この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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もうすぐテスト....控えめにいってマジヤバですわ。
小説なんて書いてる場合じゃねぇ!!(カキカキ)


文字数稼g...ん゛ん゛、思いつきで書いた物語は本編とは特に関わりのない物なので飛ばしてくださっても問題ありません。ちょっとシリアス風味ですしお寿司。


無理難題な仕事を押し付けられながらも健気にこなそうとする女神様は可愛いはっきりわかんだね

とある宿屋の一角。

明らかにこんな宿屋に使われることのない最高級の結界が何重にも展開されたある意味聖域とも言えるその部屋に一人の少女が頭を抱えていた。

その顔は青ざめ、焦り困惑恐怖、さまざまな感情がうかがえる。

少女の名前はクリス。

あの国教ともされるエリス教のエリス様のお忍び姿である。

常にそのご尊顔に慈悲深き笑みを浮かべる彼女の面影はもはやない。

彼女は今、例えるなら大事なテストで終わった後に回答を一マスずれて書いてしまっていたことに気づいてしまった学生のよう...いや、この例えは失礼か。まあ、とにかく彼女の心境はだいぶ荒れていた。

 

「なんなんですか!あんなの私一人でなんとかできるわけないじゃないですか!!」

 

若干涙目で彼女が叫ぶ“あんなの”とはもちろんあの馬k....違った。あの悪魔、ヴェストのことである。

 

「なんとなくやばいことは聞いてましたが、そんなやばいなんて聞いてませんよ!」

 

やばいやばいと連呼する彼女は今まで知らなかった。

アレがどのような存在かを。

 

悪魔ヴェストに余計なことをしないようにと言う意味を込めて忠告を行ったあの日から、女神エリスは彼を監視していた。

アレが忠告程度で大人しくしているとは思わなかったからだ。

だが彼らがいたのはアクシズ教の聖地アルカンレティア。

エリス教である自身が安易に干渉できる場所ではないため、せめて見張っていようと言う気持ちから。

そして案の定彼は問題を起こした。

なんと彼は元同僚であるはずの魔王軍幹部に剣を向けたのだ。

それ自体はまあいい。デットリーポイズンスライムであるハンスはカズマ達一行には少々荷が重い相手であり、死者が出る可能性だってあった。

だが問題はその後だ。

彼がハンス相手にドレインタッチのような魔力吸収を行なったのが悪かった。物理及び魔法に耐性を持つスライムに対してはなかなかいい戦法なのかもしれないが、それは使用者が彼でなかった場合だ。

 

エリスが先輩の神(アクアではない)に聞いたところ、あの悪魔は過去にとある勇者によって討伐された大悪魔の残り滓だと言う。

そんな残り滓が残った魔力を使い、なんとかその存在を保っているのが彼の現状だ。

そしてそんな彼が一度に自身の存在を保つために使用する魔力を大幅に上回る莫大な魔力を得た。

それによって引き起こされたのがあの中途半端な復活。

余剰分の魔力によって復元された魂は彼の力をより一層全盛期のものへと近づけ、その記憶の一部を呼び起こした。

 

最終的にそれは女神アクアと、認めたくないがアンデットのウィズによって打ち倒されることとなったが、もしあの場にどちらかがいなかったら悲劇は免れなかっただろう。

それほどまでに危険な存在だったのだ。

 

その後悪魔ヴェストの危険性を再確認したエリスは上司に当たる神に彼の討伐の話を持ちかけた。

だが帰ってきたのは良い返答ではなかった。

“以前と変わらず悪魔ヴェストへの過度な接触行為は禁止されている。だが幸いにも奴に好意を持たれている女神エリスはそのまま監視、可能であれば制御を続行しなさい。”

 

要約すると“下手に刺激するのは怖いけどなんかエリスちゃん好意持たれてるみたいだし彼女に丸投げでいっか。”といったところだろうか。

 

ふざけないでください、と言いたいところだが基本神と悪魔は敵対関係にあり、下手に他の神が接触するよりかは好意を持たれている彼女が担当する方が良いのは事実であった。

しかし依然としてなぜ上司が彼の討伐を許さないのかは分からなかった。

 

そこで彼女は彼の過去の資料を調べることにした。

彼が一度討伐されたのは自分の誕生する前、つまり人間では想像もできないほど遥か昔ということだ。

そして見つけ出したのは禁書のように厳重に保管された一冊の本。いや違う。これは報告書だ。あまりにも分厚かっために本と勘違いしてしまった。

報告書の題名は「悪夢」。

あの時の彼の言動からおそらくこれが彼の過去について書かれた書物なのだろう。やっと見つけた達成感のまま彼女は表紙をめくった。

 

だが彼女は後悔している。

これを読めばあの悪魔について知ることができる。

そんな軽い気持ちから表紙をめくった過去の自分に。

 

 

被害報告。

そう書かれた欄に並ぶのは予想を遥かに上回るものだった。

国単位で書かれた死者の数。

破壊し尽くされ生物の住むことのできなくなった土地の数々。

何よりそれらに並んで記入された()()()()()

