幕間 あるジャーナリストと村人の証言
中央暦1635年6月1日
日本国、某所。
私は、キタザワシンゴ。一介のジャーナリストだ。
今日はある人物に取材する事になっている。
待ち合わせ場所は、町中にあるカフェだ。
店内に入り、見回す。
…見つけた。彼だ。
「すみません、遅れました。」私は相手にそう言った。
「いえ、気になさらないで下さい」こういったのは、相手の瓜二つの人物だった。声も同じである。
「では、始めましょうか。」
「はい、お互いに。」
そして、始まった。
私、キタザワシンゴの取材相手はキタザワシンゴだ。
これはどういうことか?簡単に説明すると、相手は平行世界の私なのだ。
今、この世界には三つの日本がある。一つは私の祖国。
今は扶桑国と言う名に改めている。
もう一つは彼の住んでいる日本。この国はその名のままだ。
最後の日本。これは隣国から色々された国だ。
その国は今は秋津国という名に改めている。
お互いに簡単に自己紹介を済ませ、証言をする。
「ではまず、貴方は転移当時どこに居ましたか??」
相手から質問が来る。
私は、こう答えた。
「当時、フェリペ王国にいました。」
相手は口を開く。
「なぜ。」
答える。
「取材の為にです。」
質問に答え続ける。
そして、私の番だ。
私は、口を開く。
「あなたは転移当時、どこに居ましたか。」
相手は口を開く。
「イギリスに居ました。」
何故?そう問いかける。
返答は、私と同じ様なものだった。
「取材のために。私は、ある人物を追っている。」
そう言って、彼は資料を渡した。
「私が追っていた人物は、ミック・バーナージ。
元国連軍所属の人物だ。」
「感心しませんね。個人情報保護は我々の義務ですから。」
反射的に口に出す。
しかし、彼はありえない事を口走った。
こちらが情報を提供したからお前も出せと言うのだ。
だが、私は決して情報を渡さなかった。
「我々ジャーナリストは信頼が第一だ。あなたのその行為は有り得ない。」
私はこう反論した。
だが、相手の口から出たのは想定外の返答だった。
「我々は余りにもお互いのことを知らなさ過ぎる。だからこそこうするしかない。」
その返答で、相手に情報を渡すべきか?そう考え始めた。
「おや、もう時間だ。前向きな返事を待っている。」
そう相手はいい立ち去った。
◇
そして、あの異変から、2年が過ぎた。
私、キタザワシンゴ(扶桑国出身)は取材を続けていた。
今日、ある人物と接触する事ができた。
「本日はよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ。ご多忙の中すみません。」
こちらに向いている人物。彼はクワトイネ公国の農民だ。あの日の事を今回、話してくれるらしい。
そして、彼の言葉が紡がれる。「あれは、冬の朝の厳寒の事だった。」
◇
早朝。俺は畑に向かっていた。
何時ものように朝の見回りが終わり、家に帰ろうとしたときの事だった。
爆風が吹いた。
上空を見る。
見たのは、異形のナニカだった。
色は黒く、尾から2つの火を吐き。
音を置き去りにし、飛び去って征く。
それが2つ。はるか彼方へと飛び去って行った。
◇
「僕が語れるのは、ここまでです。」
「いえ、有難うございます。」
彼は別れ際、私と同じ名前の人物と合った事があるといった。
確実にあの彼だろう。
あのときの答えは、未だに言えていなかった。