最後まで見てくれる人がいるか分かりませんが多分失踪はしないんで.....たぶん.....
い、言い訳をさせてくださいっ!!
学業やらコロナじゃなくて普通の風邪にかかったり忙しかったんです!
.....本当は指揮官兼ドクターやコールでビューティーなFPSしてたなんて言えない....
え?聞こえてた?あ、ちょ、やめ、あーーーー!!
本当すみませんでした....
今回は主人公調子乗ってるんで厨二成分多めだと思いまする。たぶん
「ハンスハンスと俺の名を気安く呼ぶなクソどもがーーっ!!なんでここにウィズがいやがるんだーーっ!!」
ハンスと呼ばれた色黒の男性は先ほどまでの丁寧な物言いから打って変わって乱暴な言葉を発し、怒りのあまりキレ散らかしていた。
うまく擬態していたようだが残念。
ここには天然魔王軍探知機である魔王軍幹部(笑)のウィズがいる。
それにこの俺、カズマさんの慧眼を持ってすればそのようなお粗末な偽装など意味をなさない。奴が人外の敵であることなどお見通しなのだ。
カズマ少年はそのようなことを考えながらウィズの前に庇うように立ち、自慢の相棒、ちゅんちゅん丸を構えた。
いつもビビリで仲間の影に隠れているカズマさんが、だ。
(さっきウィズが言ってた。デットリー何とかと物騒な名前がついているがあいつはスライムだって。)
それにはもちろん理由があった。
ビビリで臆病なヘタレカズマさんが理由もなく勇姿を見せるわけがない。
(スライムって言えば雑魚モンスターの代名詞。ここでこいつを倒して俺の株を上げるっ!)
打算しかなかった。
スライムは弱い。
スライムは雑魚だ。
ただの序盤専用の経験値だ。
そんな考えからカズマ少年はハンスの前に立ち塞がっていた。
ただよく考えてみて欲しい。
カズマ少年の世界のゲームではスライムは雑魚の代名詞だったのだろう。
だがここはカズマ少年にとって異世界。
それもゲームではなく現実。
つまり....
「クク....この俺を前にして一歩も引かないとはな....いいだろう、相手をしてやる。」
「俺の名前はハンス!魔王軍幹部デットリーポイズンスライムの変異種、ハンスだ!覚悟してかかってこい小僧!!」
スライムが雑魚だなんて、誰が言ったんだ?
◆ ◆ ◆ ◆
(え、今なんて?)
カズマ少年の背中を冷や汗つたる。
いま、奴はなんて言ったのか。
マオウグンカンブ?魔王軍、幹部.....
(魔王軍幹部!?)
冷や汗が滝と化した瞬間であった。
「カズマさんっ!ハンスさんは魔王軍幹部の中でも高い賞金がかけられていますッ!気をつけて!」
「え゛?」
おかしい。
スライムは雑魚。
お約束だろう?
スライムが幹部だなんて現実。あってたまるか。
「な、なあダクネス?スライムってのは雑魚だろ?雑魚だよな?」
引き攣った笑みで縋るようにダクネスへと問いかける。
「はあ!?そんなバカな話誰に聞いたのだ!?」
だが帰ってきたのは残酷な事実の数々。
曰く、スライムは物理攻撃が効かず、魔法にも強い耐性を持つ。
曰く、張り付かれたら消化液で溶かされ死亡、または窒息死へと導かれる。
曰くデットリーポイズンスライムは触れれば即死級の毒を持つ。
曰く.....捕食されれば蘇生も不可能。
「......ふっ」
数はにはその忠告を聞いた時からある決心がついていた。
奴は町一個を毒に沈められる程の強敵。放っておいたら多くの人々に被害が出るであろうことは容易く想像がつく。
故に、カズマ少年は駆け出した。
「ああああああああああ!!!」
ハンスのいる、反対側へと。
走った。
振り返る暇もなく、それはもう見事なフォームで走った。
後ろから何やら罵声やら悲鳴やらが聞こえてくるが気にしている余裕はなかった。
早く逃げなければ。
あんなのに勝てるわけがない。
源泉の入口が見えてきた。
このまま逃げれば助かる。
カズマ少年の心に余裕ができてきた。
だが彼は一つ、重要なことを忘れていた。
ここにきたメンバーは6人。
さっきまでいたのはウィズを含めて5人。
あと一人足りないのである。
だがそんなことに気づかずカズマ少年は走り、走り、走り....そして
『エンチャント・ヘルフレイム』
◆ ◆ ◆ ◆
正門の虎後門の狼という言葉はまさにこの時のためにあるのだろう。
カズマ少年は遠い目をしながらそれを見ていた。
どす黒い炎を纏った人の背丈ほどある墓標を手に、狂気的な笑みを浮かべこちらへと歩みを進める姿はまさに悪魔。
いつもの少し抜けている雰囲気は行方不明のようで、思い人であるエリス様のために働けるという喜びに満ち足りたヴェストの頭にはハンスを討伐し、エリス様に貢献するということ以外、頭になかった。
地獄の業火とも取れる黒炎を纏った墓標は岩石をも瞬時に融解させる。
歓喜に包まれたヴェストは道の端で怯えているカズマ少年に目も暮れず、ただ前に前に、獲物の元へと向かっていった。
「天罰を!エリス様のお望みのままに!!」
物理攻撃が効かない?
