この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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オリキャラ注意っす!
あとシリアス少々注意っす!
このすば世界の神様がやってることって勇者召喚くらいしか知らないから少し独自設定(?)を少々。注意っす!!


突入!銀髪盗賊団!!

「はぁ....なんでこんなことに...じゃあ話をまとめるよ?」

 

結局ヴェストに押し切られてしまったクリスは大きくため息をつく。

ヴェスト曰くこの先には地下施設が広がっており、さらに生体反応もいくらか確認できた。それもヴェストになかなかと言わせるものも少々いるというので、プライドより安全性と確実性を追求した結果、こうなったのだ。

決してこの変態変人アホ悪魔に心を許しかけているとかそういうのではない。悪魔は滅すべき悪。そう決まっているのだから。

 

「この屋敷の主、ヴィンターハイム伯爵が悪魔信仰の信者である可能性があり?彼に渡った神器の能力は『月に一度神の許す範囲でなんでも願いを叶えるもの』?そしてその弱体化の結果、予想される能力は『一定期間のクールタイムをおき、代償を捧げ、それに見合った願いを叶える』。近年急激に成長したとされるヴィンターハイム家はその神器を使用した可能性があり、さらに本来の使用者が生存していた際、送られてきた願いの許可を求めるメッセージがこなかったことから『神の許す範囲内』という制約が変化により外されている可能性がある....と」

 

「そして貴方の情報が正しければ数十人もの人々がこの地下に集まっている....」

 

「これは...不味いかもしれませんね」

 

「うん、彼が本当に悪魔を信仰しているのなら今行われようとしているのは....」

 

 

「「悪魔召喚」」

 

 

 

「ま、この程度の生贄でくる悪魔なら私の敵ではありませんが」

「でも止めるに越したことはないでしょ?」

「まあ...そうですね....」

 

自分が少しでも役に立つところをアピールしたかったヴェストは項垂れているがクリスはそれを無視して地下へ続く部屋の扉を開く。

途端に流れ出した匂いに顔を歪める。

錆の匂いに苔や水の匂い。そして血の匂い。

 

「クリ....ス...さっきに比べて感じ取れる生命反応が減少していまーーー.....いる」

 

「!急ごう」

 

薄暗い地下通路の中、2人の靴音がこだまする...ことはない。

クリスは盗賊スキルで、ヴェストは某猫型ロボのように少し浮くことで隠密行動を可能にしていた。

方や名の知れ渡った凄腕の盗賊。方や人間種を超越した上位の存在悪魔。この程度朝飯前のことだった。

 

「....楽そうだねそれ」

 

「クリスもやればいいじゃないでーーー........か」

 

「いや....今はいいよ」

 

あと口調は無理しなくていいよとクリスが伝えるとヴェストはありがとうございますと返す。思い他人相手にいつも通り話すのは少し難しかったようだ。悪魔は意外とシャイだった。

 

「クリス」

 

「数は?」

 

扉にかけたクリスの手をヴェストが押さえる。

この先が最深部だ。彼は暗にそう言っていた。

 

そして生命感知を行なったヴェストは指で結果を示す。

その数は.....

 

 

 

「遅かった!!」

 

 

 

蹴り開けられた扉の先には死体、死体、死体、死体。

命で作られた赤い水溜まりが床一面に貼られていた。

中央に立つスーツを着たやつれ気味の男が振り返る。

 

「ああ、誰かと思っていたら。やっと来たんですね」

 

アレストリアス・フォン・ヴィンターハイム伯爵

ぴっちりきめられていたオールバックの金髪は乱れ所々赤く染まっている。

 

「...貴方がやったの?」

 

「いえいえ、これは彼ら自身の意志による尊い行いの結果です」

 

「どういうこと?」

 

「彼らは自ら進んでその命を捧げたのですよ」

 

膝をつき伯爵を囲むように命を散らした亡骸は皆、その顔に憎悪を浮かべているものの、皆が皆自ら自らの胸に短剣を突き刺し絶命していた。

 

「まさか全員悪魔信者!?」

 

「悪魔信者とは失礼な。かの者こそこの世界の王、主、救いの手。彼らこそ真の神なのです」

 

「ッ....!」

 

「何言ってんだこいつ悪魔は悪魔だろ」

 

ヴェストが真顔で突っ込むが伯爵は意に関していない。

 

「....なぜそのようなことを....」

 

「私もかつては敬虔なるエリス教信者だったのですよ。そして我が娘といとしの妻は私以上に信仰していた。可愛らしい娘と美しい妻でした」

 

「....」

 

「だが娘はある日を境に姿を消し、数日後、みるも無惨な姿で、何もかも犯され奪われ尽くした姿で見つかった。犯人を探し出そうと行動した妻は翌日小分けにされ送り届けられた。そのことが事件になることはなかった。新聞に載ることもなかった。何者かに、おそらく私よりも地位が高い貴族による犯行か、はたまたコレのような超常の力を神に与えられた勇者によるものなのか」

