この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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最終章(シリアス)突入です!!
と言いたいのですが多分数話で終わるので間章と統合しちゃいます。すみません。ほんと、3話くらいで終わると思います。オリジナルシリアス展開とか小説初心者作家には無理なんですよ。
でも頑張って終わりまでは持ってきます。



記憶

「ーーーーーなーんてこともあったっけな」

 

木々に覆われた森の中たった1人で思い出に耽りながら行き先のない(ないとは言っていない)旅をするイケメン悪魔はだーれだ!?

 

「僕だ!!」

 

誰も見る人のいない無駄に良いドヤ顔とこだまする無駄に大きい声が薄暗い森の中に消えていく。ああ、なんだか悲しくなってきた。

ほとりと一筋の水玉がほおを伝って地に落ちる。

まったくこんなところで僕はなにをやっているんだか。

 

「っ...いたた....」

 

原因不明の頭痛が早く足を進めろとばかりに頭に響いた。

 

「はいはい、行きますよ!行けば良いんでしょ!!」

 

足をすすめるごとに、手帳に書かれた目的地に近づくにつれ頭痛の頻度と大きさも大きくなっていく。一か八か全身の痛覚を無くしてみたがやはり効果はないようだった。おそらく肉体的な問題ではなく精神的、僕の欠けた魂に関係するものだ。それも親友にこの世界へと呼び出される以前の、失われた記憶に関するもの。

普通こういう時『記憶取り戻せるヤッター』と喜ぶものなのだろう。

確かに今の私にそう言った感情が芽生えていることは否定できない。

だが、それ以上に僕は怖かった。

もし、このまま記憶を取り戻してしまったら、今の僕はどうなるのか。

そんな不安が頭からずっと離れない。

元魔王軍幹部にして冒険者カズマの仲間であり、女神エリスを愛する客観的にみたら少し(?)おかしな悪魔ヴェスト。

それは一体どうなってしまうのか。

消えてしまうのだろうか。

それは....ちょっと嫌だな、と思う。

別に生への執着というものではない。先輩のような破滅願望は持ち合わせていないが、もしそうなった場合は“仕方がない”“そういう運命だったんだ”と受け入れることができる。

あるとすればそれは心残りだろう。

もっと美味しい“食事”がしたかった?もっとたくさん“楽しいこと”をしたかった?.......それとももっとたくさん仲間たちと”平和“を謳歌したかったのか?

 

わからない。

 

でもただ一つ。これだけは言える。

 

「.....エリス様とイチャイチャラブラブしたかっt、イデ!?」

 

何かにぶつかったような鈍い音と当日に発生した頭痛とはまた違った痛みを知覚する。

とっさに前方を確認するも何もない。

テンプレのように電柱や木々にぶつかったわけでもない。

 

「だとしたら....」

 

伸ばされた手はそのまま中をきる....ことはなく、何かに触れた。

 

「結界」

 

物や生物の侵入を阻む障壁こと結界。

それがこのような何もない森に不自然に張られていることに気づく。

 

「もしかして...」

 

手帳の地図を見る。

バツがついていた。

 

...考え事をしているうちに着いてしまったようだ。

 

「しっかし...かったいなこれ」

 

試しにコンコンと手で叩いてみるも硬質な音が帰ってくるばかり。

一般的な術者によって貼られた結界程度ならこれだけでも破れるのだが。

 

「よーし」

 

一方下り、腰をひき、腕を構えてーーー

 

「はァァァァァァ........!」

 

突き出すッ!!

 

ーーーーーペチ

 

「ミ゜(絶命)」

 

ダメだったみたいだ。

破壊するために込めた渾身の力はそのまま跳ね返り...あとは言うまでもない。ヴェストは腕を押さえて転げ回った。

 

「ハァ....ハァ.....な、なかなかやるな!」

 

ヴェストは再び拳を構える。

彼の辞書には諦めという言葉は入っていないのだ。(ヴェスト辞書、本体価格3500円)

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーースキルブレイク」

 

しかし工夫という言葉は入っているようだ。

魔法を無効化する術によってパキンという音を立てて結界は崩れていく。

ガラスのように光を反射して落ちていくその景色は幻想的で美しかった。

 

