この愚かな悪魔に寵愛を!   作:有機栽培茶

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最終回の続きです。
年齢=彼女いない歴の私には非常に難しいジャンルなのです。
なのでこんな回になっちゃったけど...許して♡(殴りたくなるような笑顔)

調子乗ってシィリィアァスゥな作品を描き始めてみたけど無理っす。
ギャグが恋しくなったのでただいま。


ラブコメは難しい。

「クゥリィスゥ様エネルギーがぁぁぁあ足りなぁぁぁあい!!!」

 

道端で正気を疑うような絶叫が響き渡る。が、訓練されたアクセルの住人たちはこの程度のことじゃ日常茶飯事として振り向かない。

 

「うるさいなぁ....なんだよヴェスト、お前いつもクリスに会いに行ってるじゃん」

 

無論、転生者であるカズマ少年もまた例外ではない。

彼も訓練されしこのすば世界の住人なのだ。

 

しかし今回ばかりは少し違った。

 

この悪魔(バカ)がクリスに執着しているのはいつものことだ。

冒険の最中にも『クリスクリスクリスクリスエリスクリス....』などとぶつぶつ呟きながら気付かぬうちに近づいてきていた初心者狩りにアームロックを決めているのをこの前目にしたばっかりだ。

そしてその様子の通り、冒険が終わった次の瞬間には瞬間移動かと見間違うほどの速さと、ワンちゃん顔負けの嗅覚でクリスの居場所を嗅ぎつけ走り出していく。

 

それがこのパーティのいつもの日常であり、この街のいつもの日常であった。

 

誰だよ。こいつが他のメンバーに比べればマシとか思ってた奴。

 

俺だよ。

 

そんなこんなで毎日のようにクリスの元に赴き、なぜか帰りは気を失った状態で玄関先までクリスによってお届けされるという形で帰宅している彼は、向かった先でいつも何が起こっているのかはわからないがクリスとは会っているはずなのだ。

しかし....

 

 

「は?何を言っているんだい?私はもう1週間以上もクリスと会った記憶がないのだけど」

 

 

彼の記憶は違うようだ。

彼がいうにはクリスの元に向かおうとするまでは覚えているのだという。

しかし気がついた時にはもうベットの上に寝かされており、カズマ少年や仲間たちの家にいるのだという。

クリスの元に向かったたった数時間の間に一体何があったというのか。

 

まさか誰かから魔法か催眠でもかけられている?

 

そんなことを考えたカズマ少年だが、即座にその考えを否定する。

こんな馬鹿みたいなやつでもこいつはエリス様お墨付きの大悪魔だ。

大昔に世界を滅ぼしかけたとかいうヤバいやつ。

それが洗脳や魔術にかかるとしたらかけた相手は相当の手練れどころの話ではない。

なにせエリス様の話ではアクアやエリス様自身、そしてその上司たちだって今の彼には傷をつけることすら難しいのだという。

よって外部からの干渉の線は消える。

もしかしたら彼が心を許しているエリス様やクリスなら可能かもしれないが、悪魔嫌いなエリス様はともかく、最近話していてヴェストへの評価が爆上がりしていることがわかったクリスならそんなことはしないだろう。

 

とすると問題は本人にある可能性が高い。

気付かないうちに自分に記憶消去の魔法でも使ったのかもしれない。

こいつならあり得る。だってヴェストだもの。

 

「いえ、さすがの私でもそれはあり得ませんよ。記憶消去など高等で危険な技術です。そう言った記憶や感覚などに干渉することが得意な権能を持つ私でも安易に使えないようロックぐらいかけていますので」

「へぇー。『虚像』だっけ?そんなこともできるんだ。つーか自分が馬鹿にされてることは否定しないのな」

「はい、虚像の真価は現実の書き換えなどですが、相手にありもしない幻術を見せたりありもしない記憶を植え付けることも可能です」

「うっわ、チートじゃん。例え性能が良くっても使用者がダメじゃただのゴミになることが証明されたな」

「なんです?さっきから私のこと馬鹿にしてます?」

 

手の上で器用にデフォルメされたエリス様の虚像を生み出しながらヴェストはカズマ少年をジト目で睨む。そーいうとこなんだよ。

 

「まー今の現状じゃ分からん。とりあえずクリスのとこ行ってみようぜ」

 

実際の様子を見なきゃ分からない。とりあえずこいつとクリスを合わせるところからやってみよう。

 

 

 

◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

「よーし見つけたぞ」

「クリス様....今日も美しい....」

 

遠くで歩く銀髪の女性、いや、女神クリスを見つけた。

それを見るカズマ少年、そして完全ステルス状態と化したヴェスト。

 

