この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

23 / 50
久しぶりに投稿したと思ったら5人くらいお気に入り登録解除されてショボーンとしながら学校に行って帰ってきたら何故か72人くらい登録が増えていました。しかも皆さんめっちゃ読んでくれてました。
嬉しいんです。とても嬉しいんですが...

なんでいきなりこんな増えたんですか!?
やすみでもないのに....え、怖い(失礼)

お気に入り登録、評価、誤字報告いつもありがとうございます!

追記
日間ランキングで36位にランクインしてました!
え、すごいことですよね、これ。多分。知りませんが。
でもすごくなくともランクインしたのはこれが初めてだと思うのでとても嬉しいです!!ありがとうございます!!


突撃ッ!隣の朝ごはん!!(もうすぐ昼食)

さんさんと光り輝く太陽の光。

そして宿屋から一歩出た瞬間になすりつけられた石鹸洗剤が憂鬱な気分で歩く彼らの体を包んでいた。

朝っぱらからこのような悲劇に出会ったヴェストは後にこう語ったと言う。

“安置から一歩出た先がモンスターハウスだった時を思い出した。”

微妙にわかりづらい例えである。

同じく非常にどんよりとしたベルディアも体を手に入れてしまったおかげでこのような天災に襲われてしまっていた。

これも体を手に入れた代償だと言うのか。

ちなみにボディはガン◯ムではなくちゃんとした人型である。

 

「なぁ...ベルさんや....石鹸って食べ物だっけ?」

「違う.....はずだ....たぶん。」

 

衣服の中では収まり切らず口にまで“食べれる石鹸だから!!”という理不尽な理由で突っ込まれたおかげで彼らの口内は上手くもなく不味くもない非常に微妙な味覚に包まれていた。これもまた彼らの気分をどん底に陥れる原因となっているのだろう。

というか石鹸って食べ物じゃなくてものを洗ってきれいにするものだったような気がするのだが気のせい....いやいやいやいや。そんなわけあるか。石鹸はものを洗うものであって食べ物ではない!

やばい。徐々に浄化に自分たちの感覚がアルカンレティアに汚染されていっている。

まさかアクシズ教徒は悪魔までも洗脳するような強力な精神魔法が使えるんじゃないだろうか。一週間でもここに滞在したら完全に揉まれてしまうのではない。

ヴェストは危機感を覚え身を震わせた。

 

「ソンナネェンダヨォ....オレニハアラウモンガソンナネェンダヨォ...」

「ん....?」

 

ふと川の方から耳に届く呪詛のような微かな声。

 

「ッ石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤.....」

 

そこには石鹸洗剤への確かな怒りと憎しみを感じ取れた。

 

「石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤.....」

 

それはまさしく怒りに肩を振るわせる同志の姿だった。

 

「ノメルカァァァァァァァァァァ!!!」

 

魔王軍幹部が石鹸洗剤にあそこまで追い込まれるとは....恐ろしやアルカンレティア。

というか飲める石鹸洗剤ってなんだ?

石鹸は食べ物ではない。

ないはずなのだ。

石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤石鹸洗剤......はっ!?

危ない....呑まれるところだった。

 

「キレイニナッチマウワァ....」

 

二人は静かに黙祷を捧げ、そして....

 

「「ぅおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

石鹸洗剤を力一杯投げ入れた。

環境問題なぞ知ったこっちゃない。

敵対する予定の彼だが、今だけは同情を送ることにした。

 

あーめん

 

 

ちなみにその帰りにアクアがメガホンを持って馬鹿らしい演説をしていたので他人のふりをして宿へ逃げ帰った。

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「おっはよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

 

ドアを蹴破る音とともに鳴り響くヴェストの大声。

次の日、ヴェストは昨日の夜魔法の応用で盗聴もどきのことをすることで今日カズマたちがこの街の異変解決に動き出すと言うことで早朝、ではなくそこから少し経った昼頃にカズマたちの宿へと襲撃をかけていた。

朝はエリス様への祈りで忙しいのだ。別に朝に弱いとかではない。

ちなみにベルディアは体が馴染んでいないためお留守番である。

 

「な、なんだよヴェスト。まさかお前邪m」

「そのまさか!君達に協力しに来たのさ!まあパーティなんだから当然...え?カズマ少年?僕が邪魔しに来ただって?いくらなんでも酷くないかい?」

「そうですよカズマ。仲間なんですからそんなことを言うのは流石にひどすぎます。」

「いや、ちが...ああもう、うるせー!!」

 

突然のことに対応できていないのか混乱しているのか声を張り上げ髪を掻きむしるカズマ少年。そんなことををしていたら禿げてしまうぞ?