「さーて...この先はなに...が........?」

 

そんな美しい景色を生み出した結界の先にあったのは幻の妖精たちの楽園や古代人の遺した超文明ーーー!!などではなく、

 

「廃村?」

 

朽ち果てた村の跡だった。

木々は結界に沿って生えており内部にはまた別の、見たこともない木々が生えていた。

あるのは村の建物の土台であっただろう所々風化した石積みとこれまた他の場所ではみないような植物たち。

特に変わったところはない風景だった。

ただあえていうのであれば()()()()()()

あまりうまく言い表せないのだが、例えるなら綺麗な森の中から急に戦地の中へと踏み入れたような違いだった。

あまり気分のいい空気ではない。

 

「だけど...どこか懐かしい」

 

一筋の涙が垂れていることに気づく。

どうも今日は涙腺が脆いようだ。

 

「...いこう」

 

進むごとに次々と新しいものが見えてくる。

朽ち果てた家だったものに続きとある場所を囲むようにして染み付いていた()()()()、所々に盛られた土とつき建てられた謎の()()()、そして一本の大きな()()()

 

「....痛い」

 

頭痛の感覚も短くなってゆく。

きっとこの先だ。この先に私はある。

そう信じて足を進め続ける。不安はある。恐怖もある。

しかしそれ以上に本能がそれを欲していた。

だから私は足を止めることなく進み続けるのだ。

村の終わりと思われる石積みを超え、小さな丘を頭を押さえながら登る。

増えていく木の枝に、いつからだろう、前を歩く小さな少女。

ついてこいとでもいうかのように時折振り返り無表情に見つめてくる彼女を追うように歩みを進めていく。

誰だという問いはない。

何が目的だという問いもない。

あるのは確信。きっとこの先に私はいるという確信。

 

早く

 

「はは、そんなせかさないでよ」

 

進むごとに足は重くなり視界は歪む揺れている。

色白の少女は進み続ける。

ボロボロの剣を持った少年も、汚れのついた鎧を着た青年も、杖をついた老人も、桑をもった老婆も、欠けたツノを持った悪魔も、光を失った輪を浮かべた天使も、彼と共に進み続けた。

 

あそこ

 

「ああ....そうか....」

 

指の先にあったのは小さな小屋。

木製の小さな、しかし自然の中に放棄されていたとは思えないほど綺麗な小屋だった。

見覚えがある。

全ての始まり。

私が私となったあの場所。

忘れてはいけなかったものだ。

頭痛はもうしない。

 

「しかし...なるほどね。どうやって知ったかは知らないけど、親友もなかなか乙なことをしてくれる」

 

ヴェストは木製の扉に手をかけた。

恐怖も不安も何もない。小屋の中から自分を呼ぶ声に応えるために、()()を取り戻すために。

私が成せなかったことを、今度こそ成し遂げるために。

 

私は扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神々と悪魔の大戦では記録することのできないほど多くの命が奪われた。しかしそれらを管理する神は不在で、それらがいくべき場所すら用意されてはいなかった。

どこにもいくことのできなかった死者たちが望むのは平和などではなく理不尽への復讐。

何故私が死ななければならなかったのか。

もっと生きたかったのに。

許せない。

そういった負の感情に満ちた魂は膨大なエネルギー、魔力となり、宿主に使われるだけの存在に成り果てる。

しかしいずれ彼らの器たり得る宿主が彼らと同じように絶望を知ったその時。彼らは世界へ復讐を開始することになるだろう。

 

 

ーーー天界のとある禁書より




この二次創作では魔力=魂やら感情やらによって生まれるなんかすごいエネルギー
という謎の独自設定がありまする。
作者は原作を完全に読みきってさらに何回も読み込んだというわけではない、言ってしまえば”にわか“なので独自設定盛りだくさんです。
多分原作とはぜんっっっっっっっっぜん違うので、これはこういう作品なのだと、生暖かい目で見守ってください。

ちなみに最終回迎えても後日談とかいろいろそのまま続くと思います。
ので、もーちょっとグダグダシリアス展開にお付き合いください。
ほんとすぐ終わるんで。
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