 

「うーわ...」

 

伯爵は首にかけた十字のネックレスを持ち上げる。

そこには真新しい血の他に、いつつけられたのかわからないほどに古い血痕と先の細い剣でつけられたような傷がついていた。

 

「妻たちの信仰は厚かった。だというのに神は救いを与えず、奴らに罰を与えなかった」

 

「.....」

 

「ふざけるな!何が神だ!何がエリス様だ!」

 

「......ちが....」

 

「神は救いを与えない。ただ見ているだけの傍観者だ。対価次第で願いを叶えてくれる悪魔の方がよっぽど神らしいではないか!」

 

「.......ごめん....なさい

 

「この薄汚れた世界に災いあれ!!神を気取った傍観者どもに失墜

 

 

 

 

「いい加減にしろよお前?」

 

 

 

ぐぼぁ!?」

 

「...ぇ?」

 

突然来た横からの衝撃に伯爵は吹っ飛び壁に体を打ち付ける。

突き出された拳は彼を所詮悪魔と心のどこかで思っていたクリスにとっては意外な人物であり、第三者からは簡単に予想できたであろう人物。

虚像の悪魔ヴェストであった。

 

「神は傍観者だ?何当たり前のこと言ってんだ。そもそもお前ら人間は魔王軍に対抗する切り札として勇者や神器を送ってもらっているんだから感謝するべきだろ?それがなきゃお前らとっくに魔族に滅ぼされてるんだから」

 

「な、な、何様だ貴様ァァァァァァ!!!」

 

怒りに任せて突き出されたレイピアは、しかし精密さと速度を失わず狙いは正確にヴェストの眉間を捉えていた。だがそれは彼に届くことはない。

 

「君の恨みつらみはよーくわかる。でも君の妻と娘が殺されたのは君が弱かったからだ。弱かったから失った。強者は奪い弱者は奪われる。弱肉強食。世界は残酷なんだからさ。まあ、あとは君の運がなかっただけ。それを神様のせいにするってには酷なものだよ。あの方は十分頑張ってるし、君たちのことを考えて十分苦しんでいる」

 

「くそっ!!」

 

指先でレイピアの先端を掴んで離さないヴェストは真っ直ぐ伯爵の目を見て淡々と話す。

 

「まあこの世界がクソってことには激しく同意するよ。この世界は残酷で救いもない。何よりエ...クリスと結婚することもできない」

 

ヴェストの赤黒い血のような目に気圧された伯爵は地面に尻餅をついてしまう。その手にはもはやレイピアは握られていなかった。

 

「こんなクソみたいな世界を変えたい、終わらせたいと思うならそれ相応の覚悟と犠牲がなきゃ。ほら、この世界に災いを...だっけ?なら君の同志の命だけじゃ足りないな。これは君の復讐だろ?なら自分の命をかけるくらいの覚悟がなきゃ」

 

神器は未だ光を発しない。

胸に突きつけられたレイピアの切っ先に伯爵は小さく悲鳴を漏らす。

 

「この程度の覚悟もないのに復讐を語ってんじゃねぇよ。神を侮辱してんじゃねぇ.....よ?」

 

 

伯爵は復讐を語っておきながら自らを犠牲にすることもできない腰抜け野郎。そう決めつけたヴェストの予想は.....

 

 

「うう...うわあああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

まあ、うん。外れるに決まってるよね。だってヴェストだもん。

 

傷がつくことも御構い無しにレイピアを握りしめるという予想外の行動にヴェストが思わず握る力を弱めてしまった隙をついて伯爵はそのまま切っ先を自らの胸に突き刺した。

 

 

「悪魔よ!私は願う!この世界に!この腐った世界に大いなる災いを!!!」

 

 

神器は使用者の願いを叶えるべく光を放ちこの薄暗い地下室から影を取り除いた。

 

 

 

 

 

 

 

「..........ごめん」

「ごめんじゃないよ!?」




アレストリアス・フォン・ヴィンターハイム伯爵
かつては領地の開発に自分の資産を惜しみなく使ったり、領民を見下さず親しく接していた優しく領主だったがある事件をきっかけに頻繁に王都の別荘へ通うようになり、たまに領地に戻っても屋敷にこもって出てこなくなった。かつて浮かべていた優しい笑みは貼り付けられたような作られた笑顔になり、誰が見てもわかるほどにやつれていった。
しかしそれに反比例するように彼の領地は発展し、彼の権力も増長した。
金髪碧眼オールバックのダンディーなおじさま。
ちなみに過去闘技場をレイピア一本で優勝まで上り詰めた。

なんていう裏設定があったりする完全オリキャラなおじさま。
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