この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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ここから先の話ではなかなかエリス様を登場させられずただヴェストがエリス様への愛を語るだけになりそうな予感...
原作でもこの辺りの話でエリス様出なかったと思いますし...
この素晴らしいエリス様orクリスにもっと出番をッ!!

今回は少し多めだと思います。


いざゆかん!美しき水と温泉の都アルカンレティアへ!

ヴェストが新たな同志を得たあの騒動から少し経った頃。彼はカズマ少年達が買ったという屋敷に来ていた。

目的はもちろんエリス様人形。流石にこの短期間で新作を作れるとは思っていないが協力できることがあるならしようと思ってきたのだ。

それに一応仲間という関係上あれから一度もギルドに姿を表さないのは流石に心配する。

せっかく得た同士に何かあったら大変だ。

 

そんなことを考えながら屋敷に入ってゆく。

あのクソ女神が貼ったのか意外と強い結界があるが壊すと悪魔だとバレてしまうため、壊さないよう自らの体力を削りながら入って行く。自らを守る障壁は貼ってあるがなかなか痛い。

ベルディアは耐えられないためお留守番である。

もちろんドアノッカーは叩いたが反応がなかったのでズカズカと進む。気配はあるためいるはずだ。

 

奥に進むにつれ話し声が聞こえてきた。

口論でもしているのだろうか?

しかしそんなことは関係ない。

 

「突撃隣の晩御飯ッ!ミラー様の登場だー!」

「まだ昼だし隣でもないだろ!?」

 

何という反応速度!扉を蹴り開けると共に放たれたボケにこうも早く反応するとは。某二刀流の黒い人でも真似できまい。

反応というよりはもう反射に近いのだろうか。おそらく普段からおかしな奴らと暮らしているからそうなってしまったのだろう。かわいそうに。

 

「いいところに来てくれましたミラー!もうこのパーティはダメになってしまったようです。」

「僕はあの素晴らしく尊いエリス様人形があるならそれでいい。」

「この人もダメな部類でした!」

 

何と失礼な。エリス様を崇め奉ることの何が悪いのか。

そうヴェストは目で抗議するも彼は忘れている。

何事にも限度があるということを。

めぐみんはあの場でヴェストの信仰の一端を見ていたためそれを無視した。

 

「と言ってもな、俺はあの時首がぽっきり逝ったんだ。せめてこの古傷が癒えるまでは安静にさせてくれよ。あ、ミラー新作はまだだぞ?」

「なん.........だ....と.....」

 

絶望のあまり膝から崩れ落ちたヴェストをアクアがプークスクスと笑う中、めぐみんに“ぴーん”と天啓が舞い降りた。

 

「...わかりました。ならカズマの傷を癒しに行きましょう」

 

めぐみんはゆらりと立ち上がりカズマを見据えた。何かいいアイデアが思いついたのだろうか。だがヴェストにはその目に何か怪しい光が灯っているようにも見えた。

 

「湯治ですっ!湯治に行きましょう!水と温泉の都アルカンレティアへ!!」

 

なるほど湯治か。

確かに温泉は傷ついた身と心によく効くという。悪魔でありほぼ心だけの状態に近いヴェストにはよくわからないが。そもそも温泉に入ったことがない。

そのめぐみんの意見にカズマ少年達は乗り気のようで特にアクアなんかはカズマ少年の胸ぐらを掴んで揺さぶる始末。首が折れていたのではないのか。

しかしアルカンレティア....どこかで聞いたことがある名だがどうも思い出せない。ヴェストは首をひねりながらもカズマ少年に一緒に行こうぜと誘われてついて行くことに決めた。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

「へい!いらっしゃ...おや、小僧にヴェストではないか。今はレインコートだったか?」

「先輩!?あ、いや、ミラーでお願いします。」

 

カズマ少年が用事があると言って抜け出したのについて行ってみたところ、そこにいたのは先輩悪魔のバニル。この街に住んでいるとは聞いていたがまさかこんなにも堂々と店を構えているとは思わなかった。

ヴェストは驚いた。

さすが先輩だ。僕が宿暮らしでカエルとの毎日を過ごしている中、一国一城の主となっているとは。

しかしこの床に転がっている見覚えのあるリッチーは何だろうか。名前は確か....

