下り坂です。ファー↑
学力が欲しいです。
小説を書く文章力も欲しいです。
悪魔は困惑していた。
悪魔にとって人間とは神などという存在を盲信する愚かな存在であり、そして同時にその神すらも時に裏切るほどの欲深い存在であった。
故に久しぶりの召喚に応じた時はどんな馬鹿が召喚主か、彼、又は彼女がどれほど私を楽しませ、素晴らしい最後を迎えてくれるのかを期待していた。
しかし召喚陣を抜けた先にいたのは幼い、とても幼い少女1人だけ。
召喚された悪魔に普通ではあり得ないような純粋な期待の眼差しを向ける少女に、悪魔は好みである“もう少し成熟し、この世の不条理を十二分に理解し、その上で自分は例外だと自惚れる愚者”ではないと理解するが、それでもこのような幼い少女がどれほど愚かな望みを口にするのか気になった。
悪魔召喚を行うものは愚者か自暴自棄になった廃人寸前の人間だ。そう相場が決まっているのである。
故に悪魔は期待した。
幼さ故の愚行。それを理解した時彼女はどのような反応をするのか。はたまた幼少期から悪魔に頼るという神を裏切る同然の行為をしたこの少女は無知故にどのような願いを口にするのか。そして神を崇める同族の中でどれほど悲惨な最後を迎えるのか。
ああ、楽しみだ。楽しみで仕方がない。
また1人、
『友達になって』
....はい?
「遊んで」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね...ってちょ!?今料理中なんですよ!?危ないです!わあああ!?登らないでくださいーー!?」
悪魔は辟易していた。
あれ以来、悪魔が叶えた願いは『遊んで』『抱っこして』『本読んで』『遊んで』........
おまけに彼女の両親はいない、兄弟もいない、そもそも周りに人がいない。この丘の下にある村へ向かったとしてもなぜか白い目で見られ石を投げられる始末。
生きるために必要な食事もそこらへんの謎果実をむしって食べる毎日。
このままではいずれ死んでしまう。絶望もなにも知らぬまま。それは悪魔にとって望むものではない。
それ故にこうして悪魔は少女のご飯を作ったりと世話をしているというわけだ。
「魂を対価に願うものが願うものがこれって...無知とは本当に恐ろしい....」
「早く、早く」
「...ご飯抜きでいいんですか?」
「それは嫌」
「じゃあ待ってください」
「む.....なんでも願い叶えるって言った」
「................そこの分身体と遊んでいてください」
「や。あれつまんない」
『!?』
権能を使用して生み出した分身体がショックを受けているが無視。
何故かこの少女にとっては悪魔本人でなければダメらしい。
なんと厄介なことか。
「....そこの貴方、ご飯をお願いします。焦がさないように....絶対にです」
『.......』(約:おk)
料理を分身体に任せ悪魔は少女のご機嫌とりに集中することにした。
もっとこう、復讐!!だとか金!!暴力!!女!!だとかそう言ったいかにも悪魔に願うような邪悪な願いをしてくれればいいのに。
例えば石を投げてきたあの村に復讐だとかそう言ったものであればその後の展開に期待できるというのに。
そんなこの時代には異様なほど平和な毎日に悪魔は頭を抱えたくなる。
以前と変わらずどこからか聴こえてくるあの更なる悲劇を望む呪詛の数々は無くなることはないがその数とそこに込められた怨念は確実に小さくなっていた。それどころかあの分身体に込められた
『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ』
『あー幼女ちゃんかわゆす』
『こっちこいヨォ....お前もこっちこいヨォ....』
『もっと、もっとだ。絶望を、更なる絶望をよこせ』
『なんか...こう...母性を刺激されるよね』
『殺せ殺せ殺せ殺せ.....わかる』
『頭よしよししたイ』
『これが真の天使...私などただの羽の生えたゴミだということですね』
『もっと、もっとだ!可愛い幼女ちゃん成分をよこせぇ!!!!』
『でも村の奴らは許せねぇ....あいつら人間じゃねぇ!!』
『彼らには天罰を与えなければなりませんね....』
『幼女ちゃんペロペロしたい』
『悪魔さんこいつです』
『天罰を』
「..............」
「大丈夫?頭痛い?」
「......なんでもないです」
もう...ダメかもしれない。
悪魔は天を仰いだ。今日も空は黒雲に覆われていた。