「....なんで潜伏してんだよ」

「潜伏ではない。私は今権能を全力行使し、この世界すら欺くほどのステルスを展開しているのだ。この状態の私を見つけることは、神でさえも不可能だ」

「じゃあなんで俺は認知できるんだよ」

「私にも分からん」

 

 

自称世界を欺く潜伏状態のヴェストをなぜか正確に捉えたカズマ少年は腕を構え堂々と分からんと言って退けた彼の腕を正確に掴み前に出す。

 

「ほら、隠れてないでさっさと行ってこいよ」

「やめろぉ!!離せぇ!!」

「なーんでそう意地になるんだ!!」

「だって、だって恥ずかしいじゃん!!」

「ヴェストが恥ずかしがった!?誰だお前!?」

「失礼だな君!!」

 

「ねえ君たちこんなところで何してるの?」

 

そんな中、2人に明るい声がかけられた。

ヴェストが視線を向ければ視界が光に包まれた。

目が潰れるほどの光量からなんとかその本体を見つけ出そうと目を凝らす。

そしてやっとの思いで捉えたそれは美しい銀髪と碧眼を持つ女性、いや...

 

「メガmッ!!!」

 

「ヴェストォォォォォォォォォォォ!!!!!」

 

口から瘴気を吐き出して地に倒れ伏す。

気のせいかもしれないが体も透けて見える。

 

「ヴェスト!しっかりしろヴェストォォォォォォォォォォォ!!!!」

「トオ.....ト..........イ.....................」

「ヴェストォォォォォォォォォォォ!!!???」

 

「あーやっぱこうなっちゃうか....」

 

それを見てクリスは呆れた風に苦笑いする。

その様子はコレを何度も見慣れているようだ。

そしてカズマ少年はそれを見て察する。

彼が毎回気を失ってクリス急便によって配達されているのって...

 

「まさか....」

「うん、毎回会いに来るけどそのたびにこうなっちゃうんだ...」

「そりゃぁまた.....」

 

そう言いながらカズマ少年はヴェストの頬へ拘束往復ビンタを食らわせる。

彼もだんだんヴェストへの遠慮がなくなってきた。

距離感が近くなったとも取れるが。

 

「おーきーろ。ほら、お前の女神様だぞー?」

「ちょ!?カズマくん!?女神って...」

「........んぁ?知らない天井だ...」

 

ちなみにカズマ少年はまだクリスとエリス様が同一人物であるとは気付いていない。

 

「あ、あなたは...エリス...様?」

「ちょ!?違うよ!?人違いだよ!?ほら私!!クリスだって!!」

「................はっ!?もももももももも申し訳ありませんクリス様!!」

 

「なんでお前らそんなに必死になってるんだ?」

 

“わちゃわちゃ”という表現が似合うような2人の動きにツッコミが入る。

確かに事情を知らない人からしたら気が狂ったようにしか見えないだろう。それもヴェストはいつものこととしても、もう1人は常識人キャラとして通っているクリスがやっているのだから。

 

「で?なんでお前は倒れたんだ?クリスを前にした瞬間顔を真っ赤にして倒れやがって。思春期の高校生でもそうはならないぞ?」

「ああ、確か何かを思い出したんだが...なんだったか.....」

 

記憶を失うなんて相当だなというカズマ少年の言葉はもっともだ。

記憶を失うなんてトラウマや思い出したらまずい事でもあったのか。

 

「あ.........も、もしかしてあの時のこと?」

「あの時?」

「......そうです!!!あの時の返事が本当かどうか気になって眠れい」

「おーい早速眠りそうになってるぞー?」

 

お前が話さないと話が進まないんだ。

そう言ったカズマ少年の思念の詰まった超高速往復ビンタが炸裂する。

そして同時に彼は感付き始めていた。

この場において自分は邪魔者だということに。

長年引きこもりニート童貞を続けていた彼は感じ取ることができるのだ。

「ラブコメの波動」を。

湯気が立ち上るほどに顔を真っ赤に染め倒れたヴェストとなぜか顔を赤らめ少しモジモジしているクリス。

あーはいもうわかりました。かんっぜんに俺おじゃま虫ですね、と。

 

しかし今すぐこのリア充予備軍どもから逃げてサテライトキャノンでも打ち込んでやりたいが、そうもいかない理由が彼にはあった。

 

そう、その理由は

 

 

「話が進まねぇじゃねぇかぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

ペチペチペチペチ。

 

目を覚ました瞬間に即刻天に召される馬鹿と自分で口にするのは恥ずかしいのか見ているだけの女神様。

このラブコメ(?)はどうやったら終わらせることができるのか。

 

 

カズマ少年の苦労はまだ無くなることはない。




ラブコメッテ...ナニ.....?
コイッテ....ナニ...?
セイシュンッテ....ナニ...?
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