この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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魔王の娘ちゃんのキャラ付けが不安定なまま投稿。いつか直したい。
本当は無口+依存にしたかったけどなんか戦闘狂が追加された。


ヤンデレ(?)の描写ってむずくない?

「会いたかった....会いたかったよヴェスト」

 

”ひぇぇぇぇぇぇぇ“と超高速バイブレーション中の生首ことベルディアを抱えてヴェストは目の前の少女を見据える。

雪のように美しい銀髪に逆さに生えた漆黒の双角。

真紅の瞳は飲み込まれるような錯覚を覚えるほどに美しかった。

だがそれだけだ。

()()を一言で言い表すとすれば“化け物”だ。

人知を超えた存在。生みの親とされる現魔王をも圧倒する化け物だ。

いわゆる”やべーやつ“の一人でもあるヴェストでさえも冷や汗を垂らす。

 

「...一年前、この世界に再びあなたの存在を感じるようになってから、ずっと...ずっと探してた。」

 

ベルディアのバイブレーション機能がより強力になってゆく。

 

「私がここから出ることは許されてないから手下を使って...でも見つからなかった....どこを探しても...でもやっと先日、手がかりを見つけた」

 

真紅の瞳が手元の生首を捉えるとビクンッ!とひときわ大きく震えた。

 

「あの狂人の巣窟で、それを拾った...そしてあなたの情報を手に入れた..................わざわざあの地獄に行った甲斐があった」

 

ベルディアの真上からも二つ目の冷めた視線が向けられる。

それは暗に“てめぇ余計なことしてくれたな?”と語っていた。

 

「明日、私も行こうと思ったけど...よかった。これで約束を破らずに済んだ」

「....まさか僕が今ここに来なかったら君が直接郷に来るつもりだった...と?」

 

頷き一つ。

 

「お父さんとの約束を破ってまで?」

 

頷き一つ。

 

「だって、私にとってあなたが全てだから」

 

「あなたがここに、幹部の称号をもらうため、それだけに襲撃してきたあの時、私は、外を知った。お父様との約束で、外に出れない私に世界を教えてくれた」

 

「何もない私に、色を与えてくれたのは、あなただけだったから」

 

「それに......」

 

ほおをほんのり赤く染め、呟いた。なんか良さげな空気をぶち壊す一言を。

 

「私はあの時、初めて負けた。それはもう、ボロボロに、けちょんけちょんに、乱暴されて、押し倒された」

 

だいぶ誤解を生むような表現だがこの場においてツッコミ役は存在しなかった。純ツッコミ役であるベルディアは機能停止中だ。

ちなみにヴェスト監視中のエリス様は良からぬ妄想をしたのか天界で顔を真っ赤にしていらっしゃる。

 

「あの時の感覚を、私はまだ覚えている。自分より強い者はいない、だから、みんなに恐れられている、という傲慢な考えを抱いていた私を容赦なく、笑顔で叩きのめしてくれたあの時のこと」

 

「初めてだった。悔しかった、ムカムカした、イライラした。でも、なによりも嬉しかった。あそこまで真っ直ぐ私を見てくれた人はいなかった」

 

 

 

 

 

「だから.....もう一回、私と遊んで?」

 

「ッッ‼︎”鉄の処女(アイアンメイデン)“」

 

 

強烈な殺気を感じ取ると同時にヴェストは地面に手を着き能力を発動さる。

『鉄の処女』

かの有名な拷問器具の名を関するそれは瞬く間に大理石のような一面真っ白な部屋を赤黒く錆びつき、一面に針の生えた鉄製の部屋へと姿を変化させる。

 

『閉じろ』

 

その一言で虚像で作られた空間は彼女を包み込むように収縮する。

彼の能力『虚像』によって現実を改変させる荒技はいわゆる「固有◯界」や「生◯領域」に似たようなものに近い。

仮にも元世界を滅ぼしかけた&大国を半壊させた大悪魔。

それをよぶるのは不可能に近い...のだが

 