「ずっと思ってた。悪魔さん、名前ないの?」
「名前ですか?ありますけど...」
小屋のそばに作った小さな畑で悪魔は十分に育った人参と格闘しながら少女の言葉に答える。そういえば自分の名前を名乗っていなかったな、と。
ちなみに分身体‘sは早々にリタイアしてそこらへんに伸びている。
「なんていう?」
「縺ゅ>縺?∴縺」
「...?」
「人間のような矮小な生物には理解できない名前です。これまでのまま、悪魔とお呼びください」
「む...」
返答が不満だったのかポカポカと小さなその両手で人参をその手に鷲掴みした悪魔を叩いてくるがノーダメージ。悪魔にとっては痛くも痒くもない。
『ふざけんなてめぇ!名前ぐらい教えろやゴルァ!?』
『そうだそうだ!!』
『しかも天使ちゃんを矮小な存在だとか....殺す』
『天罰です。天罰確定演出です。貴方は生きていてはいけない存在です』
『悪魔なんかが天使様を見下すナ。頭が高いゾ』
『ペロペr』
『天罰を』
もうこいつらきらい。
悪魔は手元のニンジンを握りつぶした。もったいない。
「しかし貴方も自分の名前を名乗っていませんよね?」
そう、これが悪魔とその他諸々が少女のことを“幼女ちゃん”だとか“天使ちゃん(様)”というあだ名で呼んでいる理由だ。
なんとこの2人、出会って数ヶ月も経っているにも関わらずお互いの名前すら知らなかったのだ。
そして今この時、初めて謎に包まれた少女の名が明かされるのだ。
「名前.......ない」
「ないちゃん?」
「違う、ない」
「.......ノーネーム?おk?」
「おーけー」
明かされることはなかった。
というか明かすものがなかった。
全くの斜め上の解答。これには悪魔も予想外。
両親は今よりもっと小さい頃にはいたと聞いたが、まさか育児放棄だろうか?とんだクソ親だ。まあ悪魔信仰で処刑されたらしいしろくな人間ではなかったのだろうが。
『クソ親がヨォ...』
『こんな天使を置いて逝くとは...この世界、よくあることですがその理由が悪魔信仰となれば別です。天罰を....』
『ペロペロ...できる空気じゃない...ヨシヨシしてあげたい』
『珍しく空気を読んだ!?』
「.........ではこれまでのように呼べばよろしいですか?」
悪魔は頭を押さえながら問いかける。
実際これまでお互いの名前を知らずに暮らしてきたのだ。彼らにとって名前などなくてもよかったのだが....
「.......付けて」
「はい?」
「名前、付けて」
少女は悪魔を見上げてこう呟いた。
名前をつける。つまりは名付け親になれと。
これまた予想外の願いだ。
「...それは”願い“ですか?」
「うん」
「む.....」
悪魔は悩んだ。思わず少女のような口調になってしまうほど悩んだ。
悪魔という存在はそもそも基本的奪う側の存在だ。
契約により契約者に与えることがあろうとも最終的にはそれ以上に大切なものを奪っていく。そんな彼が名前などという大切なものを与える。初めての経験だった。
「むー.....むむむむむむむーんむんむん....」
「ふざけてる...?」
思いつかない。
ヨサク?むさじろう?よっちゃん?ぱぴー?ぽにゃっこ?
ピンとくるものが一向に出てこなかった....
『こりゃひでぇ...』
『大丈夫カ?こいつのネーミングセンスハ』
『...動物などに例えて考えてみてはどうでしょうか?』
なるほど。動物か。
普段はうるさいだけの連中が珍しく役に立った瞬間であった。
悪魔は考える。眠くなってきたのか目の前で時折あくびをしながらも悪魔の答えを待っている目の前の少女は動物に例えたらなにになるだろうかと。
外見的特徴は一言で言えば白。銀髪青目で癖っ毛が特徴的な真っ白なチビ。性格面で言えば好奇心旺盛で自由気まま。あと寒いのが苦手で暖かいところが好き。熱々の飲み物は飲めない。結構甘えん坊。
『これはもう分かりましたね?』
『にゃんにゃん』
そう、これはまさに.....
「カポポか」
『なんで!?』
「??」
いやカポポしかないだろ。
色は白じゃないが好奇心旺盛で甘えん坊って言ったらカポポしかないだろ。ほら思い出せあの可愛らしいフワッフワしてそうな鳥を!そっくりだ!特にこのふわふわサラサラで顔を埋めたくなるような髪の毛とか!
もうこれはカポポしかないだろう。
『そこだけじゃん!?』
『どっちかというと猫だよね。白猫』
『ほんとどうしてそうなった?』
なん......だと.......
