この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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少し(一週間)遅れてしまいました。
やる気が起きなかっt...すみません。


前回のヴェスト君のキャラ設定に重要な一点が抜けていたので追加です。今話の途中でも出てきます。

ヴェスト「なんでや!?」


ヴェストクオリティ

一面に広がる清々しいまでに美しい青空。

そこには雲ひとつなく、空気も地上付近に比べ圧倒的に綺麗だった。

雲や塵に邪魔されることなく一面に美しい星空がうかがえる。

そしてそんな美しい景色に異物が一つ。

本来頭があるべき場所からドス黒い瘴気を撒き散らしながら高速で飛行するデュラハンもどき。

 

そう、ヴェストである。

 

え?ベルディアじゃないのかって?あの状況でどうやったらこうなるんだよ。(30話参照)その点で言えばヴェストもどうやったらこうなったのかと言うツッコミが入りそうだが、それは置いておいて...

置いておくな?

わかったわかった。

じゃあ少し時間を遡るとしよう。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「ここでぇ!ここで終わらせてなるものか!!ここからぁ!!私の人生を始めるぅぅ!!その先に行ぐ!!」

 

「やばいやばいやばいやばい!!!」

 

ヴェストが青筋を立てながら日記を読んでいた間に討伐完了したと思われる魔王軍幹部シルビア。それはアクアの立てたフラグによって見事復活を遂げた。

ラスボス戦の第二形態のように魔王軍幹部シルビアはパワーアップして三途の川から這い戻ってきた。

その身はアルカンレティアで討伐したはずのデットリーポイズンスライム、ハンスに包まれ、さらにそれをおそらくアクセルで頭部だけ討伐し損なったデュラハン、ベルディアの胴体部分と思われる漆黒の鎧が包んでいる。

まさに悪魔融合、正真正銘化け物の誕生である。

アクアのフラグ回収能力には毎回驚かされてばっかりだ。

 

「危うく魂が持ってかれるところだったわ!あんたたちは絶対に潰す!!」

 

四つ足の形状し難い化け物となったシルビアは自分の生えているスライム部分から大量の酸を津波のように吐き出した。

 

「やばいやばいやばい!はしれはしれはしれぇぇぇぇぇ!!」

「カースドクリスタルプリズン!!」

 

しかしそれは何者かによって放たれた魔法によって熱を奪われ凍りつくことで動きを止める。

 

「カズマさん!これは一体どう言うことですか!?」

「ウィズ!?どうしてここに!?」

「姑息な生活の知恵に長けた小僧よ、汝のアイデアグッツを商品化するためにこの里の職人に会いにきたのだが....うん。我が身可愛さで魔道兵器の封印を解き放ったと...」

「フォワ!?」

「見通す悪魔に隠し事はできない」

 

ここにいるはずのないウィズ、そしてバニルによってこの現状の元凶を見破られたカズマ少年は奇声をあげ、じっとりとした視線が向けられた。

 

「しかし里がなくなってしまっては商売も不成立...いやーこれは困った困った...」

「ちょっと!カズマの小狡いパテントでたっぷり贅沢させてもらえるんじゃなかったの!?」

 

アクアがそう叫んだ次の瞬間、固められたはずの氷が叩き割られ、そして裏切り者どもの存在を知ったシルビアによって地形ごと破壊された。

 

巨大化したベルディアの剣(以下ベルディアブレードとする)を振り回し、打撃を無効化するスライムボディーに魔術師殺しの魔法無効化。

鉄壁の防御は気持ち悪いほどにまとわりついたバニル人形の一斉起爆によっても傷一つ負うことはなかった。

ウィズの魔法による連撃も全て無効化され撃つてなし。

今はポンコツクルセイダーことダクネスに憑依したバニルによって抑えられているがあの巨体と所詮は人間のみであるダクネスではいずれ限界が来ることは明白。

 

(くそ!いったいどうすれば...!)

 

その時カズマ少年の頭に一人の人物が思い浮かんだ。

機動要塞デストロイヤーの装甲を一撃で大きく損傷させ、魔法、そして物理攻撃すら無効化する魔王軍幹部ハンスを単独撃破し、仮にも女神であるアクアとお互いに不完全ながらもタメを張り、そして何よりあのエリス様がまじめに敵に回してはいけないと言った悪魔。

彼がいれば...