「アハハハハ!!すごい!すごいよヴェスト!そんなこともできるなんて!」

 

彼女は無傷で、ほおを赤く染め興奮気味に崩壊する虚像の中から姿を現した。

あばばばばばばば、と震えるベルディアはもはや残像を生み出していた。

 

「やっぱ、ヴェストは最高だよ....あ!私が勝ったら私のものになるって約束も忘れちゃダメだよ?だって、あなたは、私、だけのものなんだから。他の人なんかに渡さない。でも、今は、やっと再会できたんだもん。もっともっともっともっともっともっと!楽しいこと...しよ」

 

(逃げろベルディア)

(え...?)

(君用に即席だが足(デストロイヤー型)を作成しておいた。それでカサカサと逃げ切ってくれ)

(だがお前は...!)

(大丈夫、策はある。そしてその策には君がここから逃げ出すことが必須事項だ。奴は魔王城から出られない。どうか、頼んだぞ。)

 

「......っ!すまん!」

 

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサと音を立て黒光りする生首は部屋から去っていった。

改めて使用してみるが転移系の魔法はほとんど阻害されている。というか設定した転移地点の座標すらリセットされている。

一体どうやったらこんな芸当ができるのか。

妨害は力ずくでなんとかなるが座標点がわからないんじゃどうしようもない。ランダムテレポートは最終手段だ。さすがに“ヴェストはいしのなかにいる“になったら洒落にならない。

死なないとは思うが。

 

「やっと、二人きりになった...ね?」

「ハハハハ、あまりおかしな事を言わないでほしいな。僕には思い人がいるんだ」

「......へー...そっか....じゃあ、お掃除もしなきゃね」

 

「やれるものならやってみろ。その時は私が全力で貴様をこの世から一片も残さず消滅させてくれる」

「アハハ、あなたの手で、死ぬなら、本望。でも、あなたが手に入らないのは絶対に嫌」

 

ヴェストの手には久しぶりに握られた相棒の山刀が姿を現し、彼女が放つ存在感は一層大きくなった。

 

「さあ、行くぞ魔王の娘...いや、アリス」

 

 

後にこの騒動をヒヤヒヤしながら見守っていた女神エリスはこう語る。

「この瞬間()()を切り取ったら彼は本物のおとぎ話に出てくるような英雄だった」と。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「くそ!クソクソクソ!本当にすまんヴェスト!」

 

廊下を巡回するメイドたちのスカートを旋風のように捲り上げながら爆走する黒光りする謎の物体ベルディアはその奇行とは逆に後悔の念を叫んでいた。

 

「俺に力がなかったばかりに...お前を....!」

 

俺の体がこんな生首だけじゃなければあいつの...

あれ?俺の胴体が消えた理由って....いやいや落ち着け。

くそ!あいつはあんなんだけどいい奴だったんだ。

俺の首を袋詰めにして振り回しながら「半自動食糧生産機〜」とかほざいたり、俺の頭で暇つぶしにヘディングし始めたり、袋いっぱいに食用石鹸を詰め込んだり、面白いからと言ってわざと俺の胴体が浄化されるのを見逃したり.......................

すぅーーーーーー↑

別にこれでよかったかもしれません。

つーか俺首だけになったけど魔王軍幹部だよな?別にこのままここから逃げなくても....いやだめだ。敵対勢力にあのクソ女神とクソ悪魔×2、内側にはあの気狂いお姫様。魔王軍にとどまっても生き残れる気がしねぇ。仕方がない。今はあいつに従って逃げるしかない。あいつの策とやらにかけるしかない。

 

「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!なんで!俺が!こんな目にぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

苦労人兼変態枠のベルディアは走る。今日を生き残るため。

そして何より

 

「ウィズのパンツを再び拝むまで死ぬことは許されないッッ!!」

 