まさかのバッシングに悪魔は困惑した。
ありえない....カポポではないというのか.....もっとちゃんとみてくれ....ほらだんだんカポポにみえて......
「全然違うな」
「???」
悪魔は正気に戻ったようだ。
しかし猫か。確かに猫だ。
この子は亜人ではない普通の人間のため猫耳や尻尾はついていないが付けてみたら....ありだな。
そうなると名前はやはりタマ......
ブーイングが来た。ダメみたいだ。
だとすると猫...キャット、カッツェ、ガット、アイルーロス....はなんかやばそうだからなしで...
「フェーリス......フェリスでどうですか?」
「ん....わかった.......ふふ」
気に入っていただけた...のか?わからない。
『わかれ』
「ねぇ」
「なんですかフェリス?」
「肉まん食べたい」
「突然ですね。というか肉まんってこの辺にはないのによく知ってますね」
「風の噂」
本当に突然のことだった。
いつものように悪魔がすっかり来慣れてしまったエプロンを身につけて昼食を作ろうと準備している最中のこと。
無茶振りはいつものことだったが、なんだかんだご飯など作業中のそれは迷惑だとわかったのか最近は少なくなってきていたのだが。
「じゃあ明日買いに行くますか」
「今日がいい」
「今日...そうなりますと昼食が遅くなりますよ?」
「大丈夫」
何かを隠しているように見える。
だがなぜかは知らないが彼女には悪魔の“目”が効果を発揮しなかった。
嘘を見破る目が。初めは少女が純粋に事実しか言わないからだと気にしなかったが流石にここまで反応しないのは異常としか言えなかった。
それに...今の彼女は確実に嘘をついている。
「“お願い”」
....ここでそれを使いますか。
「....わかりました。ではしばらくしたら戻りますので家から出ないでくださいね?絶対ですよ?」
まったく。一体どんな悪戯を企んでいるんだか。
そういえば召喚されてから今日で1年か。もしかしたらサプライズでも考えているのかもしれないな、と悪魔はらしくもない笑みを浮かべた。
やはり彼も同様に少女に毒されてしまったのかもしれない。
「肉まん、楽しみにしてる」
悪魔は飛び立った。
『....』
肉の焼けるような匂い。
村いっぱいに響き渡っていた歓声と、笑い声。
罪人はたった今、神による罪罰を小さなその体に与えられた。
「フェリス」
向けられた美しい蒼眼は閉じられ、かけられた短い言葉も聞こえない。
雪のように美しかった長髪は黒く焼き焦げ、きめ細やかな肌もまた黒く染まっていた。
「起きてください」
表情をあまり露わにしないその顔は嫌に穏やかな微笑みを浮かべたまま眠ったように動かない。
「冗談が過ぎますよ」
悪魔は少女に触れた。いつも猫にように摺り寄せてきた柔らかく温かい頬に。
しかしそこには熱は宿っておらず、冷たく、いつものように押し付けてくることもなかった。
「起きてください。さあ、家に帰りましょ.......う」
「あたった!!」
「罪人に罰を!!」
「憎き悪魔に天罰を!!」
「我ら人間を惑わす神敵に天罰を!!」
痛みはない。貫かれた胸が空っぽで、考えるための頭も空っぽで、壊れたラジオのように垂れ流され続けていた呪詛の数々も聴こえず、
心音は、聴こえない。
彼女は最後に何を思って何を願ったのか。
『肉まん、楽しみにしてる』
最後の願いがそれって、本当に...くだらない。
「たった今!!我らが主に仇なす神敵と愚かにも主を裏切った大罪人の処刑が完了した!!我らの偉大なる主に感謝をささげーーー
「喋るな」
ああ、貴様らのような塵芥どもが、貴様らがこの世界で会話し行動し呼吸をしているだけで腹が立つ。神などという偶像に縋る愚者が。愚かにも
「不愉快だ」
「悪魔縺ゅ>縺?∴縺の顕現を確認」
「女神エリスは失敗した」
「奴はこの世に存在してはいけない存在だ」
「この世界には貴様も悪魔も不要な存在だ」
「これより縺ゅ>縺?∴縺の討伐を開始します」
「.......ただいま、素晴らしき世界」
フェリスfelizはスペイン語で「幸せな」、Feliz Navidad! 「メリークリスマス!」のようにも使うそうです。
Wikipediaより
追記
ペンタブゲットだぜ!!
画力ぅがほすぃぃですね。
うちの子君ちゃん
【挿絵表示】
ワイングラスに意味なんてないんや...