この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

20 / 50
コメントや評価ってもらうと顔を変えたアンパンマン並みに元気出ますね。ありがとうございます!
...ですのでもっとコメントを....ああ!痛い痛い!やめて!ごめんなさい調子乗りました!低評価で叩かないで!

コメントお気に入り登録評価誤字報告等本当ありがとうございます。

追記
何故かこの話を2話投稿してしまっていたので修正しました。
いつのまにかこの小説も20話までいったんですね。


悪夢の石鹸洗剤、溢れ出る入信書

「開けろ!アクセル市警だ!!」

 

異界から流れ着いた『一度は言ってみたいセリフ』と書かれた本の第3位にランクインしていたセリフを叫びながら風呂場の扉(横開き)を蹴破ったのは...そう、虚像の悪魔ヴェストである。

ちなみに2位は「知らない天井だ...」1位は「だが断るッ!!」だ。

なぜこんな順位になったのか。どう言った基準でつけられたのかは誰もわからない。

 

「ヴェスト!?」

「知ってるのか!?」

 

驚きからか半ば戦闘態勢に入りかけている2人の元に蹴破ったドアを立て直してから近づいていく。

そこにいたのは筋肉隆々の大男と赤毛の神聖な雰囲気を醸し出す女性、ウォルバクだった。

二人ともちゃんと律儀に待っていてくれているのがありがたい。

 

「やあやあ邪神ちゃんに...君は誰だい?筋肉くん?」

「誰が筋肉だ!てかそういうもんはまず自分からすべきじゃないのか?」

「ああ、そうだったね。僕はヴェスト。ウォルバクは知っていると思うけど元魔王軍幹部にして虚像の悪魔!よろしくね。」

 

大男は怪訝そうにヴェストを見て、その後確認のためかウォルバクを見た。

ウォルバクは彼の“元”という言葉に疑問を抱きながらも頷く。おそらくヴェストからの結界維持が消えたという情報が伝わっていなかったのだろう。

 

「....ハンス。魔王軍幹部デットリーポイズンスライムのハンスだ。」

「へえ!スライム、しかも変異種か。面白い。」

 

スライム。

転生者たちにはなぜか雑魚敵と思われがちだが物理攻撃はほとんど効果をなさず魔法にも強い耐性を持つなかなか厄介なモンスター。

呼吸をせずそもそも体が自らの魔力で構成されているヴェストにはめんどくさい半獣程度の存在だったが人間にとっては消化液で溶かされ口を塞がれ窒息死させられるモンスター。しかも変異種で魔王軍幹部と来た。害獣程度の存在では済ませられない。

そんなやばい存在だとヴェストは目の前の筋肉manを認識した。

 

「名前からして即死級の毒を持つタイプ、そして街で聞き集めた温泉の水質悪化から考えるに...君ここの温泉からアルカンレティアを潰す気かい?」

「...ああ、そうだが、よくわかったな。」

 

この街の狂人どもに気付かれぬよう奴らが入る温泉に毒を入れ徐々に徐々に街を主ばんでゆく。さらにはこの街の財源を潰すことによってもダメージを与えられる。なかなかいいセンスだ。

 

「ねえ、ヴェスト?あなたさっき元魔王軍幹部って言ってたけど...」

「ん?ああ、僕はもう幹部じゃないよ。裏切ったからね。」

「なっ!?」

「おっと、落ち着きなよ。裏切ったって言ったって君たちと敵対するわけじゃないからさ?」

 

何故かいきなり殺気だって立とうとした二人をどうどうと落ち着かせる。

まあいきなり裏切ったなんて言ったらこういう反応を返されるのは普通だろう。

 

「...なんで裏切ったのかしら?」

「うん、そうだね。話せば36時間くらい必要になるんだけど...」

「手短に話してもらってもいい?」

「おっと辛辣。いいけどさ。君のお望み通り話すと......恋を、知ったんだ。」

 

「へ?」と二人から気の抜けたような声が聞こえてきた。

だがそれももうヴェストには届かない。

彼の脳内は重い他人のことでいっぱいだ。それ以外のことに割くリソースなどあるはずがなかった。

 

「あの方のためだったら僕はなんだってできる。してみせる。彼女が殺せというなら殺そう。彼女が生かせと言うなら生かそう。彼女が滅ぼせと言うなら跡形も残らず消し去ろう。彼女の障害となるものは存在すらも否定してみせよう。彼女のためなら僕はなんだってしよう!」

 