魔王城の廊下に黄色い悲鳴が響き渡る。

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「まだ...まだだよ....もっとやろ?もっともっともっともっともっともっと!!!!」

 

純白の長髪を所々赤く染め、儚げだったその顔を獰猛に歪めながら笑うアリス。方やヴェストはもがれた片腕から瘴気を垂れ流し、せっかく回復した頭部を含む全身のところどころにヒビが入ってしまっている。

魔力残量の低下からか回復速度も遅くなっている。

 

「.......もう、だめ?限界?私、しってるよ?あなたが、封印の影響で本調子じゃないこと」

 

ぱきり、ぱきりと体が崩れ落ちてゆく。漏れ出す瘴気の量も減少してきた。

 

「だから私は、あなたを早く見つけようと、頑張った。本当は全力のあなたと戦いたいけど、それだとあなたが手に入らないから」

 

 

「もう降参しよ?今のあなたでは私に勝つのは、不可能。早く、私のものになーーーーー

 

 

「まだだ」

 

 

「まだ動く。手も一本残っている。足だって2本ともくっついている。無理?限界?不可能?そんなもの関係ない。エリス様への愛の前では障害物にすらなり得ないッッ!!!!」

 

だがヴェストの瞳からは光は消えていなかった。

いつもはハイライトオフなくせにギラギラと光っている。

 

「....はは....嫉妬、しちゃうじゃん....でもそれでこそヴェストだよ!」

 

もう一回り、アリスのまとう存在感が大きくなる。

次で決める気だろう。

ヴェストの目的は時間稼ぎだ。だが、あれは全力でやらないとまずいな。

なら....

 

「次で決める」

 

作戦は失敗だろう。

流石にこれ以上の時間稼ぎはできない。

おそらくここで負けたら私はこのまま一生監禁生活で彼女の遊び相手として飼われ続けるのだろう。

ならいっそ、この身を犠牲にしても一矢報いてやろう。

エリス様以外の飼い犬になるなんてごめんだ。

 

「アハハハハ!!!ヴェストヴェストヴェストヴェスト!!」

「アリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」

 

解き放たれた二匹の化け物は拳に残った全ての力を込め、殴りかかる。

凄まじい二つの力はアリスの部屋を原型すら残さず吹き飛ばし、魔王城の一角を消し飛ばしながら接近し合い......

 

 

『ヴェスト!逃げ切ったぞ!!!』

 

 

「あ、すみません。撤退の時間なんで落ちます」

 

片方が消え去った。

オンラインゲームでよく使われるような去り際のあいさつを残しながら。

 

「...........ど....こ....?」

 

瓦礫の山には少女が一人、ぽつんと取り残されていた。




魔王の娘ちゃん(アリス)
作者によってオリキャラ化されてしまった哀れな子。故にキャラが不安定。
ヴェストが勇者らしいことしたいという親友の頼みで「それなら魔王軍幹部とか称号持ちのやつ倒した方が勇者っぽいよね?」といういらん気遣いからわざわざ魔王城に幹部の座を貰いに凸ったら際に遭遇。
防衛の時にボコられた。笑顔で。
魔王さんを圧倒する力から怖がられて幽閉されていた。
しかし魔王さんは一応父親としての愛情は持っているようで、ヴェストが嫌いな理由のうち一つが彼女が彼に夢中になっていること。
初めて自分のことを恐れずまっすぐ見てくれた彼が好き。みんなに怖がられる自分よりも強い彼が好き。化け物ではなく1人のアリスとしてみてくれるあなたが好き。
実はちょっとM気質
年齢がおかしい?知りません

Q.ヴェストの秘策って?テレポート使えないんじゃないの?
A.妨害されているだけで座標がわかれば無理やり使えます。そして彼はテレポート先を動く物体に設定することができます(デストロイヤー戦参照)...あとはわかりますね?(わかってください)
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