 

「何だそんなことか。構わんぞ。ゆっくり羽を伸ばすなり混浴を期待するなりしてくるが良い。」

「きき期待してねーーーし!?」

「それとミラー、それはうちの店主である。あまりツンツンするでない。」

「ウィズ!?」

 

どうやら黒焦げた...そう、ウィズをツンツンしている間に彼らの話は終わったらしい。

しかしここの店長はウィズだったのか。

だが話を聞くに彼女が赤字を出し続けるあまり先輩がお仕置きとして例の光線を放ったらしい。

店主を尻に引くとは、さすが先輩だ。

ヴェストは満足げに頷き、そしてあるものを手に取った。

いったいこれは何だろうか。

見たところ瓢箪のようにも見えるが鑑定によればトイレと出る。しかし発生する音がかなり大きく設定されており、さらには水を生成する機構が強めに作られているようだ。

とてもじゃないが本来の使用方法では悲惨な目に遭うだろう。だが工夫をすれば囮にも水責めにも使えそうだ。買わないが。

 

それはそうとヴェストが商品とは名ばかりのガラクタを鑑定し回っていた間にまたしても彼らの話は終わっていた。

どうやらウィズも連れて行くこととなったらしい。ところでカズマ少年が少し興奮気味なのは何故だろう。先輩が先ほど言っていた通り混浴を期待してだろうか?

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「あ、きた。」

「ま...待たせたな」

 

カズマ少年がえっちらおっちらウィズを背負いながらやっとのことでアクア達と合流した。あまりにも辛そうだったので「変わろうか?」とヴェストが聞くも彼は断固としてそれを譲らなかった。なんでも「素晴らしいものが背中に....なんでもない。」だそうだ。

ちなみにヴェストはその途中でベルディアを宿から回収してきた。動けなくて暇なのか未だに寝ていたようで袋の中でぐっすりである。今度デストロイヤーのような足でもつけてみようか。頭に直結するように。

そして案の定ウィズを連れてきたことによってアクアと少々揉めていた。

ウィズがアンデットだからということもあるがヴェストが入ったせいでただでさえ一人席が足りなかったのにまた追加されたせいでもう一人足りなくなったらしい。

“ならば僕がウィズを背負って走ってゆこう“とヴェストが提案するもふざけてんのかと却下された。ヴェストはおかしいな、人間でもそのくらいできそうだが、と思ったが一部の例外を除いてそんなことはない。

身体能力系のチート転生者が過去にいたがあれはもはや人間とは呼べなかった。友人の博士ですら「何あれ」と驚いていたのを彼は覚えていなかったようだ。

 

「ここは公平にジャンケンで行こう。」

 

ほう、ジャンケンときたか。

ヴェストは手をパキパキっと鳴らしジャンケンの構え(?)をとる。

 

「自信があるみたいだな?」

「ああ、自慢じゃないけど僕....生まれてこの方ジャンケンで”勝った“こと...ないんだぜ...」

「じゃあなんで自信満々なんですか...」

 

なぜだろう。

彼は極端に運が悪いのか記憶にある限りジャンケンに勝ったことがなかった。ステータス上で運はそこまで低くなかったはずなのだが。

やはりエリス様に嫌われているのだろうか。

だとしても僕は諦めないが。

ヴェストは決意を固めた。

 

「それじゃ行くぞ、じゃーんけーん」

 

「「「「「「ポン」」」」」」

 

チョキが一人にパーが五人。

もちろんヴェストはパーでカズマ少年がチョキである。いきなり一抜けとは随分運がいい。その運を少しでもいいから分けてほしい。

 

「よっしゃ!一抜けだ!」

「ちょ...ちょっと待ちなさいよ!」

 

何とここで”意義ありっ!“とばかりに声を張り上げるものがいた。我らが駄女神アクアだ。何とまあ往生際の悪い。ヴェストは冷めた目で彼女を見つめていた。

 

「なら俺とサシで勝負するか?」

「え?マジですか....ねえ?確率の計算って知ってる?カズマが3回連続で勝つとかすごく無茶振りなんですけど!」

 

 

「ーーー俺....ジャンケンで負けたことねーから」

 

 

 

 

 

3回勝負で一度でもアクアが勝てたら席を譲るという勝負。非常にカズマ少年が不利なルールだが....

アクアが負けた。

悔しいがアクアのズルしたでしょ!という叫びには同意できる。見ていたがズルした素振りは見られなかった。が、あれはおかしいだろう。3回連続って、どんな確率だ?1/27?おかしいだろう。

 

「お願い!もう一回!もう一回だけだから!」

「本当だな?次負けたら荷台行きだからな!」

 

結論から言おう。

アクアは負けた。で、泣いた。以上ッ!!

本当にあの運の良さは何なのだろうか。

なんですか?エリス様贔屓しちゃってます?羨ましい!

だがそんなヴェストの驚きとも嫉妬とも取れる感情はアクアのあまりにも無様すぎる醜態を見て吹き飛んだ。

ブレッシングまで使って負けるとか...

「はっ」

「あー!あんた笑ったわね!許さな...あー!ほおをひっぱらないれっ!」

 

駄女神の負の感情はなかなか美味だったとか。

あと普通にヴェストはジャンケンに負けた。アクアと同じお荷物扱いである。

解せない。

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