魔法に強い耐性を持つ?
そんなことは関係ない。
その耐性を上回る力で叩きのめせばいいだけの話。
それすらも効かぬというのなら全て喰らって仕舞えばいい。
スライムというのは液状化した魔力と少しの不純物の塊だ。
亜種だろうと変異種だろうとそれは変わらない。
ならば喰らって仕舞えばいい。
本体が精神体であるヴェストにとって体やなぜか欠けている魂を補強する魔力は何よりも重要で、時に人間の悪感情に次ぐご馳走となる。
さあ、喰らって喰らって、我が一部としてくれよう。
「見ぃつけたぁ....」
カズマ少年を追いかけてきたのかこちらにものすごい勢いで駆けてくる仲間たち。
そしてその向こうに佇む
ヴェストは地面が砕け散るほど強く蹴り、突進した。
アクアたちの間を吹き抜く熱風。そしてハンスに目に見えないほどの速さで飛来する黒い影。
「いただぁきぃまぁぁぁぁぁぁす!!」
「なぁ!?」
瞬間、ハンスの体に突き刺さる墓標。
そして遅れて耳に届いた大地を震わせるほどの轟音。
カズマたちは瞬時には何が起こったのか理解できなかった。
ただ、飛び散る側からその激毒ごと干からびるようにヴェストに吸収されていくスライムが、ただただハンスの死を告げていた。
「ぁぁああああああ.....おいしい、おいしいヨォ.....美味、とても美味だ....」
そこに佇むヴェストはその魔力の味に身を震わせていた。
流石は魔王軍幹部。
その内包する魔力量も質も最上級だ。
ベルディアやカズマ少年の悪感情をも上回る幸福感。たまらない。
だが、そんな幸福感も束の間。
彼は一つの違和感を覚えた。
「なんだ....?」
この体が自分のものではないかのような違和感。
後ろから
ミラーというのは一体誰のことなのか。
記憶の片隅に残るヴェストというのは誰のことなのか。
いや、どれもこれも自分のことを指していることは分かりきっている。
だがそれでも違和感は拭えない。
まるでそれは自分の名前ではないような。自分は他の名前を持っていたような。
そしてこの空腹感はなんだ。
魔力はたった今沢山食したはずだ。
悪感情だってベルディアやカズマ少年で満足している。
しかしこの空腹感は消えていない。
疑問は増えていくばかり。違和感も絶えず膨らんでゆく。
今まで自分は何をしていたんだ?
なぜ
なぜ....憎き
「あれ?あれれれれ?なんだこれ?おかしい、おかしい、おかしいなぁ?」
「お、おいミラー?」
膨れ上がる違和感と比例するように、自らの力が増大するように感じてきた。
いや違う。増えてきたんじゃない。
馴染んできたんだ。
使い方がわかってきたんだ。
「違う、違う違う。僕は
『おおお!流石は俺がベストを尽くして作り上げた最高傑作!!でもまさかプログラムを入力する前に動き出すとは.....なんで?』
頭の中に
誰だこいつは?なぜ人間如きが僕に馴れ馴れしく接している?
『私の名前はエリス。幸運の女神エリスです。』
頭の中に
なぜ僕は神などという敵に信仰を、愛を捧げている?
理由は簡単。エリス様が美しいから。
いや違う。何を言っているんだ僕は。
神は僕の食事を邪魔する憎き敵、滅ぼすべき敵、愛おしい思い人。
違う違う違う。そうじゃない。
なんだこれは。
「あああああああああ!!!うるさい!神は滅ぼすべき敵!愚かにも僕の食事を邪魔する憎悪の対象!信仰対象ではない!僕は信徒じゃない!」
「....ああ、思い出した。僕は悪魔、虚像でも信徒でもない。僕は暴食....世界を喰らうもの....さあ!パーティを始めよう!前菜は君たちだ!」
世界を喰らいし古き暴食、虚像の悪魔ヴェスト(?)が現れた!!
間が空いたため設定を残しときまする。
ヴェスト君(?)
はるか昔に世界を恐怖に陥れた大悪魔....だったもの。
ヤバイぐらい強い勇者君に滅多ぎりにされて半壊した魂のみで記憶やらなんやらを失う。
残りカス状態だったがハンスさんの魔力を吸って記憶やらなんやらを一部取り戻した模様。
ちなみに本人は暴食と言っているが悪魔特有の特殊能力は精巧で実体すら持たせられる幻術の類を操ること。
ちなみに本人が不器用なせいで今の自分の体を作り上げるのに使っている程度。暴力は全てを解決する。