彼らはヴェストのその瞳に確かに狂気と粘りつくような熱を感じ取った。

狂っている。愛というのは人を狂わせるというがここまでとは。

ハンスは折角外の狂人どもから逃げてきたのにまた狂人か、と気が狂いそうだった。

 

「ま、今は彼女がいないから僕は僕の楽しみを堪能するつもりだけどね。」

 

彼らの警戒を説くためかはたまた素でやっているのか『キュピーン』と擬音がなりそうなポーズをしながら明るくそう言った。

だが彼は気付かない。それが彼らの警戒心に追い討ちをかけていることに。

それはおいておいて、ハンスが先程からこの温泉に微に鳴っていた違和感に気づいたようだ。

 

「なあ、なんかかあらい鼻息が聞こえる気がするんだが...」

「おや、解除していなかったか。ほい」

「ウォルぅバクゥぅぅ!」

「ひっ!?」

「落ち着こうか。」

「まっ...ゴボゴボゴボゴボ」

 

ヴェストの軽い掛け声から現れたのは風呂場にもかかわらず黒光りする甲冑を身につけた生首。ベルディアだった。

が、登場するのも一瞬。次の瞬間にはそれは水中に消えていった。

哀れベルディア。日に日に扱いが雑になって行く彼だがその変態さゆえに同情はできない。

役に立つ時(主にヴェストが暴走しそうになった時のストッパー)は役に立つのだがそれ以外だとなぜかこうなってしまう。

 

「とまあ、こいつのことは置いておいて、混ぜてくれないか?君たちの作戦とやらに。そんな楽しそうなことほっておけないじゃないか。」

「お前魔王軍幹部辞めたんじゃないのか?」

「ああ、でもそれは関係ない。僕は僕のやりたいことをする。悪魔は自由なのさ。」

 

そんなことを言っているがただ単にこの街に仕返しをしたいだけである。

この邪教徒どもならエリス様もそこまで悲しまないのではないか?だがあの方は優しすぎる節があるから念のため彼らに便乗した形にしよう。そんな考えからそう提案したのだった。

 

「いや遠慮しておく。そもそも俺はお前のことを完全に信用できたわけじゃない。」

「そうかい? 君は石鹸洗剤に恨みを持つ同志だと思ったのだけど...」

「その点だけは同意してやる。」

 

パシッと手をかわす二人。やはり石鹸洗剤は悪だ。悪い文明だ。なんなんだ食用石鹸って。たとえ食べれたとしても食べたくない。

 

「ウォルバク、君も僕のことを信用してくれないのかい?」

「無理ね。忘れてるかもしれないけど私は元々神だったのよ?悪魔であるあなたを信用なんてできない。」

「そーいえばそうだったね...おや?」

 

そんな話をしているとヴェストは扉の方から聞こえてきた音に反応し振り返った。

誰か来たのだろうか?まさか今の話を聞かれていた?

やがて勢いよく開かれた扉から出てきたのは...

 

「...」

 

カズマ少年だった。

 

(おい...今の聞かれたかと思うか?)

(わからないわ...でもこっちをジッと見ているわよ)

(いや、あれは違うね。好奇の視線だ。童貞臭がぷんぷんするね)

 

今一瞬カズマ少年がピクッと震えた。童貞と言われたことが傷ついたのか美人であるウォルバクに見つめられて緊張したのか。

多分前者だ。彼はなかなか耳がいい。というか五感全般が優れていると言っていいだろう。鈍感系主人公にはなれそうにないな。

 

「...先に上がる。お前はゆっくり入っているといい。」

「おー元気でねー」

「貴方は残るのね...」

 

ハンスが引き戸をピシャリと占める音が鳴り響きその場に静寂が訪れる。

カズマ少年は一緒に入っている一応晒しを巻き見た目だけは少女なヴェストには見向きもせずただただウォルバクを、というかウォルバクのある一点を見つめている。

やはり人間の男は大きい方がいいのだろうか?ヴェスト的には小さい方が好みだったが。

ウォルバクが困っているのかチラチラとこっちを見てくるがニヤニヤと揶揄うような笑みを返すとため息をつきカズマ少年に話しかけた。

 

「あなた...この街の住人じゃなさそうね?ここには旅行に来たのかしら?」

 

しばらくカズマ少年とウォルバクは世間話のようなものをしていたがその間カズマ少年の視線はある一点に固定されたまま。

たまに助けを求めるような視線を感じるもヴェストはそれを無視し、彼女の羞恥心の味を楽しんでいた。やはり元とはいえ神聖なる存在から感じる負の感情は美味である。

 




私は小さい方が好きです。(誰得情報)
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