 

「ミラー...どこにいるんだよ!!」

 

その声が戦場にこだましたその瞬間。

黒き炎を纏った大剣が化け物を貫いた。

 

 

 

「呼んだかい?カズマ少年」

 

 

 

 

まさに救世主。彼の真後ろから現れた英雄は爽やかな笑みでカズマ少年に話しかけた。

 

「ッ!遅いわ!」

「悪い悪い。でもヒーローは遅れてやってくるものっていうだろう?」

 

 

シルビアは突如現れた乱入者の危険度を瞬時に測り、ダクネスinバニルを無視し、即座にこちらに突撃してきた。

しかしヴェストはその笑みを崩すことなく、振り下ろされた巨大な手を片手で受け止める。

何もかも溶かし尽くす粘液は彼の手を溶かすことはなく、彼を潰すどころか逆に押し返されてしまっている。

 

「やあ悪魔もどき。またあったね。僕の仲間を傷つけた責任はきっちりと取ってもらおうか。もちろん!君の命でね!」

「あ、あなた何者なn!?」

 

シルビアは驚愕の声を最後まで放つことはできなかった。

ヴェストから解き放たれたどす黒い威圧感に圧倒されたのだ。

 

「僕?ただの剣士だよ」

 

ヴェストは余裕の表情でシルビアの振り下ろされた手に力をかけていく。

 

「じゃあ悪いけど僕も君を相手している時間はないんだ。さっさと終わらそうか」

 

ヴェストの腕に魔力が集中し始める。

このままシルビアを吹き飛ばすつもりだろう。

 

 

 

 

しかし、そんな簡単にボス戦が終わるはずもなかった。

 

「....奇遇ね!私もあなたの相手をしている時間はないのよ!!」

「はっ、無駄な強がりd」

 

 

横凪に振り抜かれたベルディアブレード。

カズマ少年が目で追えないほどの速さで振り抜かれたそれは既に鋒を天に向けていた。

そしてその軌道上にいるはずの人物がいない。

 

「....飛んでった」

 

唯一見えていたであろうアクアがつぶやく。

 

「あいつあんだけ強キャラ感出しておいて瞬殺されたんですけどぉぉぉぉぉ!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

 

これが、ヴェストクオリティである。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

『ギャグ漫画系オリ主補正』

 

どんなピンチもなんらかんだ生き残るゴキブリ並みの生命力を獲得。しかし同時に肝心な場面で役に立たないorやること全てがマナイナス方向へ影響するクソ雑魚なめくじ系オリ主へと変化する。なおこれらの補正はシリアスな場面以外で常時発動状態となる

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

以上がことの顛末である。

 

.....何しに行ったんだろうねこいつ。

そんなわけで現在着地点不明、安全か着陸方法未確立な空の旅を続けるヴェストはベルディアブレードによって吹き飛ばされた頭部を復元しながら勢いに任せたまま鳥になっている。

このくらいの怪我なら即座に治せるのだが、流石の彼も先ほどの失態は恥ずかしかったらしく、超微速で修復活動をすすめている。

そりゃあんだけイキってこの結果なんだからね。

彼の感情が虚像だとしても(自称)恥ぐらい感じるのだろう。

おそらく今顔があったら真っ赤になって湯気が噴き上がっていることだろう。

なおこの光景は終始エリス様にとって監視されていたのだがそれを彼が知ることはない。あのお人好しのエリス様が漏らすことがなければの話だが。

もしそのことを彼が知ったその日には自害などしなくとも自動的に天に召される、いや、今度こそ魂の一欠片も残さず蒸発することだろう。

これまでにも恥を重ねきた彼だが今回のことはそれほどまでに恥ずかしかったのだ。

 

そしてそんな彼の羞恥に塗れた空の旅も彼が気付かぬうちにそろそろ終わりを告げようとしていた。

進行方向に見えてきたのは黒い塔のような影。

それがいくつも立ち並んだような巨大な建造物。その周りを囲むようにして貼られた膜のようなものに彼は頭...はないから首を打ち、パキンッパキンッという気持ちいい音を鳴らしながら進んでゆく。

そしてついにヴェストはその建造物の一角の壁をぶち抜くことで飛行を停止した。

 

頭部を回復させ周囲を見渡した彼の目に映ったのはくずれて崩れてあたりに散らばる頑丈そうな黒い外壁に、対照的な真っ白な部屋とそこらじゅうに置かれた見覚えのある人物を模した人形にポスターに写真に...あれは抱き枕?

そしてその中央に座った雪のような白髪に黒いツノを生やした絶世の美少女とその手に握られた....首。

 

「助けてくれヴェストぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

「あぁ...ヴェスト...

 

 

 

や っ と 見 つ け た

 

 

 

「ヒェ....」

 

 

ここは魔王城。

ヴェストが最も会いたくないと思える人物の住む場所でもある。




特に情報なかったんでもうオリキャラコースへGO。
ユルシテ

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