この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

30 / 50

ついにこの作品も30話ですね。
処女作でしたがここまで続くとは....
ほんと皆さんありがとうございます。


テスト?うん、まあ、ぼちぼちですよ...(目逸らし)




理想のハーレムなんてものはこの素晴らしき世界には存在しない

「いぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「あぁん♡まってぇぇぇ!!まちなさぁぁぁぁぁい!!!」

 

立ち上がる砂埃。

先頭にはカズマ少年。

そしてその後方には夥しい量の女。

字面だけで見れば何というハーレム、けしからん、と思うだろう。

しかし現実は非常なり。

 

人間のカズマ少年を追いかけるのはオークの女。

自らの種族のオスを絞り殺したサキュバス顔負けな豚頭ども。

まさに地獄絵図である。

...そういえばアクセルでもバニル先輩以外の悪魔の気配がしたっけな。サキュバスっぽかったが今度行ってみようか。

 

「走れ走れー!ほらほらぁ!追いつかれちゃうよー!?カズマ少年のちょっといいとこ見てみたい〜〜〜!!」

「黙れミラァァァァァァ!!てめ!あとで覚え、てろ、よっ!!」

 

ちなみに悪魔には性別がない。

故にヴェストはこうしてカズマ少年の愉快な姿をゆっくりと観戦できるのだ。

そういえば昔ゴブリンに襲わせた女騎士は実にいい悪感情を見せてくれたな。結局は親友に見つかっていいところで止められたが...

 

「カズマ少年!」

「なんだよッ!」

「期待しているぞ!!!」

「何がッ!?」

「あ」

 

カズマ少年がこちらを向きツッコミを入れたその瞬間。

一体のオークが地面を揺らすほど強く踏み込み....

 

飛んだ。

 

「やぁっとつかまぇたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ま、待って!話をしよう!!」

「ふふふ、エロトークなら喜んで!!」

 

その勢いのままカズマ少年を押しつぶしたオークは彼の手を強く掴んで離さない。

 

「ちょ、ちょっと!本格的にやばいですよ!!」

「カズマが!カズマが汚されちゃう!!」

「ま、まて、もう少し、もう少しだけだから....フヒヒヒヒヒ」

「どうしたんですかミラー!?最近おかしいですよ!?」

「いない....オスのオークはもういない.....」

 

もうちょっと!あと少しで!今いいところなんだ!

涎を垂らしている欲望に忠実なだらしない悪魔とオスオークがいないことを知って失念中のドM騎士は放っておいて普通にカズマ少年はピンチだった。

このままでは彼の使うことのないカズマ棒があの悍ましいメスオークで初めてを迎え、一気にそのまま枯れ切ってしまうだろう。

大ピンチ。

実力はあるくせに肝心な時に役に立たない悪魔は悪感情に絶賛トリップ中。宴会芸の神様は慌てふためき戦力外。一発少女はカズマ少年を巻きこんでしまうためコレまた戦力外。ドM騎士は論外。

一切の希望は無くなった。

 

そう思われたその瞬間...!

 

「ボトムレス・スワンプ!!」

「な、なんだいこれは!」

 

突如現れた底無し沼がオーク達を捕らえた。

 

「わ、我が名はゆんゆん!!アークウィザードにして上級魔法を操るもの!!オークたち!近所のよしみで見逃してあげるわ!さあ仲間を連れて立ち去りなさい!!」

 

救世主の登場である。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「ゆんゆ〜〜〜〜ん!!」

 

ゆんゆんのスカートに顔を押し付け泣き喚くカズマ少年。

怖かったのは理解できるが明らかに下心がこもった行動だろう、それ。

一方ヴェストといえば非常に機嫌が悪かった。

まるでおやつを横取りされた子供のように拗ねていた。

その理由はそんな可愛らしいものではないのだが。

 

「あの、ところで皆さんはなぜここに?」

「...妹が、妹が心配になりまして」

「そ、そうね。魔法も使えないのに好戦的な子だもんね」

 

あらあら、照れ隠しなのかはっきりと里のみんなが、ゆんゆんが心配だからとは言わないなんて。

かわいいねぇ、と皆でニヤニヤしていたら怒られてしまった。

やはりめぐみんはどこか小動物の感じがする。

その身長のせいもあるが性格が素直じゃないところがどことなく猫のよう...

