日本国召喚に十数カ国を追加した   作:相模曹壱

3 / 6
第3話

中央歴1635年3月3日 0900 グラ・バルカス帝国本土北端近海 フェリペ王国潜水艦

 

 「潜望鏡上げ、カメラ回せ。」

潜望鏡を覗く男が、乗員に言った。

彼らは上層部からの命令を受け、世界各国の軍事情勢の偵察を行っていたのだ。

当然のことながら、彼らだけが独自に行っている事である。

「よし、目標地点が見えた。…!何だと。」

潜望鏡を覗いていた男―艦長が驚いた。

彼の目に映っていたのは、巨大な戦艦が建造中の様子だったのだ。

しかも、見た限りでは3隻が同時に建造されている。

「おい、副長。あの軍港はどの国の物だ。」

「グラ・バルカス帝国です。あの船はヤマトクラスに酷似しています。」

 嘘だろ。

その考えが乗組員たちに伝播する。

しかし、それでも艦長は監視を続けたのだった。

”もっと他に何かないのか。”

目を皿の様にして見続ける。

 そして、ヤマトに酷似した戦艦を建造しているドッグから数百m離れた所に、それを見つけた。

「潜望鏡拡大。…あれは、潜水艦の基地か。」

一見するとコンクリートの岸壁だが、一部に穴が空いている。

そして、ソナーマンが声を上げた。

「本艦より1㎞先、推進音出現。潜水艦です。」

「潜望鏡下げ、音を立てるな。」

艦長の命令に、乗員たちがきびきびと動いた。

 数十分後、音が聞こえ始めた。

水上艦艇の駆動音かと、一瞬疑った乗員たち。

しかし、ソナーマンからの報告は耳を疑う物だった。

「潜水艦の、推進音と思われます。本艦とすれ違います。」

ひと際音が大きく成った後、だんだんと小さくなる。

 「音紋は記録出来たな。これより、我々は本国へと帰還する。」

数時間後には、その潜水艦は海域を離脱していた。

それを知っている人間は、グラ・バルカス帝国にはいなかった。

♢

 同日、パガンダ王国 近海 イギリス海軍原子力潜水艦 

 「潜望鏡上げ、撮影開始。」

場所は違えど、ここでも似た様な事が行われていた。

「艦長、撮影開始しました。しかし、本当に持ち場を離れても良かったのでしょうか。」

副長らしき男が、艦長に話しかける。

艦長は、ゲーム機のコントローラで潜望鏡を操作しながら言った。

「ヤマトクラスの戦艦が、出港したのだ。着いてこいと言わんばかりだったからな。だから行動に移した。」

そう言った後に、彼はモニターを見つめる。

「主砲が旋回している。…まさか撃つつもりか。ソナーマン、注意しろ。」

この時、彼らの乗る潜水艦は、パガンダ王国とエセ大和に挟まれた様な状態だった。

「…後ろには市街地、まさか!」

「発砲を確認!すごい音だ。」

艦長が自らの考えを漏らそうとした時、ソナーマンが報告した。

♢

 「諸元そのまま第2射、撃てー!」

エセ大和―グレードアトラスター艦上では、敵国首都に対し砲撃が行われていた。

「見張りより、手前に潜望鏡らしきものを発見しました。いかがなさいますか。」

副長が艦長に対していった。

「友軍の潜水艦だろう。連中には自由に見学させておけ。未だに水上艦は健在だと見せつけろ。」

「了解しました。蛮族どもを肥やしに変えてやれ!」

副長の号令で、副砲や高角砲まで放たれる。

♢

 「連中、全備砲を陸地に向けている。」

艦長がモニターを見て呟いた。

その後は変わり映えしない砲撃の風景。

たった一撃が、家々を吹き飛ばし、橋を壊し、城を壊していく。

 数時間後、2隻の船はその場を去った。

1隻は人々に恐怖を与え、1隻は誰にも知られずに。

 この時の映像が無ければ、世界会議に派遣する艦隊が非常に脆弱な艦のみと成っていであろう。

♢

 それから、第4、第5文明圏相互安全保障条約機構の構築に向けての会合が行われたのは当然の流れだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。