するとカズマ少年はヴェストの耳元に近づいて小声で話し始めた。

 

(なんのつもりだ?お前確かあの時パーティがどうやらって...)

(んー?そんなこっと言ったかな?)

(てめっ!誤魔化す気か?)

(冗談冗談、エリス様からの天啓があったのさ。)

(天啓?)

(そう、ここアルカンレティアを魔の手から守りなさいってね。)

 

怪訝な顔をしながらも離れていくカズマ少年。

一応嘘は言っていないのだがちゃんと納得してくれたのだろうか。

 

「はぁ、わかった。でもまだ信用はしねーからな!!」

「カズマはツンデレですねぇ」

「ちげーよ!?」

 

なるほどカズマ少年はツンデレ。

ヴェスト理解した。

 

「それで?今は一体どう言った状態なんだい?」

「源泉に原因があるのではと目星をつけたところだな。」

「それでカズマ少年が行きたくないと駄々をこねていたと。」

「そう言うことだ。」

「俺の扱い酷くない!?」

 

そして彼の扱いはこのくらいでちょうどいいと。

ヴェスト学んだ。

 

「ねえなんかミラーが学んでほしくないこと学んでる気がするんだけど!?」

「みんな!それぞれ準備万端でいくわよ!!」

「無視!?」

 

こうして我々アクアと愉快な仲間たちは未開の大地(源泉)へと旅立った。

出てくるのは蛇か、鬼か。それとも猛毒を持つスライムか。

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

「つ、つかれた....」

 

道中アクアがまたもや醜態を晒し、

仕事熱心な門番にダスティネス家の威光を示し、

何者かがやったのかドロドロに溶けた初心者殺しを見つけたりなど色濃い旅の末、(主にカズマ少年が)ヘトヘトになりながら源泉付近に辿り着くことができた。

きっとこの先にあるのは透き通った美しい源泉に花をつくような硫黄の匂い。

だがそこにあったのは美しい透き通った源泉ではなく...

 

「って!コレッて!」

 

コポコポと音を立てて時折謎の気体を吹き出すドロドロとしたドス黒い液体。

一目で毒とわかるヤバさ。

魔力体であるヴェストは入浴したって大丈夫だろうがカズマたちが入ったのなら骨のかけらすら残らないほどドロドロに溶かし尽くされることだろう。おそろしい。

 

「毒なんですけど!!これ思いっきり毒なんですけど!!わああああ!熱ーーい!火傷!火傷するー!!」

「バカ!源泉に手を突っ込む奴がいるか!!」

「だって!熱い熱ーい!」

 

女神であるアクアが触れても一瞬で解毒されないことからそれは尋常じゃない危険性を持った毒素だとわかる。

というかアクアの浄化に耐える毒もすごいが源泉に手を突っ込んで無事なアクアも相当だ。

ウィズ(+カズマ)にフリーズをかけてもらっていたが普通ならそれでも無事では済まないだろう。

 

「ふぅ...」

 

しばらくしたら毒は完全に抜けきった。

パイプなどは浄化しきれていないようだが十分な働きだろう。

そんなときヴェストの視界の端に一つの人影が映る。

 

「あれは....」

「!カズマあそこ」

 

どうやらめぐみんも気づいたようで彼らはその人物の元へかけていく。

そんな中ヴェストもまた、ゆっくりとその後をつけていった。

 

「....天罰を」

 

そんな彼らがヴェストのその小さな呟きと弧を描いた口元に気づくことはない。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。