上げながら転げ回るヴェストが連れていたと思われるアンデットの首。
なるほどこれでは脅威と思う方が無茶かもしれない。
「はぁ..........あ」
もう遅い。彼女は声をあげてしまったのだから。
「エリス様ァァァァァァ!!!!」
カエルが爆散した。
四肢が吹き飛びモツが飛び散り地肉が飛散する。グロい。グロすぎる。
「エリス様お声をお聞きし悪魔ヴェスト華麗に登場!!
「いやァァァァァァ!!!」
女神エリスは逃亡した。
記念すべき三度めの逃亡である。
全くめでたくない。
ちょっとしたヴェストくんの設定まとめ
作者も混乱してきたのでまとめます。
もしかしたら後で付け加えるかも。
悪魔ヴェスト(虚像の悪魔)
年齢不明
性別不明(男より)
悪魔特有の能力:幻覚系(なお戦闘スタイルが脳筋のため嫌がらせ以外に使われたことはない。)
得物:山刀(マチェットって響きいいよね)
一人称:僕、私、我
経歴
人間、悪魔、魔族の食べ放題パーティ→お題はあなたの命で→記憶&肉体消失→某科学者の作った美少女ロボにTS(?)転生→ノイズ魔道大国首都半壊→封印→復活&恋の始まり→今ここ
なかなかやばくて波瀾万丈な経歴を持つヴェスト君だがそれが生かされることはないだろう。
だってこれシリアスじゃなくてギャグ小説だもの。