 

「ミラーなんか失礼なこと考えていませんか?」

 

この子は超能力者なのではないだろうか。

 

「顔に出てるんですよ」

「おっと、コレは失礼」

 

僕こんなにも表情に出たっけか、と自分の顔を揉んでみるもよくわからない。こういうものは自分ではわからないものなんだろう。

 

「それで?何を考え....」

「静かに、誰か来るぞ!!」

 

「へへへ、いたぜ」

「紅魔族の子供に冒険者風の人間だ」

 

草むらをかき分け出てきたのは褐色肌の二人の角を生やした人間(?)だった。

何だあれは。

かすかに同族の気配は感じ取れるが非常に薄い。

なんというかそこら辺にいるような下級悪魔を水で割って薄めてさらにそれを蒸留したような感じだ。

まあつまりはほとんど悪魔の気配がしない悪魔もどきだった。

 

彼らの発言からアレは魔王軍の雑兵だと予想できるが...

あ、そういえば今僕らは魔王軍に襲撃を受けている里に向かっているんだったな、と今更ながら気付くほどにアレらからも周囲からもなんの脅威も感じなかった。

これならまだヴェストがカズマパーティに所属していなかった頃の水色の闊歩する魔都アクセルの方が緊迫感はあった。

 

「貴様ら!紅魔族二匹以外は見逃してやろうと思ったが皆殺しだ!!」

 

カズマ少年はアレらに挑発するアクアに焦っているようだがおそらくあの二人組はアクアのゴットブロー一発で消し飛ぶほど弱い。

ジャイアントトードよりも弱い。

心配する必要は全くない。

たとえそれが何十人といようとだ。

 

そんな奴らが?この僕らを皆殺し?

 

「舐めやがってますねぇ?」

「み、ミラー?」

 

「大きく出たな下級悪魔モドキ!貴様らのような雑兵が?この僕をぉ?殺すぅ???????????随分と舐められたもんだなぁ!!」

 

モドキ如きが本職の悪魔を殺すなど、随分と舐めたことを言ってくれる!

魂だけの魔力体である自分のことを棚に上げてヴェストは怒りを露わにした。

ただでさえカズマ少年の愉快なショーがいいところで中断され不機嫌だったのだ。このイライラをぶつけられるなら誰でもよかったのかもしれない。いつのまにかいなくなっていた全自動悪感情製造機(ベルディア)がいないせいか空腹感も限界まで高まっていた。もう限界だ。

 

「さぁ!!!it'sショウ....」

「エクスプロージョンッ!!!!」

 

ヴェストの不機嫌度up

彼から何やら瘴気のようなものが漏れ始めているように見えるのは幻覚ではないだろう。

 

「どうですかカズマ?今の爆裂、何点ですか?」

 

元凶であるめぐみんはぱさり、と崩れ落ちた。

実にいい笑顔で。やり遂げたような清々しい笑みで。

瘴気が立ち籠める。

 

「マイナス99点をくれてやる馬鹿野郎がぁ!!みろよミラーが暴走寸前だ!ちょっとは空気読め!!」

「くっ!今の増援を聞きつけて更なる増援が来たぞ!!」

「また現れたわねこの引きこもり悪魔!さっさとミラーから出てきなさい!綺麗さっぱり浄化してやるわ!!」

「馬鹿野郎!さっさと逃げるぞ!!」

 

彼を中心に植物が生命力に溢れた緑から茶色、白へ。水々しく咲き誇っていた草木がミイラのように乾き枯れ果ててゆく。

瘴気は空間を蝕み狂った虚像に染まってゆく。

ノイズが走る。

空間に歪みが生じる。

ハンズを食らったことにより全盛期へとさらに近づいた魔力とその異能と呼ぶべき虚像が暴走してゆく。

空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹空腹

腹が減った。

遠くに見える魔王軍(翼を生やしたおやつ)をその紅き眼光が捉えた。

黒き翼が展開される。

その手に握られた大剣はその名の通り彼らの墓標となり得るだろう。

深き漆黒の炎が灯った。

 

「it's showtime‼︎」

 

森の一角が偽りに包まれた。

 

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

その様子を影から見つめるものが数人。

奇しくも彼と同じ紅き眼光がそれを見つめていた。

 

「アレこそ我らが目指すべき理想形...」

「黒き翼に全てを燃やし尽くさんとする黒き炎...」

「我ら紅魔族と同じ紅き瞳を持ち、しかし漆黒とは正反対の純白の髪を持つ者...彼は我ら魔王軍遊撃部隊の新たなメンバーに相応しい...」

「ふふふ...魔王軍に新たなメンバー...面白い宴になりそうだわ」

 

彼らは闇へと消えてゆく。

全てはきたるべき時に備えるために....!




どんなに強くなろうがヴェストは所詮ヴェスト
カエル>ヴェストの法則は変わらない。
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