それがこの報告書の異常を表していた。

 

どれもこれも彼女にとって聞き覚えのない名前ばかりだが、本来戦火の及ばない神々にまで被害が出ていることから、この事件の甚大さが察せられた。

そして何より彼女の目を引いたのがその中に並ぶ一つの名前。

その名前だけは彼女の記憶に存在していた。

 

軍神アーレス

 

それは人間界に今でも伝わる偉大な一柱の神の名前。

戦を司り、当時の神々の中で最も悪魔を滅ぼしたとされる英雄。

 

その名前がここに載っている。

 

その事実はエリスを、神々を震え上がらせるには十分すぎた。

そしてそんな爆弾をエリスは丸投げされたのだ。

 

「本当にそんなの私にどうしろって言うんですか....え?」

 

布団に顔を埋め、若干泣きそうになっていたその時、彼女は何か異常を感じ取った。

どたどたどたどた、と聞こえてくるテンポが早く、規則的とは言えない物音が徐々に、徐々に大きくなってゆく。

その音に何だか嫌な予感を覚えた彼女は布団から飛び起きた。

冷や汗が顔を伝った。

物音が、足音がだんだん大きくなってくる。

そして.....

 

「エリス様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

何重にも鳴り響く結界の破壊音とともに扉を蹴破り侵入してきた招かれざる客(ヴェスト)

その姿を確認したクリスは即座に回れ右をして...

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

窓から飛び出した。

余談だが破壊された窓代と扉代はヴェストが責任を持ってしっかりと払ったと言う。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

これは誰も知らない、知ることもない。本当にあったかさえも、もう解からないとある昔話。

 

昔々、名もなき小さな村の外れにに一人の少女が住んでいました。

少女には知り合いはいませんでした。友達はいませんでした。話す相手はいませんでした。

唯一いた母親は数年前に魔女狩りによってどこか遠くへ行ってしまいました。

少女は一人でした。

ぼろぼろのベットで目覚め、かつては畑だった場所に育った植物から果実をもらい、たまに生きるために必要な物を交換するため、村へ行き、目も合わせてくれない村人と物々交換をし、家に帰っては虫食いだらけの本を読み、くたくたになった体をベットに沈める毎日でした。

 

そんな毎日の中、少女は一冊の虫食いもない、しかしどこか邪悪な気配を纏った一冊の赤黒い本を見つけました。

母の遺品らしきそれには少女には全く読めない文字列と、少女には到底理解できない謎の記号で埋め尽くされていました。

絵も載っておらず、色もところどころに付着した茶色の斑点以外は白黒で、少し開いてすぐに読む気が失せてしまいます。

 

そして少女が本を閉じようとしたその瞬間。

たまたま開かれていたページの記号が不思議な光を放ちだしたのです。

あまりの眩しさに少女は目を瞑ってしまいます。

そして少女がその目を開くとそこには、一人の悪魔がいました。

 

「可愛らしいお嬢さん。汝の願いを言いなさい。そうすれば私が叶えてあげましょう。しかし代償はいただきます。それは汝の魂、そして絶望。その命が途絶えるその瞬間、汝は深い絶望に包まれることになるでしょう。さあ、汝の願いを口にしなさい。」

 

少女は答えました。

“お友達になって”

 

その日から少女は一人ではなくなりました。

朝目覚める時も、ご飯を食べる時も、本を読む時も、いつもは辛い村に行く時だって、少女はもう一人ではありません。

美味しいご飯だって悪魔に願えば作ってくれます。難しい本だって悪魔に願えば読み聞かせてくれます。一人で寂しい時も悪魔に願えば一緒にいてくれます。

 

少女は徐々に笑顔を取り戻していきました。

少女にとって悪魔は友達のようで、母親のようで、父親のようで、何よりも大切な物でした。

 

しかし平和という物は唐突に崩れ去る物なのです。

ある時、村に何人もの騎士と聖衣に身を包んだ神官がやってきました。

母が連れて行かれたあの日にも来た神官達が来たのです。

 

少女は悪魔に願いました。

 

“街に行って美味しい果物を買って来てほしい”

 

優しくしてくれた悪魔が神官達に連れて行かれることを、少女は何よりも恐れたのです。

たとえ裏があったとしても、優しくしてくれた悪魔を失うことが何よりも怖かったのです。

 

時期に少女の古びた、しかし温かった家は冷たい鉄を纏った騎士達と、冷たい心を持った神官達に囲まれることになるでしょう。

それでも少女に後悔はありません。

何故なら少女はもう、大切な物を失わなくていいのですから。

 

 

 

 

悪魔が村に戻った頃には新たに焼け焦げた十字架というモニュメントが一つ作り出されていました。

悪魔に悲しみはありません。後悔も憎しみも、何もありません。

少女は所詮、悪魔にとってただの贄だったのですから。

 

「....不愉快だ。」

 

ただ、ほんの少しの怒りがあっただけでした。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

これは大地を悲しみに包み込んだあの惨劇の前日談。

これは誰も知らない、知ることもない。それ故にあったかもなかったかも解らない、そんな物語。

 

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